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それはまだ、始まりの前でした。
始まる前の、ささやかな日常。
おや、盲目 テレーズ が来たようです。
森に囲まれたその村には、とある『魔』が住んでいた。
『人』と共にある事を望むその『魔』は異端の存在で。
とても強い力を持つが故に──秘かに隠れ住む事は、やがて叶わなくなり。
『人』を、村を愛する『魔』は、自ら封じられるを望み。
陽と月の重なるその日、聖なる泉の底へと自らを封じた。
──ずっと昔、世界の平和を望み、祈り続けた『祈り子』が、護ろうとした『人』に追われ身を投げた泉。
決して枯れぬ、睡蓮の咲くその場所へ。
『人』を慈しみ、眠りについた『魔』と。
『人』を護ろうとして叶わず、身を投げた『祈り子』と。
近しくも相反する想いは、睡蓮の下に等しく眠り、森に囲まれた小さな村をずっと、護り続けて。
──けれど。
ある日、長く続いた平穏は、破られる。
陽と月が重なる日──『蝕』の訪れし、その日に。
聖なる泉にかけられし封──『魔』と『祈り子』を眠らせていたそれは何者かによって破られ、そして──。
──流れる風が、水面を揺らす。
──枯れぬ睡蓮の花弁も揺れる。
──深い、ふかい、泉の底。
──眠れるものは、何、思う?
おや、童話作家 ポラリス が来たようです。
─ 広場 ─
…う〜〜〜〜ん
[広場の片隅にある木陰に腰を下ろし、難しい顔で唸る女性が一人。
手には筆記用具と筆記帳、いくらかの文字の羅列と大雑把な絵が描かれている]
お話が浮かばないよぅ…。
[溜息をついて首を折ると、女性──ポラリスは額を膝へとくっつけた。
童話作成を生業とするポラリスに度々起こるこの現象。
人はそれをスランプと*呼ぶ*]
おや、旧家の子供 エリィゼ が来たようです。
― 自宅 ―
[とある家の台所で、少女がせっせと洗い物をしている
お皿の最後の一枚を洗い終えて、丁寧に水切り籠に納めて、大きく息を吐いた]
ねえ、ママ
今日の分のお手伝いはもう終わったよね?
お外に遊びに行ってもいいでしょ?
お皿だって、今日は割らなかったもん。
[変なところを自慢げに強調して、少女は母親に問う
元々「遊びに行く前に手伝え」と言った以上、それが当然と胸を張って
母親が「約束だから」と頷けば、ぱぁ、っと表情を明るくして]
わぁ、ありがとうママ。
[そう言って、一度母親に抱きついてから、いそいそと外へ駆け出す
その背中に、幾つかいつもの注意が届けば振り向いて]
分かってるもん、泉の祭壇には近付くな、でしょ?
毎日言われなくても覚えてるもん、忘れないもん、そんな子供じゃないもん。
[ぷくー、っと頬を膨らませて拗ねて見せた。
十分子供である]
あとは、暗くなる前に帰ってくることと、危ないことはしないこと。
でしょ?
[指を折って数えながらそう確認して]
大丈夫だもん、リィ、危ないことなんかしないもん。
それじゃ、いってきまーす!
[そう言い残して、たったかと外へ
誰かに出会うことがあれば、人懐っこい笑みで挨拶をする*だろう*]
おや、薬草摘み ソーヤ が来たようです。
─ 森の中 ─
……えーと、確かあれはこの辺りに、と。
[がさがさごそごそ。
そんな感じで、茂みが揺れる。
一見すると雑なようで、その実、木々を枝葉を傷つけぬ手つきは慣れたもの]
……ん、あったあった。
って、ちょっと育ちがよくねぇな……もう少し、置いておくか。
[ようやく見つけた目当ての草は、摘み取るには少しだけ早いよう]
ま、急ぎってわけでもないし。
[そんな風に結論付け、押しのけた茂みを元に戻してから立ち上がる。
ん、と言いつつ腕を上げて身体を伸ばせば、頭上でばさり、羽ばたきの音が響いた。
見上げた先には、白の羽毛と黒の翼を持つ鳥の影]
クレー、移動するぜー。
[そちらへ向けて呼びかけた後、青年は次の薬草を探して歩き出す。**]
おや、本屋 クレイグ が来たようです。
― 本屋 ―
[小さな村の小さな本屋。
元より少ない客足も途絶え、更に今は丁度良い具合に陽が差し込んでくる時間帯。
となれば]
……。
[店番がついつい居眠りしてしまうのも、仕方のない事だった**]
― →広場 ―
[家から出て、まず向かうのは広場
途中で会う人たちにはちゃんと挨拶をして
広場について、誰かいないか、ときょろきょろ見回して
片隅の木陰、座り込む姿が目に留まる]
あ、ポラリスお姉ちゃんだ。
[いつも素敵なお話を聞かせてくれる人、と言う認識が少女にはあったのだけど
今、彼女はなんとなく元気がなさそうで、とてて、と側に近寄って]
ポラリスお姉ちゃん、何かあったですか?
[驚かせないように、そっと声を掛けてみた
暫くして気付かないようなら、そのまま立ち去るだろうけど*]
― 広場 ―
[声を掛けて、ほんの少しだけ見えた困った表情>>8に、声を掛けちゃいけなかったかな?とほんの少しだけ思ったけれど
苦笑と共に落ちた言葉には興味津々と言う表情を向けて]
新しいお話考えてる所だった、の?
リィ、ポラリスお姉ちゃんの作るお話、とっても好き。
楽しくって、優しくって、んと、きれいなんだもん。
[子供なりの言葉で気持ちを伝えてにっこりと笑う
スランプ、とか、そういうものは知らないから、真っ直ぐに楽しみと言う気持ちで]
新しい本が出来たら、クレイグお兄ちゃんのお店にもおいてくれる、よね。
お兄ちゃん、いつも暇そうなんだもん。
[この村の小さな本屋でいつも店番をいている青年を思いだして、余計なお世話ともいえることをぽつり]
─ 森の中 ─
[物心ついた頃から歩き回っているから、森の中は勝手知ったるもの。
そんな慣れもあって、ついつい奥まで踏み込む事は日常茶飯事で]
……っと。
[進んでいた足が止まる。
耳に届くのは、澄んだ水音]
あいっかわらず、綺麗な音だよなあ。
[そんな呟きをもらして、目の前の茂みをかき分ける。
目に入るのは、睡蓮の咲く泉と、その奥の祭壇。
近づきすぎてはいけない場所だから、これ以上踏み込む事はないけれど]
……枯れない睡蓮、かぁ。
[ここに来るたびに目を引かれるのは、伝承の花。
それは、水面で静かに揺れて、いろを映している]
見た目は、普通なのに。
なーんで、枯れねぇんだろ。
[小さく呟けば、肩の上に陣取っていた相棒が、さあね、と言わんばかりにキョ、キョ、と甲高く鳴く。
合わせるように風が吹き抜け、水面の睡蓮を揺らし、波紋を広げた]
って、誰かに見つかるとやべーし。
そろそろ、戻るかあ。
[広がる波紋が消え失せるまで水面を見つめた後、くるり、踵を返して歩き出す]
─ 広場 ─
ふふ、ありがとう。
[一生懸命に伝えてくるエリィゼ>>9に、ポラリスの表情も苦笑から喜びのものへと変わる。
楽しみにしてくれている子が居ると言うのは、何ものにも代え難いものだった。
とは言え、直ぐに案が出てくるわけでもなかったけれど]
そうね、置いてくれると嬉しいわ。
[クレイグの話になると、はっきりと言われた言葉に思わずクスリと笑ってしまう。
この小さな村では利用者も限られてしまうだろう本屋。
暇なのも仕方が無いと言えば仕方がないのだけれど、小さな読者には際立って見えてしまうらしい]
新しい本を出したら、お店が忙しくなっちゃうかしら?
[ポラリスは冗談めいた口調で笑って言った]
― 広場 ―
ん、リィ、楽しみにしてるから、ゆっくり考えてすてきなお話を作ってね。
[にっこりと笑って、今度は、と言っていたから急がせるつもりはない、と子供心に思って
クレイグの話に笑いが零れたなら、少しだけ真剣に]
だって、そういう時じゃないと、リィが本屋さんに行く用なんてないんだもん。
[ぽつり、と落として
もうちょっと大きくなったら、普通にお客さんとして遊びにいけるのに、とか思っているのは内緒だけど
だけど、冗談めかした声にはすぐに笑って]
忙しくなったら、クレイグお兄ちゃん困る、かな?
「ゆっくりできないー」って。
[もっとも、ゆっくり出来なくなるほどこの村で忙しくなるか、と言えば、そうはならないのも知っていたけれど]
─ 広場 ─
うん、頑張るね。
[小さな読者の応援>>13は活力をくれる。
自分の童話を待ち望んでくれる人が居ることが分かるのはとても貴重だと思う。
大切なものをしっかり心に留めながら、エリィゼに微笑み返した]
あら、本を買う時だけじゃなくても遊びに行っても良いと思うわ?
こんな本が読みたいとか、希望を伝えに行っても良いと思うの。
お話もすれば、クレイグも暇を持て余すことが無くなるわ。
[クレイグ当人がそのことをどう思うかは分からないけれど、ポラリスはそんなことをしても良いと考えている。
それを実行に移していることも度々だ]
ふふ、お店が繁盛するのは良いことだと思うけれど…。
あまり忙しすぎると、大変、って思うかもしれないわね。
[街で見た本屋の様子とクレイグを重ねてしまい、想像して思わず笑ってしまった]
おや、医者 ヒューゴ が来たようです。
─ 診療所 ─
[その診療所は、森近くに建っている。
小さな村で、たまに来る患者も大抵怪我だとか風邪程度。
だから普段から閑古鳥が鳴っているのだが]
腹が痛い?
また食いすぎか、いい加減自分の食える量を弁えろ。
消化薬は出しておくが、次は承知せんぞ。
[診療所の主の愛想の無さも、患者の少ない理由の一つ、かもしれない**]
─ 森の中→診療所 ─
[森を抜け、ひょこりと出てくるのは診療所の近く]
……あ、そーだ。
薬、足りてるか聞いてこい、って言われてたっけ。
[出がけに言われた事を思い出して小さく呟き、そのまま歩みを診療所へ向け]
ヒューにぃ……じゃなかった、せんせー、いるー?
[うっかり子供の頃からの呼び方をして、慌てて訂正したりしつつ。
扉を叩いて呼びかけた。**]
― 広場 ―
[頑張る、と言う声>>14に頷いて笑う
村から出た事がない少女にとって、お話の世界は外の世界を感じさせてくれるものだったから、お話を作ってくれるポラリスは特別で。
そして、それを扱う本屋とそこにいるクレイグも少女にとっては特別な物、らしい]
う、そう、なのかな?
お話だけしに行っても、迷惑じゃないかな?
あ、どんなお話がおもしろいか聞いてみるのもいい、かも。
[お仕事の邪魔にならないか、と少し考えて、それでも、本屋を訪れる理由になるなら、自然とどこか楽しげに
とはいえ、まだまだ難しい本は読めないから、そう何度も使えない手だろうけれど]
たまには、大変って思う時があってもいい、と思うけど。
忙しくても暇でも、お店から出てこないからなー、クレイグお兄ちゃん。
[じっさい、のんびりしている所以外あまり見たことがないから、忙しそうな彼を想像して、やっぱりちょっと似合わない、かも、と思ったとか
どうしてクレイグをそこまで気にするのかは、少女自身は分かってないけれど**]
─ 広場 ─
うーん、長居するんじゃなければ、そんなに迷惑になるとは思わないけれど。
[こればかりは当人に聞かなければ分からないこと。
エリィゼの疑問>>17にポラリスは手を頬に当てて首を傾げた]
そうね、童話以外にも読めるものがあるかもしれないし、聞いてみるのも良いと思うわ。
[思いついたような言葉には頷いてみせて同意を示す]
ふふ、あの場所が定位置よね、クレイグって。
[良く居眠りをしているところを思い出して、クスクスと楽しげに笑った]
そうだわ、折角だし一緒に行ってみる?
私も少し用事があるし。
[エリィゼにそう提案し、ポラリスは木陰から立ち上がる。
ふわりとワンピースの裾を揺らしながら、後ろの辺りを軽く*払った*]
おや、用心棒 アルビーネ が来たようです。
[覚えているのは泉の澄んだ水音。
それから清楚なる睡蓮の花の芳香。
十二年前、その場所に倒れていた娘は
それ以前の記憶を一切有してはいない。
自分の事も何一つ覚えていない。
家族があったのかさえわからない。
名前さえも記憶になく真っ白な状態で目覚めたけれど
身につけていたペンダントに刻まれた名を己のものとし
この村で住まうようになってからはアルビーネと名乗っている**]
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