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神の試練は、わたくしたちの意志とは遠く離れたところにあります。
わたくしたちがどのように考えるのも、神の自由。
神のご意志は絶対です。
そこに間違いはありません。
[困ったように微笑を。]
どうしておわかりにならないのでしょうね。
[押し寄せる死の気配]
[これが、こんなものが、神の意志?]
はなし、て…行かなくちゃ。また、人が。
[人狼以上に危険な者たちが解き放たれて]
[ミハエルの手をほどくつもりが、動けずに]
いえ…信じられないのではありませんよ、シスターナターリエ。
彼が安堵を得たのが何よりの証拠。
…ですから、そう怖いコエを出さないで下さい。
私は貴女には敵わないと。そう申し上げたではありませんか。
[際限まで怯えを押し殺して、同時に微笑を被せて]
[噴き出す真紅に地面が染まり、
服も、髪も、白い頬も、白い手も、白い足も染まり。]
これで、ちゃんとおきれたかな?
[硝子の破片で切ったのか、傷だらけになった小さな手で、
恐怖に凍りついた顔のままの、動かぬ男をぽんぽん撫でた。
まるで、眠る子をあやすかのように。]
あら。
怖かった? 御免なさい。
[i said with a forced smile.
苦笑して言う。]
そんなつもりはなかったのですけれど。
勿論、目覚めはよいだろう。
[クレメンスは微笑むよ。
月は今日も綺麗だね。
クレメンスは、ハンスの部屋を出るとユリアンに終わった事を話した。何も心配する事がないと言うと、ベアトリーチェの元へと階段を降り、屋敷の外へと歩き出す。]
[エルザをしっかりと抱きとめる]
[今彼女を向かわせるわけにはいかない]
エルザ、落ち着いて。
[彼女には死が見えてしまうだろう]
[それでも二日続けて直接その場に居合わさせたくはなかった]
どの道……
[間に合わないと思う、とは流石に言えずに]
[ただ彼女を抱きしめている]
[何かと思えば急な挨拶に、少し拍子抜けたかふっと笑って]
ええ、お久しぶりです。
[やはり思い出すのは、彼女がひたすらに頬張っていた、ニョッキ]
[そこからまた急に言葉が、声が変わった事に驚いて]
…。
如何言う、事ですか?
[言って軽く目配せをし。少しその場に居た者達から距離を取った場所へ移動する。]
[動けない。近づけない]
[支えてくれるミハエルの手をにぎって。ごめんなさい、と言う言葉を必死でこらえた]
ミハエル…。
[自分のために、エーリッヒを殺してしまった、小さな手]
[あたしが、あたしだけが汚れればよかったのに]
…ありがとう。助けてくれて。
[オトフリートにふっと微笑まれれば困ったように首をかしげ。
移動を促されれば、その通りに。
袖はつかんだまま]
・・・狼を、倒せる?
[さっきより、もっと小さく訊く]
[そんな少女を優しげに、抱き上げるのは神父の手。]
さあさ行こうか、ベアトリーチェ。
それともまだまだ起こすかい?
そうだね神の試練には、
彼らが勝てるか見てみたい。
[白い頬についた薔薇、赤い赤い花びらを
一つ口接け愛しげに。愉しそうに笑いましょう。]
[耳をそばだてて、ああ。落ちたのかなと思う。]
神の腕に包まれた安らかな眠りを。
苦しみも悲しみも、すべてが安らかになりますように。
[その言葉はしんと。
宵闇に、すいこまれるように。
いつしかアーベルの無残な姿は、消えていた。]
[脳に響く低き声には困ったようにふっと笑って]
忘れる訳がないではないですか、神父クレメンス。
私は貴方がたなしでは生きて行けないと。
そうも申し上げたはずです。
[彼は、生かされている事も知っている。]
[だが、クレメンスは思いを馳せる。
既に人狼達から喪われた人間性を色濃く残すオトフリートが、
喩え裏切りに走ろうとも、驚きに値しないかもしれない。
そしてその時は、
きっと刃と牙を交える事だろう。]
[彼はイレーネの言葉に唖然として、彼女の顔を真正面に見た。]
…
[距離を取ってよかった。そう思う。
こんな事を、あの場の者全員に聞かせるわけには行かなかっただろう。]
…誰か、分かったのですか。
[こちらも極めて小さく。]
さあ、行こうか、ベアトリーチェ。
彼らが神の試練に勝利し得るだけのもの達かどうか…
そして、君からは「起」こさないとね。
[くすくすと微笑む。
クレメンスの唇についた血を、舌が舐め取った。]
[オトフリートの問いには、眉を寄せ首を振って]
狼が、もし特定、できれば、倒せる?
[視線はこれ以上ないくらい真っ直ぐに、オトフリートの目を捉えている]
あたしと一緒に。
[クレメンスはベアトリーチェを抱いて、裏庭へと歩き始める。]
君が私を先に起こしたいなら、起こそうとしても構わないよ。
[ベアトリーチェの産毛を震わせて耳元で囁く]
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