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[呼び鈴ひとつ。
姿を見せた使用人が驚きに目を見開くのに笑みを返す]
やあ、久しぶりだね。
また暫くお邪魔させて貰いたいのだけど、都合は大丈夫かな。
[諾の返事と常の部屋を用意する旨。
それに加えられた使用人の言葉に、今度は男が細い目を見開いた]
……そうか、客人が。
……賑わうのは良い事だ、色々な話が聞けそうだな。
─ 広間 ─
[立ち上がる相手>>23に合わせ、ヘンリエッタの視線が上を向く。
と言っても緊張からか、顔はほとんど持ち上がらず、上目遣いのような形で瞳は向けられた]
は、はいっ。
…えっと、えっと…… グレイナー、さん。
[呼び方を問われて返事をしたが、声がひっくり返ってしまう。
いきなり名前を呼ぶのは失礼だから、と頭の中で必死に考えて、ようやく苗字を紡ぎ出した。
聞こえて来る声は見た目に反して柔らかく、丁寧な物腰は緊張を少し解してくれる]
よろしく、おねがいします。
[紡ぐ声も硬さが減り、幾分笑みも浮かぶようになっていた]
そう、ですか。
[ラッセルの返答>>28を聞いて、ヘンリエッタは一つ頷く。
それから思考が1つ2つと頭を巡って]
……あ。リンゴ。
まだ、赤くない、です。
[ラッセルがいつも熟したリンゴを持ち帰るのを思い出して、申し訳なさそうに呟いた]
[やがて、先ほど自分を案内した使用人が姿を見せて、主から書庫の閲覧の許可を得たと伝えてくる]
わかりました、ありがとうございます。
あとで案内していただけると助かります。
[そう、礼と要望を伝え]
……滞在期間については好きなように、ですか?
それはありがたいですが、いいのですか?
[そんな疑問に使用人は笑う。
「こういう事は、ここではよくある事なんですよ」と、そういい残して、他の仕事があるからと使用人は立ち去る]
なんだか、今まで出会った方とは違う感じですね、ここのご主人は。
[主の娘が側にいるのを忘れて、ぽつりとそう零した]
― → 館/広間 ―
[主は今は面会中と聞き、一先ずと歩みを寄せた先。
大した遠慮も無く開いた扉は少女に当たってしまわなかっただろうか]
――おや。
[果たして其の場には複数の姿が在った。
幾度かこの館に訪れては居るが、主家族と使用人以外に会う事は在れども、何人かと重なる事は滅多に無く、光景は少し見慣れぬ其れになる]
失礼、お邪魔をしても良いかな。
[肩に収まる鞄を落とさぬ様にと抑え、ひとつの会釈]
─ 広間 ─
え、と……はぃ。
じゃ、じゃあ、ユージーン、さん。
[許可を得られたから>>36と、隻眸の人物──ユージーンを名前で呼び直す。
物腰が柔らかいのもあり、緊張も最初ほど抱かずに済むようになってきた]
[扉が開く分には離れていたため、直接ぶつかることはなく。
背後で扉が開いた音>>35にヘンリエッタは振り返る]
ヒューバートさん!
[姿を見て、ヘンリエッタの表情がぱぁっと明るくなった。
訪れる頻度は多くは無いが、ヘンリエッタはその男性──ヒューバートにとても懐いていた。
彼の描く絵───目の前の光景をそのまま切り取ったかのようなそれは、ヘンリエッタにしてみれば魔法か何かに思えたのである。
ヘンリエッタは、彼の描く絵がとても好きだった。
以前、自分を描いて欲しいと強請ったこともある]
いらっしゃいませ。
今回はどのくらいお泊りになるの?
[喜色を滲ませた笑みを浮かべ、ヘンリエッタはヒューバートの傍へと駆け寄る。
先程までと変わり、紡ぐ言葉に緊張は無く、淀みも少なかった]
― 広間 ―
そのようだな。
[申し訳なさそうな呟き>>32に、一つ頷きと共に返す]
なに、また熟れた頃に来るまでだ。
家人も流石に青い実を持てとは言うまい。
……子を宥めるのが大変だが。
[此処の林檎は今勤めている家の、特に子供が気に入っている。
だだを捏ねられた時には流石の彼も手を焼いているとか、そんな様子は今は微塵も見せないが、少しだけ遠くを見るような目をしていた]
ここより北の地方でかね。
ならば、我が家の事だな。
[家名についての話>>33は、やはりあっさりと肯定する]
気にせずとも良い。
いずれ我が手で再興させる。今はその準備期間だ。
[言い澱む相手は何処までを知るものか、けれども片手をひらと振った。
口調も態度も揺らぐことは無い]
─ 広間 ─
ごめん、なさい。
…え、と。
おみやげ、お菓子か何か、用意します、ね。
[子を宥める、と聞いて>>39やはり申し訳なくなり、代わりになるものを用意しようと。
使用人にお願いすれば、手作りのお菓子を用意してくれるはずだ。
代わりとなり得るかは分からないが]
[返される片目を髪に覆わせた男からの会釈に笑みを浮かべる。
名前、と聞けば自己紹介の折だろうかとは思いもしたが]
[其の先に花開くように表情の色合いを変えた少女>>38に笑みを返す。駆け寄る姿に膝を床に付き、目線を合わせ、いっそ自分の方が低くと]
お邪魔します。
そうだね、……もうすぐ林檎が熟すだろう?
そのスケッチをするまでは、と思っているよ。
[得手とするのは風景で、あまり人物は得意では無いと言い訳を置いた上で描いたスケッチは幾年前に残して行った。
あの頃から人物画の上達は見られないまま、何処か曖昧な輪郭になってしまう傾向も変わらぬまま。
其れでも今より幼かった少女は喜んでくれたはずだったけれど]
[其れから、少女に合わせた目線のままで、改めて彼らの方を向く]
……はじめまして、で、恐らく間違いはないだろうかな?
名の無い画家をしている、ヒューバート・グリーンウッドと言うよ。
良ければ宜しくしてやってくれるとありがたいね。
― 広間 ―
遠慮するな。
[そして新たに姿を見せた、如何見ても年上の男性>>35に対しても先までと同じような態度。
ヘンリエッタが嬉々として傍へ寄って行く>>38のを横目に、残った茶を飲む]
……うむ。ありがたい。
[なお、ヘンリエッタの申し出>>41は断らなかった。
変わらなく見える口調にも、ちょっとだけ哀愁のようなものが漂っていた、かもしれない]
[冷めてしまった茶を飲み終える頃。
自己紹介の声>>42が聞こえ、そちらに目を向けた]
ラッセル・イザードだ。
[先と同じ名に続けて同じ職を名乗り、如何様な反応が返ってもやはり気にした様子は無く]
ヒューバート殿は、アーヴァイン殿とは長いのかね。
[娘との様子>>41>>42を見た為か、そんな疑問も続けた]
[歳には負けて懲り張り詰めた肩をぐるりと回す。
とんとん、と軽く右手で叩いて]
ラッセル、だね。
短い間になるけれど、よろしく頼むよ。
[イザード、は。もしかしたら知って居たのかもしれないが。
目の前を有りの侭に受け止めるが信条。
過去の知識を引き出す意は無い]
……さて、如何程から長いとなるのかな。
恐らくそろそろ10年くらいだとは思うのだけど。
[はて、と首を傾ぐ。
肩から降りた右手がゆるりと顎髭を撫でた]
─ 広間 ─
[膝をつき、目線を下げてくれるヒューバート>>42。
未だ背の低いヘンリエッタにとって、距離を縮めてくれるその仕草はありがたいもの。
好意抱く相手の顔を間近に見ることが出来た]
リンゴが赤くなるまで?
じゃあ何日かは居るのね。
また旅のお話や絵を見せてくれる?
[嬉しそうな笑みを浮かべて、ヘンリエッタはヒューバートへと問いかけた。
以前自分を描いてもらった絵は額縁に入れて大事に部屋に飾ってある。
ヒューバート自身が言っていたように風景画ほどの出来ではなかったけれど、魔法を紡ぎ出す手で描かれたそれはヘンリエッタの宝物となった]
[断られなかった申し出に、ひそりと安堵の息を零す。
ほんの少し、いつもと違う雰囲気>>44を感じてヘンリエッタは微かに首を傾いだけれど、言葉にするまでには至らなかった]
[嬉しそうな少女の笑み>>50を間近に、何処か微笑ましい色を宿して男は笑う]
そう、林檎が赤く、風に揺れるまで。
そうだね、前に見せた時よりもスケッチは大分増えているよ。
伝承も幾つか新しいものを聞いているから、そのお話もしようか。
[伝承は多岐に渡る。少女である彼女に聞かせられないような物も数多にあるが、其処はものがたりの柔らかさの出番になろう。
嘘に隠すのではなく語られない、めでたしめでたしの先に]
[額縁に収められた其の絵を見る事が叶えば、きっと何処か照れ臭げにしながら、人物画の練習を本格的にしようかと思う事もあるのだろうけれど]
……その前に、一度アーヴァインに話をしてこようか。
『親しき仲にも礼儀あり』、主には挨拶をせねば、ね。
[さて、主の書斎から客人は既に離れていようか。
それも確認せねば判りもしまい。故に]
では、私は一度失礼させて貰うよ。また後程に、ね。
─ 広間 ─
わぁ、ありがとう!
[絵も話も増えている>>54と聞いて、ヘンリエッタは両手を胸の前で合わせて喜びの声を上げた。
近隣以外の外の世界を知らないヘンリエッタにとって、来訪者から伝え聞く話はどれも新鮮で。
中でも伝承は不思議な話も多く、聞くのが好きな話の一つでもあった]
あっ、お父様へのごあいさつがまだだったのね。
いってらっしゃい。
[目線をヘンリエッタのものから自らのものに戻すヒューバートを見上げ、近くから一歩身を引く。
お楽しみはまた後で、そう自分に言い聞かせて、広間を去るヒューバートを見送った]
わたしも、ちょっと離れますね。
[広間に居る者にぺこりと頭を下げて、ヘンリエッタもまた広間を後にする。
廊下に出て探すのは菓子作りが得意な使用人。
ラッセルに持たせるお土産をお願いするため*だった*]
[暫しの歓談の後、広間から一人、二人と姿が消えて。
それぞれに言葉を送り見送って。
それを見計らうかのように、先ほどの使用人が部屋への案内を申し出る]
そうですね、書庫に向かう前に荷物だけでも置かせていただく事にしましょう。
[そう言って、カップに僅かに残っていたお茶を飲み干して]
それと、書庫への案内もお願いできますか?
一度場所を覚えれば、後は大丈夫かと思うので。
[この屋敷を訪れた本来の目的を果たすためにそう頼んで。
とりあえずは、と使用人の後をついて用意された部屋へと**]
― 客間 ―
[案内された部屋を見て、使用人を振り返る]
いいのですか?このような立派な部屋を使わせていただいても。
[思わずそう言ってしまうほどに整えられた部屋に驚いて。
それに対して使用人は慣れたように言う。
「お客様はみな平等に、というのが旦那様のお考えなんですよ」と。
今までにも、多くの家に一夜の宿を借りた事はあったが、彼の様な旅人を見下す者も多かったから、こういう扱いは新鮮で、慣れていなくて]
ありがとうございます。では、暫くの間使わせていただきます。
[そう言って軽く礼をして、部屋の中に荷物を置いて]
それでは、お忙しいとは思いますが書庫の場所を教えていただけますか?
[相手も自分の仕事があるだろうから、雑事は早めに済ませてしまおうと声を掛け
これもまた快く引き受けてくれた相手の後をついて、書庫へと]
― 広間→書庫 ―
― 書庫 ―
[書庫へと案内され、中に入って思わず嘆息する。
予想以上の蔵書と、見ただけでわかる古い貴重な書物の数々]
これは、思った以上に素晴らしい物と出会えそうですね。
[知らず、声に楽しげな色が乗れば、傍らで待つ使用人も誇らしげに頷く。
ほんの少し歩を進めて、書架に並ぶそれを眺め……そうして、ふと気がつく]
……ずいぶん、人狼関係の伝承や研究のような物が多い、ですね。
[書架を一つ埋める程度に集められたそれ。
使用人によれば「旦那様の昔のお仕事の関係と、後は半分は趣味」だという]
ここのご主人はそういう関係に明るいのですか……
そう言えば、確かお名前はアーヴァイン様と……
[ふと目を伏せて記憶を探る。そうして、瞬き一つ、使用人へと向き直って]
そう言えば、ご主人様へのご挨拶がまだでした。
まずは、そちらを通さなくては……礼を欠くとは迂闊でした。
ご挨拶と、此度の滞在のお礼を述べたいのですが、お会いできるでしょうか?
[使用人は「ああ」と笑って、「今日はお客様が多いけれど、今なら旦那様の元に来客は居ない筈です」と訪問への是を返し。
それならば、と案内を頼んで、舘の主の元へと]
― 書庫→主のいる場所 ―
― 主の書斎 ―
[主人が現在いる場所、として案内されたのは書斎であった。
使用人が軽くノックをして要件を告げれば、中から招く声が届く。
「どうぞ」と開かれだドアから中に入れば、余計なことは聞かぬよう躾けられた使用人はぱたりとドアを閉じる]
初めまして、アーヴァイン様。
私、この度縁あって暫く滞在させていただくことになりました、ユージーン・グレイナーと申します。
書庫の閲覧への快諾と宿泊の提供に感謝いたします。
[そう言って、深く頭を下げると、この舘の主はそうとは思えないほど気さくな態度で頷く。
その後、幾つか経歴やそれまでの旅の様子などを聞かれて、その何れにも興味深げに聞き入る姿に、それまでの金持ちへの印象を変えるほどの驚きを覚え。
そうして暫しの雑談の後で]
……大変不躾とは思いますが、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?
[男は主にそう言って、肯定の意が返れば言葉を続ける]
もう十五年、いえ、もう少し前になるのですが……アーヴァイン様……
アーヴァイン様は、アルカス、と言う町においでになったことはございませんか?
[そう尋ねる男の声は、少し緊張していただろうか。
その問いに主は暫し考えるような仕草を見せ、そうして、はっと気がついたように男を見る。
まじまじと、上から下まで視線を投げ、「君は…」と呟く]
ああ、やはりあなたでしたか!
そうです……私はあの時あの町にいた……あなたに助けていただいた者です。
[予想があっていたという安堵に自然と表情が緩む。
昔、故郷である町でとある事件が起こり、猜疑心から暴徒と化した住人に襲われたところを助けてくれた恩人。
居場所もわからず、故に礼をすることも出来ず今まで過ごしてきた]
ずっと、気にしておりました。
こうして、再会できて嬉しく思います。
本当に、ありがとうございました。
[そう言って、もう一度深く頭を下げた]
[昔を想い出したか、主からも幾つかの問いが寄せられ]
はい、怪我のほうは……左目は流石に無理でしたが他はまったく問題なく。
今は紹介していただいた教会に身を寄せてそのまま。
ええ……巡礼の旅をしているのも、あの時亡くなった姉や他の方々の慰霊と……贖罪の為に。
[最後の言葉を言う時、表情は少し苦い物になっただろうか。
その様子に、主は宥めるような、諭すような言葉を幾つか落とし
それを聞いて男は少しだけ笑う]
お気遣いありがとうございます。
もう暫くしたら旅は終わりにして教会に戻るつもりです。
[故郷には帰らないのか、との問いには]
戻っても、何もありませんから。
[小さく、それだけを返した]
[その後、空気を破るように声色を変えて]
思った以上に長居をしてしまいました。
私のほうはこれで失礼させていただきます。
また、お時間があればその時に。
[そう言って立ち上がって礼をする。
主もそれ以上は引きとめようとせずに送り出して。
部屋を出て無意識に溜息をつけば、ずっと待っていたらしい使用人が目に入った]
ああ、すみません、お待たせしてしまいましたね。
私のほうは、書庫や客間の場所も判りましたし、もう大丈夫です。
こちらは書庫に戻りますので、あなたはどうか、ご自分のお仕事のほうへ。
[そう言われた使用人は頭を下げて立ち去ろうとして、そうしてすぐに戻ってきた]
どうかしましたか?
[問い掛けに返るのは素朴な質問だった]
食事について、ですか?
[教会に籍を置く以上、たとえば禁じられた食材があるのでは?と、
そんな気遣いに緩やかに笑みを浮かべて]
確かに、教会は質素倹約が信条ですし、肉や魚は普段は口にしません。
ですが、こうして宿を求めた場合は別です。
心遣いで出された物は、全て神よりの賜り物として頂く事にしています。
もとより、お断りするのは非礼にも当たりますしね。
ですから、その心配は無用です。
用意していただければ、何でもいただきますよ。
それがたとえ、セロリであっても。
[にっこり、そんな笑みと共に零した言葉に使用人も笑い、
「承知いたしました」と残して立ち去っていく]
― →書庫 ―
[書庫へと戻って、改めて数々の書物に目を向ける。
一つの…件の書架は見ない振りをして]
それにしても、興味を引いた物だけでも読み終えるのに何日かかるやら、ですねぇ。
[そう言いながら、本を手にしてぱらぱらとめくっては返すのを繰り返す。
これから読む本を決めるのには、少し時間が掛かるだろう**]
─ 廊下 ─
[使用人が居そうなところを巡り、ヘンリエッタは階段付近で探していた使用人が2階から降りてくるのを見つけた]
あのね、お菓子、作って欲しいの。
イザードさん、リンゴもらえないの残念そうだったから。
[使用人の傍で精一杯相手を見上げてお菓子のおねだり。
事情を知った使用人は二つ返事で菓子作りを引き受けてくれた。
それを聞いてヘンリエッタは嬉しそうに微笑む]
ありがとう。
お帰りになる前までにお願いね。
[そう使用人にお願いするとヘンリエッタは使用人から離れて。
左右に結った髪を揺らしながら広間へと戻っていった]
― 書庫 ―
[ゆっくりと書架に並ぶそれを眺めつつ、舘の主―アーヴァインの趣の深さに感嘆の表情が浮かぶ]
本当に多彩ですね、ここの本たちは。
小説、歴史書……学術書に、大衆的なフォークロアを集めた物、ですか。
各地の民話や伝承も多いですね……さて、とりあえずどれをお借りしましょう。
[元々本は好きだが、旅暮らしであるが故に荷物を増やすわけに行かず
だからこそ、この機会にと思えど時間は有限で]
これにしましょう。
それに、あまり貴重な…古書など、もし破損でもしたら怖いですし。
[そう言って、ようやく手にしたのはやはり古い伝承を集めた本]
部屋で、読ませていただきますか……ここは流石に冷えます、ね。
[ふる、と体を震わせて、大事そうに本を抱えて書庫を後にする。
その間、書庫を訪れる者があれば、挨拶なり少しの会話なりを交わしただろう]
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