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研究生 エーリッヒ に 9人が投票した
ランプ屋 イレーネ に 2人が投票した
研究生 エーリッヒ は村人の手により処刑された……
次の日の朝、青年 アーベル が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、旅人 ハンス、少女 ベアトリーチェ、職人見習い ユリアン、歌姫 エルザ、貴族 ミハエル、シスター ナターリエ、教師 オトフリート、神父 クレメンス、ランプ屋 イレーネの9名。
―自室―
ベアトリーチェのことは止めてくれたのに。
昨日はあんなに強かったのに。どうして…
[凶器を振り上げる少女を止めてくれた、煌く銀の糸。
今日もきっと。きっと止めてくれる。
しかしその期待は、現実のものとはならなかった。
ここではないどこか、今ではないいつかを見る目でその光景を見て、アーベルもまた止めることをしなかった。
ユリアンは昂ぶった神経のまま眠ることもできず、自室のベッドに腰掛け呟き続ける]
おかしくなったエーリッヒさんのことは…
抵抗が過ぎたエルザさんのことは?
その人を守ろうとして、剣を突き出したミハエルのことは…?
[――しかし彼らをどうして止めてくれなかったのだと、
果たしてアーベルを責められる立場に自分はあるだろうか。
交錯する三つの鋼色達、やがてそれはエーリヒを貫く。
下がっていろとの声に頷き呆然と、白い羽毛が赤く血に染まるまでの間、ただずっとそれを見ていた。
全てが終ったあと、ナターリエは手当てを施し、
自分はイレーネ達と共にエルザやミハエルを部屋へと運んだのだ]
…俺だって。たった、それだけのことしかしてないんだ。
…最高の屋敷だと思ってた。
最初はみんなすごく、まともで普通の精神状態に見えたしさ。
でも思えば、ベアトリーチェだってエーリッヒさんだって。
みんな、ここに来て変な生首なんかを見て…
あの爺さんの薄気味悪い言葉を聞いて、死んだ事を知って…
[ユリアンは項垂れる顔を上げる]
きっとそれから…、おかしくなったんだ。
もう惜しいなんて言ってられない。脱出の糸口を探さなきゃ。
あの変な壁の穴…もう一度見に行ってみよう。
俺達はそこの不思議な力なんて宿っちゃいない、ただの巧妙なからくりか何かに……出たら危ないだなんて、誤魔化されてるだけかもしれないもの!
――自室(F)――
[見るのはやはり、ランプ作りをしていた頃の、あの沈黙の夢。
ゆっくりと目を開け、目覚める]
・・・・・・。
[夢に、催促をされているかのような。そんな印象だったが。
夢の最後の方には、何か、声が聞こえた気がした。
ベッドから身を起こして。
今日も選ぶのは、黒いワンピース。深い深い夜の色。死者を送る暗い色]
[自分に与えられた部屋を出たとほとんど同時に、走り行く足音を聞いた。
後ろ姿が一瞬見えて]
・・・ユリアン?
[なぜか不安になる。何を急いでいるんだろう]
[廊下をぺたぺた裸足で歩く。
白のスリップ一枚で。
半開きのままのドアの横。
青い姿のプレートは白く変わっている。
見上げた翠の瞳はゆっくり瞬いた。]
さいしょは ひとり
つぎから ふたり
――裏庭――
[部屋を出るとき、その背後でイレーネが不安そうに自分の名を呼んだ事にも気付かずに。
ユリアンは最初、それをボールだと思った。
踏み荒らされて乱れた草。
争った跡だと考え及ばず、そこに落ちた糸を見つけるより早く――
何の心の準備も無いままで、ボールの中にアーベルの顔を見た。
紅でもさされたかのような両頬の赤い手形。
何も映さない虚ろな瞳と、ぽっかりあいた頭の穴。
そこから零れ落ちる、本来よりもずっと量の減っている、何か]
――…え?
[離れた場所には、ほとんどの内臓を失った彼の胴がある筈だ。
だけども丸いそれが、何であるのかを理解するのに精一杯]
アーベル…さん?
まさか。
[ベアトリーチェに良く似た生首を見つけた時だってそうだった。
これは良くできた、アーベルではない何かだと鼻で笑おうとしているのに、こみ上げる吐き気がそれを許してくれない]
匂いまで再現するなんて、いたずらにしたって…はは
いたずらにしたって…あんまりだ。
[現実を受けとめかねて、声が震えているのが分かる]
だってこんなの…本物のわけない。
アーベルさんのわけない…
あの人は強い。
誰にも負けないよ…妙な化け物がいるとして、それにだって勝つ!
偽物だこんなの…ほら、こんなに軽い。
[かつてはこっそり心中で憧れ、兄と慕った者の頭部。
中身半分は失ったそれは本来感じるべき重さよりずっと軽かった。
ユリアンはつまらないものを持ち上げる時の手で、その髪を掴んで持ち上げる]
アーベルさんの頭であってたまるか!
自室→裏庭
[ユリアンの後ろを、後からついていく。
裏庭の奥。穴の開いた壁のすぐ傍まで来ると、クレメンスの一件を思い出し更に不安は募った。
声を、掛けようと、口を開き]
ユ・・・
[森の途切れたその場所に、朝の陽が差す。
明るい暖かな光が、血を、肉を、照らしている。
ちらばった銀糸が、美しく煌き]
あ・・・
──自室→廊下──
幾らたっても変わらぬものは
一体どこにあるのだろう?
[髪の毛をかきあげ、
ベアトリーチェの後ろに立った。
アーベルのプレートの名前は既に消えていた。]
…アーベル。
[頭痛を覚えた]
――ッ!
[何かが足元に飛んできて、反射的に後ろに避けた。
飛んできたものはごろりと転がって。と、視線がぶつかる。飛んできた、ものと?
穴というには大きすぎる、大きな空間が開いているが。蒼い髪。蒼い瞳は確認でき]
・・・アー、べ・・・?
[口から出た声は呼びかけるようで]
アーベル!?アー・・・あぁ・・・ああぁあああああッ!!アーベル!!!!
[その首まで、一歩も踏み出せることなく、その場に膝をついた。
周囲には、血が、銀糸が、ほんとうに細かく飛び散っていて]
… [───、───] …
みんなみんなおこさなきゃ。
悪い夢からおこさなきゃ。
このままだったら、かわいそう。
[クレメンスは、小さく呟くように歌う]
おはよう、したみたい。
[振り向いて、きょとんと神父を見上げる。]
なんでかな?
しれん しないから?
かみさましんじていないから?
それとも…だいすきだから?
やめろよイレーネ!
[いつの間にか後ろに立っていたイレーネ。
アーベルの名を叫びながらその場へ膝をつく彼女に対し、ユリアンは心配した顔を向けて手を差し伸べてやることもできない。
――悲鳴にも似た叫び声を響かせるだけ]
その名で呼ぶな…
そんなわけないっ
アーベルさんは生きてる!
こんなことに…なるはずがないッ!そうだろ!?
[”ボール”には意図的に視線を向けることなく、イレーネに激昂してみせることでどうにか、意識が現実に繋ぎとめられている。
彼女にあの名を呼ばせてはならない。
呼ばせさえしなければそれは、アーベルの頭部などではなくなると信じているかのように、イレーネへと近付き肩を掴んで揺さぶる]
まっかに なって おはようおはよう
からっぽ なって おはようおはよう
[少女は笑ってくるりと回り、手駕籠を持って階段へ。
ぺたりぺたぺた、裸足で降りる。]
[クレメンスは膝をつくと、ベアトリーチェの目線に。]
さあさあ、どうしてなのだろう?
試練に彼は勝てなかった。
そういう見方もあるからね。
[クレメンスは微笑む]
神様の敵は何時も屠られるものだけど、
神様は彼にきちんと平等に
試練を与えていたでしょう。
行ってらっしゃい、ベアトリーチェ。
[少女が階段を降りてゆくのを見送った]
[視線はアーベルの首を凝視して。
ユリアンの事は忘れてしまったかのように。
力の抜けた手は、ぱたりと物のように下に下ろされ。
肩を揺さぶられても、その視線の先は変わらず。
ユリアンの叫び声のような言葉に、随分と遅く、反応した]
・・・・・・。
[それは沈黙で。それでもユリアンに目線を向ける]
きゅうにん ななにん ごにんに さんにん
おはよう おはよう おはよう おはよう
[手駕籠を抱えて、歌いながら裏庭へ。
無惨に喰い荒らされた、青年の身体の前にぺたんと座り、
幼子をあやすように、ぽんぽん撫でる。]
よかったね よかったね
もういやなもの みないですむね
>>17
[声に反応してくれるまでの間イレーネはずっと其を凝視していた。
強張っていた自分の手とは対照的に、その手は力なく下されて。
永遠とも思える様な長い時間の後、彼女はこちらに目線を向ける。
もう叫び声もあげず名を呼ぶ事もなく、沈黙と共にこっちを見た――
震えるユリアンの手は彼女の肩から離される]
ああ、頼むから…
[代わりに自分の顔を覆うユリアンの両手の隙間から、かすれた声が漏れる]
そうだと言ってくれよ…お願いだから…
[痛々しいユリアンの姿に、僅かの冷静さを取り戻す]
・・・・・・仇を。
[その呟きは、冷静さと呼ぶにはあまりにも静かだったかもしれない。
底にあるものがあまりにも熱くて、冷やす温度はそれ相応の冷たさに。
それは復讐心か、恐怖か。
アーベル。アーベル。あたしに少し、似てると思った人]
[いつもと変わらない、無邪気に唄うベアトリーチェの姿が視界に入って。
まるで死神のようだと思う。
死者を連れて行く。迷わないようにね。もう戻ってこないでね]
[例えばベアトリーチェの撫でるものが、可愛いクマのぬいぐるみであったなら。
そうでなくても、平気な顔をしていつものように歌って聞かせる少女のその声に、少しでも悲しみや動揺が感じられたなら。
こうも恐ろしくはなかっただろうに。
せめて怒りであって欲しかったと、ユリアンは思う。
かつて人間であったことを踏みにじり食事途中で散らかされた肉片のような姿に変えられたアーべルを前にして、歌うベアトリーチェ。
鈴の鳴るような声で「よかったね」と、喜ばしい祝福を得た者にかける言葉で語りかける少女。
それを前にして今感じるのは怒りではなかった。これは恐怖だ]
ベアトリーチェ…おまえ、おまえは……
[ベルトに手をやった。そこにナイフがあるはずなのだ。
覆いを外して、刃を向けよう。
そう思っているのに、刃と覆いが触れ合ってカチャカチャ鳴るだけ。
手が震えている]
…にんげんか?化け物じゃないのか?
>>21
かたき…?
[静かな静かな、イレーネの声。
あまりに遠く、霞の向こうからそれが響く。
代わりにはっきりと聞こえるのは、逝ってしまったギュンターの声。
――人狼は人を食べるもの。
御伽噺などではない。その血が現実に今蘇っている。
食べられてしまう。もう逃げられない。
殺せ。武器を取って、誰かを殺せ。
殺される前に、誰かを――]
そうだ殺さなきゃ。アーベルさんの仇…人狼を、殺さなきゃ…
ああだけど――…どうやって?
[悲痛な叫びは喉の奥から、自分でも聞いた事のない声で耳に響く]
アーベルさんでも駄目だったのに…
あの強いアーベルさんでも、負けてしまったのに!
どうやって勝てって言うんだ。どうやって殺せって言うんだよ!!
[ベアトリーチェへの恐怖はあった。
でもそれはユリアンのものと同じではないだろう。
この子は死をいいことだと、本気で思っている。
殺してあげようと、思っている。
ユリアンがベルトに手をやるのにはっとして。
咄嗟にその腕を掴んだ]
だ・・・
[「ダメ」?ほんとうに?とても、危険な子]
>>25
もう駄目なのか…?
[およそ希望というものが見えずに、頭を抱える]
みんな…人狼以外、みんな死んでしまう…?
悲しいかだって?
辛いかって?
もう、見たくないか?
[穏やかな声が怒りを誘う。
顔を上げ、ベアトリーチェを火のような目で見て]
当たり前だ!
おまえはどうなんだ?
悲しくなくて、辛くなくて…これ以上まだ、こんなのを見たいってのか?死ぬのが嫌じゃあ、怖くはないのかよ!
[ユリアンの悲痛な叫びのような言葉に]
どう、やって・・・。
[どうやって?
アーベルは、とても強いと聞いていた。
さっきの仇の言葉に理性が宿っていないことは、明らかだ]
[自分の呟きに、激しく首を横に振った。
そんな。そんな。戦闘なんてしたことは無く。
人狼を、殺すことなんて。
自分はやはり、混乱している。
方法など何も浮かばないのに。何を考えなくてはいけないかも、分からない。分からない。
ベアトリーチェとユリアンのやり取りは耳に入ったが、すり抜けて]
みたくないから。
みせたくないから。
だから、おこしておわらせてあげるの。
わたしはなれてるから、だいじょうぶ。
みんなでやれば いいんだよ。
ひとりじゃだめでも、みんなでやれば。
>>27
[腕を掴んできたイレーネを見る。
その仕草は子供を思わせて、今守るべき対象だと想定することで、勇気を振り起こせる気がした。
そのままベアトリーチェからの、イレーネの盾になるように二人の間に身を佇ませて、いつでも抜けるようにナイフの取っ手を掴んだ。
いなくなったアーベルのように自分も人を守れると信じようとするだけで、震えが小さくなるのが嬉しかった。
金の髪、人形のような顔の小さなベアトリーチェに対峙し続ける。
イレーネの小さな声が耳に届いて、顔を向ける]
――あんたが…何だ?
[ユリアンが自分を守るようにベアトリーチェと対峙して、はっとする]
・・・・・・!
[今どうするべきなのかも、分からず。
もう全てを放棄してしまいたくて。
ユリアンの問いに]
分から、ない・・・分からない。
[ただそう答えるだけ。自分の頭を両手で覆う]
[分からないと答えて、両手で頭を覆うイレーネ。
混乱を無理ないと肯定するように小さく頷いてから、ユリアンは努めてイレーネを背に庇い続ける]
…俺も分からない。アーベルさんの仇…人狼が討てるのかとか、そもそもどいつがそうなのかとか…
でも。
[「見たくない、見せたくないから」
「起こして終わらせてあげる」
「私は慣れてるから大丈夫」
「皆でやればいい」
「一人じゃ駄目でも、皆でやれば」
ユリアンには到底意味の理解できない言葉を呟くベアトリーチェに、油断なく顔を向けたまま]
わけのわからない奴に注意深く目を向けて、妙な事をされないように気をつけて、警戒して…
そうしながら、何とか生き延びる道を考えるくらい…
それくらいなら!
[できたっていいはず。
少女が目の前から立ち去れば、それで良し。
駄目ならばせめてイレーネの手を引き、まだしも理解できる話の叶う人の多く居る筈の屋敷に駆け戻る隙を狙って、*足に力を込める*]
[転がったままの頭を体のところまで運んで、
開いたままだった瞼をそっと閉じさせて。]
おつきさまと、おともだちになれた?
[小さく問うと、その額に口付けを。
沢山の花でその周りを飾り、ぺたぺたと裸足で屋敷へと戻る。]
[表札が白い板へと変わってしまった、エーリッヒの部屋とアーベルの部屋。
そのドアの前にも、手向けのように花を飾って。
自室に帰ると、じゅうたんの上には、
ドールハウスの中でずたずたにされた金髪の人形。
ドールハウスの裏で転がっている、首の取れた人形。]
[優しい夢を、見ていた]
[ふわふわ]
[身体が浮かび上がる。ふわふわ。
…ああ、そうじゃない。
抱き上げられて、揺られているんだ。
『…軽いんだな』
ベアトリーチェと同じ顔をした少女の最期を『視て』気を失ったあの時。
自分も身体が冷たくなって、このまま、死んでしまうのかと思っていた。
とくん、とくん、とくん。
心臓の音が聞こえた。
温かい胸。男の人の腕だ。
『おやすみ、歌姫』
あたしをこの世界に呼び戻してくれた、あの温もり。あの、声]
[あの、心臓の音]
[その名を呼んだ瞬間、はっと目を見開いた。全身は恐怖にこわばり、翠の瞳には幻しか映らない]
[白い絨毯は紅く紅く紅く――滲む視界。これは、涙?]
『僕が何をしたと言うんだ』
[その声は何故か...自身の唇から零れ落ちる。双眸に映るはエルザとミハエル。…それはエーリッヒが最期に見たもの]
ああ、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん…エーリッヒ。
あなたはただ怯えていただけだったのに。
あなたは、人間だった…!!
だからこそあんなにも震えていたのに。
[視界が、感覚が、元に戻ってくる]
[けれど、...の見る世界は涙に滲んだまま]
[拭われたのか、消えうせたのか、手にはもう血痕は残っていなかった。ただ、包帯の巻かれた左腕が痛い]
――ずっと続く平穏。それだけを望んでいたのに、どこで間違ってしまったのだろう――
[涙が溢れ出す]
[…あの夜、命を歌っていたエーリッヒの心臓]
[折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、折って、祈って、折って、折って、折って…]
[いや違う]
[瞬けばそこに広がるのは一面の白]
[紅く染まっているのは]
僕の手、か。
[目の前に持ち上げた手を見つめる]
[直接血に触れたわけではなかった]
[しかし]
僕が、殺した。
[小さく呟く]
[何かを確認するように]
[揺れる瞳を瞼が隠す]
[そして再び開いたその瞳は]
僕はエルザを守る。
[たとえ何と引き換えようとも]
[それが何人であろうとも]
彼女は傷つけさせない。
[翠が僅かに青みを帯びる]
[暗い色味を]
守らなくちゃいけない。
[全ての痛みを押し殺して]
[自らに言い聞かせるように呟き続ける]
[ベッドを降りてシャワーを浴びる]
[冷たい水を]
[それから熱い湯を]
僕には力は無い。
[外に出ればクローゼットを探り]
でも諦めない。
[短剣を腰に下げて上から服を着る]
守るんだから。
[拳銃は手に取った後、首を振って机に置く。
扱ったことの無い武器をまともに使えるとは思えなかったから]
[その上に白いレースを掛ける。
ぱっと目には何であるか分からなくなっただろうか]
[仕度を整えれば隣の部屋へ。
入口のプレートが白く変わっていることを目に留めながら]
[主の居なくなった部屋には死体も無く]
[ただ赤と白の羽根が床に散らばっていた]
[そしてその中に]
――剣。
[一振りの銀色]
[ゆっくりと手を伸ばしてそれを拾う]
[そしてゆっくりと腰に挿し]
重たい。
[何かが圧し掛かってくるようだった]
――負けない。
[首を振り、微かに走った脇腹の痛みも無視して立ち上がる]
―in my room―
[二人の治療を終えてから部屋に戻った...はゆっくりと眠り、目を覚ます。
one,two,three…
瞬きをくりかえして、眩しさに慣らした]
今日はどうしようかしら
怪我と病気の人がいるのですから食べやすい方が良いですよね
[ふと寝る時にsideに置いた短刀と十字架を見……]
TI…そんな危険なもの料理にいれるわけはないけれど…
持ち歩いていれば襲われた時にかけられますね
……そういえばエーリッヒさん
[...の記憶には彼が消えたかの情報はなく]
……体、埋めてあげましょうか
[扉の音に振り返る]
シスター。
昨日はありがとうございました。
怪我?ああ、大丈夫です。
[薄っすらと浮かぶ笑み。けれど瞳は笑っていない]
大丈夫ではありませんよ。
あんまり動くと傷に障ります。
[困ったように告げる。
その目の色に気付いているのか…or not?]
……お礼なんていりませんから、ちゃんと傷を癒してくださいな
[小さく首を傾げ、やがてクツクツと笑い出す]
だって、そんなこと言ってられないですから。
私よりも大切な人がいる。
その人が傷つくくらいなら、こんな傷。
[大したことありませんよ、と傷の上に触れる]
[微かに眉を顰めるが、それでも口には笑みを浮かべたまま]
…そうですね、じゃあお願いしてもいいでしょうか。
昨日実はご飯を食べ損なってしまったんです。
エルザと一緒に下に降りる予定が、狂ってしまって。
何か作っていただけませんか?
[少し悲しむような顔をして]
あなたがそうやって無理をしても、悲しむ人がいますよ。
だから……
[それでも続いた言葉にこくりとうなずき]
何が食べたいですか?
軽いもののほうが食べやすいでしょうね
――自室(F)――
[セピア色の部屋に、赤い色が差す。もうすぐ日が暮れる。
小さなテーブルの上の、尖った石を弄んで。
その表情は無く。
その瞳に宿るのは恐怖か、落胆か、決意か、外からは何も読み取れないだろう]
ええ、余り重たいものでは胃に負担が掛かりそうですから。
何か軽くて、あっさりとしたものの方が嬉しいかな。
でも体力も取り戻さないとですし。
…やっぱりお任せします。
私よりもご自身が料理をなさるシスターの方が詳しそうだ。
軽くてあっさりとした…
[呟いて思案するように指を口唇にあてて]
あさりの…さっぱりのスープで、リゾットでもつくりましょうか。
ちゃんと栄養をとらないと治りませんから…
ああ、それは美味しそうですね。
[そう答えたときだけは、僅かに表情も和らいでいるだろう]
そういえば、シスターはこの部屋に何か御用事でしたか?
私の用事は済みましたので、先に行って材料を探しておきましょう。それくらいしか出来ませんけれど。
用事…というか
……昨日は、まだ、ここにいましたけれど。今日はいないのですね
土に還してさしあげようと思ったのですけれど
わたくしも下にゆきますわ。一緒に用意いたしましょう
[*微笑んで*]
[ああそうか、と納得をして]
[死体が無いことに違和感を抱かなかったことを微かに自嘲する]
ええ、ではご一緒に。
[シスターと共に厨房へと*向かった*]
[ふと我に返る。
息をひとつ吐き、石をひとつポケットへ。
椅子から立ち上がり、廊下への扉を開けた]
き。
[目の前に人がいて、大きく目を見開く。同時に悲鳴になりそこなった、変な声が出る。
でもそこに立っていたのは、2つのカフェラテを持ったクレメンスで]
ど、う、したん・・・。?
[声には動揺が]
[クレメンスへの動揺は、いきなりの鉢合わせのためだけではなく。
昨夜の出来事のためだけでなく。
アーベルの死が]
・・・・・・。
[それでも...はクレメンスに今朝の話をする。
沈痛な表情で彼はそれを聞いた。
その表情にこちらもつらくなって。昨夜アーベルを心配するそぶりのなかった事を責める気持ちがそがれる。
話を聞いたあと、彼は深く考えるようなそぶりをして、部屋から出て行った]
[イレーネの部屋をノックしようと思った時だった。
急に扉が開かれて、クレメンスは大きく眸を見開く。
動揺をしている素振りに、何ごとかと思ったが、]
昨日約束したカフェラテを持ってきたよ。
[そう言うと、一つをイレーネに渡した。部屋の中で話される事は、自然アーベルの事…今朝の話になった。
あまりにも痛ましい遺体を発見した事、
イレーネの重々しい声で綴られる話を、だが、クレメンスはじっと耳を傾けて聞いていた。手の中でカフェオレがどんどんと冷めてゆく。]
…。
[聞き終えると、クレメンスは少し退席をすると立ち上がり部屋を出た。少しも歩かないうちに、扉が開く音がしてイレーネが追いかけてくる。]
まだ、何か伝えたりない事があるのかい?
[振り向いた顔には、翳りが見える。微笑んではいるが、口調には弱弱しさを感じられた]
ハンス…
[記憶を辿る。
そういえば、広間で一度出会った後、顔を会わせる事がなかったような…
丁度ハンスの部屋の目の前だった。プレートには名前が書かれているままだった。]
…命は危険に晒されていないようだね…。
[イレーネに目線を]
[クレメンスに向かって]
ええ、・・・命は、平気なんで、しょうけど。
たぶん、ずっと引きこもってる。それ、って、大丈夫なのかしら。
[最後に見た彼は、酷く怯えて。恐怖の疲労が現れていた]
ごはんも、食べてないんじゃ、ないかな。
食事も?
それは──…
[部屋の中で衰弱しているかもしれないハンスの姿が目に浮かんだ。
実際には、人狼の血脈のお蔭で体力はそこまで衰えてはいないのかもしれないが…]
心配…だね。
[イレーネに頷きかけると、クレメンスはハンスの部屋の扉をノックして呼びかけた]
ハンス!
中にいるのかい?ハンス!
大丈夫かい?
[バリケードを作っている事など露知らず。
やれ、と頭を振り、イレーネへ]
しかしどうして中に引きこもっているんだい?
[今ごはんは、自分も食べたくなかった。
食事。今朝の光景が、瞼の裏によみがえる。
クレメンスにこちらも頷く。
しかし中への呼びかけに答えるものはなく]
どうして・・・。怖いから、じゃない?
――屋敷内、二階廊下――
[いつの間に消えてしまったのだろう。
ユリアンにも読むことのできた、表札に確かに書かれていたはずの部屋の主の名前。
エーリッヒの名もアーベルの名も、そこにはもうない。
あるのは白い板と――]
花……?まるで、死者を悼むみたいに。
これ、ベアトリーチェが持ってた花に似てるな。
…あいつが飾ったんだとしたら。
[それは実に人間らしい感情だ、と思う]
わからない。
[無残な死体を前にして、歌うようにその頭を撫でていた少女。
死者の部屋の前に、誰よりも早く優しい花を供えた少女。
ユリアンにはそれが、相反する行動に思えて]
あいつが何なのか、どう接すればいいのか…
―自室(L)―
[ふと気づいて、懐剣を見やる。血の痕は失せていた。
しばらく考えてから、黙ってそれを再びバッグに入れる。バッグの奧には果物]
…あ。
[ミハエルを見舞いに行くときに、バッグに放り込んだものだった。
姫リンゴをいくつか取り出し、かじる]
…ひっく…ううっ…。
[涙がぽろぽろこぼれる。けれど、リンゴをかじり続ける]
…ぐすん…えぐっ…。
[クレメンスの言う事は一理あって]
・・・・・・。
[壊れたエーリッヒのことを思い出させた。
ハンスは恐慌状態なのかもしれない]
じゃあ、部屋から出て、もらったほうが、いいよね・・・。で、も、無理やりだと、暴れるかもしれない、かな。
[自分も扉のノブを見つめ考えこむ]
うーん…。
失礼するよ、ハンス。
[鍵のついていないノブに手をかけ、開──こうとして、ガツンと引っかかった。]
む…何かに引っかかったようだ。
おお、ユリアン。こんばんは。
[振り向き、挨拶を]
[二人に歩み寄り、その表情を窺う]
その顔じゃもう知ってるみたいですね、神父さまも。
…アーベルさんのこと。
ハンスさんはまだ…篭もりっきりなんですか?
[その気持ちも分からないでもないなと呟いて、二人の前のハンスの部屋への扉を眺める。
後ろの部屋から女のすすり泣く声が聞こえた気がして、振り向く]
エルザさんの部屋だっけか…
死者が視えるって言ってたな。
今視えてたりするのかな…それで泣いてるんだろうか。
[記憶の中のアーベルを、意識して無残な首などでなく、たとえ呆れたようにだとしても笑っていた顔で覚えていようと努めて思い出す。
でも本当は忘れるべきなのかもしれない。
二度と見られない笑顔を思い出すことは悲しみを誘い、酷く胸を痛ませるのだった]
もう会えない…エルザさんはあの人のことももう、視たろうか。
[昨晩、彼は最後に広間を後にした。
クレメンスとベアトリーチェの、
一見穏やかな父と子との会話ような、
だが酷く恐ろしい物を感じさせる会話を、
静かに聴いた後で。
そして彼は静かに階段を登り、
エーリッヒの部屋からの強烈な匂いを感じ、
彼の部屋のプレートが白くなっている事を知った。]
>>78
[イレーネの挨拶に気が付き、今朝のことを思い返せば複雑な記憶を共有してはいるけれど、せめて笑みの形を作って頷く]
うん…こんばんは。
[クレメンスへもまた同様に返す。その落ち着きのある声は心に平穏をもたらしてくれる気がして、少しほっとできる。小さく息を吐いた]
はい。こんばんは…
…何かに引っかかった?
部屋には鍵は付いてないはずなのに。
重いものを扉の前に置いているとかしているんでしょうか。
一階に下りて来る前のいつものガタガタはそれが理由かな。
[下を向いて、ユリアンに頷き。
確かにエルザの部屋からは、かすかにすすり泣く声が]
・・・つらい、ちからね。
[想像するだに恐ろしい。
何度も何度も体験する、死。
ユリアンの言葉に詰まった]
・・・・・・。
[「エルザを通してでも、会いたい?」]
[こんなに落ち込んでいてさえ、果物の甘さで、身体が動くようになる]
…なんて生き汚い。
[涙はまだ乾かないけれど、呟く言葉に自嘲の響きはない]
…あたしは、伝えなくちゃいけない。
[低く呟いて、立ち上がる]
[シャワーを浴び、着替えにはベージュのブラウスを選んだ。…エーリッヒが着ていたと同じ色だった]
[クレメンスとユリアンの言葉に]
バリケード・・・。
最初の、日から、がたがた音してた、ね。
[強い警戒心は、むしろこちらが怖くなる]
[まだ乾かぬ髪をなびかせて、廊下へ出ると、何人もがハンスの部屋の前にいるのが見えた。
ふわり、歩いていく]
…もう、アーベルのことは、知っているの?
[誰にともなく、端的に訊ねる]
[そして朝。
窓の外から叫び声を聞き、彼は暗幕のようなカーテンから少しだけ外を覗き見た。
朝日に美しく照らされた、 あか 。
肉に残る服の断片などから、その主を想像する。
嘆いた。]
…先程、イレーネから聞いたよ。
[眸を伏せる。キリと、眉間に皺がよった。
が、すぐに普段の微笑みをユリアンに向けた]
そうみたいだね。
普段から、…バリケードを?
ふむ…。
[手で髭を撫でる]
バリケードを外側から除けてしまうと、きっと混乱してしまうかもしれない…ね。それとも…わざと?
[小さな呟き]
―kitchen―
[ミハエルとともに降りていった...は、clam/アサリを用意しながら他の料理も作り始める。
味見は自分だけではなく、ミハエルにもお願いをして。]
risotto with clam soup
アサリのスープリゾット
shrimp cocktail salad
小エビのカクテルサラダ
chocolate pudding
チョコレートプリン
>>82
[静かにイレーネの呟きを肯定する]
…辛いだろうな。
[彼女の目は問うているような気がした。
エルザを通してでも、会いたい?]
どうなんだろう、俺は…
エルザさんの力を借りてでも、会いたいのかな。
わかんないや…
エーリッヒさんだってアーベルさんだって、もう違う世界に行ってしまったことは、わかってるんだ。
そこじゃ痛みや苦しみはないはずだもの。
だから…こんなに悔しいのは、生きてる奴の一方的な気持ちなのかもしれない。静かにして、起こしちゃ駄目なのかも。
どうせいつかは必ず…、また会えるってこともある。
[そしてもし人狼に殺されてしまうなら或いはそう遠くない未来にだ]
安らかに眠ってもらうためにも。エルザさんのためにも。
そういうのって本当は良くないこと…なんだろうな。
[エルザの声に姿に振り返る。
エーリッヒとの争いを感じさせるものは、彼女にはない。]
…あの子の事はもう、聞いているよ。
君は死者を視る事が出来るんだってね…。
[エルザの声に、ぱっと振り返る。
その言葉に、ゆっくりと、頷いた。
クレメンスの小さな呟きに、小さく首を傾げる。
昨夜から少し、この人が不安で]
…ところでユリアン。
最後にアーベルを見たのは君なのかい?
[問い。
イレーネが少し首を傾げたのに気づくと、頭を左右に振る。]
私には、まだ分からないんだよ。
[濡れて見える髪もそのままに、死者の体を血に染まるまでは包んでいたのと同じ色のシャツを纏って、エルザが廊下へ出て来た。
問いに短く答える]
…知ってる。
[わざとバリケードを?呟く神父に目を向け]
わざと?
化け物…
人狼が怖くて、やってることならいいけど。
[人間に殺されることを恐れた人狼でなければいいと、生まれた想像はさすがに言えずに。
僅かに不安の混じった目でもう長いこと開かない扉を見やる]
[静かな吐息]
…見つけてはもらえたのね。アーベル。
[それが一番気がかりだったこと。わずかに微笑んだ。それが皆の瞳にどう映るか考えもせずに]
[クレメンスの言葉を聞いて、その姿をじっと見る]
あなた、神父様?
[目を細める。瞳がわずかに蒼くきらめいた]
…モノクル…。
[見覚えを感じたのは、誰の記憶か]
[クレメンスの言葉に]
分からない・・・それっ、て神の、意思が?クレメンス・・・迷ってるの?
[小さく言って、首を傾げた。
・・・昨日の彼は、とても不安で]
>>92
え?
[最後に?どうだったろうか]
昨日は色々あったから…
[ちらりエルザを見て。
昨日は混乱が酷かったが、今日は落着いた様子を取り戻している]
よく覚えてないんです。
今日最初に…ああなったアーベルさんをイレーネと、それから…ベアトリーチェと一緒に見たのなら、俺だと思うんですけど。
- 1F広間 -
うん、どれも優しい味だ。
美味しいですよ、シスター。
[料理中は殆ど手伝うことが出来ずに傍で見ていた...は、広間へそれを運ぶのを手伝いながらシスターに微笑みかけた]
[最初に部屋で会ったときよりは随分と穏やかそうになったかもしれない]
そうだ、エルザにも食べさせてあげたいんです。
他の人達も呼べば来るかもしれない。
[他の人達も、というところで僅かに目を細めて]
呼びに行って来ます。
[そう言って扉の方へと向かう]
[彼に、教えて置けばよかっただろうか。
ギュンターの名は戦いを連想させる。
が、しかし。
人狼達の手によって、彼は容易く喰われてしまった。
それは暗に、「戦いにならない」事を示しているように思えた。
アーベル。
君の名は、息吹。転じて儚いもの。
人類が初めて犯した殺人の犠牲者の名。
そして、彼は恐らくこの箱庭の中でもっとも強い。
目を付けられてしまったら、…。
彼の事を、短くではあるが漏らしてしまった自分に腹が立つ。
彼が喰われてしまったのは、自分の所為だろうか。
彼は自ら知を求め、歩む者だったというのに。]
>>94>>96
………。
[イレーネの手が頬に届くまで、一瞬だけ身を強張らせるがそのまま抗わず触れられるがままにして]
…どうだか。
結局俺…最後所じゃ自分が一番大事な奴なんだって自覚してる。
あんたも居たりするのか、イレーネ。
そういう、どんな方法でもどんな結果になっても、我を忘れて会いたいって思うほどの大切な人。
[一緒に住んでいたという祖母がそうなんだろうか。
最初に見た時には表情が読めないと感じたはずのイレーネの目を見返し、尋ねた。
様子を窺うようにクレメンスを見る彼女の目にもつられて、神父を眺める]
―salle―
それはよかったです。
[安心したようなsmile
tableにおくと、ちゃんと保温効果のあるらしい蓋をして]
そうね。
エルザさんも怪我をしていたし、大変そうだったし。
皆さん、食べないと大変ですものね。
あ。わたくしも行くわ。
それではまたご一緒に。
[扉の所で振り返り、立ち止まってシスターを待つ]
[そして二人で階段を上がってゆく]
- 1F広間 → 2F廊下 -
[ベアトリーチェが自由になったことは聞いていなかった。
驚きが隠せない]
ベアトリーチェ…どうして?誰がほどいたの?
[昨日の惨劇も、元はと言えばベアトリーチェの不在に驚いたからこそ起こったもの]
yes, little gentleman.
[微笑んでそう呼びかけて、ミハエルと階段をあがる。]
―2f corridor―
あら…
こんばんは、皆さん。
>>99
団結。団結して、ハンスさんの正体を見極めるってことですか?
[なるほどと自分の顎に手を置く。
クレメンス、温かく微笑むこの神聖で優しい人を信じられる。
アーベルの死体に激しい混乱を見せたイレーネ、それに死者が視えると、怪しまれることも承知で正直に告白したエルザも。
一人部屋に篭もりきりで他との関わりを拒む者よりは、ずっとずっと信じられる]
…そうですね。
実は外と通じるハンスさんだけの個室で、周りから悟られないうちに人間を襲い、喰らってるわけじゃないと確認できなきゃ…
安心できないかもしれないですね。
[無意識に刃物の存在を確かめるように服の上から触れて、頷いた]
[二階へと上がると何人もが廊下に集まっていた]
[そしてその中には]
……ベアトリーチェ。
[緋色のドレスが記憶を呼び覚ます。
紅に染まっていた彼女の姿。
銀の月を手にしていた彼女の姿]
[開いた扉から現れたオトフリートにもの言いたげな目を向ける。が、ふ、と浮き足立った。ベアトリーチェその人を恐れたと言うより、彼女の纏う『何か』が怖くて]
…!
[逃れるように西側の階段を降りようとする]
!!!
エルザ──一体どうしたんだい?
[ハンスのRoom E、エルザが出てきたRoom Lとは階段を挟んで対角線の場所だ。彼女を抱きとめようとする。]
>>101>>105
[「神の御意志に伏し従うのなら、私は今から──」
…何だろう?
外套の下に儀式用のナイフと拳銃があると知らず、それでも伝わる緊張感にごくりと生唾を飲み込んで]
確かに俺にもわかりません。
ハンスさんが一体…どう、なのか。
…裏庭のアーベルさんを見るまで俺、ギュンターって人が言ってたこと、人狼のこと、まだ完全には信じてなくて。
化け物のせいでエーリッヒさんが死んだんだっていうよりは、この屋敷が醸し出す妙な雰囲気にのまれて、あんなことになったんだって思ったから…
もう一度あの穴を見に行こうと思ったんです。
出口を探そうって。
[ちょうどドアが開き、廊下へと姿を現したベアトリーチェのワンピースが血の色に見えて、息を詰め身を竦ませてそれを見る。
ただの天鵞絨の色なのだと把握し、落ち着けと深呼吸をしながら]
おはよう…ベアトリーチェ。
[彼の部屋の隣、一度ガツンと音がしたのは知っていたが、少し物思いに耽っていた彼は声の多さに気付かなかった。あまりの人の多さにやや驚く]
皆さん今晩は…
[ハンスに、何か?
そう言おうとして、エルザと目が合った。
何か意思が見える。
彼自身も、彼女に用があった。
が、彼女は急に駆け出して]
エルザ、待って下さい!
[追い掛ける]
ううん、だいじょぶ。
[にこりと、ミハエルに笑い返し、神父の言葉に頷く。]
こわがりさん かわいそう。
[階段をてくてく降りる。
少女の細い身体にしては、妙に重い足音。]
[シスターとミハエルも2Fへと上がって来る。
人が増えれば自然と安堵する気持ちが生まれた]
ミハエル…もう大丈夫そうだな。
シスターも、こんばんは。ああ、ハンスさんが閉じ篭り続けてるのが、ちょっと…皆心配みたいで。
…秘密の抜け穴、か。
[神父の言葉に考え込むように呟いて、
クレメンスの問う、エルザにも目を向け]
何かアーベルさんのことで視えたのか?
[彼女はベアトリーチェから逃れるように階段を降りようとしていた。
やってきたばかりのオトフリートも挨拶をそこそこに追いかけている]
エルザさん…!?
[クレメンスの腕をふりほどき、そのまま駆ける。導かれるように]
[廊下を駆け、部屋の窓から、外へ]
[裏庭の奧へ――アーベルの見つかったところへ]
―corridor/廊下―
エルザさん…?
[誰から逃げたのか。
わからなくて彼女の後を、追うか追わないか。
ミハエルも走っていったのを見て、]
あ、けが人。
[慌てて、後を追う。]
→裏庭―
[静かな夜だった。音を立てるのは、清らかな水を湛えた小さな噴水ばかり。
月の光が水面に映える]
[不意に立ちすくんだ...に夜の風が吹く]
…アーベル?
[唇から零れる歌声。それはオペラの悲劇的なアリア]
あたりは静けさに包まれ
夜は深く、暗く…
噴水の水面は
陰鬱な月の青白い光を映していたわ
そのとき、深く沈んだうめき声が
風に乗って聞こえて来たの。
すると、噴水の上に
私に向かってある影が現われたの!
まるで誰かに語りかけるかのように
その唇が動くのを見たの。
そして、死んだような手で
私を手招きしているように見えたの。
そして、一瞬止まったかと思うと、
次の瞬間、すばやく消えてしまったわ。
そして、最初はとても澄んでいた噴水の水が
血に赤く染まったの。
[クレメンスがベアトリーチェへ声をかけていた。
「ハンスは神の試練を耐えられそうもないかもしれない」
彼らの間でのみ意味が通るのかもしれないそれに僅かに首を傾ぐ]
>>128
遊戯…ですか、でも…
[「神の手で作られているなら」
彼らしい言葉だとそのように理解し、頷く。
神父の言葉はいつも正しく自分などが反論するべきでないし、
また、したくもない。けれども出口ばかりは]
あって欲しい…
…試練は、俺達が俺達の手で人狼を倒しさえすれば、終わるのでしょうか?
[ならばまだ救いがあるというものだ。
永遠に閉じ込められ、死を待つばかりと言われるよりはずっと。
クレメンスが肯定してくれる事を強く望む目を隠そうとせず見上げた]
[月明かりに輝く銀糸を認め、静かに歌いやめる]
ここなのね、アーベル。
[惨劇の痕だが、月明かりの元では色も分からない。ちぎれた銀糸があちこちにキラキラ美しく光る。
それは月の雫に似ている]
[エルザを追いかけていく。
あぁ、近づく。今朝の光景。
暗い夜の中では、銀糸だけが煌いて。
もう一度エルザに視線を向け、逸らさない]
[意外だった。
彼女、エルザは病の床に臥していたはずなのに、
以前抱いた時はあれほど軽かったはずなのに、
予想外に足が早い。
それは何かに引っ張られているからなのか。
身につけた武具防具の重さもあって、距離は縮まらない。
やっと追いつけばそこは、裏庭。
匂いを感じる。]
―裏庭―
──2F・ハンスの部屋前(E)──
…アーベルの事が視えたのなら、何故?
[ユリアンの言葉に頭を振る。]
──ああ、きっと終わるはずだよ。
[過去の日記の事は黙っておいた。
「ベアトリーチェが、繰り返していることを」
「そして前回の勝利が人狼側で終わったことを」]
[クレメンスは、ユリアンの肩にがっしりと手を置いた]
あたしを、呼んだの…?
[緊張した面持ちで目を閉じた。『視る』ために。
周りを回る夜の風。風に舞ってエルザにからみつく銀の糸。
はっと見開くエルザの瞳に蒼い煌めき]
…償い/罪の印/忘れてはいけない/十字架…
[口をついて出る切れ切れの言葉]
…ロザリオ/彼女のため/シスター/神父/殺した/護れず…
重い、十字架…。
[指さすアーベルの亡骸は、頭と胴体が離れている]
[常にかけていたロザリオは、どこに?]
[呆然とエルザを見つめる]
[エルザに絡み付いてゆく銀糸に気が付いて、それが誰の持ち物であったのかを思い出す]
[...を助けてくれた、あの冷たい瞳の青年の]
[声も出せぬままに]
[エルザの紡ぐアリアと続く言葉を聞く]
[昨日あの部屋で。
こちらを見ていた彼の瞳を思い出しながら]
[風に誘われるまま噴水に目を向ける。水しぶきに月の光がきらめいて、白い虹が。いや、おぼろげな影が]
…アーベル。笑って、いるの?
[これほどまでに月の光が強ければ、他の人にも見えるのではないだろうか?
力の抜けた柔らかい笑顔。アーベルが、白く、虹の中に]
[エルザを見据え、呟きを聞く。
「護れず」、とは、もしかしたら、あの時言っていた・・・。
エルザの呟きにはっとして、その視線の先を見るも。
...には何も見ることができず]
・・・「笑ってみたら」、って、・・・。
あたしも、見たかった。
[イレーネの声を聞いて、少し寂しそうにする。自分だけが、他人とは違うのだと]
…イイ顔してるわ。少なくとも、一人、代わってやれたって言いたげね。
[誰に代わってあげたかったのかしら?
その問いは、声に出さなかった]
[エルザが単語を脈絡無く並べている。
が、彼にはそれが理解できた。]
…。
[笑っている?
彼女はそういったか。
彼女の目線を追って、噴水を――]
>>137
[そしてクレメンスは大きな手を肩に置き、願いを肯定してくれる。
救われたような温かな気持ちは本来、仮にもイレーネが優しいと評してくれた人間が感じるべきものではなかったかもしれない。
それでも心から嬉しそうに、微笑んで]
――良かった。
それを知るのが、俺が神さまに呪いの言葉を吐いてしまう前で良かった。
感謝しなくちゃ…
神さまは試練をお与えになっても、必ず希望の光も残しておいて下さる。
神父さまがそう仰るなら、間違いない。
神さまからの試練を乗り越えて、幸せに暮らしていくためにも…
俺にできることなら何でもがんばるし、手伝います。
[その決意は本来、微笑と共にするべきものではなかったのかもしれない。それでも手を服越しにナイフに触れる事を止めぬまま、神父に対する信頼の目が曇ることもなく呟くのだった]
[エルザの言葉に]
・・・イイ顔、か。・・・やっぱ見たいね。
・・・・・・エルザありがとう。
[伝えてくれてありがとう。色々ありがとう。あたしもがんばるから]
重い十字架が、首から外れたのね。あなたの償いは終わったのかしら。
[噴水の虹にきらめくアーベルから、血だまりのアーベルに目を移す。
その亡骸の形さえ、人狼の情けなのだろうか]
[目を閉じて、そっと呟く]
[その声はきっと、誰かのため息によく似ているだろう]
『…カティア』
[アーベルが笑っていると聞いて、やっと肩の力を抜けた。
でも、やっぱり悲しくて。
エルザの呟きは、なんだかアーベル本人のように聞こえて。
胸を押さえる。
死はどうして、悲しいの?
もう、会えないことが?
では、天国が本当にあって、自分が死んでもう一度そこで再会できるとしたら。
死は、悲しくないの?恐れることはないの?
・・・・・・ほんとうに?]
[幾ら噴水に目を凝らしても、彼には見えなかった。
だが、彼にはそれで良かったのかもしれない。
過去を追い過ぎてしまうから。]
…。
彼の、ロザリオ。
[少し、口に出すのを悩む]
──2F・ハンスの部屋前(E)──
[そう、人間が勝った場合は、どうなるのか?
他にも過去の日記はあるのだろうか?
問いはあろう。
だが、全ての試練が終わった時にこそ全ては見えてくるのだろう。
本来、契約の神は厳しいものだ…。しかし今は、それを告げようとは思わない。]
ありがとう。
この試練に勝利しよう。
喩え、どちらかが死す事になったとしても。
神からの試練に打ち勝とう。
[強く、微笑み、頷く]
[彼の声が聞こえた気がした。]
…カティア?
カティア=リーデル?
…そうか、君はやはり…
[だが、ロザリオはない。
彼女の言うように、彼の罪は消えたのだろうか]
>>154
シスターを泣かせる気ですか?
神父さま、きっと神さまだって死なせたりしない、あなたのこと。
[クレメンスの決意の言葉に柔らかく笑って]
俺だってあなたのこと、死なせたりしない。
…こんな大口叩けるような力、ありゃしないけど。
もちろん、神さまに願っていいなら俺自身も無事でいたいし…
そのつもりでいきますよ。
はい。勝ちましょう、試練に…!
[最初は小さく叩くだけだったような窓が鳴る音。
ついに窓は大きく悲鳴をあげ、ユリアンもハッとする。
中からハンスの声も聞こえた]
窓が、破られた?
やっぱり中にいるようですね、ハンスさんも…!
はんちゃん、おはよう?
[もう一本の手斧を抱えて、窓の下から声を掛ける。
出てこないなら、出せばいい。
前に誰かがやっていたこと。]
[オトフリートをじっと見て]
なんでかしらね。あなたには、言っておかなくちゃと思ったの。
アーベルが、あなたには聞いて欲しいって思ってる気がした。
[静かに自分の髪をかき上げた]
笑ってもいいわよ、感傷だって。
ああ、ありがとう。
君は自分で思うよりも力がある。
信じなさい。
[ユリアンに微笑み、]
もしも私が死んでしまったら…ナターリエの事を頼む。
彼女を守ってやってくれ。
[頼み終えると、直ぐに表情を引き締める。]
外から破られたようだね。
私達が中に入るためには、扉の内側にある家具を退かさなければならないようだ。
[扉から覗く家具は、向こうに押し倒せば隙間が開くかもしれない]
>>161
[破られた窓の下から響いてくる、少女の声]
ああベアトリーチェもまた、試練を乗り越えようと努力していただけの神の子どもだったのかも、しれない…
[ただ、自分が馬鹿だから。
あるいはその高尚さゆえに、少女の思索から紡がれる言葉を、自分ははっきりとは理解できないでいるだけなのかもしれない]
…追い詰められたハンスが窓から飛び降りても、扉の前の物をどけてこっちに出てきても、同じことですね。
こっちから中に入れそうなら、尚いいけど…
[ユリアンとしては油断のない身のこなしのつもりで扉横の壁に背をつけて、隙間から中を覗こうとする]
>>163
[褒められた子供のように頬を紅潮させるユリアンにとって、今「力」とは…暴力を意味してしまうのかもしれなかった]
神父さま、あなたがそう言ってくれるなら…勿論俺は信じます。
シスター…あの天使みたいな人のことだってきっと、守ろうと思ってます。あの人からの恩は返そうと思っても返しきれない位だ。
だけどそんな事は聞きたくない。もしも死んでしまったらなんて。
[暗くなりかける表情を引き締めて、鍵のかからないその扉の、僅かな隙間から覗いた扉内側にある家具目がけて腕を伸ばした。
栄養の不足し続けた細い腕も、たまには役に立つ。
恐らくハンスには悪夢のようにその腕は伸びて、家具を押し――]
倒れた……かな?
[手ごたえがあった気がして、それでも開くのかどうかはわからないがクレメンスに報告し、自身は扉横に待機し続けている]
[アーベルの首のすぐ傍でしゃがんで、対峙した。
本人は、あんまり見てほしくはないのかもしれないけど]
・・・イイ顔?今の状態だと、前より想像、難しいわ。
[頭を撫でたかったけれど、半壊している。]
そうだね。
私は死なない。
だから君も、試練に打ち勝つために頑張りなさい。
[素早い動きで壁に身を寄せ、腕を伸ばすユリアン。
ハンスがまた、何事か中で言ったようだった。
「犯人」という、推理小説めいた単語が飛び出している。
強く押された家具は…
ユリアンの言葉に頷くと、扉を押し開く。
まだまだ、ハンスの場所まで行くには家具に埋もれているが、人一人が入れる(勿論、身を狭めたりしなければいけないだろう)隙間が出来たようだった。]
ナターリエはとても優しい子だ…。
[小さな呟きは聞こえただろうか。それとも]
[イレーネを見ながら、わずかに目を細める]
[アーベルの感情には安堵が強かったけれど、エーリッヒは…]
[目を、閉じる]
死が、救いとなる人もいるのかもしれない…。
[あたしは、決してそうではないけれど]
[こちらを見るエルザの視線に気付いて]
死が、救いに・・・。
・・・でもそうでない人は、戦うしかないわ。
[淡々とした口調は、少し冷たく響き目の前の人のよう]
全員、が、死で救われるわけでは、ないのに。なんで、どうして・・・。
[脳裏に浮かぶのは、あたたかい笑顔のひとたち]
>>167
…はい。
力の及ぶ限り!
[頑張りなさい、その言葉に強く頷いて。
ハンスが中で何事か言う言葉に心乱されることもなく、クレメンスの手によって押し開かれた扉を観察した。
どうやら扉前は、ありったけの家具で埋もれている。
それでも人一人、入れる隙間はできたようだ]
どうぞ、神父さま。
[ナターリエの名を呟くクレメンスの声は、耳に届かなかった。
神父がハンスの部屋へと先に入る事を促す手で扉を指しただけ]
ハンスと最初に言葉を交わすにふさわしいのは、あなただと俺は思うんです。
神父さまの声を聞いてそれでもなお、落ち着きを取り戻せない人がいたらそれは……神さまに仇なす者だからなんだと、思う。
神さまを、そのお声を聞く神父さまを恐れる、悪魔側の…人狼側の者だからなのだと、俺は考えます。
だからどうぞお先に。
[ユリアンは注意深い目をして、ハンスの部屋の扉横に*佇む*]
―back court―
[どこかぼう、としたように。
あまり話もきちんとは聞けて居なかったかもしれない。
だが途中に口にされた名前は、どこかで聞き覚えが…]
ああ。確かlibraryで…
[小さく小さく...は口にする]
[イレーネを見つめ返しながら、声に少し力がこもる]
ええ。救いなんか、あたしは要らない。
たとえそれが目覚めなのだと言われたって…。
[はっとした]
死んだら、起きる、とあの子は言ってた…。そうだ。ねえ、誰がベアトリーチェを自由にしてあげたの?
[イレーネがアーベルの首を見る様子は、やっぱりlaceのcurtainで覆われたように、薄く、遠く感じる。
エルザの声は...の耳にはっきりと届いたのがなぜか不思議なことだった。]
苦しみの生より解放されて死の世界がわたくしたちの前にある。
だけれどその世界は決して自ら望んではならないもの。
苦しみを耐えてやがてその扉に辿り着いたときに、死は安らぎとなりましょう。
死の闇は安らかに。
すべてのものは等しく安らぎ、やがて次の生を受けるのだから。
[零れた祈りの言葉。
それはうたうように]
[エルザの強めな口調を静かに聞き]
・・・ベアトリーチェ、を、自由にしたのは、クレメンス。
[下を向いて、眉を顰め]
この、「神の試練」に耐えられない人を、・・・殺して・・・解放してあげるんだと・・・ベアトリーチェと、約束してた。
…それで、解くのを黙って見ていたの?
[その声は氷のように冷たく、鋭く]
解放。安らぎ。そんな世迷い言を信じるの?ねえ、シスターも。
[クレメンスはユリアンに頷く。]
分かった。
私が先に入ろう。
だが、結論を急いてはならないよ、ユリアン。
[クレメンスは、家具と家具との間に挟まれるように中に入ろうとした。]
…さっきは訳が分からなかったのだけど、みんながハンスの部屋に集まっていたのは、そのため、なの?
その、解放とやらのためだというの。それとも、彼を、人狼だと疑ってなの?
[エルザの冷たい声に、振り向き]
・・・黙って。ほんとう、ね。あの時は、クレメンスがベアトリーチェを、殺そう、と、しているのだと思ったから。
[だからあの時は安堵してしまったのだ。
クレメンスの変貌が、怖くて。穏やかさは変わらないのが、余計に怖くて]
色々、言った、気もする。でもそれは縄を切ったあと、ね。
・・・ナターリエは、自分の大事なものを、護ろうとしてるのよ。
[ナターリエのほうを、ちらりと見る]
ハンスは・・・一人で閉じこもっていて、かえって危険だからと。
外に出るように、言ってたの。クレメンスと、ユリアンと。
[そういえば、あの2人は今ここにいない]
世迷いごとではありません、エルザさん。
[それはsisterとして生きてきた...にとって変えられぬこと]
死は。暗く、かなしいものです。おそろしいものです。
それでも死が訪れれば、わたくしたちにその不安はなくなります。
死が訪れるのを恐れることもなくなります。
主の安息が訪れます。
だけれど、エルザさん。
わたくしたちはそれを、自らの手で行ってはいけないのです。
人は罪深きものです。生まれたときより植物、動物…殺してわたくしたちは生きています。
世迷いごとなどではございません。
――神はすべてのものに平等に、死という安息を与えてくださるのだから。
[残骸を見詰める複雑そうな顔付きを、エルザには見られただろうか。
だが彼はふっと息を漏らして]
いえ、笑うだなんて、そんな。
…。
[しかし言葉は続かない。
残骸を見詰めたままだ。]
[くらり]
[ぞっとするような目眩。クレメンスの顔に見覚えがあると思った。それはアーベルの記憶なのだと思った]
[…違う]
[箱庭遊びの童謡を教えて、あたしに歌わせた。あれも確か、神父ではなかったか]
[その顔には、モノクルが…!?]
[5年前。アーベルの行方が分からなくなる事が一度だけあった。
仕事の完了を聞かぬまま行方をくらましたアーベルを、「協会」は必死で追う。
アーベルの隠れ場所として目星をつけた教会があったのだが、その教会のシスターに何度も「協会」の連中は追い払われた。
その後何があったのか、詳しくは知らない。
だが、「協会」に近づきすぎたというある教会を焼いて戻ってきたアーベルは、行方をくらます以前よりもずっと、闇に溶け込んで慎重にかつ狡猾になった。
その時彼は、アーベルの変化を素直に喜んでいた。
彼がアーベルの隠れた教会を見つけた、張本人だったから。
けじめをつけられるようになったのだな、と。]
[しかし、今の言葉。
アーベルはその教会を焼いた事を、悔やんでいたのだ。
…私が、教会を見つけなければ。
アーベルを、狂わせる事は無かったのか?]
[でも。
彼が死して、安堵を得たのなら。
笑うことが出来たのなら。
…決して、自分を正当化できる訳ではないが。
それで、良かった。のだろうか…]
…………。
ありがとう、ございました、エルザ…
[まだ悲しく残骸を見詰め]
[何も言わずにエルザやシスター、イレーネが話すのを聞いていた]
[けれど「死」という言葉には反応して]
[剣に軽く手を掛けてエルザの近くへと寄った]
[彼女を守れる位置に]
[カチャリという微かな音が鳴った]
[ナターリエの微笑みには、何も答えられず無表情なまま。
まだ...は、アーベルのあたまとしゃがんで対峙している姿勢。
その姿勢のまま、オトフリートの方を見上げた]
・・・・・・悲しそう。
[呟く。あぁまた、嫌な気持ち]
[ナターリエをじっと見つめて、反感を隠しきれずに]
平等、ね。あなたの言う平等では、結局、強い者しか生き残れないわ。
[イレーネを振り返り]
ハンスが閉じこもってるからって、疑ってはいけないわ。涸れに危害を加えようと言うなら、やめて。エーリッヒだって…。
[エルザのそばによったミハエルに、微笑を向ける。
その彼女に向かって感謝の言葉を述べているオトフリート。
ああ、彼はアーベルと親しかった。
心配そうな眼差しを向ける。]
[エルザに向かって首を左右に振る]
あたしハンスは、あんまり疑ってない。
だってあの人、すごく、怯えてたもの・・・。
クレメンスにも、そう、言ったわ。
[エーリッヒの名前が出て、眉を顰め。エルザは、あの人も「視た」のだろうか]
[ああ、と唇を噛む。自分が『視た』ものを逆に言えば、きっとミハエルの心は楽になる。
けれど、いいのか。
エーリッヒがただ怯えていただけだということを隠したままで、あたしはいいのか]
ハンスを疑っては、ダメ…。だって…
[声が、震える。あたしに、言えるのか?]
[...はシスターに微笑を返す。
けれどその笑みには温度が無い]
自ら命を絶ってはいけないから。
神様の代わりにその安息を齎そうと言うのですか?
[静かに静かに問いかける。
真っ直ぐにシスターを見詰め返して]
[部屋のドアのほうからも人の気配がしたからだろうか?
こちらをちらりと見、また引っ込んだ怯えた男の目。]
…こわい、の?
[見上げて、少女は微笑む。]
だいじょうぶだよ。
神はすべてのものに、平等に試練を与え、平等に安息を与えているのです。
あなたが何を考えているのかわたくしにはわかりません。
神を信じないのはあなたのご自由ですが、わたくしの神をあなたが貶めることをわたくしには許せません。
[それはその宗教を信じるものとして。]
個々によって試練の内容は違います。
あなたがそのような枠にとらわれている限り、あなたに安息は訪れますまい。
[エルザに躊躇わず、そう言った。
自らの信じるものを否定し、その価値観を押し付けようとする彼女に、...は憤りを隠せなかった。]
[ひらりとスカートの裾を翻し、建物の中へと入ると、
ぱたぱたと階段を駆け上がる。
彼の部屋のバリケードに出来た隙間は、小さな少女がくぐるには十分で。
するり、簡単に中へと入る。]
ミハエルさん。
あなたは賢いと思いましたのに、どうして…
わたくしはそのようなことを一言も申しておりませんよ。
[困ったように微笑んで。]
人の命を無為に奪う所業は、自らの命を断つものとおなじ罪。
生きるために既に罪を重ねているわたくしたちに、何ゆえ人が、ただ殺せましょうか。
安息なんて、欲しく、ない。
クレメンスを止めなくちゃ。ベアトリーチェを止めなくちゃ。
[繰り返しては、いけない。失われてしまった、エーリッヒの心臓の音]
やめて。ハンスは違う。きっと違う。
だって…エーリッヒは、人間だったわ!
ただ、怯えて、元の生活に帰りたいってそれだけを願っていたのよ!
[独り言のようにそう、呟くと。
彼はゆるく首を振った。
どういう過程であれアーベルが安堵を得たのなら、
私がそれで苦しんでいてはいけない、と。
そしてこちらを見る二人の目に気付けば、微笑んだ。]
私は、大丈夫です。
ご心配お掛けしたのなら、すみません。
大丈夫、エルザ。
私が貴女を守る。
たとえ、神の代理人からでも。
[...は再びシスターを見つめ]
ならば。
何故神父様はベアトリーチェと約束したのですか。
殺して、解放すると。
無為でなければ良いと、そういうこと?
[どこか無邪気に。
けれど何処までも冷ややかに]
[寒い]
[『時』が近づいている。また、死がこの箱庭を包み込む]
ダメよ。繰り返さないで。
[不安に駆られて振り向いた時、ハンスの部屋の窓が割られているのに気づく]
…だめ…。
[壊れた窓から差し込む月明かり。
その中に浮かび上がる、人形のような少女のシルエット。
手の中で鈍く光るは、重い鉄の刃。]
[男は情けない悲鳴をあげただろうか?
腰が抜けたように這いずって必死に逃げようとしただろうか?]
だいじょうぶだよ。
ちょっとがまんすれば、すぐにおわるから。
もう、いやなこと…ぜんぶ、なくなるよ。
[ひゅうと風を切って振るわれる手斧。
重みに振り回されるように、少女はくるり。]
[エルザの焦る様子に、目を軽く見開き]
エルザ、人がまた、死ぬの?分かるの?
[箱庭が血を欲する刻限、と、彼女は以前言っていた。
怖い。怖い。まさか。まさかクレメンスが。
まだアトリーチェが刃物を持っている姿すら、実際見たことはない]
クレメンス・・・
[声は震え]
[男が逃げて、手元が狂い、手斧が当たった棚の本が裂かれて散らばって。
怯えた目で彼はこちらを見ただろうか?
その目に返すはお日様の笑み。]
[エーリッヒ。
不意にその言葉が耳に入る。
ああ、彼は。
本を愛する青年、だった。
彼はエーリッヒが、恐怖のあまり自己完結して狂った事を知らない。]
…それなら何故、彼、エーリッヒは死んだのですか…?
[エルザの言葉に]
オトフリート。
[名前を呼んで、立ち上がる。
オトフリートの傍に駆け寄り、ほぼ同時に袖をちょんと引っ張った]
・・・・・・。
[眉を顰めて]
生きるために殺す。
それはわたくしたちの罪であり、わたくしたちが人である以上、犯さなければならない罪です。
神が望むのならば、わたくしたちは殺さなければ。
生きたければ、殺さなければ。
――おかしなことでしょうか?
[何よりも神を愛し神を信じる、そして育ての親であり兄であり家族である神父のことを信じる...にとって、そのようなこともあるはずはなく。]
あなたがたも、生きるために殺しているではないですか。
[あとずさり逃げようとする男の肩が触れたのは、ガラスの破れた大きな窓。
窓の向こうには満ち行く月と、月に照らされた花園と森と。]
…やめて。やめさせて。
[屋敷へ戻ろうとするも、激しい頭痛。まるで、迫る死を止めさせまいとするかのような]
お願い、待って…。
[ふらふらとそれでも戻ろうと歩いていく]
[オトフリートの声が聞こえれば...は僅かに目を伏せる]
私が殺しました。
彼はエルザを殺そうとしたから。
[そしてシスターに振り返る]
神が望むから?
[月の少女がハンスの部屋に入ってきた。
鉄の刃をその手に持って。
ハンスは怯えているけれど、
逃れる事は許されない。
それは何故だか分かるかい?
立ち向かう事こそが、
神の試練に勝つ事こそが、
勝利するという事だから。
安息はそれまで訪れない。
契約の神は、逃げる事を許さない。
さあ、神は眺めている。
さあ、駒達よどうするか。]
[不意に袖を引っ張られ、一瞬身体が反応する。
彼の羽織る厚い外套に覆われて、それは殆ど分からなかっただろうが]
…?
[イレーネが近くで眉を顰めれば、此方は軽く首を傾げ]
yes,
これは神の試練なのでしょう?
ならば神の望みどおりにわたくしはなるのです。
神の御許にありますために。
[ミハエルの言葉に、そう告げて、...は微笑む。]
神の御許にあることこそがわたくしの、しあわせです。
そう、神様が望むんだ。
命を断つことを禁じた神様が。
この箱庭を用意して。
……それは矛盾を孕んでいる。
盲目的に従うことなんかできない。
[そこまで言うと、ふらつくエルザを支えて]
駄目だよエルザ。今は動かない方がいい。
[振り下ろされる鉄の刃には、軽いとはいえ、少女の体重が十分乗っていた。
肩から大きく胸へと、その刃は男を切り裂いて。
そのまま、折り重なるように地面へと沈む。]
[オトフリートの僅かな反応は、いきなりの事に驚いたからだろうと、あまり気にせず]
ええと・・・久しぶり。
[昨日も一言くらいは交わしたが。
オトフリートと向き合って話をするのは、そういえば久しぶり。
きちんと向き合って話すのは、...がここに来た最初の夜。
ニョッキを好きですかと訊かれた夜以来]
・・・オトフリートは強い?
[ひそやかに訊く。少し焦っている]
[ひゅーっと音が聞こえるよ。
煌く硝子、残骸綺羅綺羅。
神父は、彼ら落ちてく窓辺に近づき、
下を見つめようとしてみたよ。
夜気の中に綺麗な綺麗な薔薇が咲く。
赤い赤い薔薇の花。幾つも幾つも咲いては落ちた。
少女を彩り、地面に落ちた。]
神の試練は、わたくしたちの意志とは遠く離れたところにあります。
わたくしたちがどのように考えるのも、神の自由。
神のご意志は絶対です。
そこに間違いはありません。
[困ったように微笑を。]
どうしておわかりにならないのでしょうね。
[押し寄せる死の気配]
[これが、こんなものが、神の意志?]
はなし、て…行かなくちゃ。また、人が。
[人狼以上に危険な者たちが解き放たれて]
[ミハエルの手をほどくつもりが、動けずに]
[噴き出す真紅に地面が染まり、
服も、髪も、白い頬も、白い手も、白い足も染まり。]
これで、ちゃんとおきれたかな?
[硝子の破片で切ったのか、傷だらけになった小さな手で、
恐怖に凍りついた顔のままの、動かぬ男をぽんぽん撫でた。
まるで、眠る子をあやすかのように。]
勿論、目覚めはよいだろう。
[クレメンスは微笑むよ。
月は今日も綺麗だね。
クレメンスは、ハンスの部屋を出るとユリアンに終わった事を話した。何も心配する事がないと言うと、ベアトリーチェの元へと階段を降り、屋敷の外へと歩き出す。]
[エルザをしっかりと抱きとめる]
[今彼女を向かわせるわけにはいかない]
エルザ、落ち着いて。
[彼女には死が見えてしまうだろう]
[それでも二日続けて直接その場に居合わさせたくはなかった]
どの道……
[間に合わないと思う、とは流石に言えずに]
[ただ彼女を抱きしめている]
[何かと思えば急な挨拶に、少し拍子抜けたかふっと笑って]
ええ、お久しぶりです。
[やはり思い出すのは、彼女がひたすらに頬張っていた、ニョッキ]
[そこからまた急に言葉が、声が変わった事に驚いて]
…。
如何言う、事ですか?
[言って軽く目配せをし。少しその場に居た者達から距離を取った場所へ移動する。]
[動けない。近づけない]
[支えてくれるミハエルの手をにぎって。ごめんなさい、と言う言葉を必死でこらえた]
ミハエル…。
[自分のために、エーリッヒを殺してしまった、小さな手]
[あたしが、あたしだけが汚れればよかったのに]
…ありがとう。助けてくれて。
[オトフリートにふっと微笑まれれば困ったように首をかしげ。
移動を促されれば、その通りに。
袖はつかんだまま]
・・・狼を、倒せる?
[さっきより、もっと小さく訊く]
[そんな少女を優しげに、抱き上げるのは神父の手。]
さあさ行こうか、ベアトリーチェ。
それともまだまだ起こすかい?
そうだね神の試練には、
彼らが勝てるか見てみたい。
[白い頬についた薔薇、赤い赤い花びらを
一つ口接け愛しげに。愉しそうに笑いましょう。]
[耳をそばだてて、ああ。落ちたのかなと思う。]
神の腕に包まれた安らかな眠りを。
苦しみも悲しみも、すべてが安らかになりますように。
[その言葉はしんと。
宵闇に、すいこまれるように。
いつしかアーベルの無残な姿は、消えていた。]
[彼はイレーネの言葉に唖然として、彼女の顔を真正面に見た。]
…
[距離を取ってよかった。そう思う。
こんな事を、あの場の者全員に聞かせるわけには行かなかっただろう。]
…誰か、分かったのですか。
[こちらも極めて小さく。]
さあ、行こうか、ベアトリーチェ。
彼らが神の試練に勝利し得るだけのもの達かどうか…
そして、君からは「起」こさないとね。
[くすくすと微笑む。
クレメンスの唇についた血を、舌が舐め取った。]
[オトフリートの問いには、眉を寄せ首を振って]
狼が、もし特定、できれば、倒せる?
[視線はこれ以上ないくらい真っ直ぐに、オトフリートの目を捉えている]
あたしと一緒に。
[クレメンスはベアトリーチェを抱いて、裏庭へと歩き始める。]
君が私を先に起こしたいなら、起こそうとしても構わないよ。
[ベアトリーチェの産毛を震わせて耳元で囁く]
おや、ナターリエ。
何だか騒がしいようだね。
何だか空気が掻き乱れているよ。
それに──血の匂いも漂っているようだ。
[ベアトリーチェの身体を大切に扱っているようだ]
[イレーネが首を振ったのには、小さく溜息を吐いたが。
彼女が何故、そんな事を言うのか。
彼女の瞳には揺らぎがない。
…彼には、分かった。
そして何故、「彼に」そんな事を言うのかも。]
…私と貴女の、二人だけで、ですか?
[だけ、とは言いながらも。
イレーネの強く真っ直ぐな瞳に、彼は軽くたじろいだかもしれない]
[自室でふと目をさます。
あと五分したら...と繰り返すうちに眠ったらしい。
日の光をあびさえすれば、
と思っていたのに、……既に外は夜で。]
[オトフリートのため息に、表情に少し苦痛が見え]
二人だけ、かもしれない。ユリアンも、他の人も、まだ分からないけど。
・・・できる?
あたしと一緒に。あたしが居なくても。
特定、さえ、すれば・・・。
[視線は揺るがない]
まだ、あちらの方に。
[クレメンスの問いかけに、自分が来た方向を見て]
彼女も、彼も。
神のご意志が、試練がわからないようでした。
少し、悲しいです。
笑っていたそうです
[fatherに、そう言う。]
アーベルさんは、…酷い姿でした。
…きっと神父さまがいらっしゃらないから、って、お勉強を休んでしまっている子もいると思いますよ?
[...はfatherに問われ、自分のした説明を、困ったように口にする。
それから最後に、小さく。]
言葉にするのは難しいです。
神様のご意志なのですもの…
[シスターが去った方から足音が聞こえれば、ゆっくりと抱擁を解き]
エルザ、少し下がって。
[そちらへと警戒の視線を向ける。
真っ直ぐに立ち、いつでも動ける体勢を取って]
[血濡れの少女は、神父の腕の中。
大人しく抱かれて、目を閉じて。
神父の歩みに合わせて、ゆらりゆらり、白い足が揺れる。]
神の意志を、人間が簡単に解く事は出来ないだろう。
[深い言葉を]
ははは、私が居なくても年長の子が面倒を見ていてくれるよ。私がいない方が、捗らないんじゃないかな。
[クレメンスは困ったように笑った]
そうだ、ベアトリーチェの体調が優れないようなんだ。
看てやってくれないか。
私が起こすと約束しているんだよ…。
[唐突に頭痛が治まる。それで、分かってしまった。
一つ目の死は、もう通り抜けてしまったのか]
いいえ、大丈夫。
[ミハエルに応えて立ち上がる。バッグには潜ませたままの懐剣。そっと取り出し、エーリッヒにつけられた鞘の傷を撫でる]
[立ち上がったエルザに困ったような嬉しいような顔をして。
けれど何を言っても下がってはくれそうに無いなと思い]
わかった。
[ただそう言って、僅かに前に出る位置につく]
そうですね。
少しでもわかってもらおうと思ったのですけれど…
[神父様に、少し泣きそうな微笑を見せて。]
神父様が必要ですよ、あの子たちには。
みんな、慕っていたじゃないですか。
ああ、はい。ベアトリーチェさんを…
体調が悪い…というより怪我なさってるのでは…?
[困ったように。]
[机の下で目を覚ませば、もう月は皓々と。
ああ、日の光の下で、強く気持ちを持てると思ったのに。
そう思った自分が目を覚ました理由に気がつくのは、
数瞬の後のことだった。
月に照らされた。小さな体。
ひらりとふちどる、スカートのレース。]
ベアトリーチェ…。
[どうして。どうして。
彼女は縛られていたはずではなかったのか。
捕らえられたはずではなかったのか。
アーベルは、オトフリートは?
廊下から聞こえるのは、誰あろう聖職者の声で。
けれども決してそれは、
自分を助けようとするものではなくて。]
こんばんは、ベアトリーチェ。
それはなんだい?なんのつもりですか?
「らくにして、あげるだけだよ?」
なにからだい?
「はんちゃん、かわいそうだから」
[意味のわからない言動。
少女はやさしく、あなたのためだよと笑う。
わけがわからない。わけがわからない。
ああどうしてそれが、自分の母に重なるのか。
[心の問答とは全く逆に、時間は流れる。
少女の刃が、ゆっくりと振り上げられて、おろされた。
その月は、すこしずれるも確実に彼の肩を切り裂いて。]
[悲鳴を上げて、後じさる。
あれほど昨日つぶやいた、『犯人』という言葉が、
口から出ないのは何ゆえか。
それとも彼自身が、
本当は『犯人』などいないと、わかっているためか。
背中に当たるは、割れた窓。
2階とはいえ、豪奢な屋敷は、地上までずいぶんと遠い。
けれど。]
[足を踏み外すようにして飛び降りれば、
植え込みはやわらかく彼を受け止めて。
既に落ちていたガラスの破片が背中をずいぶんと
さしたけれど、かれは逃げる。
かれの視線をもう少し上げれば、]
ふわり。
窓から彼を追う少女の姿が見えただろう。]
そのようだ…。
[クレメンスはベアトリーチェをナターリエに託した。
クレメンスの外套と黒服に血の染みが出来ている。]
ベアトリーチェ、少しお眠り。
目覚めればまたおはようの時間だから。
[ベアトリーチェの髪の毛を撫でつけると、
クレメンスはミハエルとエルザの元へ歩いていった。]
こんばんは。
アーベルは……ここで?
[少し距離を置いて立ち止まり、尋ねる]
[息もたえだえ。血は流したままで、
ただ中庭をふらふらと走り回って。
気づけば背中は外壁のふちにおいつめられて。]
はんちゃん?
こわがらないでだいじょうぶ。
ぜったいもう、こんな思い、しないでいいから。
[少女のやさしい、やさしい声。
ああ同じようなことを言って、
彼の妹は人形の胴体をきりさいていたなあと、
ああ、それなら、今、彼女の人形は俺か。]
いやです。ベアトリーチェ、目をさましてください。
君は、だまされているだけで…
「うるさい」
[二人だけ。顔が曇る。]
…私は。
他の人より、
ほんの少し、
知識を求める時間が、
長かっただけの人間、です。
貴女と二人で、二人だけで、また一人になれば益々、
「あの」人狼に、
立ち向かうのは難しいでしょう。
[今までの被害者を思う。
完全に、弄ばれていた。
この中で一番の実力者であった、アーベルでさえ。]
それに、もしかしたら私は、
…人狼たちに、もう警戒されているかもしれません。
[ベアトリーチェとの戦いを思う。]
最後に。
今、人狼が1人だけでも分かっているならまだしも、
まだ特定できていないのであれば。
…私達は動く事が出来ません。
私が下手に嗅ぎまわれば、唯でさえ警戒されている可能性があるというのに、ますます怪しまれ狙われてしまう。
…これだけ悪条件が揃っている。
貴女はそれでも…私に?
[イレーネの、その視線を受け止め、強く見詰めて]
[それはまるで、くもの糸。
地獄に下りた、くもの糸。
壁に小さくあいた穴。
もう助からないものと思い始めていた。
こんな、年端も行かぬ少女に切りさかれて。
ああ、神様!
(信心をもたぬ自分がこんなところで感謝するのは、
なかなかな筋違いだとおもうけれど)]
[くもの糸を逃すまいと、穴をくぐる。くぐりかけた。
けれども、その瞬間目にしたものは。]
ギャ!!!!!!
[けれども彼の一瞬の安堵は。
追ってくるその少女と、
まったく同じ顔をした首に、打ち砕かれて。]
ふりかえれば、同じ顔。同じ顔。
少女の首。否、彼女には胴体があって…それから、手には武器を携えて……武器?ぶき?
武器ってなんだ?僕にはわからない。
武器ってなんだ?
これは…ベアトリーチェ、
君は、だって、『犯人』の、しくんだことで…
[彼の言葉を待つことなく、
きらきらと、刃がなんども振り下ろされて]
[困ったようにベアトリーチェをうけとって]
ええ、ゆっくりおやすみなさいな。
傷は癒しましょう
[少女の姿にそう囁き、
fatherの姿を見送った。]
[傍らのエルザをチラリと見る。相当緊張している]
そうです。エルザが彼を視ました。
先程死体は消えてしまいましたが、僕も銀糸を見ましたし。
[神父を見つめてそう告げた]
[オトフリートの曇った顔を見つめる]
立ち、向かわなくても、そのうちきっと、殺されるわ。
クレメンスも、ナターリエも、ベアトリーチェも、変。かな、しい・・・。
狼さえ、倒して、しまえば・・・。
[オトフリートは気付いているだろうか。
初めて話した夜に比べて、...の言葉は流暢になっている。
感情は少しだけはみ出る。
それはここで、みんなから、得たもの]
やだ・・・殺してほし、くない、の・・・。
[眉を顰める。これは...の、悲しいとき、苦しいときの癖で。
死にたくない。
それは大前提だけど、でも、悲しくて]
ギャ! ギャア!
[旅人の叫びは、少女の振り下ろす回数に反比例して
少なくなり。最後は、振り下ろされる刃に対して、
なにも、なにも、反応を示さなくなり。]
少女は旅人の胸にうずくまっていた。
かわいそうなこどもを、母親がだきしめるように。]
へーき、はんちゃんは、こう、ならないから
[小さくつぶやいた彼女のささやきを、聞くものはいない。
壁の外の彼女の首は、彼をみつめて。
彼を殺した彼女は、やさしく旅人の目を閉ざして。]
[近づいてくるクレメンス。長く伸びた影。その黒衣]
[神に仕えるものは、何故黒衣を好む?]
ええ、ここにいたわ。
[月も傾いたせいなのか、もう、噴水に虹は架かっていなかった]
[オトフリートの最後の言葉には]
・・・・・・特定するわ。
[強い視線にをたじろぐことなく、受け止めた。きらりと目が、月光に照らされ]
そう。・・・あなたを。
[瞬きを一つ。アーベルの想いはまだエルザの中から失せきらずに、蒼い煌めきを瞳に宿すか]
彼の首から、ロザリオが外れていたわ。
[その意味まで問うことはしなかった。哀しい妄想かもしれないから]
獣の王にして、太陽の煌きを持つ金の狼。
その君が何故、エルザを庇おうとしているのか理解が出来ないね。
[クレメンスは、続ける]
……僕、が?
[流石に何を言われたのか分からなかった]
何、を……
[けれど自分は何の血を引いていた?
揺らぐ。揺らぐ。揺らぐ]
違う……
[呆然とただ否定する]
ロザリオ…アベールが身に着けていたものだね。
それも消えてしまったのか……。
[呟き。
そして、ミハエルに]
いいや、君は人狼だよ。
君を見た。
[再度告げる]
僕は、ただ。
ただエルザを護りたいだけ。
[震えながら答える]
何故、貴方は僕を人狼だと言う?
[気が付きたくなくても気が付いてしまった]
[傍らのエルザが震えている]
[そちらを見ることが出来ない]
[キッとなって、クレメンスをみる]
…世迷い言は聞かないわ。
そういうあなたは何者なの。何を証拠にミハエルを、人狼だなんて言うの?
言っただろう。
・・
私は、君を「見た」
ジプシーの人狼の御伽噺のカードゲームには、「占い師」というものがあるらしいね。狼を識る能力を持つものだ。
世迷いごとではないよ、エルザ。
君が霊を見る事が出来るように、私は「目」で狼を識る事が出来る。
[軽く、目を擦った。モノクルがなくても、ここに来てからよくなった視力、そして]
見た?占い師の能力で?
僕を見たのならその答えは出ないはずです。
[息を吸い込む]
[顔を上げてキッと神父を睨みつける]
…そうか。そういうことか。
残酷な神が支配する、神の箱庭。
その神が楽しむための駒として使うのは。
聖職者。
神の声を代弁し、神の代わりに力を振るう者。
そういうことですか。
[震える手で剣を抜き、構える]
ならば、貴方が人狼だ。
[くすり]
…そういえばあったわね。狼を知ることの出来る能力者が。『狂信者』と言うカードだったかしら?
誰の趣味なのかしらね。似合いすぎているわ。
[エルザの言葉に小さく瞬く]
[そうだ、そのカードも在ったのだ]
人狼、でなければ、人狼に組するもの。
狂信者、ですか。
…させませんよ。
僕には力は無いけれど。
エルザをみすみす殺させるようなことはしない。
人狼は、皆、常にそういうらしいね。
[クレメンスは、懐から一冊の本を取り出した]
人狼達の生態を詳しく書いた本だ。
そう、だが、私が何故人狼だと君は言えるのかな?
ジプシーのカードゲームには「狂人」というカードもあるらしい。それは、人間でありながら、人狼に味方するものだ。
では、尋ねよう。
狼に高らかに問う!
[歌うように声が響く]
契約の神、嫉妬する神の僕であるばかりか、あなたは人狼にまで跪くのかしら。
[くすくすと笑う]
…退きなさい、月に魅せられし者よ。自分もまた哀れな生け贄と気づかないの?
[エルザの言葉に勇気付けられて]
[全身の震えが止まってゆく]
僕は、狼じゃない。
僕は、自分の事しか分からない。
けれど、自分のことは分かる。
それだけは分かるからこれは言える。
僕を狼と言い切る貴方は、少なくとも狼の側だ!
私達と会話を交わさず、姿を現さず、
エルザのみを大切にしたのは何故だい?
エルザさえよければ、他はどうにでもよいと言わんばかりの態度、私達は団結をしなければならないのではないかね?
そして君は子供だ。君とエルザの関係は、私には伺い知る事は出来ないが、見る限りでは限りなく親密な関係を作り上げている。
そして、エルザは霊を視るものだ。
エルザの信頼を勝ち得、或いは共に行動をなせば、
・・・・・・・・・・・・・・・・・
君は疑いを免れる事が出来ると考えたのではないか?
そうだねえ…
[クレメンスは玲瓏な声に、深いバリトンで応える]
ではエルザ、ミハエルは本当に人狼ではないと言い切れるのかい?
[問う]
僕が心を開放してくれたエルザを慕うのは、それほど不思議なことか?
その身を挺してまで庇おうとしてくれた相手を護りたいと思うのは、それほど不思議なことなのか?
こちらも聞こう、占い師を騙る神父。
貴方がベアトリーチェを庇うのは何故だ?
彼女は無差別に殺害をしようとしたことすらもある。
その彼女をどうして貴方は庇い、人を手に掛ける?
答えろ!
ほう…では、その行為が人狼である君の心に何がしかの感銘を与えたという事だね?
だが私は、「君が心を解放された事を知らない」
ならば、エルザ以外の全ての人間を殺すつもりかね?
「私は見えただけだ」
そう告げるしかないのが歯がゆいものだ。
…彼女は、終わらせようとし、歌を歌っていただけだよ。
[しかし、あれは…]
[自分の口から誘われるように歌が流れ出たのは一体]
ベアトリーチェを庇う?何を言っているんだい。
[立ち塞がられたまま、問いかける]
さて、どちらにしても私がとるべき行動は一つだろう。
[外套の中に入っている拳銃を取り出すが、
エルザが問いかけると、その切っ先を自分の頭に向けた]
私をこうして君は撃ちたいというのかい?
[問う]
[視線を外す事を許さぬ瞳が、揺らいだ様に見えた。
先程までと無意識に比べて、酷く感情的に目に映る。
その様子に、逆に少し狼狽した。
感情を見せる彼女の言葉に、顔が悲しみを刻む。]
[そしてまた彼女の瞳が力を、月光を宿す。]
…私、を。
それが必要とあれば。
けれどその必要が無ければしない。
オトフリート殿は、彼女を警戒して手を縛っていたという。
貴方はそれを解放したのだろう?
あの時の彼女の行為は、間違いなく無差別だった。
僕が殺されそうになった時、それを庇ってくれた人々にもその刃を向けたのだから。
それを肯定する貴方は。
それこそ人をどれだけ殺しても構わないと思っているのではないか?
そんなものは認められない。
[神父に近づくエルザに慌てる]
駄目だ、エルザ。危険だ!
[一度静かに目を閉じ、一息。開ける。]
分かりました。
貴女のその瞳には、力がある。
私でよければ、貴女の力になりましょう。
[何か彼の中で疼くものを、極力押さえて。
平静を装って、言う。]
ミハエル、この人はベアトリーチェを庇ってなんかいないんだわ。この人にとって、あの子は刃。鍛えられた猟犬。
そしてこの人は、神の駒なのだもの。
[クレメンスの行動に、物憂げな眼差し]
それは違うよ、エルザ。
彼女は、この箱庭の全てだよ。
そして、私も君も、チェスゲームの駒なのだ。
[クレメンスは、エルザに微笑む。]
[オトフリートに向けた顔を、僅かに歪め]
ありがとう。
[触れていた袖をひっぱり、肩に額を付けた]
今、夜、今夜よ・・・。
[呟いた]
先程、君は私に月に魅入られた、と言ったね……。
一つ教えておこう。
この夜が終わるまでに誰かが襲われるよ。
[クレメンスは微笑むと、*歩いていった*]
[銃声。ミハエルに怪我はないけれど]
[クレメンスを見て、静かに言い放つ]
その子の血が一滴でも流れたら、あなたの命は亡いものと思いなさい。
[懐剣を抜きもしない。けれど、翠の瞳には氷のような冷たい光]
行きましょう、ミハエル。ここは、寒いわ。
[立ち去る神父を睨みつける]
誰かを襲うというのか。
そんな、こと。
[させはしない、と言いたかった]
[けれどそこまでの力は無いことも分かっていた]
[自分に出来るのは、こうしてエルザの傍にいることだけで]
…うん、エルザ。
寒い……
[今更のように震えが戻ってくる]
[スープリゾットがあったんだ、と思ったが]
[今はシスターが作ってくれたあれに口をつける気はしなくて]
僕達も、戻ろう……
[そう言うと、エルザの手を握った]
[冷え切ってしまった手で]
…。
[柄にも無く、頬が赤い。
口元を押さえる。
視線がぐるぐると宙を舞い。
彼女に止まる。]
し、失礼致しました!
[慌ててその場を去ろうと]
[遠くに飛んだオトフリートを見つめる顔は、不自然なくらい表情が無いけれど、動揺は声に出る]
オ、トフリート??
[なんだろう。腕に、硬い何か・・・?あん、じぇら・・・?]
[でも今の痛みでふと思い出して。
ポケットから、尖った石を取り出す。
黄金のような、黒のような、不思議な深い色。
その石を見ると、...の表情がすこし穏やかになる。
前を向くをオトフリートが去ろうとしていて]
あ、待っ、て!オフリート・・・これ、あげるわ。
[石を両手で持って、オトフリートに近づき丁寧に差し出した]
ポケット、に入れたまま、座ると、ちょっと痛・・・ううん、おもしろい、から、やってみるといいよ。
[なぜか悪戯心を出した]
・・・よし、あたしこそ、急がなきゃ。
[ぱっと踵を返そうと]
[…嗚呼、彼女は何時もこうやって、不思議な物を拾っては私に自慢げに――
首を振る。]
…あ、ありがとう…ございます…
[俯き、顔は見ずに素直に受け取りポケットへ。
感謝の言葉は尻すぼみに。]
[彼女が踵を返すのを見れば、追って良い物かと悩む。]
[踵を返そうとしたとき、俯いたオトフリートの顔が見えて。
また振り返り、オトフリートの頭をぽんと撫でた]
「撫でると優しくなれるの」。
[自分で言っておきながら、そうの顔は少し困ったような。
でも少し誇らしげな声色。
それは誰かのセリフ]
・・・おかあさんか、おとうさんが、教えてくれたの。
嫌な気持ちになったとき、撫でるの。
・・・こないだね、初、めて、撫でてもらって、とても気持ちよかった。
[クレメンスの、少し熱い手を思い出す。
少し俯いて。今度こそ、走ってこの場を去ろうと踵を返した]
[彼女のセリフと行動に、また何か思うのだろうか。
はっとして顔を上げると彼女はもう去ろうとしており]
[…。…。]
あ。
今夜、と言うのは、一体…?
[先程は彼から去ろうとしたものの、相手が遠ざかれば離れがたく感じ。
思わず呼び止める形に]
[オトフリートに呼び止められ、振り向く]
・・・今夜、特定するという事。
[ほんとうに急いでいるのか、素早く言って、屋敷の方へ去ってしまった]
――広間――
[みんながそれぞれ、自分に与えられた部屋に戻っている頃。
夜色の空が見える。
広間の窓に、両手を付いて。
蒼い目が、すぅっと翠に変わり、そして段々と黄みをおびていく。
髪は銀色。瞳は金色。
月光に照らされ。
きらきらと、輝く様子はなんて美しい。
唇を綺麗に歪め、笑う]
――囁きを、聞かせて。
[数日間蓄えた力は大きくて。
それは窓のある部屋に起きていれば、誰でも見れる可能性があった。
知らせたかったから、それもよかった。
屋敷の全ての窓は波打ち、かたちを変えることだろう。
静かに、沈黙の中で、教えてくれることだろう。・・・『同族』を]
―...to my room―
[ベアトリーチェの怪我の治療をしたあと、...は部屋に戻る。
一度窓の外を見ようとしたが、すこし考えてやめた。]
かなしいひとたち
[神の意思を疑う2人。
bedに入り呟き。眠りにおちる]
*ここはこんなにも綺麗なのに*
―ミハエルの部屋(I)―
[持っていた果物を数個、ミハエルに勧めた。自分の部屋に帰る気になれなくて、ソファにかけてじっと朝を待つうちに*眠ってしまうだろう*]
[言葉少なに素早く去る、イレーネをあ、と口を開けたまま見送った。
今夜、特定する。
その言葉には強い力が込められていた。
彼女には何か、確信めいた物があるのだろうか。]
[それを聞こうかとも思ったが、
彼女の去り方は追って欲しくないようにも見えた。
暫くその場に立ち尽くす。]
…何もねだらない 小さな男の子
命もあげるよ
[密やかに囁く子守歌がふつりと途切れる]
…命ならば、惜しくない。
クレメンスとミハエル。どちらを信じるかと問われれば答えは目に見えている。
あたしの命とミハエルの命の重さを比べても。
…でも、でも。
せっかく取り返した歌。この声。それとミハエルを引き替えろと言われたら…あたしは?
[クレメンスに植え付けられた疑惑の種が、ゆるりと芽吹こうとしていた]
[自分を強く抱きしめて]
…わからない。
[震える]
…あたしには、わからない…。
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