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7人目、 ヴィクトール がやってきました。
ええ、よろしく、はしてられないと、思います。
一日一人を処刑、と書いてありましたから。
[テーブルに書いてあった言葉を口にして、聞こえた声にもう一人男性がいたことに気付いてそちらを見た]
……貴方も?
[タチアナと名乗った女の言葉を聞けば、いいところの息子なのかと見当をつけて]
まずは広間に、いってみたら如何でしょうか。
アレクセイさんも、広間にまだいらっしゃいましたし。
私は、部屋を探しに2階へ上がってみます。
それにもう一人いると言うことだったから。
―屋敷/広間―
[書かれた名前の中には、親しい人物も、他の人物のものもあった。
殺すのか、殺されるのか。そもそも誰も死ななければ良い。
ソファに近付き、ナイフを取り。
床に置いたままにしていた袋に入れた。
話し声が聞こえ、戸の方へと目をやる。
入ってくる人に、やあ、と声をかけ]
必要なものは机の上だ。
名前も全部、書いてある。
趣味もだけれど、こんな風に準備がいいのは、今までもこんな騒ぎがあったのかしら。
[タチアナも広間へ行くらしいとその背を見送り、もう一人の男へも少しの会釈を]
ええ……ここに来る人はみんなそうなのね。
でも、人狼だと、判断した理由ってなんなのかしら。
[ベルナルトが広間に向かうのを見てから、2階へと足を向けた。
一つ一つの扉は内側から鍵が掛かるようで、扉は簡単に開いた。
一番端の部屋だけが、扉が開かない]
……誰か、いる?
貴方がここに、最初に訪れた方?
[ノックをしてから声をかけた。
眠っているのか、返事は無く。
けれども、他の部屋が無人だったことを考えれば、ここにもう一人の容疑者がいるのは間違いない]
― 屋敷/広間 ―
ホンットーに……悪趣味だわァ……
[机の上を確認して悪態をつく。
ナイフが用意されているところが嫌らしい。
それでも、用意されたものに手を伸ばす]
まー、どんな基準で選んでるのか、さっぱりわからない名前だわね。
[容疑者の名前リストをまじまじと見やり。
書店の青年が疑われる立場なのは一人暮らしだからだろうかとちらりと彼へと視線を向けた]
[結局返事を貰えないまま、部屋の一つへと身を滑らせた。
鍵の掛かった部屋より二つほど離れた部屋。ベッドとテーブル、サイドボードが置かれていてベッドにシーツは敷かれていた物の少しかび臭く埃が落ちていた。
サイドボードに荷物とナイフを置くと、シーツを簡単に叩いてからベッドに腰掛けた]
……どうしてこんな事に。
[――逃げてきた。遠くへ行こうと思った。もういやだった。
母親は幼い頃になくなった。
父親は賭け事が好きで、当然のように借金を作った。
返済のために働き始めたのは15の時。
体を壊した父親は、完済を待たずに亡くなってしまった。
借金がなくなって少しの貯金が出来たのが、一ヶ月前――]
―屋敷/広間―
ナイフもあるし、人の名前もある。
序に言えば、良くない報せも有る。
[確認する様子を眺めて、緩く息を吐いた]
悪趣味すぎるが、兎に角今日、何も無いことを願うしかない。
殺したくも、殺されたくもなければ。
――そうだな。何がしかあるんだろうが。
俺は聞いていないが、お前は理由を聞いたのか?
[向けられた視線に、何ともなしに答え、問い返す]
涙も出やしないわ……。
[右手にナイフを撮り、その銀を見つめた。
左手は手当てされたまま、もう痛みはそれほどない]
誰か、一人。
さっき、会った人たちを……ううん。
[全員が村人なら、よそ者の自分は、と嫌な未来を想像して、俯く。
怖い、と*思った*]
[ 時は春。
東西北を山に囲まれ、南に湖の広がる村。
柔らかい催花雨の満ちる森で、その旅人は見つかった。
死体を見つけたのは、猟師とも農夫とも森に落とし物を探しに行った子供とも、落ち着きなく騒がれ、最初は正確な情報は掴めずに居た。
人の往来があったとして、たかだか100人程度の村。
自警団を始め、役場の者達もまた現場へ向かうこととなる。]
[ 森の中にあった死体は、傷痕は深く、獣に襲われた外傷だと見てとれた。
唯一、不思議な点があったとするなら、
旅人の目は事切れた時の恐怖を映し込まず、どんな理由があってか、目が閉ざされていた。
獣の仕業、理性的な行動。
相反する事実が、村人達の恐怖の引き金を引いた。]
「人狼だ!」
[と。
それが昨日の話だった。]
― 屋敷/広間 ―
あら、ここに集められて殺しあえって言われてる以外にわるいコトでもあるのかしら?
[アレクセイに首をかしげ。
手持ち無沙汰に口元に手をやった]
さァ……疑わしいのだろう名前以外になんで疑われてるのかわからないのが混じってるのが不思議だわねェ。
……御伽噺にでも縋ってるのかしら。
[理由は聞いていないと首を振り、暗い色の髪が揺れる。
それはどこにでも伝わっているような御伽噺だろう]
人狼だとか言い出したのが誰だかしらないけれど。
いないということがわかって直に開放とかってならないかしらね。
―広間―
やぁ、タチアナに――アレクセイ。
[名を呼ぶだけの挨拶の後、視線は机の方へと。
呟きには暫しの間があったが、顔色は変えなかった。]
……成程、確かに。
乱暴で悪趣味な用意は整っているようだね。
[机の方に近づき、その上の紙を、容疑者の名前の羅列を。
そして置かれたままのナイフを眺める。
ナイフの本数は既に名前の数よりも少なくなっていた。]
――…仕方ない、な。
[低くごちながらも結局、ナイフの一本を手に取り手荷物鞄へと。
その場のふたりの声を聞きながら、ソファに腰を下ろした。]
人狼の食欲を増す香料だとかそんな話だったな。
[肩を竦めて]
先に来た彼女も、熱で休んでいたとか聞いたよ。
そこで会っただろう? 声が聞こえていた。
単純に体の良い、隔離場所なんじゃないかとすら思えるな。
――縋るようなもんでもないだろうにな。
もし人狼がいるなら、窓の外にだって出られるだろうに。
[ちらと視線を窓へとやる。
打ち付けられた板、人狼の存在の伝承を信じれば、そんなもの無意味ではないのかと言いたげで]
一日、待てば、開放されるんじゃないか。
誰も被害者がいなければ。そこに書いてある通りに。
――やぁ、ベルナルト。厄介事にまきこまれたな。
[書かれた名前の人物を見る目は、既に名を知っていたから揺らぐ事は無い]
― 屋敷/広間 ―
ハア……
[ベルナルトも確認した様子を見ながらアレクセイの言葉に、特大のため息を吐き出し]
容疑者は人狼へのイケニエでもあるってわけね。
まあ、ほんと、イイ趣味してるわァ……
[誰が決めたのかは知らないが、舌打ちを一つ零して瞳を剣呑に細める]
ほんと、一日立ってなんにもなくでられたら、村の人たちさんざん莫迦にしてあげなきゃだわ。
[手にしたナイフを袋へといれて、また口元に手を当てて]
アタシ、二階を見てくるわ……
[ぐるりと広間を見渡した後、二人へと軽く手を振って、二階へと上がっていく**]
「人狼も、襲った相手を
想う心を持っていたのかもしれない。」
[ それが切欠だったに違いない。
ヴィクトールがぽつり零した言葉は、次期村長を狙う男の耳に入った。
人狼の立場に立つような言動であると。
その男は躊躇するなく槍玉にあげた。
体良く言えば人狼騒動の容疑者だが、
ヴィクトールは嵌められたとも言える。
現村長に、その立場からすれば正当な範囲で目にかけられ仕事をこなすヴィクトールだったが、その男からすれば、目障りだったのだろう。]
[ 容疑者にあげられた一人にアレクセイが居たのも、その男の理論を押す材料となった。
或いは、ヴィクトールが居たからこそアレクセイもまた容疑者にあげられたのだろうか。
アレクセイ。
家が近い事もあってか、年は離れているが本当の兄弟のようだと感じていた。
ヴィクトールからすれば、アレクセイは友人であり何かと目が離せない弟のような存在だった。
今でこそ村役場で働いているものの、書店を営んでいる彼と両親が居なければ、勤められなかったのではと思っている。
アレクセイの両親が死んで以後は更に何かと気をかけ、時には夕食を共にと誘うこともあったろうか。
アレクセイと共に過ごす時間は、楽しく、幸せな時間だ。]
―屋敷/広間―
そんな風に馬鹿にするから、こんな所に呼ばれるんじゃないのか。
だが、その気持ちは俺も同じだ。
[やりはしないが、と言いながら、彼女の動きを見つめる。
二階へ行く、というのには、手を振り返さず]
あぁ。
鍵も壊れているかもしれないしな。
好きな部屋に入っていればいい。女は、鍵があるほうがいいだろうし。
[だから自分は後でいい、という意思を示して、見送った]
―広間―
生贄を一緒に置いておくことで、人狼を逃がさずに。
だとしたら――人狼でないとしても
別に死んで構わない、ってことか。
[アレクセイとタチアナの話を聞きながら、単調に述べる言葉。
大きなため息も舌打ちもしないまま、憂いだけは言葉に込めていた。]
しかし実際、何でこの面々なのかって言われても、
正直、不思議としか思えない名前もね――、
[二階へとタチアナが向かうのを目で見送ってから、
男の目は、もう一人の彼の方へと。]
堅気の君まで容疑を掛けられているだなんて、
思っていなかった、よ。アレクセイ。
新しい書籍でも見に行こうかと思っていたら、
こんな形で今日会うなんて、ね。
[余所者なら、タチアナのような人間なら、
或いは僕のような人間なら兎も角、とは口にしない。
今ここで初めて容疑者の名を全て知った男は、零しつつも
それでも努めて淡々とした顔色を、声色を保っていた。
――容疑者のうちの、別の男の名の一つも見ていたから
アレクセイへの疑いの訳、漠然と思い当たる気はしていたが
それでもはっきりとした形での推測までは出来ていなかった。]
あぁ、実に厄介としか言いようがないけれど。
……何も起こらなければ。何も無ければ良い、よ。
[鞄を身体の手前に抱えたまま、男はソファの上で
長く息を吐き、それから目を閉じた。**]
―屋敷/広間―
少なくとも、村の誰かはそう思っているんだろう。
殺してやりたいと思っている人間がいたとしたら、うってつけな機会が出来たから、ここに呼ばれたのかもしれない。
[こちらの返す声も淡々としている。
友人の名があるという事は、そのように見えた]
何がしかの証言があったんだろうな。
誰が、とか、そんな事は知らない。
――死んでも良いと思われていても、死なないようにするだけだ。
この中に人狼なんて居ない、と言える程、俺は楽観的ではないが、
人狼がいなければ良いと思うよ。
本当に、お前の名を見た時は何でこうなったのかと思ったよ。
こんな事で利用者の一人を失うのは惜しい。
[口元を緩める]
全員集まった後、一日。
その後に何もなく、外に出れることを祈ろうじゃないか。
[ 彼、ヴィクトールは懼れていた。
恐怖と言い換えても良い。]
「人狼」
[ 何も起こらない筈はなかった。
容疑者とあげられ冷たくなった村人達の視線を背に、ヴィクトールは、宿と使われなくなった屋敷へと向かう。
扉を叩こうと、左手を持ち上げ拳を作る。
この扉を潜った時、ヴィクトールの理解者でもある彼は、表に現していない怖いと懼れる気持ちを正確に見抜き、どんな表情を浮かべるだろう。
ヴィクトールの躊躇いがちの表情は、この扉を潜るべきではないと頭の中で警鐘が鳴っているのを如実に現していた。]
(何も起こらない筈がない。
人狼が居ようと居まいと、
恐怖に駆られれば………、最悪、)
[ 扉に落ちた影を見ながら、しかしなかなか決心はつかなかった。
外側から見ればその逡巡は一瞬でも、ヴィクトールの中では、長い長い時間が経ったように思う。]
[容疑者の名の中に、ヴィクトールの名を見た時。
確かに、彼は目を見張った。
昔から共に過ごしてきた兄のような存在は、自分とは違い、村で重要な役割を担っている。
なのになぜ、彼が呼ばれるのだろうか。
――そう思った時、仮説は成り立つ。
なれば、自分が呼ばれたことも彼に対して迷惑をかける理由となってしまったのだろう。
己の人付き合いの悪さを悔いても、もう遅かった。
自分一人だったなら、特に何も思うことは無かっただろう。
兄とも慕う人の存在は、無事を願うに至らせるには十分だった]
[無理心中の生き残り。
そんな風に影で囁かれる事も少なくなって
日々慎ましく過ごしていたはずなのに。
何か問題があればその境遇が枷となりつきまとう。
両親を喪い、こどもだったイヴァンが引き取られたのは
この食堂を営んでいた祖父のもとだった。
養い親である祖父が老衰で亡くなったのは去年のことだ。
庇ってくれる肉親もなく食材調達と趣味をかねて夜釣りをする男に
旅人殺しの容疑が掛かるのも仕方のないことと思う。
それにひとりでは現場不在証明など出来ようはずもない]
……ったく。
冗談じゃない。
[釣りから戻ったばかりの男がぼやく。
古い噂を理由の一つとばかりに言った男の姿は其処にない。
示された屋敷に行かなければまた来るとも言っていた。
容疑者とされた今、食堂を開けても客足は遠のくことだろう。
逃げ出すことも一瞬考えたが容疑者を逃がすほど相手も魯鈍でない]
人狼、か。
[小さく呟いて、肩を竦める。
下げた視線の先には容れ物の中を魚が泳いでいた。
一尾であればすぐ調理して胃におさめることも出来るが
食堂で振る舞う為に釣った魚が一尾きりというはずもなく]
……これ、どうすっかなぁ。
[しゃがみこんで水中をくるりゆらりと泳ぎまわる魚を覗く。
結局釣果も荷物として持ち込むことにして
釣具を片付け身支度を整えてから村外れの屋敷に向かった]
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