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写眞家 アーベル に 3人が投票した。
教員 オトフリート に 9人が投票した。
教員 オトフリート は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、職人見習い ユリアン が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、清掃員 ゲルダ、植物学者 ライヒアルト、令嬢 ブリジット、シスター ナターリエ、研究員 ハインリヒ、盲目 ベアトリーチェ、写眞家 アーベル、消防士 ダーヴィッド、政治家 ヘルムート、星詠み ノーラ の 10 名。
―2F 6の部屋―
[オトフリートに手を、伸ばし――]
――、ッぁ … !?
[かくり と膝から崩れ落ちた。
急に身体に、上手く力が入らなくなったような
奇妙な感覚。震える手で首輪に触れた。]
…な…
[服に隠れていて見えないが、首元のあたり、
土気色に変化している。]
[目眩。床に置いた消毒薬に膝をぶつけた。]
あ。
[慌てて左手で倒れるのを回避し、そのまましばらく上半身うずくまったまま。]
ごめん……ライヒ。もう少し、………待って。
[どくん、と心音が響く。
苦しい、というより、襲うのは閉塞感]
あ……っ。
[オトフリートへ伸ばしていた手を、自分の首元へ。
息が、出来ない]
……っ。
[大丈夫、そう思いたかった。どこまで砂に塗れているのだろう、自分に流れる紅い血は。
目の前にある点が、滲む。
首を振ると、それは元に戻った。けれど、息が出来ないまま]
[衝動で伸びた手はオトフリートの腕を掴む訳ではなく
そのまま彼の喉元へと伸びて]
[焦点の合わぬ紺青の眸はアシンメトリな貌を見つめて]
─蛇部屋前─
[ノーラの声と、驚いたような視線。
ナターリエの言葉。
それらに対して、最初に向けたのは、苦笑]
……ああ。
部屋の中を、一時的に冷凍庫にしてきたから。
蛇だし、動きは相当鈍るだろう。
……酸素濃度が極端に下がってるから、俺たちも、入れなくなってるが。
[最初は、冷気の解説]
……ああ、俺は、後で大丈夫だから。
[ナターリエには、短く返して、目を閉じる。
さっきよりも、眩暈が酷いが、閉じる前の天鵞絨はいろをしっかりと捉えていた]
[声にならない。吐ける息もなく、蹲った。
もう少し。もう少し我慢すれば。
そう思っても、いつまで我慢すればいいのかもわからずに、足が、力を失う。
手をつく暇もなく、蹲った姿勢から、崩れるように倒れた。
遠くで、何かが切れる音がした。
何の音かもわからないまま、*意識を手放す*]
…っ、せんせぇ!!!
[思わず叫んだ声は、思った以上に高く鋭かった。
引き千切られる首輪。
オトフリートの半身が白く染まり、全身へと、広がる。]
違うの!…アリスさんはカルメンさん!
…カルメンさんを殺したのは、先生じゃないの!!
[けれど、もうそれは間に合わない。]
ッ――ハインリヒ!!
[腕を、止めようとして 掛けていくが
間に合うはずもなく。
触れられたか。 分からない。
目の前で、言葉無くした“せんせい”のいのちは、
断ち切られる]
[目を閉じた直後の声>>1。
違和感を感じて、無理やり目を開ける。
焦点は合わないが、異変は察する事ができた]
……だから。
無理、するな、と。
[息を吐いて、立ち上がろうとする。
数値をしばらく確認してはいないが、まだ、動けるのはわかった]
……先に、回復してきた方が、いい、か?
───。
[息を吐き出す]
[さっきよりずっと楽になってはいたけど]
[左は暗いまま]
[そのままの視界で回りを見る]
ブリス───?
[崩れ落ちたような]
[姿]
[ゆっくり]
[ゆっくり、近づく]
だい、じょうぶ?
[ふと見えた右手が変色していて、驚いて服の袖に隠した。動作がゆっくりだったから、こちらを見ている人には見えただろう。
音が漏れないようにゆっくりと呼吸を整える。冷えた下腹。触ったら硬いんじゃないかと思って怖くて触れない。]
…ぁ、……あぁ………。
[滅びの街から逃げ出した家族の、振り向いてしまった妻のように。
真っ白な石像のように変わってしまった、せんせい。
粉々に砕けた魂の、その残滓はこんなにも優しく温かいのに。]
…せんせ、じぶんはいいって。
自分の分は、リーチェちゃんの予備に、って……
[咳が、零れる。口元を押さえても止まない。
周りの音が聴こえなくなる…。
表情が見えないくらいに俯いて、落ちた首輪を見つめる。]
[救いたい…、護りたい、生きて欲しいと…]
[そう願っているだけなのに。]
…せんせ、約束したの。
一緒に帰ろう、って。
トビー、きっとまってる…って。
[本当に悲しいときって、涙も出ないんだ。
そう、思った。]
[ようやく晴れた視界が捉えたのは、弱々しく首を振る様子>>17。
小さく、息を吐いた]
歩けないなら、抱えていくから。
[端的な言葉。
それから、ヘルムートの方を振り返り]
他の設備は、それで間違いありません。
さっきの液体窒素も、そこで。設備は、それなりに生きているようです。
[先に問われた事>>4:413に答えるのと。
ユリアンの異変の兆し>>20は、どちらが先か]
(ベアトリーチェ…、一体――何が?)
[繋がれた糸は切れていない。確かに感じられる。
それが少女は生きている、と不思議と感じられた。]
…ユリアン?
[ダーヴィッドの声が聞こえればそちらの方向へ顔を向けた。]
ユリアン!
[服を裂くと同時に飛び出す一匹の蛇の尾……。
その長い牙がユリアンの胸に刺さっていて……。]
………ッ
[急いで引き抜くが、その身体ががくがくと震えはじめる。]
ユリアンッ………。
[昇っていた熱が醒めてきたのか…
自分が、今…何をしたのかを理解したのか。
俯いたまま、頭を押さえて。]
――…ケホッ……ッ
[顔は上げぬまま、同時に落とした注射器を拾う。
封を切っていなかったおかげか割れてはいない。
伏せたままの眸が探すのは、ベアトリーチェの姿で]
───大丈夫って顔、してない。
[頬にかかった髪]
[ゆっくりとした動きで]
[手を払われなければ]
[髪を直してやるのだけど]
どいつもこいつも───
[呆れた]
[転がる少女]
[止まらない咳]
他人の世話焼く前に、自分の世話焼きなよ。
[微かな、憤り]
ショックか?くっ………。
[蛇に毒があったかどうかはわからない。
ただ、あまりにも噛まれすぎて……の可能性は高い。]
ユリアン、しっかりしろッ!
[痙攣して、ガクリとする身体。
その胸に耳を押し当てて、眉を寄せた。そして、迷いなく心臓マッサージをはじめる。]
[崩れるように倒れたベアトリーチェの姿に、
苦しげに眉を寄せる。]
………、
[微かに開いた口は声は出さず。
けれども、紡いだのは謝罪だったのだろうか。
その場にしゃがみ、幼い手を取ると
注射器から薬を投与して]
…うそ、嘘よ。
ユリアン…目を開けて。
[かたかたと紙を持っている手が震えた。
彼がこうなった原因を作ったのは自分だ。]
…っ、や。
嫌よ、こんなの…
[彼は病ではなかった。
生きて出られれば一番、未来があるはずなのに――]
もう言っちゃったよ、遅い。
[少しずつ]
[丁寧に]
[自分が触れてしまってよかったのかわからないけど]
[ブリジットの髪を梳いて整える]
そういう風に言えるなら、未だ君は大丈夫かな。
[すっかり鉱石になってしまった左の眼]
[まだ人の目のままである右の青灰簾石]
[両方を細めて]
[ハインリヒがベアトリーチェに投薬している間]
[そちらは決して見なかったけれど]
─ 蛇部屋前 ─
[拾った紙切れについてのノーラとナターリエの会話が耳に入って来る。]
PCで使えるPASSか。
ヘリを飛ばすための
制御装置へのアクセスを知る必要がある。
ヘリの操縦室は大仰な鍵がぶら下がっていて、
オート制御になっているように見えた。
カードキーか何かがあれば、別だが。
[ユリアンに視線を落とした時は、まだ普通に見えた。]
──ユリアン。
もう、あの部屋のものはノーラが見付けたらしい。
だから、大人しくしてくれ。
[ユリアンが答えないのは流石に体力の限界が来たのだろうと、違和感を憶えず。
こちらもライヒアルトに向きなおり、調べたいと思っていたブツが入ったタイピンに手を添えた。その時、]
…っ!?
[突然びくりと身を竦ませて。
胸を押さえる。自分のものではない痛み。]
なん、で…
なんで…なの。
…なおってたのに、なんで……
[唯一、病の魔の手から逃れていた、あのひと。
どこかずれてるけど、根っこは優しい人。
感じる。彼の命が失われたこと。]
[何が起きたのか、一瞬理解が追いつかなかった。
動かなくなるユリアンと、心臓マッサージを始めるダーヴィッドと。
天鵞絨が、瞬く]
……なん、で。
運だけはあるって、お前……。
[知らず、口をついたのは、いつかのやり取りの一端]
ユリアン……大丈夫だ。
毒はない、ないはずだ…だから、大丈夫なんだ……。
[ぶつぶつ呟きながら、その胸を押した。
そう、ショックだけならまだしも、おそらく、他にもいろいろな要因があった。メデューサでなくても。
証拠に外傷もさることながら、その身体につく痣…叩きつけられたような……。]
ユリアンッ………。
[そして、息を見るが、しておらず、心臓マッサージと人工呼吸を繰り返すけれど……。]
[ベアトリーチェを一度抱き上げて、
脱いだジャケットの上に寝かせると
立ち上がって今度はブリジット達の下へ寄った。]
…腕、
[俯いたまま、見下ろす形で呟いて。
その場にしゃがんでもこちらから手を伸ばして
ブリジットの手を取ろうとはしなかった。]
…腕、出してくれ。
[痛むか?と口調はいつもと同じもので。]
ユリアン?
[ダーヴィッドの声に両眼を見開く。
慌ててユリアンを覗き込んだこめかみから透明な汗が滴り落ち、蛇のうろこに当たってキラキラと光る。
ユリアンの胸に刺さっているのは、蛇の牙。]
……馬鹿な。
この蛇に毒は無い、はずだ。
私も一カ所噛まれている。
[心臓が跳ねた。石化していないユリアンが、ユリアンの心臓が完全に停止してしまったら──。生身のままの死の予感は、石化による死とまた異なる衝撃をもたらす。
けして両眼を逸らす事も、閉じる事も無いが、血の気が引いて行く。]
…ヘリとは恐らく、このメモは関係ないわ。
パソコン…使えるのなら、――調べて見て貰えないかしら。
私は機械に疎くて…。
起動用のパスワードは――「Perseus」よ。
[ヘルムートの言葉に、平静を装うと必死で喉の奥から声を引き出す。カードキー、と言われればダーヴィッドが確か持っていたはずだと視線を投げただろう。
けれどそこには必死に心臓マッサージを繰り返すダーヴィッドの姿があって――止める権利なんて何もない。]
……っ、ごめん なさい。
[緑の髪の少女]
[先程の声だけの子は、あの子か]
[視線を向けて頷き]
そう───ごめん、ね?
[わらう]
[手を引きもどす]
───おかげさまで、憎まれっ子世に憚るってことらしい。
[目を見張る少女]
[首を傾げた自分]
[ハインリヒが薬を打ちに来たので]
[視線だけは、その手元から外しておいた*]
[トクン、ともう一度心音が聞こえた。今度は緩やかな。
闇の中に、点がある。
小さい頃は、いろんなことを聞いて回った。
太陽は、暖かくてまぶしくて、明るいのだと。
夜は、暗いけれど、星が瞬いて、美しいのだと。
見える点を、糸を、眩しいと思った。それまであった色と、逆の色。
明るいってこういうこと。
でも、それは太陽というよりも星の大きさで。
ノーラだから、そんな風に映るのだろうかと、ぼんやり思った]
[ノーラに、ヘリではない事、PC起動用のパス「Perseus」と言う単語を聞いて自分がどういう返事をしたか。今思い出せと言われても口をついて出ないだろう。
繰り返される心臓マッサージと人工呼吸。目の前で揺れるダーヴィッドの赤毛。往復する背中と首筋の筋肉の動きが、何故か視界に入る。否──、]
ダーヴィッド。
[咄嗟にダーヴィッドの肩を掴んだ。]
もう、 いい。
止めてくれ──。
肋骨が折れて飛び出てる。
[不自然に隆起したユリアンの胸から、視線を逸らす事無く。]
[みんなで出ようと、生きたいと、そんな願いが摘み取られていく。大切な、かけがえのない命すら消えていく。]
…っ
[悔しさから、唇を衝動的に噛めば朱色に染まった。]
―――…わたしは、…
[――――視界の先、――――を 深く視ようと―――]
…そうか。
……お嬢さんは…痛覚にもきてるのかもな。
[窺える数値…上がるレベル。
それで痛みを感じないということは…。
症状は表にも出始めている…
痛みを感じない痛み。
ただ動かなくなっていくのは…、
想像するよりも恐ろしいことかもしれない。]
ちっとは…痛くなるといいな、これで。
[揶揄る意味ではない。
差し伸べられた手を受け取ると、手早に注射を打った。]
[額から汗が滴り落ちる。
息があがる……。
だけど、ユリアンの心臓は動きださず……。そして、身体はどんどん冷たくなっていく。]
……………ッ
[どれくらいマッサージをし続けただろうか。
しかし、もう、漂うのは死の匂いだけ……。
やがて、手がずるりと滑って、己の上半身が床に落ちた。そのまま顔を伏せる……。]
駄目だ……。
[ため息]
[―――― あれは 、…アルゴルだ。]
[だけど、どうして――― 赤色に輝いて ―――]
[『 red : ピューリトゥーイ 』 ]
[繰り返される、蘇生。
手を出す事もできず、止める事もできず。
ヘルムートがダーヴィッドを押し止めるまで。
ダーヴィッドが手を止めるまで。
ただ、ぼんやりと、その様子を見て]
…………。
[聞こえた弱音>>50。
無言で傍らに歩み寄って、抱き締めた。
支えたいのか、支えられたいのか。
感情自体は、自分でも曖昧なまま]
[―…ヒュ、と短く喉が鳴る。
酷く咳き込みそうになるのを、
オトフリートを断った手で口元押さえて止めた。]
…み んな、ちょっと…休んでおくといい。
おじさんは、水…汲ん で…くる。
[紺青は白くなったオトフリートを見ようとせずそう言い残して、
6の部屋を出ていった。]
[ユリアンのまぶたを閉じる。]
ユリアン……すまない、力不足だった。
[そして、黙祷を捧げる。
議員に振り返り、すみません、と礼をする。]
[息が出来る事に気づくと、目を覚ました]
あ、れ?
体が、少し軽いの。
[腕に疲労感を感じる。注射を打たれたのだとわかった]
せん、せいは?
ツヴァイさんは?
ねえ。
[静かになった部屋]
[何度か、ユリアンの無謀さに感じた苛立ちが、彼が失われた事への怒りとなって、のしかかる。重く、熱く、苦しい感情。
意思の剣を、両手を血で汚してでも、
すくわれて欲しいものが
零れ落ちる。
見殺しにする間もなく。
無言で、もう一度ダーヴィッドの肩に手を掛け、それから屈みこむ。ユリアンの似合わない眉間の皺に視線を落としながら、ダーヴィドが目蓋を閉じさせるのを見守った。]
[ヘルムートに肩を叩かれながら……]
貴方の期待に応えられなかったからです。
[そして、ため息をついて、ヘルムートにユリアンの傍hw行くように促す。
自身は、周りを見回して……。]
…リーチェちゃん。
[小さな子を胸元へ抱き寄せて。]
せんせ、リーチェちゃんに生きて、って。
いっぱい生きて、治ってって。
…だから、いっしょにがんばろ?
[撫でた頬も、抱いた背中も、まだやわらかい。]
ちょっと行ってくるから、いいこにしててね?
[ぽんと頭を軽く撫でて、部屋を出て行く。]
―3階廊下―
っっ!!
[曲り角、蛇が2匹も蠢いていた。既に一生分の蛇を見たはずなのにやはり蛇を見れば身体は強張り薄らと眼尻に涙。]
…やめて。
もう、みたく…ないのっ…
[持てる力で蛇に向かって松葉杖を投げつけた。
その間に、角を抜けて2階へ下る階段の方へ向かおうとする。]
ノーラ?
[廊下の曲がり角で2匹の蛇に固まっているノーラに歩み寄る。
そして、蛇を2匹、頭を潰して……。]
カードキーはパソコンにそのまま刺してある。
………何にもしなくていい。
大丈夫だ。
[いつもの口癖も足しながら、そう告げた。]
[ダーヴィッドに馬鹿な事を言うと首を横に振った。
無言だったのは、説得しようとするなら長くなると思ったからだ。ユリアンの正面に座し瞑目のち、周囲を見渡すとノーラが目の前にいなかった。杖の音が、廊下の向こう側から響いて来て来る。]
ノーラ?
[立ち上がる。]
君も、君も随分と無謀だ──。
―2階・廊下―
[部屋を出ると、堪えていた咳が零れる。
壁に凭れかかると茨が凭れた腕を大きく引掻いた。
咳が、止まない…止まない。
自分は…俺は、この手で――「何」をした?]
…ッ、グ、ッ、ケホッ!ゲホッケホッケホ…!!
[この手は…助けるための、護るための…
――救うための手ではないといけないのに。]
……とりあえず、は。
薬、もらってくる、か。
[気を抜くと、霞む視界。
動けるうちに、できる事を、と。
そう思い、ナターリエを抱き上げながら、立ち上がり]
……実験室での助手が必要なようなら、行きます。
薬剤は専門外ですが、器材の扱いはできますし、多少はお役に立てるはず。
[ヘルムートに向けてこう呼びかけると、ひとまず二階へと向け、*歩き出した*]
―3階廊下―
[ダーヴィッドが蛇を殺す瞬間は見ないようにしながら、礼を言おうと彼の顔を見た。視てしまったのだ。
その瞬間、恐怖で堪えていた涙が零れ
―――落ちる途中で石になって落ちていった。]
…どうして、…
[ゲルダに抱き寄せられて、言葉を聞いて]
……先生が?
[嫌な予感。あの時と、同じ]
うん、がんばる、けど。
でも。
[ゲルダの去っていく足音。
下に敷いてあるものが、手触りでジャケットだとわかる。
そろそろとそこを避けて、立ち上がった]
先生?
又、どこかいったのかな。あんな、酷かったのに。
…ツヴァイさん……。
[つらそうな姿。思わず歩み寄って背中を撫でる。
何か言いたくて、でもなんて言っていいのかわからなくて。]
元気じゃないと、ダメだよ。
…誰かを助けたかったら、まず自分がしっかりしなきゃ。
[労わる手は、背中にぬくもりを残して、階段へと立ち去る。]
[廊下から、咳が聞こえた。誰のものかわかる]
ツヴァイさんは廊下にいるのね。また苦しいのを隠してるんだわ。
自分だって注射を早く打つといいのよ。
[杖を探して床を探る。指先が、石に当たる。
さっきまで、なかった気がした。そんな場所に、確かになかったはずであるのに]
だ、れ?
[掠れた声。判ったのに。わからない振り]
>>65
ノーラ、大丈夫だ。
[その流れる涙に微笑んだ。]
僕も、ベアトリーチェは好きだよ……。
[そして、ヘルムートがこちらに来る前に、ノーラの横を通り過ぎながら…]
あの子を治すんだろう?
[………振り返って微笑んだ。]
―――………だから、もう少し、時間をくれ……。
[気を失う前に、聞いた音。何かが、切れたような]
……私。
死ぬ気なんかないから。大丈夫だよ。
生きてほしい人がいるから。
護るために、生きるの。
[背を向けて。でも石に語りかけるように]
[エーリッヒに続いて、目の前でユリアンが死んだのがノーラにも応えたのだろうと思う。ダーヴィッドがノーラを追ったのを見て、ライヒアルトとナターリエに身体を向けた。]
ああ、薬がまだだったな。
はやく取りに行くと良い。
[抱きかかえられ無防備に落ちた、ナターリエの右手の皮膚が変色しているのが見えたから、そう言った。薬箱から消毒用アルコールと包帯を少しだけ分けてもらう。]
ナターリエ。
否、何でも無い。
──自分の手当てをしてくれ。
[女性に掛ける言葉は思い浮かばず、結局はそれだけを口にする。ライヒアルトに礼を言いその場所を後にする事にした。
ユリアンの遺体に礼服の上着を掛けてから──遠ざかる。石化しない皮膚が冷えて硬化していく様子が胸に痛く。]
[空間が切り取られたように、自分の音しか聴こえなくなる。
自分の背に感じる温もりに気付いたのは少し後。
振り返った時には、誰もいなかった。]
―――……ッ、…ケホ…ッ
[誰だかはわからない、けれど…
その温もりを感じてから少し咳が和らいだように感じる。
その場から動くことはまだ困難で…壁に凭れたまま
崩れるようにその場に座った。苦しげに息を吐く。]
ユリアン…。
[場所は、なんとなくわかったからそちらへと真っ直ぐに歩む。]
馬鹿、だよ…ほんっと馬鹿。
自分だけ病気じゃないからって、そんな無理することないのにっ。
[悔しいのか悲しいのか、もうわからない。]
[石の涙が地面に落ちて―――音を立てて砕けた。]
…、…
[ベアトリーチェ。大切な少女の名前。
その名は何だか急に出てきたように思えた。
治したい、護りたい。繋がっているからとか
そんな理由ではなく、その前から思っていた事。]
……っ
[「時間をくれ。」
私達に時間なんて――そんなに残されていないはずなのに。
彼の笑顔に笑みも返せないまま
研究室へ入る彼の背を見送った。]
―→2階へと通じる階段前―
[ライヒアルトとナターリエ、そしてヘルムートの姿もあったろうか。奥へと駆けるゲルダとすれ違っただろう。
その誰にも―――何も語れずにいた。]
[よたよたと足を運んで辿り着いた先は一体の石像の前。]
エーリッヒ…
私は――どうしたらいい?
[弱弱しい笑みが自然と顔に浮かぶ。彼を見て零す涙は石にならず、そのまま頬を*滑り落ちた。*]
[腕を大きく引っかかれたような痕、
血の滲むその先にあるのは、男の利き手だ。
この手で…多くの薬を作って。
この手で…多くの薬を打って。
けれども
この手は…多くの者は救うことができず。
そして
この手で…――――――]
――――…ッ
[衝動のままに…
血に滲む拳を握り締めて。
いばらにぶつけるかのように壁に殴りつけた。]
…ヘルムートさん。
[ユリアンの亡骸を離れて、こちらへ向かってくる姿を見あげる。]
先生…オトフリート先生が、亡くなりました。
[殺された、とは言わず…失われた事実だけを告げる。]
……!?
[一度はいばらに当たった利き手は、血を流して。
もう一度と振り上げると背後から聞こえる声。
驚いたように、紺青を大きくさせて]
――…触、れ るな…!!!
[こちらへと伸ばされる手に怒鳴るような声で告げる。
その後ケホ…と、咳がまた零れて。
血の滲む右手を隠すようにして向き直った。
沈黙…長い溜め息が零れて]
――………すまん。
…薬は…効いてきそうかい…?
ッ、…!
[びくり
叩きつけられた声に、伸びた手は途中で止まる。
眼を大きく揺らして唇を噛んだ。]
…、――
[薄く唇を開く。声ではなく、息の音。
少しだけ、眼を伏せた]
…―― … 痛い わ
[だから、効いてる。と小さく謂った。]
ゲルダ。
──ッ
オトフリートも、なのか。
零れ落ちて行くものばかりだな。
[6の部屋で集まった時も、しゃべりにくいそうに右側顔面を歪めながら、ずっとカルメンの心配をしていた記憶がある彼。]
三階では、ユリアンが。
否、言わなくてもすでに、
私には聴こえない声を識る事が出来るんだったか。
蛇の屍骸ばかりだ。
[ずっと礼服の上着を脱いだ状態でいると、白いシャツ姿の自分が何処か無防備な物に思えた。]
ゲルダは大丈夫か?
さっきは随分と辛そうだった。
―――…、……っ
[止められた手に、大きく揺れる眸に。
思わず伸ばしそうになる手を強く握り締める。
床に、擦りつけたような薄い血の色が滲んだ。]
…そ か。
痛みが…、痛みが消えない内に…
治さないとな。
[紺青が数値を窺うと、確かに僅かにだが落ち着いている。
よかったと、言葉にする代わりに息を短く吐いて。
かえるのだと…待っていると、そう言って。
その言葉におびえて涙を堪え続ける少女を、
怖がらない場所へと連れて行きたい。
護りたいと…、そう願うだけなのに。]
……願うことはこんなにも容易なのに……
…叶えることは…なんでこんなにも…難しいんだろうな。
…うん。
薬、効いたから…かなり楽になったよ。
[ユリアンも知っているかと問われて、小さく頷いて。]
難しいよ、色々。
…どうすれば正しいのか、どうすればいいのか判らなくなる。
でも、迷ってるほど時間は…ないんだよね?
……、――
[血の色が見える。
眉を寄せて、じっと見た。]
――そう ね。
……痛くないほうが…怖いかも、しれないわ。
[自分のゆるく手を握った。
紺青の眼を、そしてその頚元を見て
また少し、怒ったような、泣きそうな顔をした]
ただ、… ――そうしたいと
思うだけなのに ね
…―― 誰かの、願い と
―― … 誰かの望み が
ぶつかるの きっと 同時に 為されることは
…難しいの、かも しれないわ
[たとえば そう
――手を伸ばしたいのに 上手くできないこと
――すくいたいのに 拒絶されること
――守ろうとして断ち切ること
――誰かが泣いていて、それで
たとえば、――]
…… …ままならない わ ね
[痛みが弱いながらも戻ってきた指先、
伸ばそうとして、逡巡して、少しだけ近づいた
血の滲む手、止まらない咳]
…… 貴方 も
もっと 自分を心配すると …いいのだわ
[小さく頷くゲルダに、僅かに口端を持ち上げる。]
ユリアンの声が聴こえても。
ゲルダが恐ろしい目に遭う事は無かっただろうね。
私は──ユリアンには、何か、
新しく面白い事をつくりあげる未知の力が
宝の山のように眠っていて、
そして、それを共有していける気がしていた。
勿論、勝手な思い込みかもしれない。
[共有者が居なくなってしまったと静かな声で呟き、自分自身の肩に手を置いた。難しいと言うゲルダにしっかりと頷く。揺れかけていたサファイアブルーの瞳に戻る信念の光。]
ああ、時間は無い。
選択を迷い、決断を悔やまないのは、誰でも難しい。
私の歳になってもまだまだ、
おそらく、ハリンリヒの歳だってそうだ。
ゲルダ。君が、聴こえる事を背負いこまなければ良い──私はそう思う。
…なら…、…急がなきゃな。
[痛くないほうが怖い、
ブリジットのその言葉に頷いて。
…感じなくなるほうが、痛みよりも怖い。
自分が自分でなくなるような…鏡の奥に取り残されるような。]
[血の滲まぬ左手を、恐る恐るブリジットへと伸ばす。
退いた手と、拒んだ手…また、求める手。
―――届くだろうか。]
[背負い込むと言った所で、駆けて行ってしまったノーラをハッと思い出す。それから、ダーヴィッドを。]
ノーラとダーヴィッドは、
ゲルダが上がって来た方に居たか?
そうだね…。
面白いひと、だった。
[いろんな意味で、そう思う。]
ヘルムートさんとは正反対に見えるのに…
ううん、正反対だったから、なのかもね。
[語る口調と、白いシャツだけの肩が、なんだか寂しそうに思えた。]
そう、だね。
…間違うの、怖いよ。
でも、間違うのを恐れて、選ぶ前に終っちゃうのはもっと怖いから。
だから、無理せず出来る範囲で…出来る事はちゃんとやりたいんだ。
…感じて伝える事が、わたしに出来る事ならば…
…うん、さっきあっちに。
[ノーラとすれ違った、と指をさす。]
……あぁ、もう一つ…いわなきゃいけないんだっけ。
カルメンさん。
あの人の魂はボロボロに蝕まれてた。
多分、ピューリトゥーイの薬の所為。
でも…
[一度口ごもって、けれども伝えるべきだと思って。]
もしかしたら、投与前から何か心に背負っていたのかもしれないの。
だから、蝕まれるのが早かったのかも。
…気をつけなきゃ、いけないよ。
意志の強い人、だったら…影響されてても普段どおりに振舞ってるかもしれない。
[――痛い、ほうがいい。
きっと、そうなのだと思う。]
――…ええ。
なおすの。…なおして――
[―――言葉が途切れる。かえる、でも。
抱くのは恐れ、沈めた記憶の底。否、知っているのに。
ハインリヒが、手を伸ばす。
逡巡していた手を、自分も、伸ばして。
触れることが出来たのなら そうっと、握る。、]
有り難う、ゲルダ。
[二つの事に礼を言う。
ノーラの行方。カルメンのピューリトゥーイの話。
カルメン。彼女は、何処かで会った事があるような顔をして、ヘルムートを蒼の瞳で見た。]
カルメン。
彼女とは──実は何も話していない。
ただ、[女性に気を配る言い回しで] 勘にすぎないのだが、
春をひさいでいた女性では無いのか、な。
[大人しい女性だと評した者もあったらしい彼女の、独特の艶かしさ。彼女を捜して戻って来る度に疲弊してみえたオトフリート。仄白くかぼそい肉体と眠たげな眼差しが底なしの沼のような。花柳界には、その種の女性が多く居た。]
意思の強さで──か。
気をつける。有り難う、ゲルダ。
[途切れた言葉、華奢な身体を此方へ引き寄せて。]
…逃げることも…時には必要さ。
[>>93それは途切れた言葉の先のものへか。
その後の行動への警告だったのかもしれない。
拒まれないのならばそのまま…ブリジットを抱きしめた。]
…ある現実(モノ)をそのまま受け止めてたら…
耐え切れずに、壊れるものだって…あるかもしれない。
…壊れそうなものは…無理に立たせようとしないで。
そっと…包み込んでやれたら…いいんだがね…。
[それができていない…と、そう呟いて。
紺青の眸を伏せて。ゆっくりと息を吐く。
掠れた咳は、振動となって伝わったかもしれない。]
ライヒアルトが暴れた後ゆえ、
ユリアンの側に蛇は出ないと思うが。
[ゲルダと分かれた後、ノーラに追いついて、走って行った理由を尋ねる。
けれども、彼女が識ってしまった事実は、何も語られる事は無く。
彼は、石化したエーリッヒの元へ向かおうとするノーラに、来る途中で拾った杖を、エーリッヒが探して来た松葉杖を手渡した。ヘルムート自身は、まず*実験室へ*。]
… ぇっ?!
[引き寄せられて、驚いたような声が零れた。
近づく温もり。言葉を警告と取れたかどうかはあやしい。
抱きしめられるまま、大きく眼を見開いた。]
……、っハイン、 …
[心音が跳ね上がった。
――けれど、続いた言葉に耳を傾けるうち
思考はそちらへ。彼が時折見せていた表情に繋がることなのか。
こわれる。――たとえば沈めた記憶。]
…――、… それは
…むつかしい こと、なの だわ…きっと…
おのおのに、想いが あれば、こそ
[咳が、止まらない。
彷徨っていた手を、そっと背に回し撫ぜるように触れた。]
[名前を呼ぶ声が聴こえても直ぐに離そうとはしなかったろう。
華奢な温もりは、それでも本来の少女のものよりかは
少しだけ、ひやりと冷たいのかもしれない。]
――…目の前でこわれるのを見るくらいなら…、
おのおのの想いなんて…、……
[ケホ…掠れた咳が視線と共に落ちると背を撫ぜられる。
それが何処かむず痒くて誤魔化すような咳を零して、笑った。]
…強がらなくていい…って、
言ってやりたかったんだがね。
どうも…こういうのは…得意じゃあない。
[点滅する視界…まただ、また…。眸を伏せると
血の滲む手を、ブリジットを抱く手を、強く握り締めて]
…ブリジット…。
逃げることも…時には必要なんだ…。
だから…――
[もう一度紡ぐ、同じ言葉。
気付いたのは何時だったか、何時…思い出せない。
違う――…軋む音が、直ぐ傍で聴こえた時。
ケホ…咳が零れて。また軋んで――…崩れる。]
もしも…さっきみたいなことが…
また起きそうになったら…迷わず、逃げろ。
[血の滲む手、落ちた首輪――白くなっていった。
彼を…オトフリートを危険と見做して断ち切った…違う。]
それか――…断ち切ってくれ。
お前が…皆が生きる為に。
[―――奪ったのは……衝動。]
[点滅するように、紺青の眸は理性と虚ろの合間を彷徨って
鏡の中に意思が取り残されるかのように呑まれていく。]
[自分の意思に反して―――徐々に狂気に侵食されていく。]
[ケホ…と、小さな咳を零してブリジットを離す。
紺青の眸を細めて困ったように笑った。]
…立ち向かうだけが…勇気じゃないのさ。
きっと…。
[ノーラは男がピューリトゥーイではないと言っていた。
自分でもわからない…侵食するものの正体。けれど…。
男からは離れたほうがいい…少女へ遠回しの警告の仕草。
ブリジットが動かなければ、自ら離れるよう立ち上がって]
…まだ、今は…大丈夫だよ。
まだ…もう少しだけ。
[何時また狂気が現るかわからない。正気が保てる間に…。
そう呟いて泣いた時のようにブリジットの頭を撫ぜると、
階下の水道の方へと降りていく。**]
[杖を見つけられないまま、6の部屋の入口に立つ。
杖無しで階段を上るのは無謀だと、思ったが]
見つからないものは仕方ないもの。
[離れた場所から、響く咳の音。今は傍に行きたくないと、なぜか思って、階段の方へと向かう。
アーベルの声は、後ろからしただろうか。
引き止められるなら、自分で無事を調べに行くんだ、と言って]
居たくないの。あの部屋に。
[辿りついた階段で、零す]
●業務連絡●
コミットの件:ノーラさんありがとうございます。よろしくお願いします。
あと、ゼルギウスファイルイベントですが、ゼルギウスはいつも在席とは限りませんので、進めていただいた場合はアンカーをおいてくださるとありがたく思います。
[部屋から階段までの距離。上るときの段の幅。上までの段数。それを覚えていても、杖無しでは難しくて。
2段上ったところで、躓いて膝をつく。
両手で先の段を探して、這うように上る]
無様だけど。……落ちる可能性は低いから。
[手をついて、膝を突いて、足を持ち上げる。時折、痛みがついた場所に広がるのはいばらの所為。
一番上までたどり着くと、その先、エーリッヒの石像のところまでは歩いて、座り込む。
倒さないように、体は預けない。
首を、こてんと石の足に傾けて、呟く]
今度は、一人で上がってきたのよ。
あのね。
先生も、しんじゃったの。
薬も見つかったのに。ヘリのドアも開いたのに。
助かる道筋が、見つかったかもしれないのに。
死んでほしくない人がいるの。
ううん、みんな、だけど。
でも、周りばかり、気にして自分の事は労わってくれないんだ。
[意識が落ちる。打たれた薬が回っているのか、抵抗する間もなく。程なくすると寝息を*立て始めた*]
[ユリアンはメデューサでは無かった。
それでも、死は、誰の前にも平等で無慈悲で。
理解していた筈なのに、身近で生き死にが展開されると心が痛むのは、泣きたくなるのは何故だろう。
傍に来て抱きしめてくれるライヒアルトの、温もりも優しさも、悲しみも。全部理解したいと動く左手で背中を撫で。]
優しい人。あなたの傷を癒やしてあげられたらいいのに。
[守られるだけじゃなく、守りたいと。強く思って唇を噛む。
駈け去るノーラに気づいて気になったけど、やっぱり追う余裕もなくて。]
[ライヒアルトに抱えられて、ヘルムートが救急箱を探るのをぼうっと見る。
名前を呼ばれて微笑む。かなり無理した笑顔だったけど。結局、言葉はくれなかったけど、気遣ってくれたのはわかった。]
ありがとう、議員。あたしは、あなたは自分の命を預けるに足る人と、思う。
[疲れてるから途切れ途切れ言った。長く傍にいたわけではないけど、見ていた時の行動で信頼に足る人だと、指導者に相応しいと理解できた。
こういう人がピューリトゥーイを投薬されていたら、とよぎりはしたけど。
ヘルムートを見てライヒアルトを見る。
自分になにかあったらライヒアルトを頼むとヘルムートに目だけで言った。通じてはいないかもしれないけど。]
[ダーヴィットは先に行った。
ライヒアルトに抱えられて三階を進む。途中会った人には会釈して。]
ゆっくりでいいから気をつけてね、ライヒ。あ、ゆっくりだと疲れるかな、あたし重いし。
[少しでもライヒアルトの気持ちを浮き立たせたくて、取り留めもなく話す。
休憩室の近くで、エーリッヒの傍に佇むノーラに合流すれば騒ぐのは場違いな気がして黙り込む。休憩室の中にはイレーネもいるし。
エーリッヒの傍を通る時、小さな声で]
ありがとう。
[と言った。]
[二階に下りると廊下でハインリヒとブリジットが話していたか。取り込み中みたいだから声はかけずに6の部屋へ。
床に下ろしてもらってライヒアルトにお礼を言う。
石化したオトフリートに黙祷して。
薬のアンプルをハインリヒが持ってるなら声をかけないといけないけど。]
薬って注射なんだ。
[眉を寄せる。]
怖いんじゃないけど。ね、ライヒ。注射、あなたが先にして。
[ライヒアルトの天鵞絨をじっと覗き見て。
見てないと自分は打たなくて取っておくのではないかと心配で。]
一緒に生きるんでしょ。
[ライヒアルトが先に注射をすれば、注射の針から目を逸らしながら注射を受ける。]
[注射を受ければ右手と下腹が熱くなって眠気が襲って来た。]
ライヒも少しでも休んで。
[ヘルムートの手伝いをする約束をしてたのを見たから言って。傍から離れるのは寂しいと思ったけど言わず。]
あたしはちょっと眠ってるから。
[床へ身を横たえる。踏まれるかもって思って苦笑して。今なら嫌な夢を見ないだろうと確信して。]
――、…ハインリヒ…?
[逃げること。
もう一度、繰り返される。
咳。止まらない。
少しだけ動かした顔。
視界に入る、首輪の数値、
身体はあたたかいのに。
崩れる音、微か。聞こえない。]
[去った彼を、上手く追えない。
手をまた伸ばせば困った顔をされたろうか。]
……――
[俯いた視界の先、
一粒 雫。 地面が濡れた。
残るぬくもりを確かめるように自らをきつく抱く。
*零れ落ちたのは 小さな小さな 嗚咽*]
……優しくなんかない。
[腕の中、捉えた声>>106には、小さく呟いた]
……自分勝手なだけだ。
[喪う事に対して募る恐怖感を押さえたくて、温もりにすがっているのを否定できないから。
癒せたら、という言葉。
何も返さない、返せない。
癒されているから、新たな痛みがこわい。
心の内、落ちて沈む、言の葉]
……俺に出来そうなのは、そのくらいしかありませんから。
[ヘルムートに礼を言われた>>71なら、苦笑しつつ、言って。
ナターリエの視線の動き>>107には、怪訝そうに瞬く。
途中、ゲルダとすれ違ったなら、力なく挨拶して、見送る。
説明は任せた方が早いと思ったし、何より]
……確かに、軽くはない。
土嚢よりな運び易いが。
[とりとめない話>>108。
軽い口調で返してはいるものの、重さの不自然さは感じている。
それ故に、多少、気は急いていた]
[途中見かけた、力なく見えるノーラ>>76。
気にはなれども、かける言葉はすぐには見つからない。
彼女が視て、知ってしまった事は知る由もなく。
それでも、先の出来事の衝撃は大きいだろう、と思ったから]
……あんたも、無理せず。
少しでも休めよ。
[ただ、それだけ言って。
途中、すれ違う者があっても、自分から声をかける事はせずに、集合場所である(6)の部屋へ向かい]
…………。
[石と化したオトフリートの姿。
天鵞絨を一瞬、見開くものの、今はその意を問うよりも、と薬を手に取る]
……一応、扱えなくはないが。
[本来専門外、とは。
言わずにおいた]
……先に、って。
[じっと見つめつつ言う、蒼>>109。
続いた言葉は、刹那に過った思考を見透かしたよにも思えて。
浮かぶのは、苦笑]
……ああ。
わかってるさ。
[苦笑は空白を経て微笑となる。
針を突き立て、薬を内へ。
感じる熱さ。
強くなる、目眩。
それらを押さえようとするかのよに、きつく、目を閉じた]
[沈黙を経て、目を開ける。
先よりは、大分身体は楽か。
ともあれ、落ち着いたなら、ナターリエにも注射をする。
目をそらしている様子には、突っ込みは入れずに小さく笑った]
……ん。
とはいえ、やれる事はやらんとな。
[休んで、という言葉>>110に静かに言って。
眠ると言って横になるナターリエに自分のジャケットをかけ、額に軽く、唇を触れる。
温もりが与えてくれる安堵を感じつつ、立ち上がると、実験室へと*向かった*]
─ 実験室 ─
[様々な装置が置かれた実験室に足を踏み入れる。
左手に生々しい表情を浮かべたまま立っている石像の側を通り、ぐるりと巡回。椅子に座って脚を組み、机の上に外したタイピンを置くと、疲労感とこみ上げる感情に少し目眩を感じた。深い息をついて、目を閉じる。
目覚めてからの様々な事柄が、冷凍装置に入る直前までの記憶が──走馬灯のように目裏を駆け抜けた。
ヘルムートの抑制バンドはシャツの襟に半分隠れている。
上等の生地のシャツ越しを少しだけはだけ、数値を確認した。]
──9%か。
このバンドはもっと増産出来たはずだと、
改良版を作る事も出来たはずだと、
私は当時と変わらず>>3:393、今でも信じている。
あの予算編成はおかしかった。
新党に移った直後に刺された──殺されかけたこの脇腹の傷が、何よりの証拠だとも。
[刃物が皮膚を突き破り、筋繊維を裂いてめり込むあの嫌な感触。あの時は、痛みと言うよりも、ただ巡りあふれだす己の血液の熱さに驚いた。恐怖、混乱、衝撃が無かったとは言えば嘘になる。]
私が、あのエールラーの息子だったから、
警告だけで済ませるつもりだったかもしれん。
[ぎゅ、と両手をきつく握りしめれば白む掌。
近くの扉が閉まる音―― 一瞬、びくりとした。]
…
[視た事を、誰かに伝えなければいけない。]
[漸く、その思考に辿り着いた。]
絶望を感じたのは、
メデューサの感染を知った時だ。
だが、この薬物のサンプルは、私の所へ送られて来た。
[ただ、この施設に持ち込んだ、送られて来た資料壊されていた事>>2:195>>2:821は、ヘルムートが居なくなった後を頼んだ者達が、上手くやれなかった、あるいは殺された可能性が高い事を示している。あの赤毛の秘書も──もしかすると。
首を振って、両眼を見開いた。]
……太陽は燃え続ける。
希望の炎は消さない。
喉が渇いた──水を飲んで。
二階の6の部屋にも一度顔をだして──。
ライヒアルトと、出来ればハインリヒやブリジッドにも。
ハインリヒやブリジッド嬢は、
石化病でなくとも、当時のプロジェクトと関わりがあった人間のはず。
-6-
[ブリジットに睨まれたところで]
[痛くもかゆくも]
[怖くもない]
[ハインリヒが出ていった]
[ブリジットがそれを追いかけていった]
[あの緑の子もいない]
───リーチェ?
[何処かへ向かっていく足音]
[ひきとめはしなかったけれど]
[嘆息]
[部屋には独りきり]
[壁によりかかった]
―階段―
[階段に向かうとノーラが眠っているベアトリーチェを抱き締めていた。]
(どうして)
[その問いに答えは送らない。
いや、答えなんて、ない。]
糸が…見えるって、きいたよ。
君と……その子から………
…そう。
[答えのない返事、続く問いに返す言葉は曖昧にして
唇を一度引いて、そして震える身体を堪えながら]
――…何を、していたの?
ベアトリーチェは、いい子だね……。
[そう微笑んでから……
ポケットにあるカードキーをノーラに見せる。]
ヘリのドアは、これで開くみたいだね。
─ 二階廊下 ─
[一階の水汲み場でハインリヒと出会う事はなく、二階6の部屋に入る以前。廊下にまだブリジッドが居たならば、ハインリヒの所在を尋ねた。それから──、]
オトフリートがどう言った経緯で死んだか
教えてくれないか。
三階で会ったゲルダには聞けなかった。
死者の声が届く彼女を辛くさせそうで。
[尋ねながら6の部屋へ]
─ 二階・6の部屋 ─
[二階の6の部屋に入るとライヒアルトがたち上がった所だった>>121。
ナターリエを起こさないよう、扉の近く呼び寄せ、]
実験室に来てくれるのか。
助かる。
と、私も部屋は見て来た。
実験室の建設当時、こちらに利用出来る予算は豊潤にあったらしい。
国から相応の予算がおりているプロジェクトだ。
当然と言えば、当然なのだが。
継続して相応の予算を確保出来る環境であったようにも見えるな。
[それは予算をおろす側、様々な施設に視察や講演会で訪問する立場だったヘルムートがライヒアルトに言った感想。続く言葉は、]
此処も奥は茨と蛇に浸蝕されている。
時間も専門知識も無いゆえ。
大した事が出来ないが、ひとつだけ──どうしても調べたい。
[目を閉じる]
[生き返ったのは右の腕]
[それから右の低下しかけていた視力]
[そういえば自分のカメラ]
[思い出して傍らにあることに気付いた]
[運ばれている時もきっと持ったままだったのだろう]
[苦笑]
[手繰り寄せて]
[電源を入れ]
[ファインダーを覗く]
[右腿で支えながら調整して]
[もう一度覗く]
[完全にカメラのレンズだけが今の視界]
[彼の笑みがどこか「怖い」と感じて
そう感じてしまった自分が――嫌だった。]
…
[繰り返される言葉、その意味は、…。]
この子に…何かしたら
―― 許さないわ。
[き、と少し鋭い視線を向けて彼を見上げれば、その手には]
…っ、…
[ひとつ息を呑む。あのカードがなければおそらく――]
―― 私に、どうしろと…言いたいの?
[ライヒアルトと金の髪の女が来たことには気づかないまま]
[じっとファインダーの中だけを覗く]
[流石に右手だけでは重く感じられて]
[ゆっくり左膝を折り曲げて]
[その上に左の肘をついて]
[カメラに添える]
[これはこれで丁度いい]
[硬化した左半身]
[三脚がわりになると思った]
[レンズを覗いてどれぐらい経ったか]
[かしゃり]
[シャッターを下ろす]
[切り取られる世界]
[自分を抱くように、緩く腕を組み
やはり少し俯きがちに。]
…― …
[ヘルムートが6の部屋へ向かうなら
後を追いながら話すだろう。]
――…ミスター・フェヒナーは
石化の進んだ場所の、関係か
…言動が、意味不明に、なっていて
まるで、こどものように、暴れていたの。
情緒不安定で、…あの、クスリの副作用のようにも見えましたわ。
[もう1人――既に1人は?どうしてその事が解るのだろう。
少女を襲わないと言う。信じていいか彼を視るのが怖かった。
繋がれた糸。それを知っているのなら、彼は自分も襲わないと言ってくれているのだろうか。ふとそんな疑問も過って、じっとダーヴィッドに見られれば、新緑は視線を返す。]
―― っ…
[自分で考えればいい。
けれど彼は言っていた。『時間が欲しい』。
現れた蛇を退治しようと、ユリアンの蘇生をしようと、蛇を怖がる私を抱き上げてくれた彼の姿が――脳裏を過る。]
[答えが―――闇夜の奥に沈んで 視えない。]
─ 二階6の部屋 ─
箱と一緒に溶解してしまった資料には、
『 結晶多形を解析すると
不完全でいびつではあるが、
ある星座の形が見える 』
──と書かれていたんだ。
結晶多形がどのような形で見えるのか、
専門家ではない私には資料から読みとれずだったのだが。
端的に確信には触れられないと言った書き方だった。
それが私には密告が真実に感じられたのだ、当時。
私達は、ピューリトゥーイ[のところで声を低くして]だけじゃなく。最終的にゼルギウスに対抗する──必要があるんじゃないか。
そんな風に考えているよ、ライヒアルト。
[そこまで言い終えてから、起きて周囲に居る者達の反応を伺った。出来れば、ハインリヒの意見も聞きたかったのだが、彼はそこにはいない。
オトフリートの石像に視線が流れた時、シャッターの音が聞こえた。]
―3階 下り階段前―
[こつ、と足に見覚えのある小さめの箱が当たった。救急箱。
その横に数人のカルテ――エーリッヒのものだろう。
それを丁寧に拾い上げて彼の書いた文字を視線で追う。
カルテはハインリヒに届けるべきだろうと考えた。いいでしょう?と石になった彼に一度目配せ。
ゼルギウスに繋がる紙の事も皆に伝えなければと思う。
けれど杖のないベアトリーチェをこのままにする事は出来ない。]
…誰が、何であっても
ここから生きて出たい
その思いは――等しいわ。
[彼の腰に巻かれたレイピアを「借りるわ」と言って取り上げて、眠る少女が目覚めるまで暫くその場にいただろう。**]
[ファインダーに収める]
[白い石]
[壊れた眼鏡]
[人でなくなったもの]
[撮ってみようという、興味]
───。
[もう一つ、シャッターを押した]
[誰かが入ってきたとしても左目は]
[だから音がなければ気付けない]
オトフリートはピューリトゥーイは投与されてなかった。
──で、合っているね。
ゼルダは何も言わなかったから。
[実験室へ急ごうとするライヒアルトに、すぐ行くから先に向かってくれと頼む。タイピンそのものではなく、実験室で薬物の半分を移したケースを手渡して。入り口の壁に寄りかかるように立っているブリジットに、]
ブルジット。
ハインリヒが行った場所に心当たりは?
[眠りは浅い。深く眠れないのは、闇に取り残される気がしていたから。
話し声が聞こえた。あたたかな、抱擁。
知っている声だった。
気付くと、声はなく、ただ傍に、ノーラの存在を感じた]
ノーラ、さん?
誰かと、話していたの?
[首を傾げる]
[ユリアンの死の経緯。
きつく眉を寄せると眼を伏せる。]
――無茶、しすぎなのだわ
[嗚呼。でも、蛇のこと頼まなければ、もしかしたら。
痛みの戻った手を握り締める]
―2F 6の部屋―
[暫しの、間があいて]
ハインリヒは
手を、怪我していたから――
治療、しにいったのでは ないかしら
[『…まだ、今は…大丈夫だよ。』]
…探しに行きますの?
[――過ぎる言葉。]
[そうだ、とおもい出す]
ねえノーラさん。どうして、大事な人ばかり、いなくなるのかな。
先生も、石になってしまったの。
止めたのに。あの場所を、どけなけれは良かった。
注射をするんだと思ったの。助けてくれるんだと思ったの。
なのに。
目が覚めたら、先生は石になってた。
[それでももう涙は出ずに、ノーラの手に触れて]
もう、なくしたくない。
だから。
エーリッヒさんの代わりに、私がノーラさんを護るの。
注射だって打って貰ったから、もうだいぶ平気なのよ。
動けるし、息だって詰まらないし、耳だってちゃんと聞こえるから。
[歩き出そうとして、杖がないことを思い出した]
杖、見つけられなかったの。下の部屋にあると思うんだけど、あんまり、部屋にいたくなかったから。
杖、取りにいかないと。
[ノーラの手を引こうと腕を伸ばす。
オトフリートのことを聞かれたら、気を失っていたから、何があったのかわからないといって、ハインリヒの名前を出すことは*しなかった*]
―1階・ロッカールーム―
[もしも誰かが探しに向かっていたのならば
ロッカールームで壁に凭れて眠っている姿があるだろう。
1階の水飲み場に立ち寄った後は直ぐに2階に戻らず、
探し物をしている間に眠ってしまっているようだった。
ロッカーは、幾つか開けたような跡…
それは何かを探していたような跡。
そう…ずっと探そうとしていた…けれども見つからない。
――――…写真と試薬の入った、*パスケース*]
アーベル。
[名前を呼んだ相手の大きな瞳、変容して鉱石化した左眼球に視線を注いだ。
それから、ブリジットに頷いた。]
そのファイルも気になる。何せ、ゼルギウスだ。
ハインリヒを、一階の医務室から探すなら、
ついでに車椅子を取って来よう。
アーベルをヘリに乗せる時、運ぶ者に負担が掛からない。
[話し声]
[声の矛先がこちらに向かう]
[何故]
さあ───なんでだろう。
[一瞬を切り取る作業]
───多分、呼吸と同じなんだと思う。
[息を吸う]
[ファインダーを覗く]
[息を吐き出す]
[シャッターを押す]
[カメラを下ろして]
[ブリジットを見て少し笑った]
───はい?
[男の声]
[視線をブリジットからヘルムートへ]
車椅子なんて、いらないよ
[肩を竦めた]
[時間を掛ければまだ]
[自力で動けるのだ]
[シャッターを切る。
その行為に、少しの興味
絶望と悲哀とを切り取る。]
……薬が効いたばかりなら
無理はするものではなくてよ
[廊下の先、1階へ通じる階段へ顔を向けた。]
───何か変な事言ったかな、俺。
[首を傾げた少女]
[レンズ越しの瞳]
[シャッターを切る]
面白くてつまらないものだよ───写真は。
[面白い]
[発見]
[つまらないもの]
[呼吸]
無理はしてないよ、少しも。
[だって呼吸と同じ]
―2階6の部屋―
[部屋に立ち寄ると、オトフリートがいた。
石となって……。
それに眉を下げ、黙祷をする。
きっと、この人は、この人のままで
だったのだろう。]
(そう、たぶん)
(僕のように怖がりじゃない…)
―衣装部屋―
[そして、6の部屋を後にして、衣装部屋に戻る。]
…………。
[そこに、振り向いてなびいた髪もすべて石になった彼女はいて……。
なぜか、さまざまな服が掛けられていたけど、
その前に座る。]
僕は……
君のことを何も知らない。
君も、僕のことを何も知らない。
そんな話はしなかったからね。
─屋上─
…このくらいあれば、大丈夫かな?
[頼まれていた保存食。
幾日か分を小分けしたものをヘリへと積み込んで。
水筒のボトルはちょっと重かったけれど。]
ここから出れば、きっとなんとかなる…。
[口にしたのは、単なる願望だとはわかっていたけれど。
それでも、この建物にずっと居るよりは、可能性が広がるのだから。]
だから、話をしないか。
[返事はなくても]
[胸から一枚、古ぼけた写真を出して……]
これが、僕の育った家だ。
[ぽつりぽつりと……。**]
─ 一階・ロッカールーム ─
[誰も、アーベルのあの大きくて零れそうな瞳になる事は出来ない。
写真は現像してはじめて、撮影者の視点を他者に伝えるものだ。]
随分、散らかって
──と、ブリジッド。
あそこに居るのは、ハインリヒじゃないか?
[そんな事をふと考えたのは、ヘルムートが荷物を探した時よりも更に物が散乱したロッカールームで、立ったまま眠っているハインリヒの姿を見付けた時。]
―1F ロッカー―
[手をのばして頬のあたりに触れ、
眠っているだけなのを確かめると
ほっとしたような表情を浮かべる。
それから、辺りを見回す。]
――何か…探して、
[“――俺のパスケースを知らないか?”]
[はたと、思い出し。
まだ開かれていないロッカーへ
手を伸ばし、探し始める。]
[ヘルムートはその様子をどう見たか]
[――自分の戸棚は開けていない。
荷物を先に見つけたから]
[Brigitte=R=Eglantier]
[文字盤。記憶の彼方。
あのとき、何があったのだったか。
押し込められ――奥にあったものを手にする。
それはパスケースか、*はたして*]
[ブリジットとハインリヒは、此処に来る以前からの縁だと聞いていたので、彼女がハインリヒ荷物を探しはじめた事そのものには驚かなかった。]
何か──重要なもの、か?
手伝って問題無ければ、手伝うが。
[ハインリヒに*問うた*。]
[オトフリートが石に変わった経緯を知る。
少女の言葉に、息が詰りそうな気分になる。]
えぇ…本当に。
神様は―――残酷ね。
[大事な人ばかり、消えてしまうのだろう。]
……っ、…どうして
なの かしら。
私にも…解らないわ。
[涙が零れ落ちそうな時、少女の手の感触に救われる。]
情けないわ…私。
ベアトリーチェに…
貴方の言葉に救われてる。
私も…貴方を護るわ。
エーリッヒの分も…必ず。
そして…貴方のお母さんに会いに行きましょう?
[手を引かれると立ち上がり空いた手で下り階段を導く。]
一緒なら…平気?
[オトフリートの事は問わなかったが
注射を誰かがして助けようとしていて
目覚めたら石という事は、ハインリヒが
何か知っているという事の推測までは出来た。]
―→2階 部屋6―
…アーベル、…
[ナターリエはまだ眠っているだろうか。
他に人が居ると思っていたが姿はなかっただろう。
部屋を見渡せばオトフリートの石像。]
……
[また知らない間に、人が石になってしまった。
既に病のせいではない死が訪れすぎている。]
あ、……杖、だったわね。
[落ちていた少女の杖を見つければ少女の手にそれを]
―衣装部屋―
[硬く、そのままの姿で石になってしまった女に話している。]
……そう、すべて、うまくいっているかに見えた。
仕事に誇りをもっていたし、信頼も受けていた。
だけど、悪いことが2回重なった。
ひとつは、自分のうちが焼けた。
誰も命は落とさなかったけど、
うちがなくなって……それを支えに生きていた祖母が、まるで枯れるように亡くなった。
いつでも、まるで花びんに生けたダリアのように優雅で落ち着いた人だったのに。僕は祖母が好きで、いつまでも、祖母はそんな人なんだって思ってたから、
だから、それがまるで焼けてしまった煤みたいになったのが、信じられなかったし、つらかった。
もうひとつは祖母が亡くなってしばらくして、
化学繊維工場の火事があった時、
きっかけは仲間のミスだった。でも命は落とさなかった。
爆発を受けて、火の中に取り残された。打ち所が悪くて、意識あるのに、身体はまるで動かなかった。
そんな僕を舐めるように火は襲ってきた。
結局は助けられたのだけど、僕は、そこで大事なものを失った。
僕は、火が怖くなってしまった……。
もちろん、そんな告白はしなかった。ただ、それまでじゃなくなった…。
周りは何もいわなかったし、気づいてなかったかもしれない。
だけど、僕は駄目な人間になっていった。
そして、メデューサに患ったと診断されたとき、
僕は思った。
ああ、これで、僕は焼け死ななくてすむ……。
火の中で死なずにすむんだって………。
[そして、立ち上がる。
それから、石像になった女性に口付けて……]
僕は、美しいものを助ける
そして、その人らしい姿で石になってほしい。
ねえ、狂ってる?
だって 人は、
いちばん輝いている時に、
そのままの姿でいるほうがいいと思わないかい?
[その場でしゃがんで、少女の手を握るように杖を握らせ
そっと、そっと静かに、囁くように少女へ問う。]
ピューリトゥーイ…の事、どう思う?
エーリッヒを石にしたのは、きっと…――彼ら。
[唇を緩く噛んで、赤いアルゴルを想い浮かべる。]
……
[空いた手に持つのはカルテと救急箱、そして小さな紙。]
(――…ペガスス。)
[紙を見下ろしながら、赤い髪の青年を思い出し]
お願い――…負けないで。
[病にも、薬にも。ふたつの意味を重ね呟き星に願う。]
―衣装部屋から一階ロッカールームへ―
[部屋を出た時、階下に向かう気配を感じて、そのままそっちに向かう。
そして、ヘルムートとブリジットがロッカールームに入っていくのを見た。
ポケットの中のカードキーを握りしめる。
そして、同じ場所へと足を向けた。]
……ツヴァイ?
[そして、ロッカールーム内にヘルムートとブリジット以外の人物を見るだろう。]
みんな、探し物か?
アーベル…皆は何処に行ったか知らない?
ゼルギウスに繋がるヒントを手に入れたの。
[顔を上げカメラを持つ彼に問いを投げるだろう。
この紙はユリアンが居なければ手に入らなかった。
それを無駄にしたくない。
何か、と問われればメモの内容も伝えるだろう。]
…ハインリヒに渡す物もあるし…
……
[カルテを見て、そこにダーヴィッドのカルテもあると気付く。ハインリヒのメモ書き、あの時の光景を思いだした。
彼が――赤星。「言わず」とも「印す」事なら出来る。
壁の茨で左手の指を刺し、ダーヴィッドの名前の上に赤い丸。]
…探して来るわ。
ベアトリーチェ…一緒に行く?
[遠く…鏡の先を見つめている。紺青の髪の男の姿。]
『―――…もう、疲れたんだ。薬は間に合わない。』
[寸分変わらぬ声でそう言った。]
『やってきたことは全て無駄だった…この病は治せない。』
[諦めきった、咳交じりの男の声。]
『どうせもう…助からない。』
[誰も、救えない。][俺も…お前も。]
[―――…ならば、いっそのこと…]
[鏡の向こう側、
紺青は虚ろを見つめて……その手で、首輪を断ち切った。]
[ただ一人を救おうとすることが、何故こんなにも難しい。]
『――…このまま狂えてしまえたのなら、どれだけ楽か。』
……お嬢さんが探してるのは、もしかして俺の荷物か?
そんな重要なものでもないし、あまり気にしなくても
…いいんだがね。
[ブリジットがロッカーを探す姿に苦笑が零れる。
先程掛けた警告は少女には届かなかったのか。
――…軋む音。赤く滲んだまま凝固した拳を緩く握る。]
…お前さんは。
何か用事があってここに来たんじゃないのか?
[手伝うというヘルムートには首を横に振って用件を促す。
用事はロッカールームにあるのか、それとも男にか。
言っている間にダーヴィッドも姿を現した。
少し、休みすぎたか…そう呟いて。
立ち上がると数度、自分のこめかみを小突いた。*]
―回想・3階―
[ノーラからダーヴィッドの事を聞くと納得したように頷く。
疑問など持たなかった。話の内容までは、覚えていなかったのだから。
情けないと、救われていると、言葉を聞くと少し俯いて。
「お母さん」という言葉に反応して顔を上げた]
だ、め。
ママは。ママは。
[何が、駄目なのかわからない。それでも、駄目だと思った。
憶えていたのはここに来て別れる時の家族の姿。ここに来るまでの、思い出。
思い出そうとして、やめる。無意識に思考が止まった。
手を引く。掛かった声に、寂しそうな笑顔を作った]
一緒なら、平気。少し、怖かっただけだから。
―2階・6の部屋―
[部屋に戻ってくると、ノーラから離れないようにして歩く。杖を渡されて、戻って来る慣れた感触。
ピューリトゥーイのことを言われると少し考えてから口にした]
×3ってあったから、3人いるのよね。
誰なのかな。
でも、薬に犯されてるだけで、その人は悪くないんでしょう?
その薬って、中和剤とか、ないのかな。
エーリッヒさんを誰がやったのか知らない。
でも、誰が手にかけたにしても、もう、エーリッヒさんは戻ってこないから。
[アーベルへみなの居場所を問う声。ハインリヒの名前を聞くと、一度だけ目を瞬かせた。少し、震えたのは肩。
一緒に行くかと聞かれると、何もなかったように頷いた]
─二階・(6)の部屋─
……何か?
[立ち上がった所にやって来たヘルムート。
呼ばれるまま、扉の傍へと移動する]
……確かに。
器材の揃い方もですが、資料用に集められた書籍を見ても、その辺りは伺えますね。
……調べたい、事?
[時間がない、と理解した上で、それでもなお、というからには大事なのか、と。
自然、表情は険しくなる]
……星座の形……ですか。
その形から、見えるものが何か……と。
[小さく呟いて。
続けられた言葉に、天鵞絨の瞳は宿す険しさを強めた]
……それには、俺も同意ですね。
仕掛け人が何を考えているにせよ、穏便に済ませられるとは思えません。
[むしろ、穏便に済ませなどしない。
そんな思いすら、感じさせる呟きが零れ落ちた。
同時、聞こえたシャッター音に瞬いた時には、険しさは大分薄れてはいたけれど]
……わかりました、では、俺は先にあちらへ。
時間の猶予がどれだけあるかわかりませんし、準備をしておきます。
[先に行ってほしい、という言葉。
容器を受け取り、一つ、頷く。
壁に寄りかかるブリジットには、軽く視線を向けて。
それでも、声をかける事はなく、三階へと]
中和剤…、…あるのかしら。
[眉を下げた顔が見られなくて良かったと感じる。]
―――…
[戻って、こない。 ずしりと心が重くなった気がした。
次に、ハインリヒの名に表情を明るくするのが見えた。]
…行きましょう。
[カルテと救急箱を片手に持ち、空いた手で少女が許すならその手を引いて部屋を後にするだろう。]
[歩きながらも巡らす思案。
この間、他の気配には意識を回せない、回さない。
それは、ここに来る以前から変わらぬ癖。
……それで大事故をやらかしかけた事が多々あるのは、余談として。
実験室の扉を通り過ぎかけ、慌てて戻り、中へ]
─ →実験室─
……そういえば。
さっきはいたが……また、いるのかね。
─実験室─
[幸いにというか、蛇の姿はなく。
安堵しつつ、鞄を下ろして必要そうな器材を見繕っていく]
……しかし、本当に物の揃いがいいな。
俺の研究室とは、偉い違いだ。
[専門の違いはともかく、と呟きつつ。
一通り、終えた所では、と一つ息をつく]
……だいぶ、落ち着いたとはいえ。
やはり、本調子には程遠い、か。
[小さく呟いて、久しぶりに確かめた数値。
薬を使う前よりは下がってはいるが、目覚めた時よりは確実に上昇していた]
二つ目は、やや私的かもしれない。
ハインリヒがm医薬品に詳しいなら見て欲しいものがある。
冷凍睡眠に付いた当時、何処かで開発されていた
医薬品の結晶多形解析>143だ。
密告とともに、私が受け取った。
似た物に、見覚えが無いかどうかを──。
ブリジットもだ。
石化病、ゼルギウスに投与された薬物
どちらかと何か関係があるかもしれない。
ライヒアルトに先に実験の準備してもらっている。
二つ目は、一つ目の後か合間でいい。
―二階、部屋6―
[額に落ちるぬくもりに、微笑みを浮かべ眠りに落ちて。
目覚めたのはどのくらい経ってからか。それ程長くは無かったかも知れないけど、夢も見ずにぐっすり眠ったせいか、頭がすっきりしていた。
身を起こし、肩から滑り落ちたジャケットを慌てて抱き留めようとして右手が動いたのに気づく。]
あ、あたし……。
[鈍い動きだけど、確かに。ライヒアルトのジャケットをぎゅっと抱きしめる。再び動かなくなる前に両手で彼に抱きつきたいと考えて、頬が赤くなった。]
また呆れられちゃう。
[今すぐ彼の傍へ行って抱きつきたいけど。邪魔をするのは嫌だった。部屋を見回すと、アーベルがいたか。声をかける理由もなく、ぼんやりと見ている。]
さっき、部屋を出てくるときにツヴァイさん咳をしていたの。苦しそうだったけど。
今は、どこに行ったのかな。
ブリジットさんも、一緒だと思う、けど。
[怖い。と思ったのは一瞬。オトフリートのバンドを切ったのが彼だと思っても、不思議と怒りは湧いてこなかった。
ノーラが行く方向へとついていく]
ここには、いない気がする。何も、聞こえないもの。
●業務連絡●
回復云々でいろいろあったみたいですが、村立ても気がついてない部分も多くてすみません。
各自、気をつけて、でも、やっちまった場合でも、まぁまぁ、大丈夫と許しあいましょう!美しいな。
あと、みなさん、なかなかお忙しいみたいですが、延長お願い、または休息のための延長要請などもご遠慮なく。
寒くなってきましたし、台風も大変そうです。
ご無理だけはなさらず…!
─実験室─
……それに、しても。
[動けるだけ動いたところで、ため息一つ]
……バカのわがままのおかげで入った道が、どこにどう繋がるのか。
わかったもんじゃないな……。
[小さく呟き、鞄の中からアルバムを取り出す。
開けば踊るのは鮮やかないろたち。
『黎明の紫』、『早朝の青』、『真昼の蒼』、『夕暮れの茜』。
それから、蕾の『宵の夜蒼』と、『夜天の紫黒』。
それらは、時間の変遷に伴う空の色の変化を映した庭を見てみたい、という。
夢物語のような願いのために手がけたもの]
[階段を下り、ロッカールームへと到着する。方向からそうだと判断して、ノーラに続いて中に入るとヘルムートの声が聞こえた]
ヘルムートさん、ここにいたのね。
ブリジットさんとツヴァイさんもみたい。
[ヘルムートが呼んだ名で、いることを知る。
後の二人はどこにいるのだろうと、耳を澄ませた]
―ロッカールーム―
>>192
[気のせいだろうか。ハインリヒの顔色がやけに悪く感じられる。そして、気がつかなかったが、ノーラとベアトリーチェの姿も端に捉えた。]
………。
[探し物はそれぞれに何でもないといった風だ。
しかし、この切迫した中、ロッカールームに私物を取りにくるあたり、
やはり、人間らしいものだと思った。
自分は荷物は写真一枚しか残っていなかったが、特に固執するものはなかった。]
……ダーヴィッドも、いるわ。
[彼の姿を見た時、視線が奪われ一瞬だけ身を引いた。
ヘルムートの言葉があったからか色あせて文字がほぼ見えなくなりつつあるメモを取り出して]
『ファイル名:ゼルギウス
――― パスワード:Pegasus』
[はっきりと読みあげるように伝えただろう。]
こうあったわ…
おそらくパソコンで何らかの操作をすると
ゼルギウスの事を知る事が出来るかもしれない。
>>200
[その後、ゼルギウスファイル、とヘルムートが口にした単語に振り向く。]
自分の名前をつけるファイルなんて、なんだろうな。
[考える。
プロフィールでも書いてあるのかというのか。]
[久し振りに訪れたロッカールームを再び見回す。
けれど、自身の私物どころかロッカーその物が見当たらなかった。]
…ハインリヒ。
体調は平気なの?
――貴方に、これを。
[ダーヴィッドのカルテは丁度真中辺りに来るようにしてそれを差し出した。渡す際に、一度だけ彼の紺青の瞳を真剣に見ただろう。]
エーリッヒの…ものよ。
彼が居ない今、貴方の力が必要なの。
どうか彼の意思を――汲んで。
ダーヴィッドさんもいるの?
[声が聞こえてくると、ほんとだ、と呟く]
パソコンのファイル?
自分専用って意味だったのかな。
あの研究室のパソコンよね?
なら、ゼルギウスさんはここの職員で、じゃあどうして今ここにいないんだろ。
研究室って言ってたよね。あの研究室のことだったのかな。
本人に聞けたら苦労は
しないんでしょうけれど…
[ゼルギウス。放送の声の主、薬の送り主。
『信じるな』。顔も知らない男の思考は霧の中のよう。]
解らないのなら
実際に行くのが一番。
>>210
[ノーラがハインリヒにカルテを渡す様子はふと横目で見つつ、]
>>211
[ベアトリーチェの問いには、腕を組みつつ]
……自分専用ってことだろうな。
職員は、他もいないからな。…………どこかに行ったか……
[そのあとの言葉、みんな石になったか…はあえて言わず]
――…ダーヴィ ッド。
[少しだけ声が上ずったが気にせず彼の方へ数歩寄る。]
貴方、病状は…どうなの。
最初から重いようだった、けれど…
実際に行くって、ゼルギウスさんのところ?
どこに、いるのかな。
[ノーラの言葉に考え込んで。
ハインリヒの声が聞こえたら、ぴく、と動きをとめる]
……。
[実際に何があったのかねわからない。アーベル辺りに聞けば教えてくれるだろうかと思った。それでも聞くことが出来ずに。
信じたい気持ちと、庇いたい気持ちと、何故、という疑問が、渦巻く]
[立ち上がってジャケットを羽織った。こうしてたら傍にいなくても抱きしめられているようで寂しさは薄れた。]
さて、なにしようかな。あたしにできる事。甘えるだけも守られるだけも嫌。
[決意を口にする。探索は多分終わってる。料理はゲルダが。]
…………やっぱり役立たず、あたし。
[がっかりとうなだれる。あちこち動き回って危ない目にあったりしたら、役立たずどころの騒ぎではない。]
戻ってくるの待ってよ。
[壁際に移動して座り直した。]
>>214
[ノーラからの話し掛けには少し意外そうな顔をしたが、その顔を見て……。]
ああ……よくない。でも、ずっと変わらない感じかな……。
発作の回数は多くなった。
うん、たぶん、今の状態だと
……長くないだろう。
[そう、
大丈夫とは、もう、言わなかった。]
――…っ
ねぇ、覚えてる?
[覚えてないのならもう一度、言うように]
私は…病が重い者に
手を伸ばす事を止めない。
[静かに伝え、心に決めたように言葉を続ける。]
それが…例え、誰であれ…よ。
――…負けないで、ダーヴィッド。
[ノーラとダーヴィッドの会話が耳に入る。長くない、という言葉に眉を寄せた]
あきらめてしまったら、駄目なのに。
だから、あきらめないで、ダーヴィッドさん。
[当てがあるわけでもなかったけれど。他にかける言葉が見つからなかった]
残念なことに、整理という単語は俺の辞書にはないもので。
[>>200確かに、少し散らかした感はあるが。
自分の感覚と人の感覚は違うのかもしれないと
ヘルムートに向けて肩を竦める。
あればいいと思った、けれども必要なものでもない。
…その程度のものだった。]
…休んだから平気だ。ちっとも探索に加わらなくてすまんね。
新しいメモが…ゼルギウス、の…パソコンか。
どうやら……この施設にはいなさそう、か…。
資料が見つかっても、肝心の特効薬が見つからなきゃ…
[小さな舌打ち。研究所、治しに…。
人数制限のかかった回復薬とヘリコプター。
どこまでも悪趣味だと、呟いて]
[>>207ダーヴィッドとも目が合ったかもしれない。
なんだと言いたげに軽く眉を上げてから、
ノーラ、ベアトリーチェに立て続けに言われる様子に
揶揄うような笑みが零れた。]
正直すぎるのも困りもの…だな。
や、薬を持つ側としては助かるがな。
回復薬はまだ余りがある。
きついようなら言うといい。
[>>217隠す様子をやめた姿は少し意外そうに、
そして少し訝しむようにダーヴィッドへ眉寄せて。
溜め息と共にそう処理するとまた咳。]
………それじゃ、三階へ向かうか?
ユリアン達は先にそっちで待機してるのか?
[代わりにお姫様を。
そう言って別れた青年の名を出して、階段へと向かおうとした。]
[聞こえてくるハインリヒの声]
(怖い。怖くない。でも、怖い。怖くなんかない。怖くないの。どうして怖がるの? 聞けばいいのに)
[回る思考。ここで聞いてもいいものか、と迷う。
優しかった、先生。その命を奪ったのが、 ――だなんて。
考えたくない。
一方で、それは逃げてるだけだと叱る。
では誰がやったのならいいのか――]
[ノーラの言葉を一瞬理解できなかった]
ユリアンさん、死んだ、の?
[どうして。病気ではなかったのに。
誰かが? それとも、蛇や他に何かいたのだろうかと考えて。
口元を押さえる。その場に座り込んで、両耳を塞いだ]
いっぱい、いっぱい。死んでいくの。どう、どうして。
さっきまでいた人が、ど、んどん。
やだ。
[最後にかすれるような声で呟く。涙が出るわけではない。
自分も、壊れてしまったら楽だったんだろうか。と。
それはやっぱり逃げで、駄目だと、思う]
>>218
[祈りを捧げる姿には、目を見開いたが……
また、穏やかに笑い……]
……ああ、そうだ。
君はそんな人だ。ノーラ。
[そして、>>219 ベアトリーチェの言葉も聴いてから、少し自嘲気味に笑った。]
そうだね、ベアトリーチェ。
[そして、>>223ハインリヒの視線に気がつくと…]
回復よりも痛まなければいい。
君も咳が治るといいな。
………ユリアンは………
[その先は>>225ノーラが告げた。]
なん…
[ユリアンが死んだ。
理解が、できない。だって…彼は、
――…石化病ではないのに…。
揺れそうになる、頭を押さえた。]
……なんで、
[問い返す声は、酷く掠れた。]
[メモを読み上げるノーラ>>208に、ああそれだと頷く。]
ゼルギウスのフォルダ。
石像の群れがどういう人達だったか。
それは、私も気になって石像を見ていた。
一部かもしれないが、一般市民が混じっている気が。
──否、我々も一般市民なのだが。
[ハインリヒの答え>>221に「カプセル内に持ち込んだ資料だ。協力助かる。」と短く答えてから。]
起こす相手の選定は、有りそうな悪趣味さだ。
冷凍装置に入る際、身元は割れて資料が残っている。
……ピューリトゥーイだったカルメンは、
以前から心を蝕まれやすい状態だったのではとゲルダは話していた。
嗚呼。
[改めて告げられるユリアンの死。溶解した金属塊、元はユリアンが作った金属細工の秘密箱があったロッカーを見る。ユリアンを巻き込む事を案じていたのは、何故か彼は助かると楽観的に信じていたからだ。それを思い知らされる。]
─実験室─
[ぱたむ、とアルバムを閉じ。
時間の空白を埋めるよに眺めていた過去を、鞄に放り込む。
待つ時間は、休息に宛てよう、と思った。
四肢は動くから、と。
半ば意地になって、ほとんど休まず動いてきた分の反動が、大きい]
……に、しても。
[不意に零れる、呟き]
…………静かだ。
[ここに来てから、妙に賑やかさに慣れてしまった気がして。
小さな声で呟き、静寂を押しのけた]
へ、び。
[ダーヴィッドとノーラの言葉に、繰り返す。
足音が傍によって誰だろうと思った]
あ、んなに。
元気だったのに。
―――…
[これ以上、ベアトリーチェがこんな風に
悲しむ姿を見たくないと思う。胸が痛んだ。]
っ…――
[ダーヴィッドが傍に行くなら、庇うように自分も歩み寄る。]
──ユリアンが死んだから。
我々が一階にいる間に更に減っていなければ、残り10名。
[その中にピューリトゥーイは2名。]
上がりながら話そう。
[問われた言葉。その言葉は、酷く誘惑的に思えた。
同時に、エーリッヒや、オトフリート、温かさをくれた人たちのそれぞれの手を思い出す。
逃げる、それは、その糸を断ち切るということ。
護るといった人を、護れなくなるということ。
護るには、自身が生きてなくてはならないから。
子どもだ、と思う。自分が生きてきた年月は、前にいるダーヴィッドの、三分の一ほどしかない。
だから、子どもでいいのに、と思う。
でも。
優しい人たちは、自分が生きることを願ってくれた。あの温かさは、確かにそこにあって、今も心の中に、ある]
……逃げない。
逃げたら、体も心も、石になってしまうから。
>>240
[ベアトリーチェの返事には笑みを返したが、見えなかっただろう。]
そう、じゃ、君に頼みがある。
これを持っていて、大事なものだから。
[そして、ポケットにあるカードキーをその手に握らせた。]
ヘリコプターに乗るまで、他の人にあげちゃいけないよ。
乗ったら、君の好きな人にあげるといい。
[横にはノーラがいただろう。そっちは見ずに…。託したあと、ベアトリーチェから離れる。]
私が逃げたら、ここで別れた人も、ここに来ることが出来なかった人も、――ママのことも、裏切る事になるもの。
[ここに、家族の中で入ることが出来たのは自分だけだった。でも、思い出してしまった。
母親も、同じ病に侵されていたことを。
ここに入ってどれくらいの年月がたったのか判らない。けれど、ここに入れなかった患者の辿る道は、ここの石像たちが示していた]
だから、逃げないの。
私、ノーラさんを護るって約束したもの。
[立ち上がる]
[ゆっくりと息を吸って、吐く。
ちかちかと、点滅は消えることがない。
ブリジットと目が合ったのならば警告を告げた時と
同じ笑みを見せただろう。こちらから近付くことはなく。]
…そだな。
[ダーヴィッドがベアトリーチェに向かう様子。
傍に寄るノーラ…その様子を眺めてヘルムートに頷いて。
ノーラにもらったカルテを軽く捲る。]
[手に掴まさせた形状を確かめる]
カード?
[ダーヴィッドの言葉の意味が判らず頷いて]
判ったわ。
[鞄の中へ仕舞う。ダーヴィッドが離れる気配がした]
>>239
そうですね。議員
[そして、ベアトリーチェから離れると、ノーラのほうが見ずに、階上に向かうヘルムートやハインリヒの後を追った。]
[ハインリヒの持病の話
ノーラの伝えるメモの話
――それからユリアンの死を改めて聞き、眼を伏せる。]
…―――
[制されて、それでも探した
紺青を流し見ることもあった。
あのときと同じ笑み。
じ、と見て――唇を引き結んで逸らした]
ー屋上ー
[吹き抜ける風の香りに目を細める。
眼下に広がる、どこまでも続く森。
送電線の鉄塔が続く以外、文明を思わせるものは何も見えなかった。]
[その翼は、希望と成り得るか。
用意されたヘリ。罠かもしれないけれど。]
でも…ここに閉じ篭って居るより、可能性はあるよ。
じっと隠れて助けを待ってる時間なんてないもの。
[階段に向かう前に、ロッカーに来る前、念の為確保しておいた車椅子に手を掛けた。アーベルには断わられたが、今後、石化症状の進んだ誰かが乗る事になるかもしれない。]
ダーヴィッド。
石化症状に加え、カルメンの事で参っているなら。
オトフリートのバンドを千切ったハインリヒも変わらない。
[とブリジッドに聞いた事を話す。ブリジットを再確認するように振り返りながら。]
少し休むと良い。
今なら、車椅子で運んでやっても良いぞ。
[そう言って冗談のつもりか、ダーヴィッドの額に垂れた髪を引っ張った。]
>>249
[ヘルムートにカルメンのことを指摘されると、一瞬、表情が強張った。
が、ブリジットからきいたというオトフリートのバンドの件をきくと、目を伏せて、小さく…そうですかと呟く。
が、次に言われた言葉に唖然と…]
ぎ、議員?いや、それは……
[そして、髪を引っ張られてややつんのめる。
離されると、急いで髪を整えて、ヘルムートに拗ねたような目線をとばした。]
[皆上へ行くのだろう、とノーラの手に触れた]
行こう? ヘリに、乗らなきゃ。みんなで。
[どうやって動くのかは良くわからなかったが。
ヘルムートの声>>249が耳に入って、やっぱり、と思った]
やっぱり、そうなんだ。
でも。
[どうして。切る必要があったのかわからずに。
誰が切ったのか判った今でも、憎む気持ちも怒る気持ちも湧かず、オトフリートへ心の中で謝った]
[ヘルムートの声にちらと視線を向け]
―――…身を守るためだったわ
[そう謂いもした。
ヘリに乗るという彼らへ着いていく。
手は握りしめられている。
爪をたてる。
痛い。
まだ――大丈夫だ]
ツヴァイさん、咳が酷いの。注射は、したの?
病気のせいじゃないって言ってたけど、でも注射はした方がいいのよ。
病気に変わりないんだから。
[前方を行くハインリヒへ声をかけた。
最初は少し、声が硬かったかもしれない]
−部屋6−
自動操縦───?
[きょとん]
[鋼の翼は]
[どこへ導こうというのだろう]
[じっとヘルムートを見て]
[彼はそのまま何処かへ行ってしまったけれど]
それはきっと型に当てはめようとするから。
[詳しくない]
[ブリジットの言葉にこたえる]
[カメラのレンズフードで]
[こつり]
[自分の目と]
[頭を示す]
見たままに、感じたままに。
[わらう]
そうすればきっと簡単。
[階段を上り、更に上を目指すのなら集合場所の部屋を一度覗き、アーベルも来ないかを問うだろう。ヘルムートは車椅子を差し出したのかもしれない。]
……
[ダーヴィッドを見ても何も言えないまま、ただ、少女の手を握る手に少し力が籠る。『時間が欲しい。』その言葉を信じたくて。]
暫くすると、少女と女]
[皆の行方]
───さあ、どうだか。
[周りを見渡した時そこにナターリエはまだいたのか]
何処かに、いった。
[ここではない、どこかへ]
[また彼女たちも何処かへ]
[自分も、ゆっくり立ち上がる]
[空を]
[細い階段をゆっくりゆっくり上がっていく]
遅いよー!
もう、必要そうな物はだいたい運んどいたからねー!
[屋上のドアが開くと、ヘリの所から手を振る。
無駄に元気にしているのは、立ち止まるといろいろ考えてしまいそうだったから。
何かしてる方が気が紛れるし、
なにより、立ち止まり振り返って囚われることを望んでいない気がするから。
…あの人も、あの人も。]
[ヘルムートたちについていく。
実験室に向かうなら、内容がよくわからないので、戸惑うだろうけど、横で見ているだろう。]
[ブリジットを見ていたので、ノーラの動揺には気付く事無く。拗ねたようなダーヴィッドの目線には、珍しくクと声を漏らして噴き出すように笑った。
それから、車椅子に目線を落とし──、更に視線を地面に落とす。
ゲルダは、意思の力で普通に振る舞っている中にピューリトゥーイが居るかもしれないと言っていたが。私は──、生きる意思がある者が、果たしてその種の投薬に適正があるものなのか?
カルメンの瞳の蒼のくらさ。
あの──退廃的な。
こうやって固まって歩いていても、誰かのバンドが引き千切られるかもしれない。10が9になったら、2/9がピューリトゥーイ。その人数比率であのヘリにのるのか。
瞳の色を透かす事が出来ない。
アーベルを置いて行く事を考えている事に気付く。]
─実験室─
[ぼんやりとした時間。
いつの間にか、うつらうつらとしていた]
……っと。
[目を開ける。
視界にかかる、霞は変わらない。
それでも、焦点が戻るまでの時間は短かった]
……ん。
待ち人、未だ来たらず、か……?
[人の気配がない事を確かめ、数度、首を振った]
―→3階―
[アーベルは部屋にはいなかったようだった。
解れば更に上を、自身はパソコンのあった研究室へと向かうだろう。ただ、足のせいか歩みは遅いものだった。]
大丈夫って言って、大丈夫じゃない人のほうが多いのよ。
でも、上?
[上とはどこのことなのかと疑問に思う。
6の部屋にアーベルはいなかったのだろう。シャッター音はなく]
アーベルさん、上に行ったの、かな具合、悪そうだったのに。
−直通階段−
[足音]
[きしきしと]
[まるで硝子に爪を立てたような音]
[ゆっくりゆっくり上がっていく]
[扉は上は閉まったままなのか]
[上を目指している感覚はあるけれど]
[ひかりはないまま]
[ノーラのアーベルへの呼びかけに目をあけて、ゆっくり立ち上がって最後尾についていった。]
ふわぁ。
[欠伸が零れる。ジャケットを抱き寄せて、ライヒアルトが寒くないか心配した。]
ノーラ。
[一度歩みを止めて、立ち止まる。
カルテの意味、渡した彼女ならわかるだろうか。
ダーヴィッドに訊いたほうが早かったかもしれないけれど。
赤丸の真意に気付くことなんてできずに呼び止めた。
他の者達が振り返るようなら、先に行くよう促して]
[部屋の奥から、音を聞いた気がした]
? 風の、音?
[わからず、手を引かれるまま3階へと上る。ダーヴィッドのいた研究室へと、ノーラの足を考慮して、ゆっくりと歩いた]
[空気が動く音がする。
―――風の気配。
6の部屋に既にアーベルの姿はなく。
――見たままに、感じたままに。
ふと自分の手に視線を落とす。
白いいばらの花はぽつり、ぽつりと道行きに現れた。
ノーラ様子が何処かおかしく見えたが、
尋ねる前に彼女はハインリヒに呼び止められる。
肩越し振り返るが
促されれば先へと。
ゲルダの元気のよい声が聞こえた]
……備えあれば……かしらね
―――…?
[ノーラの言葉、端的な言葉に眉を寄せて。
――…視た。自分もそのようなことを言われていた。
星詠みのことか…視界が、ぶれる。]
…こいつ…の、ことを、か?
[それを記したのはエーリッヒではなくノーラ自身か。
こめかみを押さえながら問うように。それから、
…ピューリトゥーイ…?自問するように単語を呟く。
また、咳が零れた。]
−屋上−
[きし]
[きしきし]
[階段を上がって]
[どれぐらい時間をかけたか]
[突き当たりの扉を押して]
[風を感じた]
[目の前にある]
[鋼鉄の翼]
───。
[瞳を眇めて]
[写真を撮る]
[余りぼんやりしていても、と。
半ばうろ覚えの状態ながら、ゆっくりと、作業に手を着ける]
……やれやれ。
交換条件の手伝いの記憶が、役に立つとはな。
[準備した、解析器材は覚えのあるもの。
以前、同僚の研究を手伝った時に使ったものだった。
その時の、仕様マニュアルの写しはファイルの中に残っていたから、それを横に開いて置いた]
[紺碧を見つめる瞳を逸らす事はなく頷いて肯定する。]
……時間が欲しい、と
いわれたの。
[声が揺れる。喉の奥から上手く空気が運ばれないようだった。]
…だから、それまで
「黙って」いるべきか
迷って…、…。
[そこまで言うと、辛そうな面持ちで視線を逸らし下へ。]
[ノーラの傍に寄り添ったまま、ハインリヒの言葉を聞く。カルテに記された赤。
一瞬何のことかわからなかった]
視た……?
[誰かが躓いたらしい音。ナターリエの声が聞こえただろうか。そのまま足音は過ぎ去って]
─実験室─
[動き出すのと、声をかけられるの>>278とは、どちらが先か。
一度手を止め、いいえ、と首を振る]
俺も、薬の解析は以前同僚に付き合わされてやった程度ですから。
……植物の組成分析なら、専門ではあるんですが。
[冗談めかした口調で返しながらも、作業を進めて]
――――……
[眉を寄せて、頭を押さえた。
カルテに書かれた名…ダーヴィッド。
彼が――…イレーネを。
エーリッヒを…殺した?
信じられない。だって――…緩く首を振って。]
…星が教えてくれたのか?
[ノーラへ向けて。
少し訝しむような声。
―――だって。 また…、…]
……本当に?
[ダーヴィッドが休んでいる様子に、少し安心する。]
流石だな、園芸家は。
[ヘルムートに取ってそれは、プロの料理人の手並みに舌を撒きながら手伝い、最後の仕上げだけを作らせてもらう料理のようだった。未知の領域の。]
私だって、しんじたく ないの。
彼を信じたくて…視たのに そのはずなのに…
[今までだって、ずっと、ずっとそう思って視てきた。
ぐず、と一度鼻を鳴らしてざわつく心を鎮めようと
傍にいるベアトリーチェの肩を寄せようと手を伸ばす。]
…そう。
深く知ろうと眼を凝らせば、「視える」の。
星の色で…教えて くれるわ。
[星に喩えるように伝えてくれる。
パソコンでみた薬品の情報を思い出し、言葉を続ける。]
私は…おそらくシャーマティートを投与された…
[ヘルムート達の後に続いて実験室へ。]
あ、ライヒ。
[無事な姿にほっとして、笑顔になるが顔をひきしめる。]
ちょっと失礼します。
[空気を読まずライヒアルトの傍へ行く。ジャケットを脱いで彼に返した。ずっと着てたから移り香がついている。]
ありがとう。おかげで良く眠れた。
[ぎこちなく右手を使っているのをライヒアルトは気づいたか。
そして周囲を見回す。]
邪魔なら出て行きますけど。
[ダーヴィッドにはこちらも軽い礼を返して]
……このくらいはできないと、仕事自体がこないもので。
[さすが、という言葉に、冗談めかした口調で返す。
『園芸家』の部分を他の言葉に置き換えなければ意味の通らないやり取りは、聞く者に何を思わせるか]
……さて。
結晶の作る星座とやらは、如何様なものですか。
[やがて、表示される、それへと。
向けられる天鵞絨は、険しいもの]
[ケホ、ケホ…緩く首を振った。
元々占いの類を信じていなかったからかもしれない。
だって、彼女が言うには自分は…、
けれども、自分は――、揺れる。眸を目蓋の裏に伏せて]
待ってる間 に、また…
誰かが 死ぬかも…しれないのに。
[エーリッヒだって…。
ノーラに感じたのは少しの憤り。
実験室の方を仰いで]
…訊いてくる。
[訊いて、もしもそうならば―――]
―実験室―
[ライヒアルトとヘルムートが何かしているのをぼんやり見ている。
そして、ふと、考えた。
きっと、ノーラも、そして、もし、僕がそうであると知ったら彼らも、
僕を殺したくなるんだろうな、と。
当たり前だ。
イレーネ、エーリッヒを石にして、カルメンを殺したのは僕だから。]
……っと。
[呼びかける声。
天鵞絨は刹那、険しさを和らげる]
ちゃんと、休めたなら、よかった。
……お前も、無理してただろ。
[軽い口調で言いながら。
右手のぎこちなさには、ほんの少し、天鵞絨を細めて]
大体は終わってるから、邪魔にはならんだろ、多分。
[肩が茨の絡まる石壁に触れる]
[痛み]
[眉をしかめる]
───、っは。
[目を閉じる]
[息を吐き出す]
[無茶をしたつもりはないけれど]
[そして、心の中で呼びかける。
ノーラとベアトリーチェには手を出さないでほしい。
それをきいてくれるかどうかはわからないけど。
約束したから。]
[結晶多形は、簡単に言うなら、その医薬品固有の成分を表わすもの。目の前で機械が、解析した数値をワイヤーフレームで立体図形を描いて行く。密告に添えられていた通り。
それは、確かに──ある星座を描いていた。]
…――
[誰かが、死ぬ。]
[もしそうなったら、殺したのは私だ。]
…えぇ。
[解っている。
だから、こんなずるい方法を取ったのだ。
自分が酷く、醜い。]
……
[訊いてくると、その言葉に何も動けない。
まだ、心の奥で――彼を信じたいと思う心が、いたい。]
[議員とライヒは何か話しているだろうか。
もちろん、呼びかけはせずに、ただ見守るだけ。
手も出さない。]
…………
[ふと、仲間からため息をつかれるけど…。
返事は返さなかった。]
聞いて、どうするの?
[口をついて出た言葉]
本当の事を言うかどうかわからないのに。
ううん。
本当のことを言ってるつもりで、嘘をつかされてるかもしれないのに。
待ってる間に、誰かが死ぬかもしれない、なんて。
じゃあ、どうして。
[先生を――。言おうとしてやめる]
[ヘルムートとライヒアルトに邪魔じゃないと言われて微笑む。ダーヴィットがぼんやりしてる様子は目の端に映って。彼も疲れてるんだろうと思った。]
無理してたかは休めばよくわかるね。ライヒもこれが終わったら休んで。傍についてるから。
──これは、
[息をのんで、まず作業の大部分を的確にこなしてくれたライヒアルトの顔を見た。無意識に残りの薬物が入ったままのタイピンを握る手が震える。]
[目を閉じる]
[息を吐き出す]
[ゆっくり目を開けた]
[足音]
[聞こえる]
[カメラを空に向けた]
[上手く撮れるかわからないけど]
[本当はいいたくないのに。
大事な人。護りたい人。それは、糸で繋がった存在だけではなくて。
だから、知っても憎むことが出来ない。責めることも出来ない。
何があったのかは、彼にしかわからないのだから]
……休憩なら、動く少し前に取ったから、大丈夫だ。
あんまり、のんびりともしていられんだろうし……。
[ナターリエには、苦笑しながらこう返し。
ヘルムートから向けられる、視線と、彼の様子とに。
自然、居住まいを正していた]
うん、計器類は生きてるし、燃料も入ってるみたい。
[操縦席を覗き込んで確認する。]
ほら、ここ…AUTOMODEって書いてある。
でもまー…機械はさっぱりわかんないんだよねぇ。
[たはは、と肩をすくめて。
シャッター音が響くと、そっちへ目を向ける。]
アーベルさん、そっち上ってきたの?
階段急だったっけ。お疲れ様。
[かしゃん]
[シャッターを下ろす]
[ファインダーの中に、少女]
───ええ、と。
[誰だっけ]
[名前を未だに知らない気がする]
[向こうはこっちの名前を知っているらしい]
[首を傾げる]
私は、気を失ってたんだから、何があったのか知らない。
どうしてって思うけど、責めてるわけではないの。
こぼれた命は拾うことが出来ないんだもの。
先を見て、歩いていくのが、大事。
だから。
空…?
[青空へと向けられる、アーベルのカメラ。
釣られて見あげると、数羽の鳥が横切っていった。]
あ、うん。もう少しかかるの?
じゃあ…中で待ってたほうがいいのかな。
ライヒアルト=ファルベ。
──感謝する。
解析結果の画像を皆に見せる為には、研究室のPCから出力する必要がある、な。
[執着していた事の一つの達成に両眼を輝かせ見開いたまま、続いてダーヴィッドを振り返る。]
ダーヴィッド。
これが何の星座か、わかる だろうか?
[問うてから、ダーヴィッドが酷く遠い所に居るように見えて、眉を寄せた。伸ばした手が──ダーヴィッドの肩へ触れる。]
───鋼の翼。
[ブリジットの言葉]
[ファインダーをのぞいたまま答える]
[空]
[茨]
[プロペラ]
[白い花]
[ゆっくり、カメラを降ろして]
[視線を水平の高さに戻す]
……
[ベアトリーチェの手を優しく握る。
そうすると伝わってくる気がした。
自然と伝えてしまう気がした。
それでも、少女の手を握って]
貴方は…貴方が思う道を歩んで。
あ、
[ヘルムートに肩を叩かれて、夢から覚めたような顔になった。]
ああ、星座ですか?
いや、そういったものには……無粋で……。
いえ、お役に立てたなら何よりです。
[礼の言葉。
居住まいを正して、こう返す]
……そうですね。
ここだと、データ表示と保存しかできないようですし。
[出力、という言葉に頷いて。
保存のための作業に取り掛かる。
ダーヴィッドの様子には、その時ようやく気づいた]
[零れた命が重すぎて
前が見えなくて
一本の糸に
縋るように
今、此処にいて
脅えながら
生にしがみ付く事で
他すら見えなくなっていた。]
…っ
[目を覚ませと――]
ツヴァイさん、咳……。せめて、鎮痛剤とか、飲まないと。
嫌がるアーベルさんに薬を飲ませたんだから、ツヴァイさんだって飲まないと不公平だよ。
[手を伸ばす。届いただろうか]
……寝顔って。
あの、な。
[思わず、口をつくのは呆れたような声。
先ほどまで沈んでいた静寂とは、真逆の状態。
それが、心地よいのもまた、事実で]
……それはそうと。
この形って……何座に、見える?
[星の知識はなくはない。
だから、ある程度は絞り込めるものの。
歪みのためか、特定には至らないから、意見を求めてみた]
[断ち切った首輪] [如何して] [どうせ助からない] [治ったのに]
[[―――…歪む音と共に崩れていく。侵食されていく。]]
[ミヒャエルも] [諦めきった声] [もう長くない] [無理やりにでも]
[[自分が…意思が、鏡の中に置いていかれる]]
[救いたいのに] [少し休めば] [この手は] [目の前で石に]
[[―――――…否、]]
[危険かもしれない] [回復薬] [面白がっている] [奪いとった]
[[抑えきれない 衝動]] [[此方が自分の本心?]]
[護りたい] [何故] [生きて欲しい] [こんなにも難しい] [約束]
[[――――…もう、わからない。]]
[戦慄いた唇は、二人に にげろ…と伝えたかったのかもしれない。]
[もう遅い。]
[男の伸ばした手は、ベアトリーチェに伸ばされて]
[ダーヴィッドの顔を至近距離でじっと見詰めた。汗をかいているはずの相手の額は冷たくて熱い。疲労している時の人間は、意識が一分未満の時間で飛ぶ事はあるだろうなと思いながら。]
実は私も天文地学は疎い。
まったく異分野の経済解析図なら分かるんだが。
案外女性のナターリエの方が?
[ダーヴィッドに肩を貸そうとする。]
[扉は軋んで開き、
風は城の中に吹き込んでいく。
空は藍。内へ向けて煽られる亜麻色、翻る裾。
白い花がひとひら舞う。]
……、――っ、
[――ロッカーで手にしたものを抱きしめる。
ぱあん、――と、何処かで音がした。]
…何?
[訝しげに、足早に其方へと向かった。]
…ゼル、ギウス。
[敵か、味方か。
判らないけれども、その人がキーになっているだろうことは確実で。]
うん、いこう…
あ、アーベルはどうするの?
ハインリヒ!!
何をしてるの!!!!
[突如、視界から少女が消えて、そこに―――]
その手を…離しなさいッ!
[ハインリヒの身体を少女から離そうと手を伸ばす。]
>>324
[少し、額に手を当てて、じっとする。
過ぎ去っていく感じ……]
いや、大丈夫です。議員…。
[それでも、肩を貸そうとする手に少しよろめいた。]
ちょっとかけます。
[そして、近くにあった椅子に向かう。]
疲れているようで…。
なんか呆れられてばっかり、あたし。
[左手で頭をかく。
星座と言われて目を細めて見る。]
……ペルセウス座、に、見えない事もない。
[呆れられてばかり、という言葉。
データの保存具合を見つつ、くく、と低く笑う]
……と、言うかだな。
最初に話した時から思っていたんだが、突っ込みどころが多すぎるんだよ、お前は。
[それは多分、意識の隅に引っかかり始めた理由の一つ]
……ペルセウス……ね。
それが一番、近いか。
[ケホ、ケホケホ…ケホ 肩を震わせて。
咳が止まない。
それは、哂い声のようにも聴こえたかもしれない。
ノーラの声も、届かず]
[押さえつけた少女の喉元、首元のベルトはまだ外さずに。]
[虚ろな紺青が、ただそれを見下ろしている。]
[降りていったブリジットの鋭い悲鳴。
慌てて転げるように階段を駆け下りる。]
…っ、なにしてるの!?
[取り押さえる自信は無い、ならば…と研究室の方へと走る!]
誰か来て!!大変なの!!ツヴァイさんが!!!
[星のひとつを指差す。]
これ、アルゴル。明るさが変わる不思議な星。星座でペルセウスが持つメデューサの目と言われている不吉な星。
[思い出しながら口にし、ダーヴィットの呟きになにか階下で騒ぎが起こってるのに気づく。]
………下、かな。
[不安な顔。]
[駄目だ、駄目だ
どうして いけない いけない――!!!]
ハインリヒ!!!
[そのまま、抱きつくようにしがみつこうとした。
虚ろな紺青。いばらがざわめく。
白い花が、開いて。]
[ダーヴィッドに薬物に関する経緯を話している間に、データの保存終了を知らせる機械音が実験室に響いた。瞬きをする。その時の部屋の中は奇妙に静かだった。]
ペルセウス。
印刷して他の者にも見せよう。
[ナターリエに、答えた。]
ダーヴィッドは、
研究室に印刷に行く間、此処で休んでいるか?
今は、蛇も随分片付いて──
[大きな音が響いて来る。それから誰かが駆けて行く慌ただしい足音。]
[示される解析図上の星>>338。
そこを基点に組み立てたなら、それは形を結ぶ]
……どうやら、何か騒動がおきたようだな。
[飛び込んできたゲルダの声>>337に、は、と一つ息を吐いて]
とにかく、様子を見に行くか。
……荒事は、専門じゃないんだが。
───そう。
[大きな音]
[ブリジットの残していった言葉]
[笑う]
飛べると、いいね。
[追いかけるには]
[身体が追い付かない]
[もうひとつ]
[姿が駆け抜けていった]
[ゆっくりゆっくり]
[そのあとを追いかける]
[追いかけているには思えない早さ]
[保存データを素早くポケットに仕舞い、廊下へ。]
おまえは、後からゆっくりで良い。
ただし、石化病の進行で動き難い事で、
自分を責めるな──。
[よろめいて椅子に座ったばかりの赤毛の男には、そう言って。]
……否定、できるのか?
[ボケみたいな、という所にはきっちり返しつつ。
行こう、という言葉に頷いて走り出す。
部屋を飛び出し、向かう先。
目に入る光景に、天鵞絨は険しさを帯びた]
[押さえつけられる。強い力。咳き込む声]
ツヴァイさん?
私を、殺すの?
だ、め。
[色んな声が、聞こえた]
私は、殺されるわけに行かないの。
それがツヴァイさんでも。
目を、覚まして。
[護りたいんだ…。]
『壊れてしまえば。』
[相反する気持ちは]
[どちらも男にとって本当のもので。]
[ベアトリーチェのベルトに指先が引っかかる。]
[知っている。――男の力で強く引けばそれが外れること。]
[ライヒアルトの突っ込みに言い返せず。
騒ぎは三階の休憩室から研究室へ行く途中で起こっていた。]
ツヴァイ、なに、一体。まさか、ピューリトゥーイ、
[ハインリヒがそうではないと結果が出ている事は知らないから、ピューリトゥーイなのだろうと思った。]
>>346
議員……
[言われていることが図星で、何も言い返せなかった。]
[そう、こんなんじゃ、今は誰も、僕では石にはできない。
飛び立たせるのは無理だ。
少しだけ、休むよ……
仲間に囁きながら……。]
駄目よ、 駄目、
[だめだ。それは。だめだ。
ちがうのに。ちがうのに。ちがうのに!
声が震えた。
だめ。そんなことをしたら、ころされて
いやだ。いやだ。おねがい]
ハインリヒ…!!
[腕を抑えるような格好。力にかなうか。どうか。
ベアトリーチェの手が伸びていくのが見えた。]
─ 廊下 ─
[最初に扉に寄り掛かっているゲルダを見付け、それから彼女が示す先に目を向けて、ハインリヒがか細い少女の喉に手を掛けている、その光景に目を大きく見開く。]
ベアトリーチェ!
[小さな、白い花が空を舞い、ヘルムートが居る場所に流れて来る。]
……っ!
[絞められた喉元。熱くて、痛い。バンドも、それに掛かる指先も、見えない。
それでも、首を絞める男の心は、視えた気がした]
こ、ろ、さ、ない、で。
あ、な、たと、あの、ひと、の、ため、に。
[口で形を作る]
―――…殺すんじゃない。
…助けるんだ。
[虚ろな紺青はベアトリーチェを映して、映さず。
そう――…あの時は。ミヒャエルの時は…。
できなくて、自らの手で 断ち切らせてしまったから。
今度は…今度こそ。救わなくては。救わなくては。]
[救わなくては。]
…リーチェ、 ごめん な…。
[背中の重み…誰の ものだろう。振り返ることはできない。
振り返ったら…男は、ベアトリーチェに ゆっくりと囁いて]
……それはわからん、が。
普通と言うか。
……正気には、見えんのは確かだな。
[ナターリエに答えつつ。
舞い散る白に、天鵞絨を数度瞬く]
……花?
なんで……。
[先に、通ったときにはなかったはずのもの]
−3F−
───ッ、何。
[ゆっくりゆっくり]
[遅れてやってくる]
[カメラは手放さないまま]
[息は上がらないけれど]
[上がるほどの速さではなかったし]
[漸く]
[辿り着いた渦中の場所]
[いばらは惑う 惑う
呼応するように 揺れている
花は咲いているのに
いばらが舞う]
アルドルフ!!!
[叫んだ。
抱きついた腕、頚に回すようにして]
やめ ―――なさいッ。
[彼をこうしてしまったのが
私の重ねていく罪なら]
……ッ
[苦しい。息が詰まる。
それでも―――彼がその手を緩めないのなら
腰に手を伸ばしてレイピアに手を掛けた。]
い、きてる、から。
くるしい、。
いき、てるから。
たの、しい。
いきてる、から、うれしいの。
――死んだら、楽になれるなんて、嘘。
[最後だけ、ようやく声になった]
[きゃあきゃあ騒ぐのは自分の役目ではないから、叫んでしまわないように唇を噛んで。
動ける時にいつでも動けるように冷静にいられるよう努める。ライヒアルトの言葉に頷く。唇を噛んでいるから答えは返せないけど。]
ナターリエは下がれ。
ゲルダと一緒に下がって──。
危ない。
[ゲルダとナターリエを後ろにやや押す形で、彼自身は前に進む。舞い散る白い花が視界を遮り、ハインリヒの手元が隠れる。目の中に飛び込んできた花弁に、片目から生理的な涙が流れ。]
──…ッ
……これは……。
[いばらの舞、白の舞。
何かに呼応するように、何かに揺らぐように。
意思を持つが如き動き。
あり得ない。
過ぎるのは、そんな言葉]
……何かに、反応……いや。
感応でもしてるってのか、こいつら……?
[それが何かは、わからない、けれど]
[それでも現場にたどり着く事は出来る。
真っ紅なのはノーラのワンピースの色。
紅が透ける真白い花弁闇の中、誰かの腕を掴んだ。]
一体…何が?
[問うても返事はもちろんなくて……。
立ち上がって、胸の苦しさがとれてきたのを確認してから……様子を見に行こうと歩き出す。]
……そうだと、したら。
[そうだとしたら、何に。
過ぎる、疑問。
何がこれを起こしているのか。
消えた資料。
黄金と白銀──陽と月を模した薔薇を生み出すための。
それとこれとは関わりあるか、否か。
横道にそれかかる意識、それを現へと引き戻すべく、ふる、と首を振る。
揺れた黒の髪の上、舞い落ちる、白]
[花びらが舞う。少女の眼にそれは映らない。
伸ばした手の先、首を掴む腕に触れる]
だ、め。
だめ。
楽に、なんて、ならなくていいの。
生きるために、私はここに来たんだから。
す、き、だけど、殺されてなんて、あげない。
[バンドに掛かる指を引き離そうと指に触れる。いつか握ってくれた、大きな手]
みんなで…ここを出ると
言ったのは…誰よ、――っ。
[震える手、柄に手を置いたまま止まる。
このまま彼が――なら、私は――。]
私は、…生きるの。
生きたいの…。
[ベアトリーチェの触れる手、握り返すように指先丸めた。
このまま引けば、首輪は外れて少女は石になる。]
[虚ろは少女を見つめたまま、少しだけ哀しげに眸細めて]
[閉じた眸と共に、指は少女のベルトを引き千切るだろう。]
[触れたのは、ベアトリーチェのか細い腕。ハッとして、どこまでも、どこまでも降り積もる白い花を掻き分けようとした。
ハインリヒがベアトリーチェの首を絞めているのか、バンドを外そうとしているのか、それも見えないのだ。
──ハインリヒの首のバンドを。]
[ケホ]
[ケホ]
[ケホ]
[続いた三度のくぐもった咳は、]
[誰かの名を呼ぼうとしていて。]
[それは、背にいる少女には伝わったかもしれない。]
[生きてほしかった。死なないでほしかった。
死にたくない。生きると誓ったばかりなのに。
逃げないといったのに。
どうして彼が自分を殺そうとするのか
判らずに]
や、。
[精一杯の抵抗を試みる]
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