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[牧場にざわめく人の声
微かに漂う、果実の香り]
こんにちは、ベリエスさん。
……どうかなさったのですか?
[牧師の仕事は、祈ること。
死者の旅路を、照らすこと。
与えられた仕事があれば、それを行います]
牧師さまの色はその色なの?
見えないのは、そのせいなのかしら。
〔ぱちくり、今度はアナがまたたく番。
じいっとじいっと、花の色を見つめている。〕
森から採ったみたいな色。
闇を切り取ったみたいな色。
光を押し潰してしまう色?
〔最後の一言は尋ねるようにして、ドロテアを見上げた。
めぇ、
フリーの鳴き声は、ドロテアみたいに、ちょっぴり震えていた。〕
[おじいさんは、牧師に手を振り返して言いました]
旅人どのが、のう。冷たくなっとるのが見つかったんじゃあ。
ありゃあ、人狼の仕業ではないとは思うが……。
[おじいさんはまだ、ルイを手に掛けた人を知りません。
うすうす感づいてはいたのですが]
[ドミニクの答えには人の死に立ち会ってきた重みが感じられました。ゼルマがそう思っただけかもしれません。]
ええ、そうね。本当にそんなものが居るならまだ残っているはずよ。ルイさんがそうだとしてもまだ一人というか、一頭?
アナはそんなに変わってないと思うわ。変わったことは言うようになったけど、目が、変わってない。
それとね、羊たちが懐いているの。ヴァイスも怖がらない。むしろ今のあなたの方が血の匂いがして引き気味なくらい。アナとドミニク、あなたの二人は人間だ思うの。
[こんな他の人を疑うようなことを話して良いのだろうか、と思いました。そしてまた、本当のところ人か獣か分からないドミニクにこのような話をしてよいものかもとても躊躇われました。
でも老婆は長年そうして生き抜いてもきたのです。]
……ルイさんが、冷たくですか。
[牧師の口調には、あまり驚きの色がありません。
先刻、少女から聞いた話のせいでしょう。
こころの欠片は、どこにある?]
それで、ルイさんのからだはどこでしょうか。
[辺りに、木こりの姿を探しながら
牧師はご隠居に問いかけます]
[アナの上げる例えは、どれも正しいように思えました。
だから、尋ねるように見上げられると、一つ、頷きます。]
押しつぶす、というよりは、食べてしまう色、かも知れないわね。
[震えるような声を上げる子羊は、同じ不安を感じているのかしら、なんて。
ふと、思いました。]
ルイは、蛍のいる川の近くに倒れておったよ。
教会までは運ぼうとしたんじゃが、わし一人ではのう……。
メルセデスや、少し手伝ってくれんかのう。
[そう言って、おじいさんは川の方へと歩き出そうとします]
[ごくり、と唾を飲み込みながらゼルマはドミニクに云いました]
あんたは、人間、なのよね?
そう信じていいのよね?
だったら、聞いてほしいわ。あたしの、勘が正しくて、ヴァイスの感覚を信じるならば、獣かも知れない人はドロテア、ベリエス、牧師様、しかいない。
もしこの中にいるとしたら、まさかだけど、ベリエス?
[たったこれだけのことを言うのにずいぶんと時間がかかっていたのでした。
その間に二人はだいぶ村近くまで降りてきていたのです。]
ドロテアお姉さん。
黒い森に住む双子は、
同じだけど違っていて。
ひとりの色は白くて、
ひとりの色は黒かったのだって。
〔とつぜん、そんな話を始めるアナ。〕
ふたりは、どうなってしまったと思う?
ふたりは、どうしたかったと思う?
お姉さんは、どうしたいと思う?
〔質問したのに、答えは求めずに、くるりと向きを変えて、また、歩き始めてしまった。後から、フリーもついていく。時々、後ろを振り返りながら。〕
そう、ですか。
[ご隠居の言葉を聞くと
短い時間でしたが、ルイと話をしたことを思い出し
牧師は目にそっと手をあてます]
わかりました。
では、お手伝いさせていただきましょう。
[牧師は手で隠した顔に笑みを浮かべました。
そっと辺りを窺うと、川の方へと歩き始めます]
[木こりはごきりと肩を鳴らし村へと歩き始めます。
歩調はのっそりのっそりと、ゼルマも猫もついて行ける程度。
老婆の長い人生を感じる声に黙々と耳を傾けました。]
……人に狼は化けると言う。
獣はそれでも気づくのか?
[木こりは老婆に寄り添う老猫を見ます。
人狼が老婆に化けたなら、女将が一番邪魔でしょう。
そう考えていたから、老猫を見る目は真剣でした。]
同じだけど違っていて。
ひとりは白くて。
ひとりは黒かった?
[唐突に始まるお話に、ゆるく瞬きます。]
どうなって。
どうしたかったか。
……わたくしは……。
[問いかけへの答えは、すぐには声になりませんでした。
その間にアナは歩き出します。
時々振り返りながらついていく子羊の様子に、少し、眉が下がりました。]
――川縁――
[冷たくなった旅人のからだは、まだそこに倒れたままでした。
近くには、丸くて重たいものの入った袋が置かれています]
ここじゃよ……。どうか祈ってやっとくれ。
[そう言って、おじいさんも祈りを捧げます]
寂しいもんじゃ。アルベリヒの所にはあんなに人がおったのに……。
オイラは人間だ。
狼でも人狼でもねえ。
[唾を飲み込んだ老婆に返る声は相変わらずの無愛想です。
そして老婆が重ねる声にも木こりは変わらぬ渋面でした。]
ゼルマさんが言う通りなら、そうなる。
爺さんも余所者だったし、それに…牧師さんが狼とは思えねえ。
[最後に付け加えた声は、とても小さなものでした。
ゼルマにしか聞こえないくらいの呟きです。]
……何も、なければ。
……何も、ないままで。
いたかったかしら、ね。
[始まりがどこかなんて、しりませんけれど。
始まってしまったら、止めなくてはならないから。]
……。
[軽く目を伏せて、籠をぎゅ、と抱きしめました。]
〔アナの足も、羊の足も、そんなには早くない。
それに場所をしっかり知っていたわけでもないから、そこにたどり着くまでには、だいぶ、時間がかかってしまった。
川のさらさら流れる音が聞こえてくる先には、既に人がいるみたい。〕
[川べりに倒れたままの旅人のからだの周りには
蛍が弔うように集っていました。
牧師は、旅人のからだを眺めた後、
祈るような姿勢で、言葉をつぶやきます]
ええ、本当に。
寂しいものです。
[牧師はそう言って、
ごちそう、ごちそうと鳴くからすたちを見上げます]
……弔いはどうするんじゃ?
1日に二人も、では……。
[それに、明日もまた、それは増えるのかもしれません。
追い付けないほどの早さで、村人は減ってゆきます]
ゆっくり休んでくれ、とも言えそうにないのう。
やれやれ……。
[時折からすを手で払うようにしながら、ルイのからだを包みます。
このままこの場所においておくのは、余りに可哀想でした]
村のお墓は、村人たちのもの。
旅人には過ごしにくいでしょう。
蛍の集う綺麗な風景の中、
このまま、ここの川の畔に眠るのが
ルイさんにとっては、いいのかもしれませんね。
[そう言って、ご隠居の同意が得られるならば
太い木の枝を使って、墓穴を掘り始めるでしょう]
〔先にいる人が誰か見えたはずなのに、さっきのドロテアのおはなしは聞いていたはずなのに、アナは気にした風もなく、川のそばへと近付いていく。
お供の羊はと言えば、足を止めてしまっていた。〕
ベリエスお爺ちゃん。
ちょっとだけ、待ってください。
〔ランタンの炎が、一際おおきく揺れる。
アナは、からだを包もうとするベリエスに、近づいていった。〕
……落ち込んでいる場合では、ありませんわね。
決めたからには、動かないと。
[小さく呟いて、周囲を見回します。
アナと話している間に、牧師様は何処かへ行かれたのでしょうか、姿も見えません。]
……探し歩くよりも、教会で待っていた方がよかったかしら。
[こぼれたのは、小さなため息でした。]
ふうむ、それもそうじゃのう。
……旅人は、何処に骨を埋めるを望んだことやら。
[そういって、地面を掘る牧師を手伝おうとしたのですが]
おや、嬢ちゃん?
どうしたんじゃ。あんまり近くに来ちゃいかんぞ。
[からだを包む前のルイに近寄ろうとするアナを見て、おじいさんは慌てた様子]
[ご隠居の言葉に、牧師は少女の来訪に気付きます。
少女がランタンを手に、ルイのからだに近づいてきます。
あれが、こころの欠片なのでしょうか。
牧師は手を止めて、少女のする行為を見つめています]
慌てると、落ち着きがなくなるのが悪いところ、とは、ずっと言われていたけれど。
[呟きながら、歩き出します。
でも、今日は仕方ない、と思いました。
願っていたのと、真逆のいろを見てしまったのですから、驚くな、というのが無理なお話なのです、きっと。]
欠片はここにあるから。
お人形みたいに、くっつけたら、なおらない?
〔まるで壊れたおもちゃを直すのを頼むみたいにアナは言う。
けれど、ぶら提げていたランタンを差しだすと、白銀の炎はゆらめいて、あっという間に消えてしまった。〕
[ドミニクが足を速めたので、慌ててついていきながら]
あたしが言ってどれだけ信じてもらえるかは分らないけど、もしあたしが人に化ける獣なら、ヴァイスは紛う事なき獣だわ。おそらくだけど、この子のほうがそういう感覚は鋭いのだと思う。
あたしが女将さんを、というのはタイミングとしてはすごく都合が良いとは思うけど、あたしも女将さんの行方が知れないことについては正直手を尽くして探したし、それ以上は神様しか知らないことだと思うわ。
[精一杯の答えをドミニクがどう受け取ったかは背中しか見ていないゼルマにはわかりませんでした。]
……あれ、れ。
いなくなっちゃった。
〔アナのまるい眼は、もっともっと、丸くなる。
めぇ、めぇ、めぇ。
羊が何度も、鳴いている。
きょろきょろと辺りを見回したアナは、川のそばになにかを見つけた様子で、目を留めた。〕
欠片?
[おじいさんはランタンの炎を見ましたが、それはあっと言う間に消えてしまいました]
……生き物はな、切られた所をくっつけても元通りにはならんのじゃよ、嬢ちゃん。
生き物は、壊れたら治らんから生き物というんじゃ。お人形とは違うんじゃよ。
[おじいさんは、膝をかがめるようにして、アナに言い聞かせます]
[教会に着いた二人は牧師が戻らないまま弔いの支度をはじめます。
ドミニクの話ではルイの亡骸はまだ川べりに置いてあるというので牧師はそちらに行っているのかもしれません。
ドミニクは連日となった棺の準備をしに奥に入ります。]
せめてドロテアが居ればもう少し勝手がわかるのだけど。
[あまり立派な教会ではありませんがそれでも中はそれなりに広くて、いざものを探すとなると大変なのでした。]
[暗い暗い、森の中。
牧師は、少女の様子を見つめています。
夜は、もうじき。獣の時間が近づいています]
……どうか、されましたか?
[牧師は何かを見つけた様子の少女に、一歩。
仔羊の鳴く声が、牧師には大合唱にも聞こえました]
だめなの?
お兄ちゃんやアルベリヒさんみたいに、
食べられてしまったのではないのに。
なくしたからだは、ここに、きちんとあるのに。
〔ベリエスに聞き返すけれど、アナの視線はよそへと行っている。
川のそば、草の陰。
旅人の落としてしまった短剣のきらめきに。〕
……とにかく、一度戻りましょうか。
亡くなった方が出たなら、忙しくなりますし。
……勤めは、果たさないと、いけません。
[自分自身に言い聞かせるように呟いて。
教会へ向けて、歩くのです。]
本当に、面白いことを言う子ですね。
[アナの持つ、揺らめいて消えたランタンの炎。
牧師はふと、ホラントさんのことを思い出しました]
繋がらないんじゃよ。
病気で死んでしまった人とおんなじじゃ。
からだが残っていても、切り離された魂は二度と元には戻らん。
[それがアナのいう"欠片"のことなのか、おじいさんにはわかりませんでしたけれど。
ただ、どこかに行ったアナの視線を追い掛けて、そこにきらめきを見付けたのでした]
[ゼルマは棺の準備を終えたドミニクとともにアルベリヒを棺に納めます。
昨日と同じく、すきまの多く残る棺でした。]
ドミニク、あたしの知っている話もしておくわ。
人に化ける獣の話はホラントが噂話を出すよりもずっと昔、まだ先代の牧師様の時代にも流れたことがあったの。
神罰で人が獣の姿に変えられてしまうことがあった。その者たちの一部が悪魔にそそのかされて道を踏み外した。昼間は人間の姿に戻ることができるけど夜になると元の獣の姿にやはり戻ってしまったのだと。
もし、あたしに何かあればこの話は役にたつかもしれないわ。
[ドミニクはそう付け加えるのでした。]
そっか。
〔ベリエスの言うことを理解したのか、アナの眉が下がって悲しそうになる。〕
それじゃ、それじゃ――どうしたら、いいのかな。
[そんなことを話すゼルマをドミニクはどうおもったことでしょう。
ヴァイスはどんなことを思ったでしょう。
それは神のみぞ知ることなのかも知れません。]
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