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――あれ、言ってる意味バレちゃいました?
[威嚇する青年の様子に、更にからかう様にくつくつと喉を鳴らす。
先程まで、虫の居所が悪かった腹いせ…と言うわけでは無いけれど。
続く言葉には、僅かに翠を細めて]
…あれ。助けてくれないんですか?
そうしたら、こんなところじゃ直ぐに死んじゃいますね。僕。
…良く、わかんないや。
違う気が、するけど…。
[背中に広がる赤い血だまりはどんどんその範囲を広げ、痛みにゆがんでいた顔はゆるやかに瞼を下ろしかける。]
[確かに、誰をも助ける事はできない。
けれどせめて、護れるなら大切な人くらいは。
むしろ、自分を護れなくても大切な人くらいは護れるかもと
遠くない未来、彼女が思う時は来るだろうか。
未来を知らない彼女が自分の未来ではなく、
誰かの未来を先に見つけたならば――]
あ、待って――。
[銀の翼が舞うのを追って、白の翼も宙に踊る]
テメ。
流石に俺が三歩歩いて忘れる鳥頭でも、馬鹿にされてることぐらいわかるっつーの!!
あー、ムカツクーーーーーーーーー!!
[青少年の騒がしい声はきっとあたりに大きく響いたに違いない。
けれど続いた言葉に、僅かに小さくつまって]
…な、なんだよ。
じごうじとくってやつだろ。
こんなところに呼ばれるくらいなんだから、どうにか切り抜けろよ自力で!
[見上げた空には、透明な夜が広がる。
煌めく星のひかりは、遠く。
銀が、舞うのが見えた。]
――……きれい。
[続いて踊る純白に、緩やかに、瞬かれる緑。]
じゃあ、きっと違うんだわ。
[所詮は影。
決して本物にはなれない]
ま、アタシはアタシ。
他の何者でも無いわ。
誰かに成りすますことはあってもね。
[ユーディットが横たわる地面に徐々に赤が広がる。
それを見ると少しだけ眉を顰めるか]
手当て前に死にそうねぇ。
[スタッフはまだかと流石に辺りを見回した。
自分で応急手当をしようとは思わない。
その手段を持たないから]
あはは、殺すつもりだったんじゃないのぉ?
少なくともボクは、キミを殺すつもりだったよぉ。
[傍らに立つ女性に、いつもの無邪気な笑みを向ける。
倒れ伏していても、その手が鎌を離す事はない。]
[自分を追う、白の翼の思いなどは知らぬまま。
知ったなら、他者よりも自分を、と諌めるのだろうけれど。
感じた血の気配に引かれるように、そちらへと空を翔け]
……って、こいつはまた……。
[ふわり、と着地して目にした光景に。
零れたのは、低い呟き]
[てぃるの言葉に手で目元を拭いながら、
俯いてふるふると首を横に。
けれど、涙はとまらなくて。]
[正面のモニターには、現在地と目的地が、
グリッドの上に示され。]
――…自覚は、有るんですか?
[鳥頭、との言葉にきょとりと瞬いた。
…何気に酷い言葉だが、意図しているのか無意識なのか。
賑やかに文句を告げる様子には、
夜間なんだから、もう少し静かにしたらどうですか、と静かに嗜めて。]
幾らなんでも、突然の崩落にただの「顔のお綺麗なおにーさん」が
対処出来るはずないじゃないですか。君じゃあるまいし。
[続く言葉には、いけしゃあしゃあと]
言ったでしょ、”今は”殺さないって。
そうやって上からも言われてるのよ。
アタシだって殺す方が楽だわ。
手加減する必要無いもの。
[面倒そうに肩を竦めて。
その様子は随分と気楽なように見えるか。
かと言って油断をしているわけではない。
相手が倒れていながらも得物を離さないなら尚更。
手負いの獣は何をしてくるか分からない]
殺しちゃったら後で怒られるのアタシだしぃ。
へぇ〜。
キミのご主人様も、ややこしい事言うんだねぇ。
[ルージュに言いつつ、他に人がきたならばそちらにも視線は流すだろうか。
体は、動かないが。]
あらやだ、回収スタッフの前に別のが来ちゃったわね。
[現れたアーベルの姿に真紅の瞳を瞬かせる。
その後ろを見れば、先程自分が模倣した少女が見えて来るか]
あははー、イレーネじゃないってバレちゃったわぁ。
[先程までユーディットと話をしていたことを口に出し、楽しげに笑った]
うっさい!
[それこそくわっ、と勢いのありそうな表情で軽く日碧を睨む。
ぷりぷりと怒り散らす様子がなんとも機嫌の悪い猫にも、夏の夜に冷えたアスファルトの上で転がって涼む猫にも見えた]
…よく言う。
お前みたいなのが一番こええんだよ。
済ました顔して、何考えてんのか、何したいのかまっじわっかねえんだもん。
[物凄く困った顔をして。
ふとアーベルのしていたことを思い出す]
…泣かないでくれ。
[同じような優しい言葉は出てこないけれど。
数歩近寄ってその頭を撫でる、というかその上に手を乗せようと]
[銀の軌跡を追うにつれ香る。
この匂いは何だっただろうか、何処で嗅いだのだろうか。
そんな思考に答えが出る間もなく、目にする光景に]
ユーディ――ット。
[紅に沈む見知った姿。
素足がぱしゃりと、血に降り立つ]
どうし、たの――?
[スカートが汚れるのも構わず、その傍らに座り込む。
翼が触れる事を躊躇する手の代わりに、彼女の方へと]
おいおい……。
確かに、好き勝手に、って話にはなってたけど、お前。
[挙句にいきなり落ちるかよ、と。
笑うユーディットに呆れたように声をかけつつ]
……あんた、は……。
[そこに立つ、真紅に蒼を細める。
ナターリエから聞いた話との齟齬。
意識の奥を掠めるのは、以前裏の仕事場で耳にした噂]
[オトフリート、否、見知らぬ女性の言葉には]
私じゃ、ない――?
バレた――?
[この光景の前で笑う姿には、険のある眼差しで]
どうして、私を知ってる、の。
うちのご主人様は我侭言い放題よぉ?
じゃなきゃこんな『遊戯』なんて無かったわよ。
[ぶーぶーと膨れて文句を言う。
その最中、ブリジットが現れると真紅の瞳だけを向けて。
特に何かを言うでもなく笑みを浮かべる]
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