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そういうことに、なりますね。
[紡がれなかったエーリッヒの言葉に、小さく頷く。
と、聞こえた、玄関から扉のノックされる音。]
あら、誰でしょう。
ちょっと見てきますね。
[失礼します、と頭を下げ、玄関先へ向かう。
人狼の容疑がかかっている自分たちに用があるのは自衛団員ぐらいだろうか、とすればまた何かあったんだろうか。
そんな不安を滲ませながら、扉を開ける。]
……アーベル。
[そこに居た者の名前を、驚いて呼ぶ。
その声は中へと届いただろうか。]
どうしたの、珍しい。
というか……うん、ナイスタイミング?
[エウリノにとって絵なぞ興味の欠片も無い。
あるのは享楽へと繋がる事柄のみ。
如何にミリィの作品が素晴らしいものでも、エウリノの心を動かすことは無いだろう]
[今でさえ、揺れるロストの意識を感じて愉しんでいる]
[エウリノの囁きは狂える使途にも甘く届いた。
それは一族にとってもっとも幸せな終わり方。
もしミリィがロストに食べられたなら。
それは、なんて。
羨ましいことだろうか―。]
や。
話すならこっちの方が都合良いし――
それに、何時までも、黙ってもいないかな、と。
[片手をひらりと挙げる。
ユーディットが何であれ、情報を己一人の内に収めておくとは思っていなかった、という口振り]
タイミングを計っていた心算は、なかったけれどね。
Ist diese Bestrafung, O Gott?
Ist die Gebuehr davon nach verbotenem Wissenmeer, zu dort, zu suchen?
[低く低く流れる声。
震える腕は少女を放さぬままに]
それとも慈悲なのですか。
そんなもの、私はいらない……!
[血を吐くような、呪うようなコトバ]
[頷きと共に返された言葉にだよな、と小さく呟いて。
玄関へと向かうユーディットを見送りつつ立ち上がり、本棚から伝承の書物を一冊抜き出し、またピアノの前へと戻る。
驚きを込めた声が紡ぐ名に、おや、と小さく呟きつつ、ぱらり、ページをめくって]
………。
[それは甘美な囁き。
腕の中の身体は、まだ仄かに温かい]
…イヤだ。
それだけは、したくないっ!
[だが、返したのはその言葉。
傷つけたくない、何があっても。その思いが強くて。
唇に感じる遠い温かさが、それを包む]
[ぱちくりと大きく瞬いて。]
貴方、実は私の心ぜんぶ読めてるの?
今、丁度エーリッヒ様に貴方のことを話してたんだけど……
[と、自分たちが話している場所に思い至り]
ああ、ここじゃ何だし、ともかく中に入って。
[と、大きく扉を開ける。]
/*
中身深呼吸。
多少えげつなくても構わないと思いますよ。
閲覧注意もついていることですし。
まあ、妊婦さんやってるんだから、向こうも覚悟あるんじゃ?(ぉ
半分以上は偶然だよ。
事が起こり、イレーネの占いの結果が出た翌日――
何方か片方が人間なら、
何かしら話はしているんじゃないかなって、それくらいだから。
[促される侭に中へと入り、言われる前にある一室へと向かう。
幼い頃から幾度も訪れているがゆえに、迷う事もない]
や、エーリ兄。
腕は大丈夫? ちゃんと叱られた?
[どれだけそうしていたのだろう。
やがてノロノロと立ち上がり、腕の中の少女を寝台へと運んだ。
瞼の下に隠れたままの紅玉。美しかったあの色はもう見えない]
本当にどうして、こんな酷い奴を好きになったりしたんですか。
貴女も、自分も騙し続けてきた男など。
[屈みこみ、唇を重ねる。
小さな痕が残るが、ただそれだけ。流れるものも既に殆ど無く]
私は、貴女のくれた最後の約束すら守れそうに無い。
そんな、最低なものなのに…。
[寝台の傍らに座り込む。そっと頭を撫でる。
答えが返ることは無いと、頭だけが理解していた]
やあ、アーベル。
[やって来た青年に軽く言いつつ、眺めていた本を閉じる]
まあ、大丈夫だが……君は来るなり、何を言いますか。
[叱られた、という問いかけに、返すのは呆れを込めた言葉]
いや、だって、ねえ。
エーリ兄の大丈夫は、信用ならないし。
[きっぱりはっきりと言ってのける。
同意を求めるように、後に置いて来る形になったユーディットを見やり、ゆるく首を傾げた]
そうかな?
お前の中では、それを望んでいるのではないか?
思うままに動け。
望むままに揮え。
── 解 き 放 た れ よ ──
汝を抑す楔は消える。
今こそその身に狂気を宿せ。
更なる惨劇を巻き起こそうぞ!
[高揚した様子で高らかに叫ぶ。
口端は持ち上がり、愉しげな表情が顔に浮かび。
鳶の瞳は血走るが如く紅き色へと変貌した]
……さっすが、本式の探偵は違うわね。
[軽く首を振る。]
私じゃまだまだ探偵助手は務まりそうもないかな。
[アーベルの後についてエーリッヒの部屋に入る。]
エーリッヒ様、アーベルは全部お見通しみたいですよ。
私がエーリッヒ様に話したってこと、言い当てられちゃいました。
[肩を竦めた。]
/*
何かをちまちまと書いてた(おまえ
覚悟あると見て、胎児引きずり出しは慣行しまs
8割になるかは分からんけども!
ノーラ白出しでも良いね。
後はアベちんがどこ占ってくるか。
俺結構やばいんじゃ、とか思ってるwww
[夜があければ、強い夏の日差しが飛び込んでくる。
身支度を整え、家を出た。
蝉の鳴き声が聞こえてくる。反比例するように、人の声は聞こえてこない。
村がどんどん静かになっていく]
…寂しいなぁ…
[ぽつりつぶやいて。蝉の鳴き声を振り切るように、駆け出していった]
[アーベルに同意を求められれば、それには力強く頷き返す。]
ええ、それはもう。
1年しかお仕えしてない私でもそれぐらいはよくよく判ります。
エーリッヒ様は、自分のことを構わなさすぎるんです。
……まったく。
君は、俺をなんだと思ってんのかと……。
[きっぱり言ってのけるアーベル言葉に、大げさなため息をつき。
肩を竦めるユーディットには、そのようで、と軽く返して]
で、と。
大体察しはついてるが、ご用件は?
[うんうん、とユーディットには何処か満足げな頷きを返す]
それで本当のところ、大丈夫なの、あれ。
[あれ呼ばわりの示すところは、左腕の件だが]
[高らかな聲は熱を煽る。
必死にそれを押し込めようとすればするほど、熱は高まり駆け巡る]
…く、あ。
死んだ、モノを、食らっても。
仕方がありません、からね…!
[精一杯の反抗、捻じ曲げても作る虚勢。
だがそれは狂気を別の方向へと強く押し出すことになった]
宴、は。
別の場所を、所望し、ます。
[切れ切れの囁き。
だがその唇はたしかに弧を描いていた]
[翌日。
目を覚まして作業場へと向かう。
机の上に原石の山は無かった]
……戻っては、無いんだな。
どうせ、鉱夫達も持ってきてないだろうし。
[仕事が無くなった。
手持ち無沙汰になってしまった。
工房に居てもやることは無く、ふらり、外へと足を向ける。
空を見上げようとして、眩しさに手を頭の上に翳した]
察しがついてるなら、
わざわざ聞くことないと思うんだけど。
[扉の傍の壁に寄りかかり、腕を組む]
まあ。
知られたのなら中途半端に黙っていても仕方が無い。
情報を一所に留まらせても、事態の進展は望めない。
与えて、どう動くのかも見てみたいしね。
そんなところかな。
エーリ兄にまで伝わるのは予測出来たけど、
昔はよく視ていた分、幾らかパターンが読めるから、楽は楽。
[本質を見極めるには遠く及ばない上に、今では容易に視ることも出来ないが。其処までは口にする必要もないかと、言いはしない]
[唐突に投げられた言葉、その意を一瞬捉えかね、きょとり、と瞬く]
……随分とまた、いきなりなご質問で。
[言いつつ、右手はすい、と左の腕を撫でる。
袖口から覗く真新しい包帯が意味する所は伝わるか]
むしろ、良くぞ気づいてますね、と言うべきか?
…は。
[顔を伏せたまま、首を振る。
もう一度だけ唇を重ねた。広がる鉄の味]
おやすみなさい、ミリィ。
今一度だけ。
―― Ich liebe Sie.
[ゆっくりと立ち上がる。
寝具を掛ければ、まるで眠っているかのように]
あとで迎えに来ますね。
イレーネに、伝言を伝えてきます。
[小さく告げると、扉から玄関を回って外を目指した]
[ユーディットの答えに次ぐ、エーリッヒの挙動。
にっこりと、笑みを向けた]
エーリ兄。
ブラフとかカマかけとかって言葉、覚えるといいよ。
[つまりは、思わせ振りな言動をしてみただけということ。
気になる事は今までにも幾つかあったが、確信はなく。それで何か情報が得られれば僥倖、と言ったところだった]
単なる痣で、その包帯は、ないよね。
マゾヒストか、血に飢えた人狼か、何かしらの力を持つか――
さて、どれだろうね?
ふ、死せる者からは力は得られぬ。
確かにな。
ならば別の獲物を探すとしよう。
滋養となりそうな、力を蓄えるに相応しい獲物を。
[熱を抑えようとするロストに対し、愉しげな口調のまま返す。
ミリィを喰わせられないのは詰まらないが、己も乾きは進んでいて。
それならばと喰らう獲物を物色し始める。
そして浮かぶ、悦びにも似た歪んだ笑み]
……母となりし者は、どのような味がするのだろうな。
二人分の滋養を得られるとは思わないか?
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