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次の日の朝、自衛団長 ギュンター が無残な姿で発見された。
そして、消え行くもの。
運命の輪が回りだす。
紡がれるのは、如何なる結末への道筋か……。
現在の生存者は、風来坊 アーベル、シスター ナターリエ、未亡人 ノーラ、職人見習い ユリアン、宿屋手伝い ゲルダ、学生 リディ の 6 名。
─ 宿泊施設・厨房 ─
アプフェルクーヘンですか、良いですね。
[問いの答え>>1:183を聞いて、微笑みを返す。
この時ばかりは自然に笑えているのだから、菓子は偉大だ。
けれどそれも、続いた問いかけ>>1:184により薄れ行く。
皮を剥いていた手が止まり、視線が一度落ちた]
……アーベルさん。
管理人さんを見つけた時、
”殺された”
と言えたのは、どうしてなんですか?
[止めていた手を再び動かし、視線を野菜に向けたままに問いかける]
私は、管理人さんの傷を見た時、”獣の仕業のよう”だと思いました。
とても人がつけられるような傷ではありませんでした。
なのに、貴方は、”誰かに殺された”ような口振りで仰いました。
”何”によってつけられた傷なのか分かっていたのですか?
[心の奥が冷えるような心持ち。
相手を見極めるような瞳をアーベルへと向けた*]
─ 宿泊施設・厨房 ─
[向けた問いに対する答えは、僅かな空白を経て、問いとして投げ返される。>>1
あちらの視線は一時野菜に向いていたようだから、刹那、細められた蒼は見えていなかったやも知れないが]
ああ、それ。
獣が、殺した獲物に毛布かける、って、ないでしょ?
だから、『誰か』に殺されたんだな、って、ふつーに思ったワケ。
[さらり、と返した言葉に偽りはない]
あと、は……まあ、そーね。
わかっていたっていうか、『思い出した』が、正解かな?
自分が、何に殺されかけて、ここまで逃げて来たか、をね。
[続く言葉もまた、同じく。
実際に、己が身に起きた事。*]
― 宿泊施設・広間 ―
[本当は図書室にでも一緒に行くべきだったのだろう。
でもまだ現実を受け止められなくて。
薪を足してくれたアーベルへの感謝を口に出来るくらいには呆けてもいなかったが]
なんで。
ここなら、って思ったのに。
[薪のはぜる音を聞きながらグルグルと考え事の態。
町での暮らしに馴染めず。母には想い人がいて胸中複雑。やっと長い休みを確保できて帰ってくればこの状況。
遺体を直接見なくても、淡い記憶の父と重なる死因が余計に心を揺さぶってくる。
無人であるせいか、呟くような声は部屋の広さに反して大きく響いた]
ー 教会・図書室 ー
あの時、たまたまあの辺にいてさ……
[例によってお祈りの時間、いつものように抜け出して図書室へ向かう途中に、玄関で声がして、こっそり物陰から覗いてみた。
少し年上の女の子と、その両親らしき大人が2人。
何があったのかは後で当時のシスターに聞いた。抜け出しについてこってりと絞られた後で。
厳しいけれど優しい人でもあったから、ノーラの事も恐らくそれほど怒らなかったと思うが。]
……ちょっと羨ましい、とか思ったっけな。
[自分は両親の顔すら知らない。
シスターも親みたいなものだったが、あの時に見た家族とはやっぱり何か違う気がした。
そんな思い出話。]
―― 宿泊施設・広間 ――
[広間に戻ると、みんなそれぞれで動いたのか姿はなく。
リディがまだそこに居たなら>>3]
リディは図書室とかには行かないの?
[なんて聞きながら室内を見回した。
厨房のほうから物音が聞こえれば>>1:183>>0、それが一人ではなさそうな事に気付く。
アーベルがいるという予想は出来たけれど、あと一人はと
見に行こうとした所で、聞こえた言葉が言葉だったから>>2、
厨房には踏み入らずに回れ右で広間に戻った。]
厨房にいるの、アーベルさんとシスターかな?
[誰に問うでもなく落ちた言葉に返事はあったか。
そのまま手近な椅子に腰掛けて。]
さっき、ここなら、とか言ってたけど
何かあった?
[なんて、広間に入る前に聞こえてきた言葉についてリディに問いかけた。**]
─ 宿泊施設・厨房 ─
[問いかけた時に細まった瞳>>2には気付かない。
アーベルから返る声はいつもと変わらないように思える。
ただその内容は、理解出来る部分と出来ない部分に分かれていた]
毛布は…そうですね。
人であるからこその行動に思えます。
『思い出した』というのは……。
貴方が、傷を負って倒れていた原因、ということでよろしいですか?
[確認を一つ挟んで]
『人狼』が原因、だったのですか?
[問いをもう一つ投げかける]
そうだとしたら…、
随分と落ち着いていらっしゃるのですね。
殺されかけた原因がいると、言われているのに。
狼狽えない、怯えないのは、貴方の強さかも知れない、けれど。
貴方は飄々としすぎているように思えるのです。
……私には、理解出来ません。
[サクリ。
視線を野菜へと戻し皮剥きを再開する*]
ー 教会・図書室 ー
……さて、と。
ちょっとお腹減ったな。
[本探しを続けてしばらく後。
軽く伸びをして、呟く。]
何か食べに戻ろうと思うけど、そっちはどうする?
[ノーラに尋ねて。
本を棚に戻してから、図書室を後にした。**]
─ 宿泊施設・厨房 ─
[確認を挟んで、投げかけられる問いかけ。>>7
ふ、と小さく息を吐いた]
うん、まあ、そーゆー事かな。
[手を動かし、生地を作りながら返したのは肯定。
続けられた言葉>>8には、んー、とひとつ、唸りを上げて]
まあ、そりゃ、ねぇ。
記憶から放り出すくらいの思い出だったわけだから、何ともないって事は、一応ないんだけど。
ようは、カッコつけてるだけ、ですよー?
……ここで泣いて取り乱しても、いい事って、全然ないですし、ねぇ。
[理解できない、と言われても、これが自分だから、と。
そう、言わんばかりの調子で言って、軽く肩を竦めた。*]
─ 宿泊施設・厨房 ─
泣き続けたり、取り乱し続けるのは、良くないと思います。
でも、そんな片鱗が見える方が、人らしいと、私は思うのです。
[アーベルの返答>>10にそんなことを言いながら、皮を剥き終えた野菜を一纏めにし、豆の鞘取りへと移る]
……すみません、おかしなことを聞きました。
急いで終わらせますね。
[手は動かしていたものの、話が過ぎたと謝罪して。
その後は黙々と手を動かし行く]
──── 貴方が信じられる人であることを祈ります。
[密やかに呟かれた言葉がどんな結果を齎すのか、ナターリエ自身気付いていない**]
─ 宿泊施設・厨房 ─
……人らしい、ね。
[シスターの言葉に、零れたのはため息混じりの呟き。>>12]
なんていうか、うん。
シスターさんは……優しい、ですよねぇ。
[続けて落ちたのは、前後の繋がりのない言葉。
その意を問われても、言葉通りですよ、と笑うだけ。
謝罪にも気にせずにー、と返す調子は常と変わらない。
話す間も手は止まらず、程なく、ケーキの生地は完成する]
……さて、こっちは後は焼くだけですし。
後は、任せてもらって大丈夫ですよー。
[自分の作業が一段落した所で、こう呼びかける。
落ちた呟き>>13ははきとは聞き取れず、故に、それに触れる事はしないまま。
下ごしらえの終わった野菜に数品追加して、昨日とはまた違う味付けのスープ作りに取り掛かる。**]
でも、さ。
3年経つとこっちも色々変わってるし。
こんなことにもなっちゃったし…。
[ハァと溜息を吐く]
ここなら自由に生きられるかと思ってたのに、ってさ。
あぁ、でも話したらちょっとスッキリした!
ありがとっ!
[現状への対処前にモヤモヤしていたものを吐き出して、ようやくスタートラインに立つ。
状況理解が足りないせいもあり、ユリアンに晴れやかな笑顔を向けて礼を言った]
だけど、人狼かぁ。
事実は小説より奇なりって言うけど、無茶な話過ぎるよね。
狼なんて、そうじゃなくても怖いじゃん。
殆ど覚えてないけど、父さんも狼にやられて、だったし。
[戻った元気がまた少し陰りを見せる。
無茶な話と言いながら頭からは否定しないのは、祖父も亡くなり女所帯になってから何かと気にかけてくれた自衛団長をそれだけ信頼している証なのだった。
厨房からの香りに気が反れるまでは、あと如何程か**]
―― 宿泊施設・広間 ――
リディにも心配させちゃったな、ごめん。
休んだからもう大丈夫、っていうか
落ち着いたらお腹空いてさ。
[図書室に行くのは何か食べてから、なんて伝えて
目元を擦るのは見ない振りをする。>>11
他の人がどうしているかをざっくりと教えてもらって]
急にこんな事になったから戸惑うのも仕方ないよ。
俺は、リディもしっかりしてる子だって思うし。
あ、それじゃその二人かな、向こうにいるの。
アーベルさん、あんな事の後なのに落ちついてて凄いよね。
[僅かに聞こえた話には触れずにそう返した。]
[その後の何気ない問い掛けは少しだけ彼女を驚かせたらしい。
それでも、誰かに聞いて欲しかったのか躊躇いがちに言葉が落ちていく。>>15
街での事、母親の事。明るい彼女が抱え込んでいたものが零れて落ちる。]
……そんな事になってたんだ。
[あまり細かくは答えない。憶測で話してはいけないと思うから。
だけど、予想と現実の違いに戸惑って疲れているのは自分にもわかったから。
頑張りたいというのは母親の事も思ってのことだろうから。]
周りに気を使って暮らさなきゃならないのは辛いね。
でも、それでリディが潰れちゃったらもっと大変だと思うし
少し離れてみるのはいいのかも。
[多分、そういう意味での帰郷だったんだろうなんて想像だけして。]
[続いた言葉と溜め息>>16に、浮かぶのは苦笑。
こんな時に体調崩すような男でも、少しは役に立ったかな、なんて。]
確かに、落ち着けると思ってこれじゃ落ち着くどころじゃないね。
話して気が楽になったなら良かった。
もしまた愚痴を言いたくなったらいつでも聞くよ。
みんなもきっと聞いてくれると思うしさ。
[向けられた笑顔にほっとしたのも束の間、そこから続く言葉にまた少し真顔になった>>17]
人狼とか御伽噺の物だって思ってたんだけどなぁ。
あ……そうか、リディのお父さんって……
[一度戻った笑顔がまた陰る。
あの時、自分も子供だったから詳しく覚えてはいないけれど
大人たちが暫く警戒して見回りをしていたり、子供は外に出るなと怒られた。
あの時の狼が見つかったのかは青年にはわからない。]
まあ、今の俺たちに出来ることってそうなさそうだし
今は団長さんに従うのが一番かもしれないな。
[ギュンターは多分、自分たちの知らないことを知っている。
今は彼に任せるのが一番と笑って、厨房から流れる匂いに意識を向けた。**]
嘘、見られちゃってたの?
[>>4当時の村人なら大抵が知っている話。
けれど現場を見られていたと知れば、少しだけ慌てる。
当時のシスターは厳しい反面、皆に優しい人だった。
共用のものに手を加えてはいけないと諭され、素直に謝った結果、暫く教会の細々としたお手伝いをする事になったのだ。]
…そっか。
[ゲルダは両親の顔を知らない。
故に家族で謝りにいく、そんな事すらもなかったのだと。
それを申し訳ないと思うのは傲慢だろう。
暫く顔を合わせていない両親の顔が脳裏に浮かんだ。
容易に彼らの言葉を受け入れる事は出来ないが、己の事を愛してくれているからこそ、心配してくれているのだと。]
…じゃあさ、ゲルダもいつか家族を作りなよ。
大切な人と家族になるって、とても素敵な事だよ。
家族に、して欲しかった事をしてあげて。
して貰って。
私でも貰い手がいたんだから、きっといい人が見つかる。
ゲルダは器量よしなんだから。
[そう言って、ゲルダに微笑みかける。
彼女の幸せが何処にあるかは分からないが、幸せになって欲しいと思う。
それは同じ村で生まれ育ったものとして当然で、
──こんな事態にあるからこそ、少しでも明るい未来を夢見たかった。]
―― 宿泊施設・広間 ――
[どれくらい経ったか、食事が出来上がる頃には図書室に向かっていた人たちも戻ってきていただろう。
ギュンターはやはり姿を見せなかったけれど、先ほどの事を考えれば仕方がないのかもしれない。]
図書室に何かわかる物はあった?
[戻ってきたゲルダとノーラにそう尋ねて、本について聞けたなら後で見に行こうと思う。
アーベルの作ってくれた食事はやっぱり美味しかったけれど
管理人の事があったせいかどこか空気が重く感じて
それを何とか和らげようと、他愛もない話ばかりしていた。]
ごちそうさま。
ちょっと図書室に行ってくるけど、何かあったら呼びに来て。
[そういい残して、使った食器を厨房においてから図書室へと向かった。]
―― 教会・図書室 ――
[図書室に入って、教えてもらった棚へと向かう。]
……あ、これかな?
[ぱらぱらとめくって目的のページを探し、探していた物を見つけて手を止める。
『幻燈歌』と名づけられたその詩は、確かに記憶の片隅に残っていたものだった。]
……月のいとし子……これがつまり人狼って事、かな?
[そうして読み進め、ぴたりと目が留まる。
『双花聖痕』と言うその文字を見た途端、左肩が疼いた。]
やっぱり、これ……そんな、いきなり言われたって……
[ギュンターはわかっていたのだ、この詩に記された意味を
そして、その続きを見て息を飲む……「その花は、牙を引き寄せる」
ぱたり。本を閉じて大きく息を吐く。肩が熱い。]
じょーだん、って言う訳じゃないんだろう、なぁ……
[誰かに言うべきだろうか? 誰に? 人狼が本当に居たら?]
殺さなきゃ、いけない、か……
もー、俺はそこまでの度胸なんか無いってーの!
[そう言いながら本を元の場所に戻す。
ギュンターが覚悟を決めているなら任せてしまえばいい、と。
人狼を見出す者がいれば、と思うけれどそれもお伽の域を出ない。
結局、今の自分に何が出来るのか。]
ま、考えてもしょうがないか。
これ以上何か起きるって、決まったわけじゃない、し。
[口にしては見るけれど、自分の中のどこかでは「これから」だとわかっている気がして。
なるべくその事は考えないようにしようと図書室を後にする。]
[それからは、あちこちを手伝ったりしているうちに日が暮れて。
ギュンターは相変わらず姿を見せず、自分から言い出すことも出来ぬまま一日を終える。
そうして、まだ、そこにいる誰のことも疑う事が出来ぬまま、浅い眠りについた。]
―― 翌朝・客室 ――
[胸騒ぎがして目を覚ます。左肩が妙に重くて。]
……やっぱり、ギュンじーさんには言った方がいいかなぁ。
[そう呟きながら起き上がる。早朝で、まだ他が起きている気配はない。
服を調え、部屋を出てろうかを見ると、戸が開いたままの部屋に気付いた。
そこはギュンターが使っていたはずだと、中を覗けば姿はなく。]
散歩……じゃない、見回りでもしてるのかな?
[そう思ってその姿を探すが宿泊施設には見当たらず。
外か教会かと悩んで、教会のほうへと足を運び]
あれ? 何でこんな所に……
[二つの建物を繋ぐ廊下に出ると、そこにあるはずのないものを見つけた。
客室にあるはずの毛布。不自然な形のそれを見て……肩が疼く。]
え……これ だって、まさか
[予感がする。それを確かめなければいけないと何かが言う。
側に寄り、毛布を掴んでそっと捲ると、そこに]
ギュンじー、さん? 冗談でしょ?
[声を掛けたところで返事がないのはわかっていた。
不自然に折れ曲がった首、それで生きていると思えない。]
[視線はそのままうつ伏せに倒れた体の肩へと向いた。
そこだけ服が裂けて、赤く、赤く染まって
その中に、血の色とは違う、朱の欠片が残されているのに手を伸ばす。
左肩が痛む。対の朱花を失くした事を嘆くように。責めるように。]
その甘美なる花は、牙を引き寄せる……
[声が震える。自分の持つこの蒼が何を意味するかを漸く悟る。
人狼を探せと、殺せと、それが与えられた役目だと。
ふる、と頭を振る。自分が自分でなくなりそうで。]
アーベルさん、呼ばなきゃ。
[そう言って駆け出す。アーベルの部屋まで]
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