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─回想─
[目が覚めて宿を目指す。昨日よりも更に人の囲いは分厚く、距離は離れ気味になっていた。またぞろ何かあったのだろうが確かめる気にはなれなくて。近寄ってこない事をこれ幸いとそのまま、まっすぐに宿を目指す。宿に着けば、クロエがギュンターの遺体を発見した事を聞かされて。心配して部屋へと立ち寄ったが、もし寝ていたらと静かに少しだけ空けたドアからアーベルに抱きつく?クロエの姿が目に入り慌ててその場から離れた。
フーゴに暫く宿を借りる事を伝えて、簡単な食事を頼むと落ち着かない心臓の動悸に邪魔されながらなんとか飲み込んであてがわれた部屋で一人悶々とするはめになった]
[自らが呆れを呈した相手が別の相手へ向けた呆れの色を聞き取れば]
……どっちもどっちだな。
[ヴァイオラを守る力の主には思い当たらずも]
しっかりしてくれよ、ヴァイオラ。
[そちらにも呆れの色を見せた]
宿屋の男に関しては、相応に聡かった癖に。
[如何程呆れても、通じないなら仕方ない]
[そう思い、本題を切り出す]
ヴァイオラのいう通り。
彼は力持つモノのようだ。
結社の拾われモノから、先程宣戦布告を受けたよ。
――……彼のときは、愉しめそうだ。
[某れは、最大級の賛辞]
あん?
店閉めた後はちゃあんと休んでるぜ?
どうしたよ急に。
[何故そんなことを聞かれるのかと、不思議そうな表情でヴィリーを見やり答える。店を閉めた後に何かしてる訳でも無く、眠れない訳でも無い。そんなに無理をしているように見えるのかと、首を捻った]
[セザーリオとヒースクリフのやり取りには、口を挟むことはなく。
否――いまいち理解しきってないだけだが。
どちらにしても、いつもの様に。
個人を認めると云えば聞えがいい、
無関心を決め込んで。]
…――なんのことでしょう?
[けれどセザーリオの言葉が自分に向けば、流石に反応をして、
されどやはり、何も分かってない風に首を傾げた。]
とは、云われましても…――。
[そして、ヒースクリスのダメ押しに、少し唸るような声が*響いた*]
いや…休んでいるなら、良いんだ。
変なことを聞いて、すまない。
[一番聞きたいことは、けれど自衛団長と親しかったフーゴーの事を思うと聞く訳に行かないと思い。]
そういえば…ダーヴィッドの熱は、もう下がったか?
あと、カヤと…クロエも。
[この話題は、リッキーにも問いかけて。
クロエについては、ライから聞いた話もあり。]
―宿屋内―
[扉のひらく音に笑みをけし、しおらしい表情をうかべた]
…ベルちゃん。
[おおくは語らぬ姿勢が普段とことなり、しょげた様子に見えなくもない]
嗚呼、やはりフーゴーさんは結社の方でしたか。
[セザーリオの報告には、淡々と返す。
特に興味は無い様子なのは、結社というだけなら、
直接の被害は、まだなさそうだと思ってか。]
おや、結社の方なら何かしら銀を身につけてそうですが、
そんな肉を食べて、美味しいですかね?
[愉しそうなセザーリオに不思議そうに返し]
この場合、美味しいより、愉しいですか…――。
[なんとなく分かった気になって、*独り頷いた*]
― 宿屋 ―
[他の面々と共に宿へと戻ってくれば、カウンターの奥へと陣取って。
リッキーの顔を見れば、見てきたとだけ伝え、他の声に混じった]
[フーゴーの顔を見れば]
朝、随分深刻に話し込んでたみたいだったからさ。
クロエ、霊能者だって聞いたんだけど。
[居たものに聞くのが一番だろうと考えて問うた]
―宿屋・廊下―
[クロエの様子を確かめ、ツィンに小さく頷き。
廊下に出ると後ろ手に扉を閉めた]
大丈夫ですか。
…もしかして、ご覧になってきた?
[言葉少ない様子に、ショックなのかと受け取った。
死体を直接は見ていないが、聞いただけでも酷そうだった]
?
変な奴だな。
[何でも無いと言うヴィリーにはやはり首を傾げた。続く問いには、あー、と声を漏らして]
ダーヴィッドはまだ辛そうだったからな、薬飲ませて部屋にぶち込んである。
[だよな?と訊ねた先はリッキー。肯定の頷きを確認すると続く名のを聞いて]
カヤは一旦家に戻ったんだが、ついさっき来て部屋ぁ貸してくれとよ。
今は部屋に居るんじゃねぇかな。
クロエは……アーベルが部屋で休ませてる。
[小さな嘆息を漏らし、一度視線を部屋のある方へと向ける。
ユリアンからも問われると、僅かばかり眉根を寄せて]
……そう言うことになるんかね。
クロエがここを出て行く時の様子も見てたんだが……ちと普通じゃ無かった。
[やや曖昧な物言いになったのはどんな理由からだったか]
―宿屋―
[会話に暫くは口を挟むことなく。
一見常の如くやる気なさげな態度に見えて、何か言葉が交わされれば、話している人間に静かな目を向ける。
何処か観察を含むようなその色は僅かに*暗い*]
[呆れを篭められた響きが自分に向けられるのは]
[否定などする気もなく、嗤って]
それなら僕は帽子屋にでもなる可きかな?
[はぐらかすよな軽い口ぶり]
[けれど、其処には慈愛の柔らかさが確かにある]
[飲み込んだ言葉]
[其の先を追うように首を傾げ、金の髪が揺れた]
―宿屋・廊下―
だい、じょうぶ、よぅ。
いいおんなになるんだから。
[少しだけあまい声を震わせ、手をにぎりしめる。
まるでなにかに堪えるが如くに]
見た。見てきたわ。
……文章にかきおこせそうなくらいには、つい見ちゃったわよぅ。
…そうか。世話を、かけるな。
[ダーヴィッドのことを聞けば、フーゴーとリッキーそれぞれに頭を下げ。
カヤについては、一旦家に帰って熱がぶり返したか、と心配しゲルダと二人顔を見合わせ後で様子を見に行くか、と。
クロエの事を聞けば、アーベルがついているなら大丈夫かと思ったことと、人の出入りが多いと身体も休まらないだろうという考えもあり、クロエの様子を見に行くのは控えておこうと。]
[フーゴーの言葉を聴けば]
確かに、俺にはまっかでまっしろ、には見えなかったかな。
[クロエの言葉の端を思い出して呟いた。
もしかしたら初老の白髪を指した言葉だったかな、とも考えたところで]
俺、ちょっとクロエの様子見てくるわ。
[立ち上がり、部屋の方へと。
廊下には話し込む知り合いが見えたが、またお灸を据えられかねないなと手をあげるだけに留め。はたとどの部屋かと悩み、開けてみた]
[中には落ち着かない様子の娘。恐らく昨日伏せていたような。
開けてしまった手前、何か話さなくては、と]
あ、えー…と。具合は?
[名前も知らない相手に警戒しやしないかと思いながら]
― 酒場→カヤの部屋 ―
/*
ヴァイオラは、別に我が儘ではないと思いますよ。
相談は互いのために、ええ、どんどんと。
とりあえず、占い師に届いたみたいなので第一目標達成。
あとはじゃあ、これから表で赤く黒く頑張ります。
[しばらくカウンターでフーゴー達と話し。
昨夜置いていった試作品がそのまま飾られているのを見れば、微かに照れくさそうにしながらもこんなものでよかったか?と問うたりしつつ。
時折、ダーヴィッドやカヤの様子を見に行ったり、酒場に戻ってそこにいる面々と話して*過ごした。*]
[突如開いたドアの先には、数回見た事があるだけの顔。名前は頭に浮かんでこない]
…んとね。ごめん。誰っけ?
調子自体はもういいんだけど。
誰かに頼まれてお見舞いきてくれた人?
[一応、警戒心から扉と自分の間に椅子を挟む位置に立ち]
そう、愉しいから、だよ。
[低い声で嗤う]
ヴァイオラも、流石に僕の事の最低限位は理解できる様になってきた、ってところかな?
他については及第点以下だけど…ヒトには、其の方が優しいかもしれないな。
[少なからず、自分より性質は良いだろうと]
状況が状況だからな、仕方あるめぇ。
本当なら医者にかかるのが一番なんだが……皆があれじゃあ、な。
[何かしらの理由を付けて断って来るだろう、と。言外に含ませた。
ユリアンの呟きには再び眉根が寄る。自分達に判らないものが視えていると言うことは、力の証明ともなる。また、クロエの様子から嘘を言ってるようには見えないと言うのがあり、あまり他に広めて良いものかと考えていた。あの時、ここで聞いてしまったのは失敗だったのではないかと。それが故の曖昧な返答でもあった]
ん、ああ。
寝てる様だったら起こすなよ。
[様子を見て来ると言うユリアンにそう声を投げかけて、宿泊部屋のある通路へ向かう姿を見やった]
ああ、良いんだこれで。
本当は本格的に作ってもらうかとも思ったんだが、これはこれで味がある。
[飾った細工を見て照れくさそうに訊ねて来るヴィリーには笑ってそう返し。様子を見に行ったりする姿を見やりながら、また話を続けながらしばらくの時を酒場で過ごした]
―宿屋・廊下―
…いい女、なら。
意地も張りすぎない方が良いと思いますけどね。
[何かを堪えるように震える声に肩を竦める。
部屋の前を離れ、ヘルムートの方に近寄り奥へ]
それはまたキツそうだ。俺はまだ直接見てませんが、聞くのは遠慮しておきますよ。
事実は小説よりも奇なりって言葉を聞いたことはありますが。…御伽噺が現実になると笑えませんね。
[警戒された様子から少し慌てたように]
あ、いや、クロエの部屋と間違えて…。
いや、まあ、うん。良くなったなら良かった。
俺はユリアン。
名前、聞いても?
[そこまで話して、やはり怪しすぎるだろうかと苦笑して]
[クロエの部屋、と聞いて先程の情景が頭に浮かび]
あー、えっと。ユリアンね。よろしく。
私は、カヤ。カヤって呼んでくれればいいから。
…クロエに何か用かな?今は寝てるみたいだから出来ればそっとしといてあげて欲しいんだけどな。聞きたい事あるなら、私が教えてあげちゃってもいいよ?乙女の秘密系は話せないけどさ。
[クロエの部屋に行かせたく無いからか、こちらの警戒は解きましたよというポーズだけはとってみる]
すこしの意地もプライドもないおんなには、なりたくないのよぅ。
あるいはきちんと…おじさまや、ヴィリーさんに張り合いたいのかもしれないわ。
あんなふうに、覚悟を決めてるカッコイイひとたちに、見捨てられたくはないもの。
[対等にありたいキモチは嘘ではない。
だからこそ、近寄ってくるアーベルにもいいきることができた]
現実はものがたりにできても、逆は普通ないものね…。
そういうことなら不安なのはクーちゃんだけど…。
[大丈夫だったか問うように首をかしげた]
[フーゴーと同じ台詞をカヤと名乗った娘に投げられれば]
そっかー…じゃあまたにするか。
いや、聞きたいことというか、調子どうかなって。
まあ、霊能者ってやつの話も聞いてみたかったんだけど。
[本音をぽそり、後に呟いて]
[その後の乙女の秘密系、の件にはくすりと笑って見せ]
そうだな、その辺はアーベルに何言われるかわかんねえかもだから。
…じゃあ、カヤは知ってるかな?
お伽噺に出てくる、能力者ってやつ。
あ、もしかして、今の…。
ベルちゃん、ルーミィの心配してくれたのーぅ?
やぁん、ルーミィ、うれしいわぁん。
[久しぶりの語尾にハートマーク。
きゃっきゃとはしゃいでみせ]
キャパ以上のことなんてそうそうしないからぁ。
そんなに心配しなくてもだいじょうぶよぉ?
[できることなら、アーベルの鼻でもつつき、なにごともないかのように酒場のほうへ*もどろうか*と]
ま、立ち話もなんだから座りなよ。あ、扉は閉めないでね、さすがにさ。
[そういって自分と扉の間にあった椅子をユリアンへと勧め、自分はベッドに座るか出窓に座るかしばし考えてから出窓へと座った]
[霊能者という耳慣れない言葉と、それがクロエだというユリアンの言葉に首をかしげて]
…霊能者…能力者…御伽噺ってああ。
人狼騒ぎの事?そいや、昔、親父がお説教に混ぜて、そんなの話してくれったっけかなぁ。
んー、私が知ってるのはその程度かな。
それにしてもクロエが霊能者って…ああ、だから。
[ギュンターが死んだ事とクロエが倒れた事には何か繋がりがあるのかも、と頭の片隅でぼんやりと考えた。そしてアーベルの名前を耳にして再び動悸が跳ね上がる]
んんんっ。まあ、そうだね。乙女の秘密ってのは高くつくもんだからね。
にしても、お役に立てなくて申し訳ないていうか、そんな事調べてどーするの?
其れにしても、知り得たのが、霊能者と守護者、そして結社の人間か。
一番大切な相手が見えないというのは…、
[困る、など、男が言う筈も無く]
[愉しいことだ、と、続く*のだ*]
―廊下―
…なるほど。
その気持ちは女じゃなくても分かるかな。
[言い切られたのに同意して頷いた]
ああ、クロエはどうにか落ち着いてくれました。
今は寝てます。
島で普通に生活をしていれば死はそう身近なものじゃない。
参ってしまうのもいたしかたないでしょう。
[霊能者。そのことが皆に広がりきっているとは知らず。
どこか誤魔化すように言った]
―廊下―
そりゃ、あんだけ調子悪そうなら…。
[ハートマーク付きではしゃがれ、鼻先を突かれて固まり。
酒場の方に戻っていくのを見送ると、片手を額に当てた]
……やれやれ。
[扉の一つが開いていて、カヤとユリアンの声も聞こえた。
が、秘密とかそんな言葉が届いたので遠慮をした。まさかカヤの配慮が働いているとは知らぬまま、クロエの部屋へと一度*戻る*]
[中に招かれて、言われた通り扉は開いたまま椅子に腰掛ける]
んー、まあ俺なりの覚悟のつもり、かな。
[それは先日、笑い飛ばした初老の言葉。
今となっては否定できないとばかり]
俺みたいな奴でも、怖いものは怖い。カヤだってそうだろ?
それに……お伽噺みたいに、嘘吐きがいるかもしれないしね。
[沈黙の後のそれは、真意を伝えるにはやや言葉足らずであっただろう]
[行き交う囁きに苦笑して]
よっぽどあんたらの方が情報収集に長けてるようで。
[短く息を吐く]
おやっさんがねえ。
…んで、俺が一番探してる奴は見つかんねえ…と。
[それはセザーリオが囁いた「一番大切な相手」に同じか]
それすら愉しむってかい。
[見つけたら教えろよ、とは言ってみるものの]
[「覚悟」という言葉を聞いては『処刑』の二文字が頭に浮かびやや心が沈む。心が沈む程度なのは、彼女自身は覚悟というか実感がまだ出来ていない証拠なのだが]
覚悟かあ…。私も狼がほんとに居るなら怖いけどね。まだ正直実感は沸かない…かな。
肝心なときに寝ちゃってたからねえ、私。
ああ、嘘つき…そんなのも居るんだっけ。
意味わかんないよね。何がしたいんだろ。
[そこまで言ってからふと思いつき]
あー、人狼騒ぎとかなら学者先生やおじさん…あ、フーゴさんね。そっちのほうが詳しいかもだよ。私も調べてみるからさ。何か判ったら教えてあげるよ。貴方も何か判ったら教えて?
ほら、クロエなら幼馴染だから私がやんわり色々聞いてみてあげれるしね?
[そうすれば、クロエの所に行かせずに済むかも、という考えが少しと、自分の中の好奇心が疼いたのと、得体の知れない人狼騒ぎの薄気味悪さを少しでも軽減させたいという色んな感情が混ざって、ユリアンへの警戒心が薄れたのかもしれなかった]
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