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─ 宿 ─
……にしても、まあ。
[団長が去って行った所で、改めて場にいる面々を見回す。
この中に、と言われても、正直見当もつかない訳で]
面倒極まりねぇ……。
[口をついたのは、率直な感想。
本職は伝承学者、人狼の伝承方面の知識はあるが。
こればかりは、知識『だけ』でどうこうできるものではない]
……出てきてくれるとは、限らんもんなぁ……。
[呟きは、軽く、ため息混じり]
―翌日・宿―
[宿への到着は遅い方だっただろうか。
人選に眉を寄せながらも、こちらに反応するようならそれにはひらと手を軽く振った。
全員が揃った後に告げられた説明には、ただ無言のままで聞いていた。
人狼、という単語には、瞬き反応を見せたが、どうする事もせず。
ギュンターの結社の印には目を細めた。
昔、傭兵時代に見たことがある印と相違が無い。
本物かよと思うと同時に、また面倒な、とは内で零した。]
面倒だな、本物の結社だ。
誤魔化し効かねぇだろうな。
[ギュンターの印に眉寄せ、溜息のようにこちら側で零す。
行くしかないという女の声が聞こえれば>>*36、
ふんと少し口の端が上がった。]
何を相談する気だよ…。
まぁ、行く事には反対しないが。
[今の状況とこの身には、結社は邪魔でしかないと、
思考が自然そう結論付けていた。]
― 翌朝・宿 ―
[加工師>>207に頭を撫でられると困ったように首を振った。振り払うにはいつもよくしてもらいすぎていた。
商人>>220の静止は聞いておくべきだったかもと後になって思った。
彫刻家とその本が役に立つのだという作業を見せてもらう約束をしたり、とてもイイ笑顔で飛び込んで来た修道士が学者を引きずっていくのをドナドナと見送ったりしているうちに昨日は日が暮れた]
ふぁぁ。
[夜は厨房奥の小部屋でいつものように横になった。
朝はいつもより眠くて何度も欠伸を手で押さえながら水を汲んだ]
おはようございます。
……みんなどうしたの?
[厨房から中に入ると人が集まっているので首を傾げてしまう。
後から自衛団長も来て、話していた父親が押し黙って奥に消えた。
追いかけようとしたら残るように言われてしまったので、所在無く立ったまま説明を聞くことになった]
― 宿屋 ―
[少女が宿へと辿りつく頃には自衛団長が既に待ち構えていた。
何人集まるのか何の為に集められたのか直ぐには分からない。
黙ったままある自衛団長をちらちらと気にしながら
彼が口を開くのを待った。
集まるは見知った者。
昨夜、村の入口付近で会った者も居た。
十一人が集まりきれば自衛団長から話がある>>190]
[未曾有の危機と団長は言う。
少女はその言葉に言い知れぬ不安を感じた。
一体如何いう事なのか、問いたいのを堪えて待てば
直ぐに団長の口からそれが告げられる]
……人、狼?
[彼の語る危機と御伽噺の存在。
それが直ぐには繋がらない。
途惑いを感じながら小さくその言葉をなぞる]
[御伽噺の中の人狼が現実に存在する。
其れは人を食らうのだと言った自衛団長の右手の甲。
銀のしるしに、少女ははたりと瞬きした。
御伽噺にある通りだとすれば人狼は銀に弱い。
確かに彼の言う通り、それは証として少女に受け入れられる]
─ →自営団詰所 ─
[宿を出たのはたった一人か、それとも誰かと共にか。
詰所に着いたのは、恐らく自衛団長が戻って程なくのこと。
自衛団員に面通しを願い、通された団長室でつい先程宿で自分達に辛い通告をした人を見つめた。
この人をこの部屋でこうして見つめるのは、これが二度目。]
…あの時。
分かっていたのか、貴方は。
[父の遺体を確かめにいったはずの母は、帰ってこなかった。
骸すら返されることはなく、戻ってきたのは─遺されたのは、一つだけ。
今も胸にかけてある、其を自分に手渡されたのもこの部屋で。]
母さんが、見抜く力を持っていたことを。
それは、勿論。少し任地を離れてくれると嬉しいなって?
[地面の下も任地と思ってくれるものかは要相談というところだろう。
拒絶してもしなくても決定を覆す力は彼にはない。]
─ 宿屋 ─
[自衛団長が立ち去っても追うようなことはしなかった。
相談すべきことなど無かったために。
詰所へ向かう人が居るならそのまま見送ることとなる]
……何で僕達だけ、なんだろうね。
[村全体ではなく、人数を絞った状態でなされた説明。
誰に言うでもなく呟いて、虚ろな瞳を瞼で覆った。
一人を選び出すまでは普段通りで良いと言っていたか。
何も情報も無く決めろと言われても、決めかねるのは必死]
…どうすれば、良いのかなぁ───。
[呟きながら、頭では昨日リズに言われたこと>>225を思い出した。
沈んだ空気を明るい話題で塗り替える。
けれど、僕の仕事でそれが出来る状況にはどう考えても見えなかった]
[要約すればこの中に人狼がいるかもしれないから一人づつ殺せ。
という血生臭い話には眉寄せるものの、さほど動じはしなかった。
その話が本当なら、まぁ利には適っているなというのもある。
本当ならば、だが。
とはいえ結社を名乗る者が、不確定極まりない事をするはずもない。
それは彼らと関わったことのある..も良く知っている。
だからこそ、面倒な事この上なかったが。
もう一度周囲を見た。
男が居る、女が居る、子供も居た。
どれもこれも程度は違えど知り合いばかり。
おまけに恩人に友人、宿の息子まで居る始末。
辟易せざるを得なかった。]
[この中に人狼が混ざっているらしい事を
自衛団長の口から聞くことになるのだけれど
辺りを見回しても、見知った彼らがそうだとは少女には思えない。
自衛団長が冗談や嘘を言っているようにも見えなくて
少女は途惑いの色を強めることになる]
――…可能性を削る、って ?
[小さな声が問うと同時か。
団長が続けた言葉に、少女は息をのんだ。
処断、力ずく。
物々しい空気の一端を垣間見た気がして
少女は不安げにへなりと眉尻を下げた]
[自衛団長はどんな返答を返したのか。
共に来た者がいたなら、どんな反応をしたのか。
色のない表情のままでそれらを聞きながら、服の下にある母の形見をしかと握る。
それ自体は見えなくても、首にかかる銀の鎖が襟の影からきらりと光を反射させて。]
………今度は、私が殺される番、か?
[人にか、狼にか。
それは解らない、けれど。
母と同じ力があると告げれば、きっと。
母と同じになるのだろうと。]
― 宿 ―
[話が進むうちに大きく目を見開いた。
銀色の印を疑うこともしないけれど、それでも御伽噺が現実になったということをあっさりと受け止めることは出来なかった]
うそだよね。
そんなの。
[誰か嘘だと言ってほしかった。
そう言いながら嘘ではないと、どこかで感じてはいた]
─ 宿 ─
[何で、という疑問の声>>240に、深緑の瞳をそちらに向けて]
一説によると、特定まではできなくても、ある程度は絞り込む方法とかあるらしーよ?
まあ、俺も人伝に聞いただけだから、確証はないけれど。
[軽い口調で、そんな言葉を投げる]
まあ、見分ける力とか手段も、あるはずだけど。
そういうのを持ってる人がいても、元気良く挙手……って事は、早々できんだろーしねー。
まあ、私もいるし、クロエさんも居る。
見る目は正しいと言うべきでしょうね。結社1000年の伝統の技とか言うのかも。
それはそれで面白そうだけど、教えてはくれないのよね。きっと。
[ほんの少し興味はある。11人に絞るだけでも相当な手間のはずだ。]
嘘つきだな。
少しじゃなくて、永遠にだろう?
[彼女の言い様には少し、笑った。]
……どうするかね、本当。
[笑った後に、ぽつりと呟く。
それは団長の事ではなく、今後を指しての事だった。]
―宿―
[加工師が宿を出て行くのを見送り。
僅かにため息をついた。
伝承を語る学者先生の声が聞こえたり、戸惑う声がざわめきを生んだりしている空気に、頭痛を感じてこめかみを軽くもみ。
ライヒアルトと視線が合えば、『困ったことになったねえ』と仕草で伝えた]
……勘違い、するな。
覚悟はとうに出来ている。
それで、貴方を責めたいわけではない。
ただ。
何故、あの十人なんだ。
[母から遺された其れを、受け取ったあの時。
母が死んだ理由はすぐに察した。
自分自身に流れる血は母と同じ、いつか母と同じ死に方をするかもしれないと。
それが怖かった。一人が怖かった。
誰も頼れなかった、唯一人以外。
その唯一人が、あの十人の中にいる。
それは、自分が殺されるかもしれないよりも怖いことで。
そんなことを問うても、仕方ないのだけれど。]
─ 自営団詰所 ─
……知っていたよ。
伝聞の形でだがな。
[じっとゲルダ>>239を見つめ返して僅かに頷いた]
死ぬとは限らん。
その危険が他の者より高いのは間違いないが。
…だからこそ、力を持つものも集めたことは言わなんだ。
無為に死なせたいわけではないのだよ。
[深い溜息が毀れた]
半端者まできっちり入れてきた所を見ると、相当な精度だよな。
[結社1000年の技>>*41には少し吹いた。
友人の唇>>246も読みながら、面倒くせぇ技だとは思いもしたが。
これで人のままであれば、もう少し絞れないのかと言い出しかねなかっただろうが。
自分の立ち位置が、どこかまだ不安定に思い。
その為にもどうすべきか、と少し思考した。]
─ 自営団詰所 ─
[覚悟>>249と言われて眉間に深い皺が寄った]
ここ最近の動向が一番の理由にはなる。
お前さんが必ずしもその力を使えるという確証も無かった。
可能性を拾い上げて絞り込んだが。
その一つが、儂の勘に近いものだからな。
そうと言えば反発するものの方が多かろう。
[それを娘に告げたのは、かつて同じ力を持っていたことがあるからの感傷だっただろうか。
あるいは。自分もまた覚悟を決めていたからだろうか。
探し出す時間を作るための囮となることも]
説明しろと言われても、儂自身説明しきれん。
ならば沈黙しておく方がまだ良かろう。
[自衛団長が詰所に戻り、ゲルダがその場を離れても
少女は暫し其処に佇む。
思いもよらぬ話を聞かされ理解が追いつかないのか
ただ、動けずにいただけなのだが――。
何で。
どうすれば。
デザイナーである彼の呟き>>240が心の中で重なる。
答えを見つけられぬままあれば
伝承学者たる彼の言葉>>246が聞こえて]
見分ける力や手段……。
それも御伽噺の中と同じ、なのかな。
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