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―東殿・個室前の廊下―
[窓の外を見ると、雨がさあさあと降り注いでいるのが見えた]
この雨だと……皆、部屋か広間あたりかしら。
[ほうと息を零して、ゆったりと廊下を歩いていく]
[ザムエルの言葉に、カチャリ、持ったカップを皿に置く。
ふむ、と頷いて]
そのギュンター殿は、既に取り込まれていて、おられないのですよね。
[老竜の、確信めいた言葉の裏には気がつくことはなく、低く呟く。]
ダーヴィッド様にお預けすることも考えたのですが。
探査にはお力を多く使われましょう?
それではやはり危険が残りますので。
…先の遣り取りで誰かが気付いたようでしたら。
私はこの先、身を隠すようにしようと思います。
[今、剣の力を使えば、下手をすると結界に引き寄せられることになるかもしれない。その危険も知らされてはいたが]
/*
おかえりなさい。了解しました。
こちらは赤は反応できます。
表で動く気が起きたら動きます。しばらく役立たずですみません。
[ 背伸びをする仔に応じて、ノーラは膝を折る。
秘密の話をしたいらしい様子に、幼児の口許が耳に来るように動いた。]
……だれに、聞いたの?
[ 小さく、驚きの含まれた声を返す。
確かに先に大地の竜が来たときに感じたのは、影に親しい力であった。されど我に確証はなく、故に、動くこともなかったが。]
おお、すまんなミリィ。
[差し出されるカップに礼を述べて一口。緑茶では無かったが、身体が温まるならこの際何でも良いです。
ギュンターについてを聞かれれば]
うむ……ティルが言うには、あの結界の中じゃと。
[じゃったな?とティルにも確認を取る]
あ、ええと。
[唸り始める恩人を前に、思いっきり困った顔になる。
誰を信じていいのか分からないということは、つまり誰を疑えばいいのか分かっていなかったということで]
…それこそ、流水の方でも?
いえ、何を疑っているのかと言われても困りますが。
[そんな話の向きがなかったかな、と思い出しながら首を傾げた]
[明言する様子に、きょとり、としつつ。
その理由にすぐに思いが回らないのは、食欲第一状態だからか]
……まあ、力が強い属だし。
ないなら、そのほーがいいんだけど、ねー。
…確かにな。
起きてる時なら、多少の奴らにゃ遅れを取らない自信はあるが、
流石に…力尽きて寝てる時はどうしようもない。
けど、身を隠す…って何処へさ?
奴らに見つからない安全な場所、って…。
―中庭―
[雨はまだ降っているけれど。
先ほど、風邪をひくといった口で何をやるのか。]
[苦笑して。木陰に入る。
そうして腰を下ろすと目を閉じた。
暗い。闇が、体を包む。]
―― 食堂 ――
[雷撃竜に、ナプキンを差し出され、きょと、と首を傾げる。ややあって、頬についたクリームの感触にようやく気付くと、受け取って、あはは、と笑い]
ありがとうございます。
[また、赤くなった。本日何度目やら]
ぁー、確かに流水は…。
[いろんな意味で欲望に忠実な流水なら、あるいは…とも。
触媒に使う香を、いくつか選んで配合する。]
ん、確かに、結界の中から、ギュンター爺様の気は感じた。
陽光のちっちゃいのと、時空のねーさんも、いるのは感じる。
何やってるか、までは、わかんないけどね。
[ザムエルの問いに、こく、と頷いて。
また、食べに集中。
万年育ち盛りは元気です]
それで怒られたばかりですが。
[苦笑しながら首飾りを元のように仕舞い込む]
とりあえずは、竜卿内を。
どうしても追跡を躱せないようでしたら…剣の補助を借りて。本来の力は使えませんが、そういう形でなら少しは可能らしいので。
[実際、それをしたから気が漏れたという側面もある]
―食堂―
[エルザは違うとはっきり告げた大地の老竜の声に扉に向いていた視線がちらりとそちらへと流れた。
けれど直に機鋼の仔竜に戻して頬についたクリームに指を伸ばす]
いいえ、それはとても自然な心の動きですよ。
それこそが魂というべきもの。
子供だとか思わずに、大切になさい。
[少しだけ年長者としての言葉を発し、そして指先に付いたクリームを舐めた。悪戯っぽい笑みを口元に残し移動する]
ナギ。
――ナギは、…えっと、おじちゃん?から聞いたって。
[影竜の驚きの声にか、影竜の耳元で僅か嬉しげに仔は笑みを零す。
彼女が知りえぬ事を自らが教える立場になる事は、幼心に僅か心躍る事であるらしい。
幼子の「おじちゃん」と言うのは、命竜殿の事であろうが――名を知らぬばかりに外見的特徴を述べるなど…さてそれで通じるか否か。]
ほんとうに、見つけたらね。
オトにもおえてあげるって、やくそくしたから。
黒いわっかが、ノーラみたいだったから。…きっとそれ。
―食堂―
[さてザムエルと醜い争いを繰り広げた後(ちなみに伸びたり赤くなった所は3秒で(ry)、ザムエルの悪態をつきながらさり気無く食堂を出て、外へと。
廊下に出ても幸いというか、鉢会う者はなく。
そして一人部屋に戻り、そこから西殿へと――転移する。
生命竜の癖に転移が使えるのは、氷竜にのみ見せたあの琥珀色の生命の粒子のおかげで。
粒子同士の繋がりを利用し、自己形成情報を遠く離れた所まで伝達、再構築を行っていたためだったりする。
だがこんな無茶に近い転移方法など数日に一度が限界で。
おまけに精度も悪く、目測地から遥か遠く離れた場所に出る事ばかりだった。
本来であれば。]
なら、エルザ殿が揺らされていたなら、ギュンター殿を悲しませないよう自分だとばれる前に閉じ込めたとか?
若しくは、ギュンター殿はエルザ殿を良くご存知だから、感づかれて閉じ込めた、とか?
[手の中で、カップをゆっくりと回しながら中の茶を見つめる。
眼鏡の奥の瞳に、感情は浮かばない。]
―― 食堂 ――
あ、ありがとうございます。
[拭う前に、クリームの粗方は精神竜に掬い取られ、残った痕を拭いてお茶を取りながら、嬉しそうに笑う]
そう言ってもらえると、少し勇気が出ますよ。
…例えば、ですよ。
この中の誰かを疑おうと思えば誰でも疑えてしまう。
そして私には誰が犯人なのかが判らない。
白か黒か…――判らない。
[少しだけ間をあけて、呟く声は、低い。]
でも…
[お茶を口にしてから、目を伏せる]
『誰も疑わないわけにもいかない。それは判ってる…』
[だからこそ、自分は力のことを誰にも知らせてはいけないと思うのだから…]
[ 幼児がそう呼ぶ対象は誰であろうか。
そんな思考が巡る間もなく、ベアトリーチェは嬉しげに言葉を紡ぐ。]
そう、
[ 次いで零れた名に対しての驚きは表には表れず、ただ、思案な間が下りた。]
ほかには、なにか、聞いた?
[ 訊ねつつも視線が移ろう先は、言うまでもない。]
[思い出す言葉があった。
言葉といっても、名を聞いただけだったが。]
[何ゆえ、ティルとダーヴィッドだったのだろう。]
[考えるように、目を伏せた。
雨が体に、わずか、あたる。]
[無いなら良いと言うティルの言葉には一つ頷くに留め。続く説明を聞きながら]
一つ聞くが、彼らが結界内へと取り込まれた時に何か感じたりはしたか?
もし感じて居ったのであれば、それぞれが取り込まれた際に何か違いがあったりはせんかったかね。
[ティルに疑問を投げかけてからミリィの言葉を聞くと]
ふむ……その「例」に関しては無いとは断言は出来ん。
じゃがばれる前に、と閉じ込めても、閉じ込める際か後に分かることではないかね。
[「例」の部分に力を込める。それはエルザを信じているためと取れるか、はたまた違うと知る故と捉えられるか]
―食堂―
…ティル殿が。
[記録から零れていたのか、大地の竜の声に小さく呟きを返す。
そして眼鏡越しの紺碧は疾風竜へと視線を向けた。視線は合わさず、小猿も避けて反対の肩口辺りへと]
他には何か手掛かりになりそうな事はないのでしょうか?
ん、なんていうか。
空間が、揺れるみたいな感覚はあったけど。
……陽光のちまっこの時と、ギュンターの爺様の時は、少し違った……かな。
[ふと、手を止めて。
何か思うように遠くを見て]
どっちにしろ、気持ちわるいから、ちゃんと覚えてないんだよねぇ。
[気持ち悪い、と。
その部分は、きっちり本気]
―結界内―
[内側に入って先ず探すのは陽光の幼竜。
やはり気になったので、念のため様子を伺いに。
カケラに注意し歩くが、陽光竜も、ギュンターの姿もない。
何処かの部屋にでも入り込んだのかと思ったが。]
…何か変な音が。
[した気がした。さて嫌な予感。]
うん、そう。
オトは、おうさまをはやく出してあげたいって、いってたし。
ととさまも、いっしょにだしてあげようって。
ほか?
[影の問いに、一度幼子は目を瞬く。
先程聞いた話を順に反芻しているのか――暫くの沈黙の後。
僅かに首を傾いで、はたと思い当たったか影竜へと再び視線を向けた。]
えっとね。
おじちゃんが、オトは信用できるよっていってたって。
ブリジットもきいてたって、ナギが。
[でも全部内緒ね、と。幼子が影へと告げたのは信頼しているに他ならないからだろう。無邪気にそう耳元で囁き。]
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