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―広間―
ん…あ、ああ、すまん。
悪いな、カッとなるとつい口が滑っちまうんだ…。
[言いすぎたらしい事をエーリッヒに窘められ、素直に皆に謝った]
己の為すべき事を為せ…か。
[フォルカーの言葉に強いな、と思う一方で、
自分が父親だったならきっと出来ない判断だろうなと胸の裡で思っていた]
ん、おい、だいじょうぶか?
[不意に言葉を途切れさせて俯いたたフォルカーに手を伸ばそうとするが、
宥めるのはローザに任せて椅子に座りなおした。
エルザが広間に姿を見せたのを視界におさめたなら、
無意識に視線を逸らし、シュークリームを口に放り込んだ]
―広間―
[ユリアンが一瞬だけこちらを見た気がした。
けれどいつもと変わらない。
そう、変わらないようにしなければいけないのだった]
…まずはお話し合いから?
お茶、淹れ直してきましょう。
[席につく前に自衛団からの伝達内容を聞けた。
人数も増えたことだしと、テーブルのカップを一度回収しようとした]
[ウェンデルのはじめの返答には頷いて、
続いた話には]
オトフたちには話したが、人狼に対抗する力っていうのがあるらしい。
俺も人から聞いた話だし、うろ覚えだけどな。
そいつらは人狼とセットみたいなものらしいから、うちらの中にいるのかもしれない。
それがあれば、なんとかなるかもしれないな。
[曖昧な記憶の中のことをそう伝えながら]
その話が全部本当ならだが、人狼がいるっていうなら別にいても不思議はないかもな。
[エルザが来たのはそんな話をしてる途中だっただろうか。
その姿に気付くとよぉと手を上げて軽く挨拶をした。]
─広間─
[毛布の中で、片方の手を顔の前へと持って来る。それはついさっきまでフォルカーに握られていた手。何かを確認するかのよに何度か開閉した]
[ぼんやりとした意識は周囲をきちんと把握することは出来ず。確認出来たのは未だ膝の上に居た猫の存在だけだった。視線が猫へと落ちる]
なすべきことを…かぁ。
フォルカーの事を信じてるんだか、無責任な放任主義か迷うところだなぁ。
[相変わらず、思った事を推敲せずに口に出す21歳。
フォルカーをもふって落ち着いてきたら、そろそろ解放するだろう]
―二階・個室―
『見出すもの』…お前が?
[僅かに目が見開かれる]
なるほど。
まるっきり、御伽話と一緒ッてワケか。
…『魂を視る者』もいるらしいし、な。
[顰めた眉は更にきつくなる。
声は何処か皮肉気だった]
それで、その結果ッてのは。
―広間―
お嬢、起きたか?
腹、減ってないか?
だいじょうぶか?
[目を覚ましたイレーネに気がついて、声をかける。
いつもどおりの口調を、と努めたがどこか気遣うような響きは否めない]
―広間―
[挨拶してくれたエーリッヒに微笑む。
こんな時でも微笑んでしまうことができた。
いつもと変わらぬように。変わらなさすぎるとは思い至らない]
対抗する力…。
それがあれば見つけられるのかしら。
[カップがあるのはハインリヒたちの近くだろうか。
視線を逸らされているとも知らず、近寄って手を伸ばす]
[イレーネが目を覚ましたのに気づけば]
おはよ、イレーネ。
甘いシュークリームかシフォンケーキはどう?
ホットミルクもあるよー?
[向ける笑顔と口調は、すっかりといつも通り]
うん。じゃあ俺もお願い。エルザ
[お茶についても、ウェンデルへの説明は相変わらずの任せっぷり。動かないのかいとかも相変わらずだろう]
そういやそうだよな。セットでなら、そういう存在の力を借りるしかないわけか
[エーリッヒの言葉に考え込むようにぅーんと声を上げつつ、イレーネが起きたというのに視線を向けた]
─広間─
[呼ばれたと言う認識は出来たのか、ゆる、と顔がハインリヒへと向く。声は発さずに、頭がかく、と垂れたが、どちらの質問についての頷きなのか分からぬよな仕草]
[散々もふられたあとに解放されて、胸に手を置いて、数度、大きく息を吸って吐いて、を繰り返した]
……どちらも、違う、と思います。
[ローザへの返答をする際は、少しばかり物憂げになる]
そういう、役目……………だから、
――……村の、長たるものとして、は。
[後の台詞は、付け足しのようだった。
嘘でもないが、まるきり真実でもない、というような]
人狼、……を、見つけ、ないと。
[そう口にすると、苦しさが和らいだ気がした]
……お腹、空いた、よ。
[欲望は聲として響く。どちらの意識が表に出ているのか曖昧な状態。欲望だけを見るなら、おそらくは獣の意識が大半を占めていただろうか]
―広間―
[紅茶を、と伸ばした手が誰かの手とぶつかりそうになった。
見上げればエルザがいて、困ったように手を引いた]
あ、エル…エリザベート。
片付けるのか?
[皆が呼ぶのと同じようには呼ばず、どこかぎこちなく問いかけた]
[紅茶を一口飲もうと手を伸ばしたところで、周囲の人の、あるいは猫の鳴き声に幼なじみが目を覚ましたことを知り、振り返る]
……レーネ、……………まだ寝てる?
[ハインリヒへの反応と思わしき頭の動きに、疑問混じりの声。
傍に寄って、顔を覗き込もうと]
[微笑む様子のエルザには、こちらを気遣っているのだろうと、
こちらも出来るだけ明るく接する]
どうだろうな。
それがどんな力かにもよるだろうしな。
[エルザにそう答えながら]
ああ、お茶頼む。
ありがとうなエルザちゃん。
[カップを回収する様子に返すのは笑顔、
その様子を何とはなしに眺めたり]
─二階・個室─
ああ。
……まあ、色々と制約が大きいんで、長持ちしない可能性が高いんだが。
こればっかりは、どうしようもないんで、ね。
[言いながら、翠は刹那、左胸へと彷徨うが]
……『魂を視る者』……も?
やれ、やれ。
どこまでお膳立てがされてるのやら……。
[告げられた言葉に、翠は再び昔馴染みへ。
それから、向けられた問いに、空いている方の手で軽く、頭を掻く]
結果は……まあ。
昔からお世話をおかけしてきた昔馴染み殿と敵対せずに済みそうという。
俺としては真にありがたい結果となった訳ですが。
[言いながら、なんだか視線が泳いだ。猫が見ていたら、呆れ返る事請け合い]
うれしくないセット販売だな。
[ユリアンの言葉に返すのはそんな軽口。
広間の空気が重苦しく感じたので、そんな言葉が漏れたのかもしれない。
ユリアンの視線につられるように、そちらに視線がいきイレーネが起きたことに気付き]
おはよう。
[そう声をかけて、フォルカーの決意を耳にしたりしていた。]
ああ、起きたのか?
[声をかけた後、聞こえてきたコエ。
そうコエを返して]
お菓子とかでよければもらっておけ。
[あえて深くは突っ込まずそう答えておいた]
―広間―
なんだ、お嬢はまだ寝惚けてるらしいな。
[かくん、と頷いたイレーネを見て、
子供はかわいいものだと思いながら、かすかに笑う]
寝たいなら無理に起きなくてもいいぞ。
好きなだけ寝てろ。
[と、呑気に声をかけたのは、
やはり子供達をこの事態から遠ざけたかったのかもしれない]
─広間─
[覚醒しきらぬまま、一声鳴いた猫の背を条件反射の如くゆるりと撫でて]
…んー……。
[ぱち、ぱち、とゆっくり瞳を瞬く。フォルカーに顔を覗き込まれると、それが幼馴染であると認識して、安堵するかのよに柔らかく笑んだ]
―広間―
分かったわ。少し待ってて。
[ユリアンを見て頷いていたら、ハインリヒの手を掠めた]
あ、ごめんなさい。
温かいの淹れ直してこようかと思って。
…そのままで構わないんですよ?
[ぎこちない呼び方に小首を傾げる。
髪がパサリと片側に流れた]
美味しいものは、早く食べなきゃ。
誰かに、取られちゃう。
[未だ覚醒しきらぬ雰囲気で、うわ言のよに聲を紡ぐ。起きたか、と言う問いには、んー、と言う曖昧な返事を返していた]
でもこうなったらいないよりマシじゃない?
安売りなんてせずどっちも販売停止してくれてよかったけどね
[エーリッヒの調子に合わせるでもないが、同じような軽い調子で返す]
…でもよ。そういう力持ってても万能じゃないだろうしいたとしても…素直に…いうかな?
ああ、そうだな…。
[かすかなコエでそう答えてから、続けて返ってくる曖昧な返答に、
苦笑をもらしそうになり、止める]
そのまま寝ぼけた振りして、フォルカーにでも甘えておけ。
[まだ意識がはっきりしてないだろう相手に、そんな軽口を返したりとか]
レーネ、寝起きあんまりよくないから……
[ハインリヒに返す少年には、子供らしい様子に戻っている。
片付けをしてくれているエルザの様子が目に入り、感謝を紡ぐ代わりに頭を下げた]
……ホットミルクでいい?
[ローザの問いかけを引き継いでイレーネに尋ね、微笑みに釣られて表情を和らげて、覚醒しきっていない目の傍、頬をそっと撫でる]
―広間―
あ、ああ…そうか。
俺も、手伝おうか?
[エルザが温かい物を淹れ直すと言うのに、珍しく手伝いを申し出てみたり。
ふわ、と視界の端を流れた髪に、視線を僅かに逸らした。
―似てはいない。名前も、呼ばれ方が同じなだけ。
しかし、どうしても面影を重ねている自分に、どうしようもないなと僅かに苦笑した]
確かに最悪の片売り販売よりはましだな。
お代がそろって高すぎる。
販売停止じゃなくても、どっちもあいにくとうちじゃ販売してないけどな。
[軽い調子で返すユリアンに、返すのはやはり軽い調子だったり。
続いた言葉に頷きながら]
無理にとはいわないさ。誰だって自分の命は大切だ。
[表立って皆に言えば、それは危険なことでもあるのはわかるから]
それに今一番探すべきなのは人狼の方だしな。
―広間―
そう楽はできないのかしら。
神様も意地悪だわ。
[悪戯ぽくエーリッヒに答える。
いつものようでいて、こんな状況には似つかわしくないだろう]
ホットミルクもね。
[ローザにどうやって用意したのかを聞いて。
ハインリヒの申し出に一度二度瞬いた]
そうですね、一度に運べてしまうから。
お願いしようかしら。
[再び微笑み、そう言って台所へと向かった]
―二階・個室―
…制約?
[彷徨う視線には、訝しげに目を細めたか]
嗚呼。
ソイツにお前が信頼できると判断されたら、そのうち話があるかもな。
[自らその名は口にしなかったが、その時ばかりはやや揶揄うような口振りで告げる]
――…そう、か。
[けれど続いて告げられた『結果』に視線は落とされる。
そこには相手と同じ理由も多少は含まれていたかも知れないが]
─広間─
[フォルカーに訊ねられて、もう一度かく、と頭が垂れた。頬を撫でられると、手が撫でる相手の手───ではなくフォルカーの両脇に伸びて。背に手を回し、ぎゅっとしがみ付こうと力を込めた]
[完全に寝惚けています]
任せたっ
[頷くエルザにきぱっといった。ハインリヒとのやり取りはなんとはなしに眺める程度。フォルカーの挙動には気づくことなく]
今は片方しかあるのかどうかもわからんわけだが
それ以前にんなもん販売し始めたら在庫たっぷりでエリ兄破産するもんな
…だよな。
…じゃあ…結局のところ…やることは難しくも多くない……
………ライの顔が…ずっと見ないね
[静かにぽつりとしばし見ていないがここにいるはずの人物の名を呟いた]
―広間―
[力についての会話を耳に挟んで、即座に、きっと言わないだろう、と思った。
しかしそれは口には出さなかった。
もし言い出そうとしている人がいたなら、それを妨げてしまうのは得策ではない。
村人の事も深くは知らぬ自分には、少しの情報でもないと何もわからないから]
そうみたいだな。
まぁ、良さそうだとは思ってなかったがね。
[イレーネの寝起きはよくないと言うフォルカーににまっと笑った。
さっきまでしっかりした事を言っていたかと思えばこの子供らしい表情。
他人の子ですらかわいいと思うのに、自分の子がいたら大変だろうと
胸の裡で自分にあきれ返っていた]
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