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[>>212 掛かる穏やかな、おどけたような、声。どこか安心させるオトフリートの声は、無理をしているようにも聞こえて]
先生、喋るのが難しいなら、書くといいの。
でも書くものあったかな。
私に話しかける時は、掌に文字を書いてくれればいいから。
それで判るから。
[頬を撫でる指。その温もりを、又失ったら、と思うと、怖くなる。
みなの手の温かさを、声の優しさを、どうすればなくさずに済むのだろうと、祈るように、願うように、思った]
[水]
[またブリジットの声がした]
[未だ見える右の眸がその姿を探すように]
おとーさんは、おとーさん───だよ。
[呼んであげないよ]
[たどたどしい、からかいの言葉]
[小突かれた]
[くすぐったい]
[小さく、笑った]
[薬?]
[間をおいて呟く]
───飲みたくない。
[ぼんやり]
[ポケットに入れたままの自分の分を思い出す]
>>276
[ますます、オトフリートの言葉がわからなくなってくる。
しかし、言っている気持ちは伝わってきたので、聴き返すことはしなかった。
いや、聴き返しまたそれを紡ぐことが、辛そうに見えた。
まるで、彼は命という繭で必死に言葉の糸を紡いでいるかのようだ。]
僕は大丈夫です。手伝いも大丈夫。
貴方は、休まれてください。
[またカルメンを探す…の言葉にはやっぱり眉を下げながら…。]
……帰って、あいつらが残っていたとして。
『見せたかった』ヤツは、もういないんたけどな。
[小さな呟きは、届くか、否か。
数値は見えずとも。
妙にはしゃいでいるような雰囲気。
先よりも鈍くなっているよに思える動き。
天鵞絨は、僅かに険しさを増すが]
……ん。
久しぶり、だな。
[感じた風に、それは一時和らいで。
ゆっくりと階段を上りきり、その先へと抜けた]
─ →屋上へ─
―2階・6の部屋―
[眠るアーベルより少し離れた場所で、腰を下ろし上から聞こえる風の音を聞いていた。
目を覚ましたらしい声が聞こえて口を開く]
アーベルさん、起きたの?
[そろそろと、アーベルの方へと近寄って、手を伸ばし触れようとする]
さっきまで、元気みたいだったのに。
扉を開けるときに無理をしたのね。
薬、一つ余分があるので、遠慮なく。
[鎮痛剤を拒否する人に、ちらりと視線を向けて。
アーベルに対して、遠慮なく飲んでくださいなのか、
ハインリヒに対して、遠慮なく飲ませてくださいか。
――唯、その一つの予備は。
亡くなった少女を思って、少し目を伏せる。]
僕も、今のところは、大丈夫ですよ。
[視線を上げれば手招かれて、
嗚呼、数値を確認する気かと――でも、隠す気は今はなく。
近寄ったところで、見られたなら仕方ない。
かわりに彼の数値を見るなら、お相子だろう。]
[小さな呟きはすぐ傍に居たから聞こえて。]
……うん。
[それだけ答えた。ライヒアルトの声が寂しそうだと思ったから、泣きそうな声で。
外に出て、広がる空を見上げる。他のみんなが外へ出た時より暮れて、夜になっていた。]
少し冷えるけど、綺麗だね、星。
[ヘリも見えているけど、それよりも降り注ぐような星を見ていたくて。手が届きそうに見えるけど、手を伸ばす事はしない。]
[白杖の音]
[右の耳だけが音を拾う]
[ぺたり]
[自分より小さな手が触れた感触]
[それを手だと思えない自分の左]
だって───空、見たかったんだ。
[大きく息を吐いた]
[ハインリヒがブリジットに出した援護要請]
[薬は嫌だ]
[小さい子供のよう]
[嫌がる表情はまだ健在]
[鎮痛剤。
痛みを鎮めるクスリ。
痛くない。 なら、
それなら、どうなのだろう。
自分の症状、何と書いてあった。
膝をついて、アーベルを覗き込むように見る。]
―― 3F 休憩室 ――
[ふらふらと。
足の赴くままにたどり着いたのは、ピアノのある部屋。
先ほど、隣を通り過ぎたときは注視しなかった。
けれど、ふと見るとそこには昨日はなかった石像と。
あと、へたり込んでいるゲルダが見えた]
……し、ぐなっ、さん?
[ぽつり、と声をかけて足を踏み入れる]
おとーさんの、けち。
[頑固親父]
[似合うなあ]
[ぼんやり思う]
[それでも薬は断固拒否だ]
俺よりも、ブリスにあげてよ。
[出るのだと]
[強い意志を持って言っていた彼女へ]
[自分のポケットをゆっくりゆっくり探って]
[未使用の鎮痛剤]
───莫迦だから、しょうがないだろ。
[医務室]
[そんなことを言っていた]
[取り合わなかったのは自分だ]
─屋上─
……悪い。
つまらん事、言った。
[泣きそうな声。小さく呟いた。
外に出て、やはり見上げるのは、空]
……ん、ああ。
星……出てる……んだよ、な。
[確かめるように、言う。
夜空のいろは確かめられても、星の瞬きはやや、ぼやけて見えた]
……『夜天の紫黒』。
『天上の主』遠く、『銀砂の子』は瞬きて、と。
[触れた先。手だろうか。冷たくて、硬いと思った]
空なんて。時間が経てばみられるのよ。
あんな、急に無理するものじゃないもの。
元気だと思ったのに。
だから、薬は飲まなきゃ駄目。
鎮痛剤だから、状態がかわるかわからないけど。
嫌がっても、ツヴァイさんが無理に飲ませるんだから。
[とんとん、と振動が伝わるように軽く腕を叩く]
>>289
ああ、副作用として、洞察力の向上、霊感力、感応能力の発現、直観力、危機的状況予知……いろいろあるようだ。
[オトフリートと入れ替わりにやってきたノーラに内容を述べる。
が、ふと、カルメンのことを聴かれて、黙りこむ。
溜息をついたあと…。]
君も見ただろう。彼女がナイフを持ち出したところを。
だから、オトフリートは彼女がピューリトゥーイじゃないかと疑っているんだ。
ただ、元々、そういう性質だった可能性もある。
[そしてしばしの間……]
僕は、そうでないのを祈りたい…。
――…ほら、逃げ道なくなってきたぞ。
そろそろ観念しろ。
[エーリッヒからの追撃にはアーベルを小突いて言う。
今のところは、そういうエーリッヒへの手招きを止めることはない。
誤魔化すことは止めたのだろうけれども、
そういう性分のものは気付かずにいようと努めるものだから。
傍に近付く姿に確認していない自分の数値も見られるのだろう。
安堵する医者の卵の青年とは逆に男の顔は気難しいものになる。]
…痛む場所は?
[増えた咳。
カルテより後の進行を確認する言葉だった。]
[ノーラに嘘をつく]
[彼女の星詠み]
[それで探られるのは好ましくない。]
[浮かんだのは、そんなノーラとつながっていると、言った盲目の少女。
いや、彼女にもふさわしいのは石の死だとは思っているけど……。]
観念しないと、口移しで飲ましますよ?
……お父さんが。
[駄々っ子のようなアーベルに、そんな脅しをしれっと。
そんな冗談は、自分の数値を見とめて気難しい表情を浮かべる、
ハインリヒの表情を和らげようとしたものでもあったけれど。]
……少し、吐き出す砂が増えました。
背中の石化も進んでるんでしょうね。
無理に動かすと、欠け始めてるみたいで。
[潜めた声音は出来るだけ、ハインリヒだけに聞こえるように。
それは、ブリジットやベアトリーチェが傍にいるから。
もし聞きとめられても、不安がらせないように、
表情は声音は、焦りもなく淡々と穏やかなままに。]
[それでも、動かないようなら
アーベルの手にした鎮痛剤を摘んで。
封を開けて、錠剤を指先で唇に入れようとする。
ハインリヒが鼻を摘むのは援護だろうか。]
口を開けるの。
…色々あるのね。
おそらく名前が違うのだから
何かに特化…してるのでしょう。
ゲルダは…そう、霊感力、かしら。
[カルメンが、ピューリトゥーイ。深く彼女を「視れ」ば私なら解るかもしれないと思うけれど口にはしないで]
私もよ。
…他に何か引き出せる情報は…ないのかしら。
[ぽち、と人差し指でキーボードを打ちながら]
そういえば、パスワードは何だったの?
ううん、ライヒの痛みが少しでも和らげばいいな。
[首を振って。]
……あ。
[彼に星が見えないだろう事を失念していて唇を噛む。でもすぐに笑って。]
ね、ライヒ。目を閉じて。
[彼が目を閉じるなら知りうる限りの星の名前や星座の名前を並べ立てる。]
見えた、でしょ。あたしが今見てるよりもたくさん。
[彼が星をあまり見ない人なら無意味だけど。]
今じゃなきゃ───見られないものも、ある。
[後悔はしていない、少しも]
[とんとん]
[小さな振動]
[少し前の事を思い出して懐かしくなった]
[おはよう]
[だいじょうぶ?]
[彼女は今どうしているのだろう]
薬、嫌いなんだよ。
[だから必要ない]
痛くなくても───いきたいなら、飲みなよ。
[自分の分をゆだねるように]
[右の手の微かな動き]
[薬をブリジットへ放る]
───嫌だ、ッたら
[鼻を摘まれた]
[エーリッヒのたたみかける言葉]
[表情が険しくなる]
[そう簡単に、開けるもんか]
>>305
ああ、ゲルダはそうだろう。
[思い浮かんだのは、3体の石像の前で涙する姿…。]
パスワードか?
すごく単純だった。
[そして、Pのキーを指さす。]
メデューサ退治をする気はあったみたいだ。この研究所。
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