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さてと、キーファーちゃんお待たせ。
…ちょっと寄り道してから戻っても良いかな。
[程々の大きさになった鞄を肩にかけ、大人しく待っていてくれた蒼鷹に話しかける。
返事をするように一鳴きした後、自分の後をついてくる蒼鷹に嬉しそうに微笑んで、小屋を後にし。
向かった先は、修道院の裏にある墓地。祖父の墓前だった。]
おじいちゃん、昨夜は来れなくてごめん。
はい、煙草。昨日の分も合わせて置いとくね。
[そういって、箱から煙草を二本取り出し墓前に供え。
人狼の疑いを持たれて皆と共に集められたこと、自衛団長が亡くなった事、目のことを皆に話した事、などを報告した。]
…皆、私のこと嫌わないって言ってくれたよ。
だから、私も。誰も嫌ったりしたくない。
私のこの目が少しでも役に立てるなら、役に立ちたいって。
そう思うんだ。
─少し前・自衛団員来訪前後の話─
[ベッティを乱雑に扱った団員には今にも殺しに掛かりそうな鋭い殺意を向けつつ、自衛団員らの追求をのらりくらりとかわしていれば、彼らも諦め帰っていくだろう。
そうしていると、ミハエルが宿屋へとやってきた。
その顔を見ると、ほぅとひとつ感心の声を漏らし]
よぉ、クソガキ。ちったぁ見れる顔になったじゃねぇか。
昨日のてめぇは女々しくて見れたもんじゃなかったからな。
[そう言って、きししと笑い声を漏らしただろう。]
許してくれるかな、おじいちゃん。
[土の中で既に朽ち、もはや感情も何も伝わってはこない祖父へと問いかける表情は不安げで。
けれど傍にいる蒼鷹が擦り寄ってきてくれれば、大丈夫、と微笑んだだろう。
答えなど返らない問いは煙草と共に風に攫われ。
慌てて煙草に手を伸ばしたもののどこへ飛んでいったのか見えなくなった。
それは以前ライヒアルトから聞いた言葉を思い出させて。]
おじいちゃんの元に、届くかな。
[そう、傍にいる蒼鷹に問いかけ。ふ、と息をついて微笑むと立ち上がった。]
もどろっか。ベッティ達に心配かけちゃいけないしね。
[そう蒼鷹に話しかければ、肯定するように鳴き声が返っただろう。
それを見ればまた微笑んで、蒼鷹と共に宿屋へと戻った。]
─ →宿屋─
悪いもんではねぇな。
[子供達から向けられる感情は青年にとっては
多少くすぐったくも感じられるものの不快ではない。
面倒見のよさはリヒトの性質であったかも知れず]
保証出来ねぇなら見せられんなぁ。
見せるのは将来の伴侶にだけ、だな。
―現在軸/宿屋/食堂―
そうだね。君とお腹の子のことを考えると、
何度も往復は……―――。
昨夜借りた部屋、お願いしようか。
[返って来た妻からの応えに、再度コクリと頷く。]
ん。きついようだったら、私だけが帰って荷物運んでもいいんだよ?
―修道院―
え、いいの?
もちろん俺が前引きますよ。いやあ、悪いなあ。
[向こうから手伝ってくれるというなら労力が省ける。
調子よく頷いて荷車を使うことを選んだ]
これってライさんの個人用?
酒精に酔うだけじゃなくて気持ちよくなれる。いいなあ。
……これ飲んでる間だけでも忘れてたいね。
[いつものようには干さず、ゆっくりと楽しみながら飲んでゆく]
─宿屋・食堂─
ただいまー。
遅くなってごめんね、あんまり荷物増やしたくなかったから選んでたら時間かかっちゃった。
ちょっと荷物だけ置いてくるね。
[そこにベッティの姿があれば、思ったよりも時間がかかったことを謝った。寄り道したとは言わずじまいだが。
出掛ける際に居た人にも同様に挨拶を交わし、部屋に荷物を置いてからまた食堂へと戻ってくるだろう。]
―宿屋傍―
[クロエの瞳が翳ったのは女の目にも映っていたが、何も言わずに笑みだけを返した。
各々が各々の理由で食堂から出て行く頃、女もまた宿屋から外に向かった。
とは言え他のように遠出はせずに、宿屋近くの木陰にハンカチを敷き、そこに腰を下ろす。
取り出すのは小さな刺繍ケース。
中には針や糸と共に、穴の空いた銀と黒の珠が幾つか入っている。
針に糸を通し、糸に珠を通し、細かな作業に暫し没頭した]
―修道院―
はは、お前さんも一人前になったばっかだもんな。
そりゃ死にたくねぇか。
気にするのは其処だろ?
ま、此処の事とか色々気になる事はあるんだが。
[冗談めかしたユリアンの声にゆると目を細めて]
家族次第か……。
色々あるもんなんだな。
ま、お前さんの親父さんのはあれだ。
立派な商人になって欲しいっていう期待からじゃねぇか。
嗚呼、若しもの時の為の備蓄は毎年の事だが
道が使えねぇんで間に合うか如何か。
[実りが少ない年には蔵を解放して支援にまわる。
それは備蓄があってこその事で]
―修道院―
それくらいなら勿論良いさ。
毎年お前さんとこには世話になってるしな。
[荷車は門の傍にあるから用意にも手間取らない。
後ろを選ぶあたり多少手を抜く心算だが
それくらいはユリアンも我慢してくれるか]
嗚呼、個人用だな。
院長殿にも振舞う事はあるが。
酒の商談にハーブティーってのも味気ないかな、とね。
[互いに大人なのだから酒でも許されるだろうと。
ユリアンの反応にグラスを傾ける青年は何処か満足げな様子]
―宿屋 食堂→工房『Horai』―
大丈夫よ、それくらいは……着替えもだけど、家で体も洗いたいの。
一緒に帰りましょう。
[そういう事は出来る限り家でしたいと夫に伝えて
ベッティの姿は見えず。代わりにクロエとカルメンの姿が見られれば、]
私達一度工房の方に戻りますね。宿にはまた来ますから。
[そう伝えておいた。
それからいつもの様に、夫と共に岐路に着く。
その最中、向けられる視線にはそっと目を伏せるだけ。
ようやく戻れば、湯を張って夫に断りを入れて先に一人入った。]
[そうして、出された食事を平らげ、何をするでもなく紫煙を燻らせる。
幼馴染らが出て行くことに何も言わなかったのは、魔に属するものが仮にも白昼堂々の犯行には及ばないだろうと考えてのこと。]
……はぁ、暇だ。
[そう言って、頬杖を突き、ぷはーと紫煙を吐く。
と、そこで何か思いついたのか、ぽんと手を打つと]
おお、そうだ。
[それだけ言って、一旦部屋へと戻っていった。]
―宿屋傍―
[作業が進み、細工が形を成してきた頃、ふとその手が止まった]
処刑、……ねぇ。
[他の前では決して口にしなかった言葉が、ぽろと零れた。
一日の終わりは近づいてきている。
女の視線は手元の針に注がれていて]
本当にやるとしたら……
こんなものでも、人狼には効くのかしら。
[そのものではないけれど、表面に銀の塗られた針。
細くて小さくて、武器というにはあまりにも頼りなく見えるそれ]
[出かける少し前。
ゼルギウスとイレーネが一旦帰宅すると聞くと心配そうに視線を向けるも、日差しがそう強くないことを確認してから頷いて。]
うん、いってらっしゃい。
あんまり日は出てないみたいだけど気をつけて。
何かあったら無理しないでね?
[そういって夫婦を*見送っただろう*]
―修道院―
誰だってこんなのに巻き込まれて死ぬのは未練残るでしょ。
親父に聞きたいことだってまだあるしさ。
筋金入りの活字中毒者め。
ああ、子供達のことは気になるだろうね。
[細められた目に軽く頷く]
仲良い家族も、目を逸らしたくなるようなのも、見てはきてるからね。
そうやって期待されるのは嬉しいような悲しいような。
そういや道の復旧ってどうなってんだろね。
麓への連絡はあんなことになる前に出されてると思うけど。
―宿屋/食堂→工房『Horai』―
ああ、そうか。
なら、一緒に帰ろうか。
[その場に在る人に、妻と共に挨拶を向けて
――……もし、ブリジットが煙草をふかしていたならば、妻の前では吸わないように願ったかもしれず、その後、視線から妻を護る様にいつものように手を引いて自宅へと。]
ん。じゃあ、私は自分の分の準備が済んだら
工房に居るね?
[先に湯浴みへと向かうイレーネに居場所を告げると、言葉違わぬように工房へと足を運ぶ。]
宿屋で仕事は、出来ないしなぁ……―――
[作りかけの細工を見て、少し困ったように溜息を吐いた。]
ああ、ええっと…あのだな、
[突然のことにうまく言葉は出ず、何度か言葉に詰まった後に]
アーベルに、渡しておきたいものがあって、探してたんだ。
[予定では自分からアーベルに話しかけるつもりでいたのもあって]
ちょっと待ってろ持ってくるから。
[そうあわただしくばたばたと一旦自分の部屋に戻ると、すぐに手提げ袋をひとつ手にして戻ってきて]
これ、やるっ!
どうせ冬にはいないだろうし、今回もまたふらふらって消えるつもりなんだろ。
[手提げ袋の中には手編みのマフラーがひとつ]
―工房『Horai』風呂場―
[夫の言葉>>502には頷いて、先に風呂場に入れば軽く湯を浴び汚れを落とす
露となった腹の膨らみはよりはっきりと見れ、こんな中でも笑みが零れた。]
あら……少し大きくなったかしら。
[子の成長を喜びながらも、先の事を考えれば溜息が零れてしまう。
どうか無事で――なんて祈りは、届くかどうか分らない。
ふと銀の燭台の事を思い出したが、
今教会に持って行っても受け入れられないかもしれないと思えば、少し心は重くなった。]
……能力者、か。
[湯に浸かりながら、そんな事を考えて呟く。
彼らがそう簡単に出てくるとは思えない。クロエは出てきてしまっていたが…。
それに彼女は死者を視ると言っていた、だとしたら積極的に狼を探すには向かないだろう。
もう一人、占い師の事は気にかかる。
だがそれこそ、当人は危険を察知し出てこないような気がした。]
―修道院―
感謝感激雨霰。
[どこぞで覚えた台詞で了承に礼を言う]
ハーブティーも好きだけど、だね、こういう席にはこれのが合う。
院長先生もいい思いしてるなあ。
うん、ご馳走様でした。
次は個人的にこれも譲って欲しいかも。ダメ?
[機嫌良さそうな相手にちゃっかりとお願いもしてみたり。
「次の機会」があるかどうかは、今はラヴェンダーの香りに忘れておくことにしてグラスを置いた]
―修道院―
未練、か。残したくはないが残るだろうな。
親父さんに聞きたい事……?
[ユリアンの言うのは商売の事かはたまた。
青年には彼の心までは分からずふぅんと相槌を打ち]
活字中毒の何処が悪い。
お前さんにとっては良い客、だろ?
[クツクツと笑ってみせるが
子供の話となれば、そうだな、と返事をして]
目を逸らしたくなるようなもの、
見てきてないだけ私は恵まれてるのかもな。
期待されてるってことは愛されてるってことだろ。
いいことじゃねぇか。
[道の復旧については分からずゆると首を傾げた]
―工房『Horai』―
………自分を信じて出てきてくれ、なんて
言うわけにもいかないわよね……。
[詮無い事、と結局青は伏せられた。
それから新しい服に着替えて、部屋に戻って荷を鞄に纏めてから、
一度台所へ行き、ローズヒップのジャムの小瓶も鞄に入れて、
工房に居るだろう夫のところへと顔を出す。]
ごめんなさい、長湯して。
ゼルの方は準備は出来た?
私に似てしまったら、お日様の下で遊べなくなってしまうよ?
それは、かわいそうだから。
[(>>*103)妻の言葉に、ずっと妻似であれば佳いと謂っていた理由を苦笑と共に告げる。]
―――……そうだ、ね。
リヒト君になら、任せられる、よ。
[そしてその後の会話には、若干どもりつつも、2人には意外だろうか、娘だったら託しても佳いという旨を告げた。
その背景、もし、自分が灰銀を求めなかったら……―――などと考えていることは、2人には見せない。
家族という言葉に、ふっと瞼を伏せ、上げて、ぼぅっと遠くを見詰めるは、自分の両親を思い出して。
ヴァイスルヴが過保護なところは、きっと両親似。
身体の弱い子どもを、真綿でくるむように閉じ込め育てていた彼らの貌は記憶の中、朧に霞んでいる。]
―修道院―
なんだよ、それは。
[ユリアンから紡がれた聞きなれない台詞に軽く笑い]
ま、院長殿は父親代わりでもあったんでね。
そりゃ特別心を砕いていたさ。
[それも報われぬ結果となったが言わず]
個人的に?
其処まで気に入ってくれたなら考えておこう。
あるかないかは次のお愉しみだな。
[あえて「次の機会」があるか如何かには触れない。
あればよい、とは思っていたが口に出すと
儚いものとなりそうなので其れは呑み込む]
……さあて、そろそろ行くか。
─宿屋・食堂─
[そうして暫くののち、戻ってきた彼女の手には紙と筆記用具。
何をするつもりかと聞かれると、にかっと笑い]
作家先生の生作業。
[そう言って、手ごろな机に作業環境を展開していった。]
―工房『Horai』―
ああ、私の方は準備できているよ。
イレーネはゆっくりできたかな?
[湯上りの妻の姿を紅に収めると、ふわり微笑む。
自分は湯は宿で借りれば佳いかと、そんな風に思っていて。
コトリ――持っていた銀細工を机に置く。]
そう謂えば、君の作った銀の燭台。
今回の件が落ちついたら、教会に持って行こうね。
大丈夫、君は私が、護るから……―――。
だから、絶対に、持って行けるよ。
[いつものように手を伸ばして、叶うならば唇の端に唇を、誓いのように重ねようと。]
[小さな溜息の後で作業を再開し、その間に宿屋に戻る者が通り過ぎたりしただろうか。
やがて糸を切り、端を結ぶ。
作り上げた人形用の首飾りを道具と共に刺繍ケースに仕舞い]
……そろそろかしら。
[立ち上がり、天を見て呟く。
いつかのようにハンカチを畳み、仕舞って、宿屋の中へと戻った]
お日様の下で遊べなくても
寂しくないくらい俺が遊んでやるよ。
かわいそうだって思う間もないくらい
しあわせにしてやればいいだけだろ。
[二人のどの性質を継ごうとも問題ではないと
ヴァイスルヴの声に軽く笑う。
不安を打ち消すためのものであったが
そうなれば言葉通りにするのだろう]
――…っと、なんだよ。
お前さんがそんな風にいうなんて、意外だな。
―修道院―
……母さんのこと。
一度も聞いたこと無いんだ。
[より正確には聞けたことが無い。
心緩めるワインの効果か、ポロリとその想いを表に出した]
ま。戻れたら聞いてみるからいいんだ。
ええもう、ありがたいお客様ですけどね。言い値に文句つけないし。
こっちも面白くなって珍しいのあると確保してきちゃうんだ。
[すぐにその話題からは離れてニッコリと笑い返す]
俺達も柄の良い土地ばかりに行くわけじゃないからね。
うーん。まあそう思っておくことにする。
[恵まれているかは曖昧にしておいた。自分にだって分からない。
道の復旧の話は、そっかと頷いて終わった]
─ 宿屋/ミハエルの部屋 ─
全然構わないさ、寧ろお招き頂いて嬉しかった位なのだよ
[促されるままに椅子へと腰を落ちつける。椅子も新しい物なのか座り心地が良く感じたのか、娘は少し嬉しそうにしていて。ミハエルも腰を落ちつけたところで要件を聞こうと視線を交え。]
誰を信じるか…うん、そのお話なのかい?
[ことりと小首を傾ぎながら問う言の葉は彼を察し、誰かを信じようと語る様子に何処か安堵の様な物を覚えて。]
―――…好かった、そう想える様になれたのだね
……と、僕をなのかい?
[明確に信じると云われてはたと瞬く。心境の変化を其の時はつかめず訊ねる態。]
―宿屋内―
プレゼントだ、乙女の思いの詰まったマフラーだから、あったかいぞ。
[笑いかけて、話すのはいつもの調子の言葉。
この騒動をという言葉にすぐにまじめな顔でアーベルのほうをみて]
なぁ、アーベル。
人狼って何だと思う?
[唐突にそんな言葉]
私が知ってるのは狼になって、人食う悪い生き物で、銀に弱いって話くらいで、
[あとはそれを見つける力を持つものがいるとかいないとかそんなことくらい]
内にある銀のものつったら、食堂にある観賞用に飾ってる皿とナイフフォークのセットくらいだけどよ。
―修道院―
ありがとう嬉しいって意味らしいよ。
[教えてくれた相手に騙されたのかもしれない]
なるほどね。
うん、じゃあ楽しみにしてる。
[行くかというのに頷き立ち上がる。
手伝って貰うのだからと荷車まで運ぶのも率先してやるつもりだ]
ン、ン――――…嗚呼、ぁ、見てしまったの、だね
[バツが悪そうにしながら、転んだあの時か、と気づく。羞恥に染まるよりはしまったな、と自分を恥じるようにも印象付けるか。刻印の場所が場所だけにうろたえ始めたミハエルへは、]
あ、わ、好いのだよっ、寧ろ見せてしまって済まないのだよ…
おばあちゃんから誰にも見せちゃ駄目って昔から云われていてね
みだりに明かすと狼が食べにくるぞーって驚かされていたんだ
[どちらが恥ずかしいのか最早可逆で。耳を赤くする少年に、半ば弁解するように娘は説明を始めた。狼が食べにくる、との辺りでがおー、と真似事をして見せる。]
…おじいちゃんと似たような徴だったと思うけど
確か君が――…おじいちゃんを見つけて呉れたのだったね
[物言わぬ亡骸となった祖父を想い、浮かべる貌は愁いのいろ。]
僕への協力、なのかい?
でも、お爺ちゃんみたいな権限は僕、持ってないんだ
だから騒動の鎮静化や自衛団を率いる事は出来ないと思う
[人の証となる証明の其れを賜ったと。娘は唯、聖痕を与えられただけに過ぎず。人狼の知識と手段は、おとぎ話以上の事は知らない。]
でも…有難う、ミハエルは優しいのだね
手伝って言って呉れるだけでも嬉しいよ
…僕は一人じゃないんだなって感じれるから
[ふうわりと微笑み嬉しそうに眸を細めた。本題と云われ何事かと娘は言葉を待つ。]
…ゼルギウスさんが人狼かどうかを見分けられるんだね
―――ン、確かに、おいそれとは云えない事
…僕は君の言葉を信じるのだよ
本人への確認、機会が有ればにしようと思う
イレーネさんの事もあるからさ、僕が直接聞くのは拙いし
[どちらにせよ夫婦双方に影響を及ぼしてしまいそうで。特にイレーネが未だ知らないようなら、妻である彼女に不安を与えて仕舞わないか、という想いもあり、慎重に行くべきだと娘は想った。]
―――…ン、やっぱりミハエル君は笑った方が素敵なのだよ
[無邪気な、年相応の笑みを見れた事が嬉しくて。人を信じる気持ちを持てた少年に、そう返すのだった。]
―工房『Horai』―
ええ、お蔭様で。ありがとう。
[気遣いの言葉にはそう微笑み礼を言って。
一度作りかけの銀細工に視線は行ったが、話しかければまた視線は戻る。]
そう、ね。
そのつもり、なのだけれど……
[言いよどむのは、その後の事を考えて。
果たして自分たちは今までのように生きられるのかと。
それでも続けられた言葉には、少し不安気な表情を向ける
夫を頼りにしていない、というわけではなく。
むしろその決意が、夫に不幸をかないかと身を案じて。]
ありがとう、ゼル。私も、叶うのなら貴方を……
[守りたい、支えたいという想いは、端に寄せられた誓いに遮られた。
青い目は閉じられ、代わりにその背に手を回して、可能な限り力を込めた。]
―修道院―
母親の事、か。
親父さんも、言うタイミングをはかってるのかもな。
一人前になったなら、聞かせてくれるだろうよ。
[思わぬ話を前に茶化す事はしない。
ユリアンの想いにゆると目を伏せた]
そうだろそうだろ。
って、何だよ。若しかして吹っ掛けてたのか!?
[本の価値に見合う額を払っている心算の青年は
彼の言葉に驚いたように目を瞠る]
ま、また期待してるよ。
未来の大商人殿。
[様々な土地をめぐるのも彼の生業ゆえと頷きを向けた]
─宿屋内─
……乙女の、ね。ま、ありがたくもらっとく。
[ふ、と笑んで、手提げはそのまま腕にかけ。
向けられた問いに、居住まいを正した。
自分のカードを切るべきか否か。僅かな逡巡]
……そいつは、難しい質問だな。
正直な所……俺にも、そこはわからん。
ただ……旅先で聞いた話では。
『生きてる』って事には、変わりないらしいが。
いずれにしろ、喰われる立場になると、迷惑としかいえんけど、な。
[最後の言葉は、一度遭遇しているからこその、実感も僅かにこめられて]
……皿とフォークでなんとか、ってのは、さすがに無理だろ。
[さすがに、そこには突っ込んだ]
―修道院―
えらく長いんで何かの呪文かと思ったぜ。
[本気か冗談かユリアンにそんな言葉を向け]
ああ、愉しみがあった方が張り合いがあるだろ?
[クツと咽喉を鳴らし席を立つ。
重労働も修道院であるからか
ワイン瓶の詰められた木箱を運ぶのもお手の物。
荷車に詰み終わればユリアンに少しだけ待って貰い
酒庫のグラスを片付け
読みかけの本や薬などの荷物を持って戻ってくる]
宿まで真っ直ぐで良いんだよな。
[何処かの帰りに誰かに寄り道を強請られた事を思い出し
確認の言葉を向けて荷車を押す手伝いをする]
―宿屋 食堂―
ただいま。
[人のまだ集まり切っていない食堂へ、挨拶をして入る。
机の一つで執筆中の女性に気がついて、何気なくその手元を覗き込んだ]
―工房『Horai』―
[背に手を回され力を込められれば、それに引き寄せられるように、浅い接吻けは、珍しく深いものに移り変わる。]
んっ……―――
[貪るような接吻けの終わり、唇を離せば、その間に2人の髪の毛の間の色の糸がつっとかかり、消えた。]
―――……じゃ、行こう、か。
[瞬く紅は、暫く後、照れたようにそっぽを向いて
工房の扉を開き、妻の為に支えようと手と足を動かした。
と、片手がふと、胸元に触れる。
一瞬、キョトっとした後、小首を傾げて胸元の手を降ろした。]
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