47 【いばらの王 blue-side】
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シスター ナターリエ
[ヘルムートとライヒアルトに邪魔じゃないと言われて微笑む。ダーヴィットがぼんやりしてる様子は目の端に映って。彼も疲れてるんだろうと思った。]
無理してたかは休めばよくわかるね。ライヒもこれが終わったら休んで。傍についてるから。
政治家 ヘルムート
──これは、
[息をのんで、まず作業の大部分を的確にこなしてくれたライヒアルトの顔を見た。無意識に残りの薬物が入ったままのタイピンを握る手が震える。]
写眞家 アーベル
[目を閉じる]
[息を吐き出す]
[ゆっくり目を開けた]
[足音]
[聞こえる]
[カメラを空に向けた]
[上手く撮れるかわからないけど]
盲目 ベアトリーチェ
[本当はいいたくないのに。
大事な人。護りたい人。それは、糸で繋がった存在だけではなくて。
だから、知っても憎むことが出来ない。責めることも出来ない。
何があったのかは、彼にしかわからないのだから]
植物学者 ライヒアルト
……休憩なら、動く少し前に取ったから、大丈夫だ。
あんまり、のんびりともしていられんだろうし……。
[ナターリエには、苦笑しながらこう返し。
ヘルムートから向けられる、視線と、彼の様子とに。
自然、居住まいを正していた]
清掃員 ゲルダ
うん、計器類は生きてるし、燃料も入ってるみたい。
[操縦席を覗き込んで確認する。]
ほら、ここ…AUTOMODEって書いてある。
でもまー…機械はさっぱりわかんないんだよねぇ。
[たはは、と肩をすくめて。
シャッター音が響くと、そっちへ目を向ける。]
アーベルさん、そっち上ってきたの？
階段急だったっけ。お疲れ様。
写眞家 アーベル
[かしゃん]
[シャッターを下ろす]
[ファインダーの中に、少女]
───ええ、と。
[誰だっけ]
[名前を未だに知らない気がする]
[向こうはこっちの名前を知っているらしい]
盲目 ベアトリーチェ
[首を傾げる]
私は、気を失ってたんだから、何があったのか知らない。
どうしてって思うけど、責めてるわけではないの。
こぼれた命は拾うことが出来ないんだもの。
先を見て、歩いていくのが、大事。
だから。
清掃員 ゲルダ
空…？
[青空へと向けられる、アーベルのカメラ。
釣られて見あげると、数羽の鳥が横切っていった。]
あ、うん。もう少しかかるの？
じゃあ…中で待ってたほうがいいのかな。
政治家 ヘルムート
ライヒアルト＝ファルベ。
──感謝する。
解析結果の画像を皆に見せる為には、研究室のPCから出力する必要がある、な。
[執着していた事の一つの達成に両眼を輝かせ見開いたまま、続いてダーヴィッドを振り返る。]
ダーヴィッド。
これが何の星座か、わかる だろうか？
[問うてから、ダーヴィッドが酷く遠い所に居るように見えて、眉を寄せた。伸ばした手が──ダーヴィッドの肩へ触れる。]
写眞家 アーベル
───鋼の翼。
[ブリジットの言葉]
[ファインダーをのぞいたまま答える]
[空]
[茨]
[プロペラ]
[白い花]
[ゆっくり、カメラを降ろして]
[視線を水平の高さに戻す]
星詠み ノーラ
……
[ベアトリーチェの手を優しく握る。
そうすると伝わってくる気がした。
自然と伝えてしまう気がした。
それでも、少女の手を握って]
貴方は…貴方が思う道を歩んで。
消防士 ダーヴィッド
あ、
[ヘルムートに肩を叩かれて、夢から覚めたような顔になった。]
ああ、星座ですか？
いや、そういったものには……無粋で……。
植物学者 ライヒアルト
いえ、お役に立てたなら何よりです。
[礼の言葉。
居住まいを正して、こう返す]
……そうですね。
ここだと、データ表示と保存しかできないようですし。
[出力、という言葉に頷いて。
保存のための作業に取り掛かる。
ダーヴィッドの様子には、その時ようやく気づいた]
星詠み ノーラ
[零れた命が重すぎて
前が見えなくて
一本の糸に
縋るように
今、此処にいて
脅えながら
生にしがみ付く事で
他すら見えなくなっていた。]
…っ
[目を覚ませと――]
盲目 ベアトリーチェ
ツヴァイさん、咳……。せめて、鎮痛剤とか、飲まないと。
嫌がるアーベルさんに薬を飲ませたんだから、ツヴァイさんだって飲まないと不公平だよ。
[手を伸ばす。届いただろうか]
植物学者 ライヒアルト
……寝顔って。
あの、な。
[思わず、口をつくのは呆れたような声。
先ほどまで沈んでいた静寂とは、真逆の状態。
それが、心地よいのもまた、事実で]
……それはそうと。
この形って……何座に、見える？
[星の知識はなくはない。
だから、ある程度は絞り込めるものの。
歪みのためか、特定には至らないから、意見を求めてみた]
研究員 ハインリヒ
［断ち切った首輪］ ［如何して］ ［どうせ助からない］ ［治ったのに］
[[―――…歪む音と共に崩れていく。侵食されていく。]]
［ミヒャエルも］ ［諦めきった声］ ［もう長くない］ ［無理やりにでも］
[[自分が…意思が、鏡の中に置いていかれる]]
［救いたいのに］ ［少し休めば］ ［この手は］ ［目の前で石に］
[[―――――…否、]]
［危険かもしれない］ ［回復薬］ ［面白がっている］ ［奪いとった］
[[抑えきれない 衝動]］ ［[此方が自分の本心？]]
［護りたい］ ［何故］ ［生きて欲しい］ ［こんなにも難しい］ [約束]
[[――――…もう、わからない。]]
研究員 ハインリヒ
[戦慄いた唇は、二人に にげろ…と伝えたかったのかもしれない。]
[もう遅い。]
[男の伸ばした手は、ベアトリーチェに伸ばされて]
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