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─ 広間→二階 ─
[熱量を摂った事で、また幾分気持ちは鎮まって。
そうなると、気にかかるのはやはり、上がって行った姉の方]
……ちょっと、上、行ってくる。
[どうしたものか、としばし悩んだものの結局、広間にいる人々にこう声をかけ足早に二階へ。
さて、どの部屋に、と廊下を進むと、不自然な開き具合の扉が目に入った。
ちょうど、猫一匹すり抜けられる程度の隙間の開いたそれに、天鵞絨を瞬かせ]
……姉さん?
[こつこつ、とドアを叩いて声をかける。
返ってきたのは、なぁぁ、という低い猫の鳴き声だった。
茶猫がいる、という事は、と思い、入るよ、と声をかけてから中に入り]
…………。
[泣き疲れて眠りに落ちた、とわかる様子に、僅か、目を伏せた]
……ほんとに、もう。
[小さく呟き、身体を冷やさぬように、と上掛けを掛けて。
けれど、零れた滴の痕には手を触れる事はしなかった]
タオ、姉さん、頼むな?
[代わりに、物言いたげな茶猫をぽふり、と撫でて。
承知、と言いたげな鳴き声に、ほんの僅か、口元を綻ばせた]
……姉さん。ごめん、ね……。
[それから、ごく小さな声で謝罪を紡ぐ。
言い出しても詮無い事、とわかっていても。
あの時、出かけるのを引き止めるなり、自分も着いて行くなりしていれば。
そうすれば、こんな事にはならなかったのではないか、と。
そんな思いは、やはり、消えてはくれず。
それが、先に指摘された、『一人で背負おうとしている』部分であるのも、自覚していない訳ではないのだけれど。
棘の如く刺さったそれは、容易く抜けそうになかった]
─ 二階 物置 ─
[ふる、と軽く首を振った後、姉の部屋を出て。
足を向けるのは、物置の方。
個室よりも一回りほど小さな空間には、雑多に品物が詰め込まれ。
それに埋もれるように、古びたアップライトが眠っていた]
……音、出るのかこれ。
[明らかに放置されていたとわかるそれに苦笑しつつ、周囲を片付けて埃を払う。
舞い散る埃に後で風呂に入るようか、などと思いながらも鍵盤の蓋を開き、適当な木箱を椅子代わりに据えて、白と黒の上に指を落とす。
返ってくるのは、甲高い音、一つ。
弾けなくはない、とわかると、得意曲のひとつである子守唄の旋律をゆるり、紡ぎ出し、そして]
…………。
[一曲、紡ぎ終えた所で、一つ息を吐いて俯き。
きつく、唇を噛み締めた]
……なん、で。
[やや間を置いて、零れ落ちるのは掠れた呟き]
俺は……まだ。
あなたに、なに、ひとつ……。
[返せてはいないのに、と。続く言葉は、声にはならなかった。
ここに来てから幾度目か、右手が隠された十字架を掴む]
これが、神の与えたもう試練だというなら。
残酷……すぎる、だろっ……!
[低い声で吐き捨てた直後、先にも感じた息苦しさがまとわりついてきた。
何かに首を締め付けられるような感触に戸惑いながら数度咳き込むと、やがてそれは鎮まって行き]
なん、なんだよ……これも。
[けほ、と、最後に空間の埃っぽさに由来する咳をしてから。
再度、鍵盤に指を落として旋律を紡ぐ。
そうして音に触れている間は、目の前の現実の事は忘れる事が叶うから。**]
→ 2階廊下 ―
[変な寝跡が残って居ないか確かめるよう顔を手で擦りながら、廊下に出る。
階段に向かう足を、けれど一旦物置の前で止めた。
先刻夢現に聞いた久方の音色が、確かに耳に届いたから。]
……、あれ?
[子守唄から曲は変わっていただろうか。
何にせよ、こっそり覗き込む物置の中、見付けた人影に目を細める。]
――、…。
[彼が紡ぐ同じ筈の音色が、何時もと何故か違って聞こえるのは。
楽器の調律具合によるものか、それとも奏で手の心境故か。
解らない、けれど声を上げる事はしない。]
― 物置・扉口 ―
[過去にも演奏を遮る事は、無かった、筈。
唯、初めて教会でその音色を聴いたその時は、
わあ、と隠さず上げた感嘆の声で彼を驚かせたかも知れなかったが。]
…。
[兎も角、曲が途切れるまでは声を掛けはしない。
手紙を託す事も、寝跡を確かめる事も忘れて唯音色を聴く。
同じように旋律に釣られた誰かが来た時に、
その人の行動を邪魔する事もきっと無いけれど。**]
―1F 広間―
[>>166 ミハエルの話が終わったことに安堵の一息。
そこで「何を?」何て問いかえされて、他の人の関心をあの出来事で引くようなことはしなかった。何かあったと思われてしまうじゃないか、馬鹿。なので、青年は何も存ぜぬという態度を貫くわけである]
[実際はどうかというと、クレメンスよりも近い場所にいたのでお察し下さい]
[そして見守るものもいながらの食事。
主に祈りを捧げるものがいれば、その祈りをなぞらいて、いただきます。
オニオンスープの安心できる味に、アマンダの手作りサンドイッチ。どっちも実においしく頂きました。
スープは最後までパンを浸してお腹を膨らます。おかわりをしないように]
[上へと行くライヒアウトを見送るときには]
荷物着たら渡すもんあるから、後で部屋いくなー。
[と、部屋の場所を聞こうとするだろう]
[自分は、必ず首都と実家の間を年何回か往復する便利な行商である。そんなことを時々思わなくもない。]
[ほどなく2Fから聞こえてくる若干調整が狂った子守唄の旋律>>179 休み休みに続く音楽に、ぽつりと呟く]
あいつようやく一人になる時間ができたんだな
[老神父が亡くなってからのこの畳み掛ける追い討ちに対するやるせなさ。一番感じているのは、身内の2人であるのに、こういう時にかける言葉の見つからなさに、ああ、勉強とは役に立たないとため息が出るのである]
[酒宴が始まり、ほどなくすればトランクごと自分の荷物が届く。
中身はろくに確認していないが、家に帰って降ろした分、きっと何かが詰まっているのだろ。そんな気がする重さだった]
[お礼はもうすでにもらったから、という自警団の若いのの顔は若い。判り安すぎるにもほどがある]
ふぅーん、今夜も荒れるのか。まー、任務に励みたまえ。
俺はここでぬくぬくと尋問されるという任務に励む。
[とはいったものの、その手のものが始まる気配はなく。
ギュンター爺さんはこちらを窺い見るばかりであった。
貴族も含めて召集したことから、それなりに人狼の存在を肯定し、並々ならぬ覚悟であるようにも思えたが――]
やっぱこれ、一生懸命がんばりました、のアリバイつくりか?
[顎に爪をたてる考えるポーズで、つい考えていることを口にした**]
― 回想・幼い頃 ―
[母は自分を産んだ後で体を壊したが、それでも体調の良いときは自分が寝付くまで傍で歌やお伽噺を聞かせてくれた。
ある夜、なんとなく父との馴れ初めを聞かせてほしいとねだった時には、とても困らせた覚えがある。
たぶん、昼間に読んだ童話のお姫様と王子さまに比べて、母はともかく、父は厳つい顔で年も『王子さま』より『王子さまの父』くらいの年だったから疑問に思ったのだったか]
─ →広間 ─
[チーズとサラミを載せた皿と野菜スティックサラダを載せたトレイ、ついでにグラスをいくつか載せたトレイを手に広間へと戻って来る。
ソファーに付随するテーブルの上に並べてソファーに腰を下ろした時、ようやく微かに耳に届く音に気付いた]
ああ、ライヒアルトか。
ピアノなんてあったんだな。
[紡ぐ感想はそれだけ。
彼の境遇については敢えて触れずにおく。
その代わり、口へと運んだキュウリが、ポリ、と小さな音を奏でた。
酒が用意されたなら、礼を言ってからそれを口にし、しばしゆっくりと酒を楽しむこととなる]
『そうね。
お父様は、顔も怖いし、性格も悪いし、根性も捻くれるし、お年もアレだし……王子さまってカンジじゃないわね』
[たしか、母は、困った顔をしながらもそんな事を言ってただろうか]
『でも、お父様は母様の事を愛してくれてるわ。
それに、色々誤解されやすい人だけど、実際にはそれほど悪い人でもないと思うわよ。
えぇと………多分、きっと……悪い人じゃない、と良いわね………』
[とても幸せそうに言った後、視線を彷徨わせて言葉を濁してたりもしてたような気がする。
その後、使用人や村人から聞いた噂を総合すると、どうやら亡き先妻と息子の命日に、別荘を離れ村内の酒場で滅入りつつ飲んだくれていた侯爵に、酒場でバイトしていた母が説教をしたのがなれ初めだったとか]
[身体を壊していた母が他界したのは、自分が11歳の頃。
幼馴染のユーディットとも一緒に遊ぼうとせず、沈み込んでいた自分を心配した父が、母が亡くなった数週間後に村の孤児院に連れて行ってくれたのが、クレメンスとの初対面だっただろうか。
自分より年下の子どもたちが、両親共になくしても元気でいるのだ、と教えてくれる為だと本人は思っているが。
実際のところは、母方の伯父に引き合わせるためだったのかもしれない。
もしかしたら、あの時孤児院に連れて行ってくれたのは、父本人ではなく、代理の執事だったような気もするが、まあどちらでもたいした違いは(本人にとっては)ない]
― 現在・広間 ―
ええ、どうぞ。
ボクも一人で飲むより、他の方と一緒の方が楽しいですし。
………百鬼夜行(貴族ども)は例外ですけどね。
[クレメンス>>191やエーリッヒ>>187などの返答には、にこやかに応じる。
エーリッヒの取調べとか…という部分には]
後ろめたいこともないのに、神妙にしなきゃならない理由もないですし。
むしろ彼らに協力して拘束されてやるのに、嗜好品までガマンしてやる必要はないでしょう?
[つまみを用意するというクレメンスには、礼を言ってお願いして]
ということで、ユーちゃん。
お酒、持ってきてもらっていいかな?
[自分で動かずに人任せにするのは、まあ貴族ですからね]
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