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― 浜 ―
……でも。
僕は、帰ってこない方がよかったのかな。
[先ほど、運ばれた遺体のあった辺りを、ちらと見遣り、呟く。
最期まで、姉が帰りたいと願っていた島。
この島で過ごした半生の思い出は、幸せなものばかりで。
記憶の中で美化されていたのだろう、
地上の楽園のように思っていたけれど]
馬鹿だな…地上に楽園なんてあるはずがなかった。
[無意識にポケットに伸びた指が、紅珊瑚の指輪を探り。
常の癖で、それをぽんと放っては受け、放っては受けを
繰り返しながら、黒珊瑚亭に向かって歩き出した。
辿り着けば、自衛団による召集が待っているとは、*知らぬまま*]
……前から思ってたけどぉ……あなた、隠し事、下手よねぇ。
[くすり、と笑んで擦り寄るように距離を詰める。
下から見上げる瞳と声は、淡く甘い艶を帯びて]
お勤めなのはわかるから、何から何まで全部教えて、とは言わないけど。
……どうして、そんな事になったのか、くらいは知りたいなぁ?
ねぇ、何があったの? それだけ、教えて?
[呼び出しそのものに逆らう心算はないが、何故こんな時に、というのは気にかかる。
言葉の裏側にあるものを探してしまうのは、島を離れた6年の歳月で身についてしまった癖のひとつ。
ただ、清らに絵を描いて過ごしていたわけではない、と暗に物語るものだが──目の前の彼には、それは知れぬもの。
帰郷してからというもの何かとこちらの気を引こうとしていた団員は、一見すると無垢な『お願い』にしばし煩悶とした様だったが、最終的には浜に上がった遺体の事と、その死因に関する招集である事は教えてくれた]
……それ、さっき浜で騒ぎになってたひとよねぇ?
[得られた答えに眉が寄る。
ほんの無僅かな思案の素振りの後、爪先立ちになり]
教えてくれてありがと。
……ねぇ、ひとつ、お願いしていい?
『浜に死体が上がった』って部分は、母さんに伝わらないようにしてほしいの。
それ教えたら、ぼく、母さんの傍離れられなくなっちゃうから……あなたのお勤め、果たせなくしちゃう。
[団員にだけ届くよう、耳元に囁きかける。
閉ざされた島の中の事、いずれ人伝に伝わる可能性があるが、できるならばそこは伏せておきたかった]
ね、お願い……落ち着いたら、お礼するからぁ。
[踵を下し、上目遣いに訴えかける。
こちらの家庭事情を慮ってか、それとも『お礼』につられたか。
どちらかはわからないが、諾を返してくれた団員に嬉しげな笑みを浮かべ]
……ありがと。
[軽く、掠めるように頬に唇寄せた後、何事もなかったかのように家へと入る。
白猫が、あーあ、とでも言わんばかりに気だるげに鳴いたのは、多分、誰の耳にも入ってはいない]
[家に入ると、出迎えるのは落ち着きない母の声]
ん、あちこち色々大変になってるみたい。
しばらくは、落ち着かないかなぁ。
[外の様子を問う声に、返すのはそんな曖昧な返事。
海の仔細を伝えるのを避けるのは、母の精神の安定のため]
それでね、なんだかギュンターのお爺ちゃんがお話あるから来てくれ、って言われたの。
だから、黒珊瑚亭行って来るね?
お話、長引くようならご飯食べてくるから、母さんは先に休んでね?
[出来る限りなんでもない風を装い告げる。
それでも、返るのは案ずるような声]
んー、何の話かはわかんないけど。
……大丈夫だから。
─ →黒珊瑚亭 ─
[それからしばらく時間をかけて母を落ち着かせ、やって来た黒珊瑚亭。
集まる顔ぶれに、どういう基準? と首傾げつつ。
やがて、現れた自衛団長から話を聞かされて]
……なぁに、それ。
[最初に上がったのは、短い声。
戸惑いを強く滲ませるその声に、足元で大人しくしていた白猫が、案ずるように鳴いて膝の上に跳び上がってきた]
御伽噺じゃない、って。
死んでもらうって、そんなのって。
[半ば呆然と呟いていると、幾度目か、視界に霞がかり。
それ以上は言葉を紡げず、白猫をぎゅう、と抱えて目を伏せた。*]
― 回想 ―
うん、そうみたい。
わかんない、けど……
[アーベル>>146に頷き。
頭をなでられて、くしゃくしゃになった髪にもー、と苦笑を返す。
笑わせてもらったことは分かっているけれど]
気をつけて、いってらっしゃい。
[出て行くアーベル>>151を見送り。
それに団長が用事があると声をかけるのをみやり、同じようにとどめられて首をかしげ]
えと、それは、いいけど……
[そして、皆が来るまで仕事をして――]
― 黒珊瑚亭 ―
[みんなが集まって、団長の話が進むにつれ表情が強張る。
嘘かほんとか分からないけれど、団長の話を父親が遮らないからきっとほんとなんだろうと思った]
え……
一人……は、てこと……?
[え、と頭が追いつかずに首をかしげ。
しかも明日直にという話に、蒼冷めた顔を周囲に向けた。
父親とも視線が合うが、助けはなく。
見えないところで黒珊瑚亭亭主と父親としての葛藤をしていることにすら気づかぬままに、周囲をきょろきょろと見た]
― 自宅 ―
[老人を家まで送り届けた後、真っ直ぐに自宅まで引き返す。
其処此処に転がる残骸は軽く蹴り飛ばし、
大きな物は拾い上げ一時除けて簡易の道を作り出す]
[扉を潜れば籠を置き髪を解く。
海風に軋む髪を梳き、もう一度束ね直した後、
籠を開いて空になった水の筒を取り出した。
奥に置いた瓶から木蓋を退け、杓子で汲み上げ注ぎ始めた、時]
――……何か?
[戸を叩く音に応じ開いた先に立つのは自衛団員。
自衛団長からの呼び出しと知れば、訝しげに紅玉が眇められた]
黒珊瑚亭か。……わかった。
少し済ませたい事がある故、終わらせたらすぐに。
[少しの間を置き、首肯を置いて]
― → 黒珊瑚亭 ―
[右腕に薬籠を携えて現れたのは、其れから暫くの後。
筒の全てに水を詰め直し軟膏を補充し。
浜に一度寄り、回収した雨除けの布を肩に負って]
……物々しいな。
[自身は11人の内の何番目であったろうか。
漂う空気の重さにひとつ呟き、籠は空いた席に置いて
自身はすぐ横の椅子に腰を下ろす]
[全員揃ってから語られる内容に
紅玉は見開かれ、幾度と瞬きを繰り返した]
……噂と、思って居たのに。
[零れた呟きは拾われたか拾われぬか。
酷く乾いて、床に落ちた]
― 広場近く ―
[浜から自宅への道を戻る途中、
広場みえるその通りで呼び止められる。
振り返れば其処には早朝に会ったばかりの女が居た]
そんなに慌てて如何したの?
[息切らす彼女に驚き隠せぬ様子で問いかける。
すると、家に戻ってはいけない、と繰り返し訴えてくる]
何があったのか話してくれるかい。
[上下する肩を軽く撫でて彼女が落ち着くのを待つ。
自衛団員である父から聞いた話だという前置きの後、
浜で遺体となって見つかった旅人が居た事、
その容疑者が宿に集められるらしい事を語りだす]
――…戻るのを止めるってことは
キミの父親が俺を待ち構えてるって事かな。
[ため息混じりの呟きが漏れた。
女は泣き出しそうな顔で頷く。
昨夜は一緒に居た事も父親に伝えたとも言っていたが
それは証言として扱われぬ代物のようだった]
庇ってくれてありがとう。
けれど、もう言わなくていい。
年頃の女性が男と夜を明かしたなんて……
キミの父上も悲しまれるだろうし、ね。
[宥める声は密やかに紡がれる]
知らせてくれてありがとう。
大丈夫だからもう戻って。
こんなところ自衛団に見られたらまずいだろ。
[仮にも自衛団員の娘だから。
案じる言葉を向ければ不安げに見つめる彼女が暫くして頷く]
気をつけて帰るんだよ。
[彼女が筋を曲がり姿見えなくなるまで見送った後
男は漸く再び家へと歩き出した]
― 自宅 ―
[応接室には先ほど別れた女の父親が居た。
テーブルを囲み、母親の振る舞った茶を飲んでいる。
何の用で来たかは伝えられてはいないのだろう。
和やかに談笑していた風の二人にを交互に見遣る]
ただいま。
自衛団の方、でしたね。
どういったご用件でしょう。
話しなら工房の方でお聞きします。
[場所を移そうとするが母親が引き止める。
態々移動しなくても此処で話せば良い、と]
――…。
[仕方なくその場にとどまれば
自衛団員が、話は宿で、と促す言葉を告げる]
そう。楽しみにしてる。
それじゃ、また後で。
[女性らしくなっても、そういうところはまだまだなのかと笑いながら。カルメンとも別れて、昔馴染みの顔を頼りに応急処置用の板を調達して教会に向かった]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
たしかあの辺…あ、あった…。
[浜から黒珊瑚亭に戻る道すがら、
高台に並ぶ幾つもの別荘>>0:2が目に入り。
瞳を凝らせば、昔住んでいた1軒が見つけられた]
懐かしいな。今は…どうなっているんだろう。
[その別荘―というより別邸は、病弱だった5つ年上の姉、
ユーリエの身体には、海風と太陽がよいと聞いた両親が、
彼女の為に建てたもの。自分もその家で生まれた]
[両親や歳の離れた兄は、やれ社交シーズンだ、狩猟シーズンだ、
領地の見回りや、狩仲間に呼ばれた等と、不在がちだったから。
姉と自分は、使用人に育てられたようなもの。
気位の高かった母は、別荘族以外とは交流を持たなかったけれど、
おおらかな気質だった父や兄、姉は、島の人とも付き合いがあり、
時折、黒珊瑚亭に食事にも連れて行ってもらった]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
“さあ、教会のお手伝いに行きましょう。
ほら、お帽子をちゃんと被って……手は離さないのよ?“
[懐かしい家を眺めていると、幼い頃の姉の声が耳に蘇る。
蒲柳の質だったけれど、体調がよい時には、知人に会ったり、
手を繋いで一緒に教会の手伝いに出かけたりした]
あれは…傍から見れば、僕が子守りされているようにしか
見えなかっただろうな…。
[今となっては、気恥ずかしいような気もするが、
すぐに萎れそうになる花のような姉が、体調が悪くならないか、
倒れやしないかと、いつも心配で。
幼いながら、姉を守っているつもりだったのだ。
母は、馬車を使いなさいと、口うるさく言っていたけれど、
姉は、草花を摘んだり、海風に吹かれたりできる散歩を楽しみにしていたから。
風になびく金色の髪を片手で押さえ、僅かに瞳を細めるようにして海を眺めていた時の、ふわりと柔らかな微笑みが今でも目に浮かぶ]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
“大丈夫、一生懸命お祈りして、心からお仕えすれば、
神様はちゃんとお聞き届けくださるわ”
[家族の中で唯一、心からの信仰の持ち主だった姉。
彼女に連れられて教会に通ううち、
孤児院にいたヘルムートとも知り合ったのだったか。
再会を果たしたのは、わりと最近のこと。
ヘルムート・ルーデンという、懐かしい名を持つ音楽家の
噂を耳にして、もしや彼ではと、聴きに出かけた。
12年前に、島民との接触を禁じた両親>>172は
既に亡くなっていたけれど。
それでも会わない方がいいと、よく分かりつつも、
懐かしくて、声を掛けずにいられなかった]
― 浜→黒珊瑚亭の途中―
よかった、蓋は開いてないか。
[慌てて指輪を拾い、容器状になっている蓋部分にあたる
紅珊瑚と留め金が無事なのを確認すると、
流石に用心してポケットに仕舞った]
何か…紐でもつけておいた方がいいかな。
ゲルダに、使わなくなった刺繍糸でも譲ってもらえないか、
聞いてみるか…。
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