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― 森の中 ―
[どこか遠くで狼の声が聞こえる。
その度にちょっとびくついて手がとまった。
それでもなんとか薬草を採り終わり]
さて、かえろ……ぅ……
[振り返った、道を見た。
――どちらから来たのか、森の中でよく分からなくてちょっと冷や汗]
……たしか、こっちだったはず。
[ぐるぐると周囲を見渡し。
木々が薄いほう――つまり明るいほうへと歩き出したが。
迷子になる可能性は82%だった**]
―― 自宅 ――
[玄関の扉を開けると、少し湿った屋内の空気。
机に昨夜貰った齧り掛けのチーズと硬くなってしまったパン。
すぐに見える台所は長く使っていない事が知れる有様だった]
そっち、作業場だから行ってて。
着替えてくる。
[示す扉の先は中庭に繋がる広い作業場。
大きな水槽や飴色に使いこまれた足踏みミシン、
それに油満ちた樽などが並んでいる。大きな窓は、換気の為。
中央には大人の男が大の字になってもまだ余る程の大きな机]
[濡れた服を着替え肘の傷は洗ってから清潔な布で拭いた。
作業場へと向かう。
鹿の皮を受け取ると、斜めに立てた板に打ち付ける。
鋭いナイフで内側の皮下組織に残っている脂肪と肉を削ぐのだ。
手袋をして、研いだばかりのナイフをゆっくりと動かす。
赤く白い皮の内側が、小さく削られてぽたぽたと床に落ちた]
…ね。
ミハイルは、人狼…信じてる?
[作業進めながら、ぽつりと問いを置く。
視線は手元に落とす侭に、神経は年上の男へと向けて]
俺、あの旅人に本を貰ったんだ。
人狼についての伝承を綴ったものがあって、
[サリ、サリ、と手元から音はなる。
開けた窓から外の風が入りこむのは、少し、さむいけれど
換気の為に閉める事は出来ない]
…、
――いや、やめる。
何でもない。
[そこまで言ってから、手をとめて顔を向けて少し動きを止め。
ふると頭を横に振り、からすの色の髪を揺らした]
― 森の中 ―
……あれ?
[明るいほうに向かったのに、見えたのはぽっかりと木々が隙間を開けて燦々と日が降り注いでいる空間だった。
どう見ても村ではない]
えーっと……きた道を戻ればいいのかな。
[後ろを振り返った。
歩いてきたあとは下草がつぶれていてかろうじて分かるけれど、それで帰れるかどうかは不安なところである]
……まあ、大丈夫。
[おじけ付く気持ちを隠すように呟いて。
来た道を戻る。
時々狼の声が聞こえて足をとめるけれど、近づいてくる気配はない]
……早く帰らなきゃ。
[急ぎ足で木々の間をぬけて行く]
見破る、もの……
[声が不安定に震えた。恐怖の所為か、それとも]
用心、しないと…そうだね。そうだね、ロラン。
ごめん。
[昼は理性の時。
人としての情が、心をどこか不安定にする。
けれども夜の時間は、もうじきそこまで迫りつつある]
[走る。背後から追う声は、あっただろうか。
走りながら目元を手で拭ったから、
せっかくの薄化粧もまた崩れてしまう。
走って、走って。人の居ないところを目指した。
気がつけば、ボクは森の端まで来ていた。
構わずがさがさと踏み入る。森の中なら人もいないだろう。
薄暗い木陰が、心細くもありがたかった]
今。イヴァンから逃げ出してきちゃった…
おかしく思われる、かも知れない。
[それでも戻る選択はない]
傷つけたくないって、言われたけど。
傍にいたら危険なのはボクの方だ。だから、
…用心しなくちゃダメなのに。
――ひゃっ!
[風が木を揺らす音と、時折まじる狼の声。
そんな中、不意にがさがさと大きな音が聞こえて怯えたように立ち止まった。
びっくりして開いた瞳に飛び込んできたのは――]
…でも、手を齧られたんだろう?
なら、人狼を怖がる演技としては良い。
[イヴァンを、人狼だと恐れる演技を。
それは、彼女にとってとても酷い事かもしれないと思う]
─ 森の中 ─
……えっ?
[誰もいないだろう、そう思っていた。
なのに聞えた細い悲鳴。その声に、ボクも思わず立ち止まる。
がさり。草の音が響いた。
柔らかな、見慣れた髪がまず視界に飛び込む]
…カチューシャ…?
[掠れた、我ながら酷い声だった。
慌てて一度、手で鼻を啜り上げる]
人狼を、怖がる演技。
[鸚鵡返しに繰り返す。
その意味が胸に降りて来るまでに、こくりと唾を飲んだ]
…ボクが?イヴァンを、人狼だって怖がった?
そんな風に、
[見えたかも知れない。
それでは彼は、どう思ったろう。
先とは別の恐怖に、また指の先が冷たくなる]
[恋人から人狼と疑われるかも知れない。
恋人を人狼と疑ったと疑われるかも知れない。
どちらがどちらとも、思えば心が恐怖に冷える。
ならば人を喰らわなければ良いのだろう。
血に酔わなければ良いのだろう。
けれどもうじき、紅い月は天へと登る]
― 森の中 ―
び、びっくりした。
[人の姿にほっとして。
そしてキリルである事を知って力なく呟き。
けれど、キリルの擦れた声と、泣いたような顔に別の意味で吃驚した。
彼女が泣いているところなんて、あまり見たことがない]
キリル? どうしたの?
[森の中で迷子になっていたことも忘れて、あわてて幼馴染の傍にちかよった]
[惑う気配に、落とすのは苦笑じみた吐息。
彼女の事だから、きっと目いっぱい驚いたのだろう。
それは、そう取られたと見てもいいと思う。
そして、そう気づいたら彼女がどう思うのかまで、思考して]
イヴァンが人狼に、憧れているのなら。
キリルの同胞になりたいと願っているのなら…
――キリルが人狼だと知っても庇ってくれるかもしれない。
[ふたりで、生き延びたいと願うなら。
そう難しく無い事なのかもしれない、とも、思う]
[すん。と、鼻を啜る。
慌てて顔を整えたつもりだけれど、
あまり上手く行っていないのは明白だった]
ちょっと…、あの。考えごと、しようと思って。
……。カチューシャは?草摘み?
[心配げに曇る表情に、慌てて言葉を捜す唇が空転する。
辛うじて話を逸らすけれども、多分ばれてしまうのだろう]
[幼馴染の薄化粧はすこし崩れていたけれど、普段とちがって可愛らしくしているのは見て取れた。
考え事、と紡ぐ人を心配そうに見つめ]
そう。あたしでよかったら、聞くよ。
[話をそらそうとするから、言いたくなったら、とはつけぬまま相手を見つめて。
そらされた話題に乗った]
あたしは薬草を採りに。
薬草は取れたんだけど、ちょっと迷ってたから、キリルが来てくれてよかった。
[えへ、と情けない事を笑って告げる。
キリルが泣いているなんて、原因となりそうなのは一つしか思いつかないけど、恋に関しては聞くしか出来ないからそらした話題に乗るほうが楽で逃げたとも言える]
[呆然として、慌てて表情を取り繕う。
今は目の前に、もう一人の幼馴染の顔がある]
もし、そうなら。
言えばロランのことも庇ってくれるのかも知れない。
そうしたら…一緒に、いられるかな。
……。怖がるのじゃ、ないのかな。
[惑う。これは人狼を知る人の情]
…俺の意識が有る限り、呼ぶ、から。
怖くない。
[怖い、と言う幼馴染には、低く囁きを返す。
本当に怖いのは、見破られる事か本能に流される事なのか
それも今は良く分からない。
――朱い月が、近づいて、血が熱を持つから]
…ん、ありがと。
ちょっとね、イヴァンと…、
[少し考えるように首を傾げる。
口元に手を当てて、思う間少し]
……。けんか。
[一番、当たり障りのない言葉になった。
逸らした話、そのままにしなかったのは幼馴染の気遣いを感じたから]
ん。薬草?ならちょっと見るよ。
あれ…、これひょっとして兄貴が頼んだ?
[カチューシャの抱えた籠を覗き込む。
見慣れた草が幾つか見えて、瞬いた]
…ん。
[低い囁き声に、またじわりと涙が目尻に浮かぶ。
ひどく感情が揺れやすく、不安定になっているのかも知れなかった。
旅人を襲った、一時の熱狂は通り過ぎた。
白々とした昼を通り抜ければ、人の理が己を見つめる。
そうして再び熱狂の時が近づけば、その理を知る心が怯えた]
………ん。
[それでも頷くのは、その囁きに心が安堵を覚えるから。
そうしてじわりじわりと、囁きは本能を呼び起こしていく]
[続いた言葉には、やはりまた苦笑めいた気配だけを返す。
自分が庇われる事は無い。庇われるべきではない。
キリルだけが、庇われる、べきだ。
少し意固地に思うのは、まるで拒絶の気持ちのように
相手に伝わってしまうかもしれない。
ん、と喉だけ鳴らして。
皮の内側削ぐ手を、止めた
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