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い、たぁ!
[急流を背に座る銀狼の姿>>65が見えると、ほ、とした表情になって。
左の前足にある、色を違えた痕を目にしても、
少女はひるむ事はしない。]
あるよ。
……あたしが言いたかった事。
全部言えてないから。
[最後にあった時と変わらず、少女は無防備なまま銀狼に近づく。]
あと、ライヒお兄ちゃんが教えてくれた事も。
ラファール、知らないでしょ。
[叶うのなら、銀狼のすぐ目の前。
その気になれば少女の喉に噛み付くことの出来る、
近さの雪の上に膝をついて、相手と視線を合わせようと。]
うん。
あたしね。
どっちかを選べ、なんて言うつもりなんてなかったの。
[こてり、と緩く首を傾げた銀狼と同じように。
少女も首を傾げる。]
だって、どっちもあなたでしょ?
[後退する態>>69に、ほんの少し碧が翳るも。
問いには、青年が広間から出て言った後、
ライヒアルトが黒い手帳を置いて行った事。
その手帳からはみ出した紙に書かれた事>>16。
一番下にかかれてあった事も含めて全て、説明をした。]
─ 外 ─
最後までやらんで 終わらす 方法
なんや あるやろか
[うちは持ったままやった紙ぃ見詰めながら、丁寧な文字が示す方法があらへんか考える。
歩きながらやったさかい、途中蹴躓きながらやったけど、転ぶんはどうにか耐えた]
始まりんきっかけ は これで ……
本来終わらせぇは ここ が
…………
[『人』っちゅー項目見詰めて、うちは足止めてもうた。
”人”はもうだいぶ減ってしもうてる。
人狼かてもう見つけとる。
それでも終わっとらんらしい雰囲気が辺りを支配しとった]
…… 『人』ん部分は もう減らしとぉないよ
[呟いて、紙握る手ぇに力を籠める。
また小さく震えてもうたけど、さっきみとぉに握ってくれる手ぇ>>59は今は傍にあらへんかった]
一番 崩しやすいん は 『場所』ん部分 やけど
[復旧は急いでも1日や2日で出来るもんではあらへんやろし。
今んペースやったら、また遠くないうちに誰か襲われぇかもしれん]
…… あかん
上手ぁこと 思いつかん ……
[頭から煙噴きそうんなって、天仰いでもうた。
空からちらちら白いもんが落ちてくるんが見える。
また寒ぅなるんやろな、なんて思考が擡げて、肩んかけてたブランケットをきっちり前で合わせて境目掴んだ]
通常とは異なる形で、“場”が崩れるのか、よくわかんないけど。
あたし、ラファールに誰かが殺されるのも。
誰かにラファールが殺されるのも嫌!
[はき、と拒絶の意を示したあと。]
……だって。あたし。
家族として、兄としてでなく。
…あなたの事が、好きなの。
人狼だって、知っても。
[じ、と銀狼の紅の眼を、少女は逸らすことなく見つめる。]
― 森 ―
[遠吠えに耳を澄ませて、そちらに向かっている足跡を探して追いかけた。
着いたのは銀の獣の前にビチェが膝をついてからだった]
――……パキ。
[小枝を踏んで小さな音が鳴った。
鏃を銀のものに付け替えた矢と赤い弦を張った弓を手にしながら、ビチェとエリの会話を聞く]
愛されていようが、想われていようが。
獣が、人を喰らうものとして求めるには変わらない。
だから、俺は、その言葉を受け取らない。
[受け取ることが、受け入れるのが、痛みになるから、とは言わず]
……獣は、人を、想わない。
[紡ぐのは、短い拒絶、ひとつ]
─ 外 ─
…… せや
ベスん方 どないなったやろ
[天に向けとった顔を森ん方に向ける。
今から追いかけたかて、迷ってしまうんがオチやろか。
うちは森に入るんに慣れてへんかったさかい、そう考えて足踏み入れんのは躊躇しとった]
エイリ ………
[なんでエイリが外出てったんか。
なんでベスがあんな答え方しとったんか。
ちょい考えれば、思いつくことではあった。
こん紙の通りなら、うちは死者を、クロエさんは生者を。
そんクロエさんがライさんは人やゆぅとったんやから、ライさんは人狼やなくて。
ベスは、双花の朱。
そんでリアは……]
[少女は身の内の朱花が苦痛を強いても、屈する事を良しとはしない。
屈してしまったら、朱花が少女の体を支配して、目の前にいる思い人を殺そうとする予感を感じ取ったから。]
…あたしは、まだご両親と同じように喰べられてないよ。
[昔話>>76にはきょとんとして。
短い拒絶>>77には]
獣が、人を想わなくても。
あたしが。
――人が、獣を想うわ。
春を告げる花が咲いたら、一緒に見るって約束を。
獣がしてくれた事を、覚えてるから。
[少女は春の野辺を思わせる微笑みを浮かべ、銀狼を抱き締めようと。
彼の人の反応はどうだったか。
抱き締めることが叶ったなら、その背を撫でて。
拒絶されても、懲りずに繰り返す心算。]
[間の悪い時に踏み込んでしまったので、せめても沈黙を守っていたが。
ビチェが銀の獣に手を伸ばしたのを見て、矢はつがえずに弦を引いた]
ビチェは殺させない。
人は、エリは、ビチェを想っていたから。
[それがビチェと同じ想いかは知らないけれど]
……『まだ』、喰ってない、だけ、だ。
喰わない、とは、言ってない。
[零れ落ちるのは、低い、声。
再度、距離を詰められるならば、牙を立てるをとめる事は難しい、という予測がある。
己の『望み』のまま、最後まで駆けるためには。
それは、避けたい所ではある──のだけれど]
――……ピィィン!
[音を立てて弓が鳴る。
淡い光がビチェの周りを環となって取り巻いた。護る対象が拒絶して振り払ったら、どうなるのか分からないが]
続けては、無理。
[今度こそ、矢を番えて備える]
うん、そうかもね。
[お人よし、との評>>82に、少女は小さく笑って。]
…あたしを機会なんて、今まで沢山あったのに。
なんで『まだ』喰べてないの?
[零れ落ちる低い声>>83にも構わず、
銀狼の『望み』も知らず少女は一歩踏み出した。
弓鳴りの音>>84が聞こえると、眼を瞬かせたものの。
取り巻く淡い光を、振り払うことはしなかった。]
[少女のお人好し、と評された部分は母親から受け継ぎ。
良くも悪くも意思を曲げない頑固な所は、祖父であるギュンターと良く似ているか。
銀狼へと一歩踏み出したあと。
淡い光を纏ったまま、もう一度距離を詰めた。
飛び掛かられたとしても、そのまま受け入れる。
淡い光が、何をもたらすかは分からないが。]
[喰らわなかったわけ。
それは、二つの存在──『朱花』と『護り手』の認識から、意識を逸らし続けていた事と直結する。
前者は、自らがその生を断ち切った、もう一つの命と重ねて。
後者は、幼い日に渡された餞別>>1:288の礼を、ずっと言いそびれて、何かを返したい、という思いが根ざしていたから。
──青年にとっての亡くせぬ理由が、獣にとっての喰らえぬ理由であったから]
……だって、お前。
『今まで』は、邪魔しなかっただろ。
[けれど、それは告げる事無く、淡々とこう返し。
あくまで近づこうとする様子>>85に、今までは抑えていた爪を振るう。
急所を狙ってのものではなく、振り払う目的のそれは、淡い光>>84に阻まれるか。
いずれにせよ、爪が届かぬ、と覚った獣は、本能的に跳びずさり、紅を周囲にめぐらせた]
『今まで』は、大人になりたくない、守られた子供のままでいたいって、ずっと甘えてただけ。
あたしは、もうこれ以上。誰かの血が流れるところを見たくない。
ラファールもロズお姉ちゃんも、ユリお兄ちゃんも、ライヒお兄ちゃんも。
死んで欲しくないんだ。
…『望み』があるから。
もう甘えた子供のままじゃ、いられないんだ。
[真っ直ぐ碧を紅へと向ける。
振るわれるもの>>87に、思わず眼を瞑ってしまったが。
衝撃がこない事に眼を見開いた後、瞬かせた。]
……… ん ?
… もしかせんでも リアん足跡 やろか
[他ん人ゆぅても選択肢は少のぅし、ほぼ間違いないやろ。
うちはそう思い込んで、足跡追って森ん中分け入った]
[急流沿って上った方が早いっちゅー突っ込みは無しやで。
うちそこん居ること知らんのやから]
[淡々と告げながら、身を低くして四肢に力を込める。
それが跳躍の前動作であるのは、狩人の目には見て取れるはず]
……『獣』が存在する限り。
容易くは叶わない。
[紡ぐ言葉はどこまでも。
相容れるを、受け入れぬもの]
…いま、の。
[護らないと>>4:94、と言っていた人の顔が浮かぶ。]
近くに、いるの?
[こて、と首を傾げて。
思わず銀狼>>87と共に、周りに視線をやったものの。
聞こえた事>>93に、碧が悲しみに染まったが。]
……れでも。それでも、あたしは!!
叶わない、なんて言葉で、簡単に諦めたくない!!
[拒絶の言葉>>94に拒絶を重ね。
銀狼へと両腕を延ばした。]
……そー、だな。
俺も、諦めたくはない、よ。
生きることも、殺さないことも。
けど。
[静かに静かに、言葉を紡ぐ。
その口調は、常の青年のそれとなんら変わらない]
ここに『在る』限り、それが避けられないなら。
……選択肢は、多くない、だろ?
[言いながら、じり、と後ずさる。
ここにいる誰もが、他者の死を望まぬというならば。
直接的な『死』、以外に、『獣』を消す方法は──]
―アーベルの部屋―
[男は一人、蒼花持つ青年の眠る部屋にいた。
今までしてきたように彼に対しての祈りを捧げた後、その部屋の窓の傍に寄り、がらりと窓を開け放つ。
途端に入り込んで来る寒気にも、表情一つ変えはしない]
……如何なるか、な。
[外から獣の遠吠えが聞こえたのはただ一度きり。
それきり他の者たちが何処でどうしているのか、此処からでは知り得ないが、男はその部屋から動こうとしなかった]
[男がかの真実を知り得てから此処へ来るまでの間、幾つもの文献を調べつくした。
けれど紙に記した最後の一文については、それ以上の具体的な情報を見つける事はできなかった。
――例え見つけていたとしても、そう簡単に教えはしなかっただろうが。
望みを持ち、その望みの為に努力を尽くした者だけに、神は救いを与えてくれる。
男は頑なにそう信じていたからだ]
─ 外 ─
[銀の獣。
見たことあらへんそれから発される声は、聞き覚えんあるもの]
ッ 、 エイリ ッ !!
[ふ、と後退る様子に思わず声を上げとった]
[そん後ろにあるんは、うちんとっての”絶望”のはずで]
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