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[拒む言葉とは裏腹に、鋭敏になった嗅覚に届く血の匂いの甘さに、足は誘われて]
.........あなたも、なの?
[聲を聞くのは初めてだった。自分と同じ存在らしき相手に会うのも]
僕...は......
[食べなければもたない、と、その言葉に、改めて飢えを自覚する。目の前にあるのは、甘い誘い。
ああ、あれは、とても甘くて美味しい...この飢えを満たす唯一のものだ、と]
[ふるり、と身を震わせると、少年の身に変化が起こる、真珠色の歯は、鋭い牙の形に、桜色の爪は、固い鉤爪に、柔らかい白い肌は、目の前の獣よりも僅かに薄い金色の毛に覆われて。
完全な狼の姿ではなく、姿形は直立したヒトのままであるのは、或いは少年の拒む心の顕われだろうか。
けれどその姿は、皮肉な事に、より化け物じみた姿でもある]
[ピチャ...]
[歩くと床に流れた血が足裏を濡らした。]
ごめんなさい......
[爪をまだ暖かい老婦人の身体に突き立て、その肉を食み、血を啜る...一番甘いのは心臓...そして柔らかい内臓も分けてもらい、飢えを満たし]
ごめんなさい...
[喰らいながら、毛並みと同じ、薄い金色に変化した瞳から、ぽろぽろと涙を零す、それは目の前の老婦人ではなく、どこか遠くへ向けられた謝罪のように聞こえたろう]
[やがて、内臓を抜き取られたかのような老婦人の遺骸を、金色の狼が引き摺って外へと向かう。
少年は、立ち尽くしたまま、それを見送った。
半分人の姿のままの自分がついていけば、足跡が残る...そんな計算が心の奥で為されていることを自覚して血塗れた口元を歪める]
神よ 憐れみたまえ...
[祈りは掠れて、細く長く響く狼の遠吠えに変わった]
[飢えが満たされれば身体はヒトのそれに戻る。その頃にはもう1人も、屋敷の中に戻っていたろうか。
少年は、涙を夜着の袖で拭い、足を濡らした血も拭って、跡を残さぬように気をつけながら管理人室を出た。
後は顔と手を洗い、血のついた夜着を始末してしまえば、何も証拠は残らないだろう]
[一度、寝室として宛てがわれた部屋に戻り、夜着は小さく切り裂いて別のシャツに包んでから鞄の中に仕舞い込んだ。
機会を見つけて、どこかに埋めるか燃やすかするつもりだった。]
......ふう......
[鞄に仕舞って閉じてしまうと、血の匂いが遠ざかり、息を吐く。]
いや、だったのに......
[ぽろりと、また涙が零れ落ちたが、口に残る甘さは、抗い難く痺れるような心地よさを身体全体にまで染み渡らせていた**]
[仲間は同じ存在に会ったことが無いらしい。
これまでを普通に過ごしてきたなら、当然のことだろう。
エルナ自身、この19年の間は会っても分からない日々を過ごしていた。
管理人室に現れたのは、同じ髪色をした少年。
幼くして村を出たと言うその子が同胞であるとは、親近感を抱かずにはいられなかった]
[謝罪を繰り返しながら喰らう人の姿をした獣。
何やら抱えているものがあるらしい。
それが気になりもしたが、あまり時間をかけられないため、食餌を終えると片付けを優先した。
玄関へと出た辺りでか細い遠吠えが聞こえる。
祈りに似たそれは誰へと向けたものか]
[エルナは少年に対し獣の姿しか見せなかった。
語りかける聲は女性のもの、姿は獣。
エーリッヒである要素は極力排除しようとした。
それは生きるための一つの手段]
人を食べるのは初めて?
[少年が部屋へと戻った後、大浴場へと足を進めながら彼へ問いかける。
温泉を利用したその場所は、沸かす必要も無いため直ぐに利用が可能だ]
私はエルナ。
あなたは?
[最初の問いに聲が返る返らないに関わらず言葉を続け、エルナは大浴場へと入った。
新しい服を置き、濡れたままの服を脱いで、現れた包帯も外す。
夏とは言え濡れたままでは身体に悪い。
嵐の雨であれば尚更だ。
冷えた身体に温泉の温度は心地良かった]
明日、きっと騒ぎになるから、覚悟しといてね。
[何でもないことのように言うエルナを少年はどう思うのだろう。
何か問いがあれば答えるが、身体を温めた後は部屋に戻りまどろみへと落ちることになる**]
[酒場の女主人がやって来て見回した時には、無言で会釈を返した。
最初の頃は昼に利用させてもらっていたし、知人が嫁ぎ先に帰る直前に一度だけ夜にもお邪魔したことがある。
二人でも会話らしい会話もなく黙々と飲んで帰る姿は、不思議な光景だったかもしれない]
…うぇ。
[聞くとはなしに周囲の会話を聞きながら、話というのが始まるのを待っていたが。流れに釣られ窓の外を見て、盛大に顔をしかめる]
─ 広間 ─
雨どころかもっと荒れそうだね。
[外で転んだ青年を救出に向かう者と、広間に残り受け入れの準備をする者。
そのどちらでもないエーリッヒは天候の様子を確認していた。
ブリジットの言葉>>28を受けてのものだったが、当の彼女は何かから逃げるように広間を出て行く]
どうかしたのかな。
[事情を知らぬエーリッヒは首を傾げた後、回収された青年に、災難だったねぇ、なんてことを言ったり、挨拶したり。
何か聞かれそうなものなら、あたり障りない回答をしてその場を収めた。
その後は適当に寛いで、手を借りて後片付け等をしてから2階の部屋へと戻って行く**]
やれ、厄介な事だ。
先に、墓参りを済ませてきたのは正解だったか。
[ぼやくような呟きを暴風に散らした後、中へと戻り]
……水も滴る……というには。
色々と、無粋な状況だな。
[すっかり濡れた様子に、冗談めかして呟いて。
戸締りの状況を皆に伝えた後、湯を借りて二階の部屋へと引っ込む事となる。*]
[真夜中過ぎ、押し寄せる悪夢から逃れるように冷たい水で顔と手を洗い、鏡の中の自分の姿を見る。
母に良く似ていると、昔から言われてきた顔が、青白く鏡に映っていた]
かあさん......
[呟けば、ぽろりと涙が零れ落ちた]
[狼の姿の「もう一人」からの聲が、また聞こえる。離れた場所からでもはっきりと聞こえる聲に、ふるりと身を震わせたのは、恐れからか、仲間がいる、という安堵からなのか、少年自身にも判然としない]
.........はじめて、じゃ、ない、です。
[けれど、最初は、飢えに負けての事ではなかった。
嵐の夜、閉ざされた家の中、「お前は狼だ」と、ナイフを振りかざした父に、身を護るために喰らいつき...その腕を食い千切った。
止めに入った母が、父からナイフを奪い、刺し殺さなければ、多分そのまま食い殺していただろうけれど]
僕は、ウェンデル...
[少年は、他の名前を名乗った事は無く、身を護るために名を変える必要にも思い至らず、ごく当たり前に本名を告げる]
エルナ...さん。
[狼の姿しか見てはいなかったが、多分相手の方が年上だろうと感じて、そう呼んだ]
あなたは、どこから来たんですか?
[外は、狼でも越えられるとは思えない嵐だった。そして聞こえる声は、少年がここに来て出会ったどの女性とも違うように思われたから、彼女がどこから現れたのかが不思議で、そう尋ねた]
[問いの答えが返らなくても、そこを深く追及はしなかった。]
騒ぎ......そうですね。
[覚悟をしておいて、という言葉に眉根を寄せる。一体この先どうなるのだろう?
先は見えず、想像さえつかなかった。
自分よりずっと落ち着いた様子に見えるエルナには、この先が見えているのだろうか?それもまた判らないままで]
― 翌朝 ―
[少し微睡んでは、嵐の音と悪夢に揺り起こされ、夜明け前には、赤く充血した目を擦りながら、ベッドから身を起こした]
風...止んだ?
[ふらりと、窓辺に歩み寄り、窓を開けて表を覗く。
酷い風雨は落ち着いているものの辺りは嵐の爪痕を残すが如く荒れ果てた様相だ。波も高く、村の方を見通しても、砂浜は海の底で渡る術はなさそうに見えた]
[丁度玄関の辺り、二階からでは紅い色が見えるだけで、何があるのかは判らない、けれど、胸がドキドキと脈打った]
.........
[シャツ一枚でベッドに入っていたので、ズボンだけを急いで履いて、部屋の外に出る。
まだ眠っている人もいるだろうと、足音をさせぬように、けれど精一杯の早足で、階下へと降り]
あっちゃー、カルちゃんだいじょーぶ?
なんか飲む?
[暖炉の傍に運ばれる彼に声を掛けて、希望される飲み物を彼の元へ運んだり。
そうしているうちに夜は更け]
……あーあ、結局泊まりかぁ。
[むくれたところで、外の風雨が止むわけもない。
他の者に倣って、彼女もまた客室を借りに広間を後にした]
[微かに震える手足を、懸命に動かして、血の跡の続く玄関の戸を開ける。]
あ、あ......
[そこに在ったのは、内臓を抜き取られたかのように空虚となった身体を曝し、喉笛を食い千切られた老婦人の骸]
いや、だ...
[掠れた声は、高い悲鳴の音に変わる]
いやあああーーっ!
[顔を覆い、その場に蹲った少年と、彼の目前に投げ出された老婦人だったモノの姿を、次に見つけたのは、誰だったか。
声をかけられても、少年は、暫くの間ふるふると頭を振って涙を零すばかりだ**]
─ 二階客室 ─
[風の荒れる音、波の猛る音。
それに眠りを脅かされるような歳ではない、が]
……嫌な、感覚だな。
[深紫を細め、独りごちる。
妙に落ち着かない感覚──その意を手繰り、辿りついたのは]
あー……あの時と、似た感じなのか。
[5年前、両親が海難事故で命を失ったという日。
その時にも感じいた落ち着きのなさと今感じているものはどこか似ていた]
…………考えすぎか。
[ふと過った言葉にできない嫌な予感を短い言葉で振り払い、その日は眠りについた]
……っ!?
[階段に達した辺りで感じた異臭に眉が寄る。
駆け降りた先、エントランスホールで目に入ったのは、不自然な、不自然な、いろ]
これは……。
[それが何の色かは、何となくわかる。
わかるが故に、そこにある理由を求め、見渡した視線は開いた玄関の扉の方へと向かい。
倒れた姿と蹲る姿、それぞれを認めた次の瞬間、そちらへと駆けだした]
どうした、何があった!
[蹲り涙を零す少年に向け、投げかけるのはこんな問いかけ。
それから、深紫を倒れた老婦人へと向け]
……なんだ、これは。
まるで……。
[何かに喰われでもしたような、と。
そこまで言葉にはできなかった。*]
― 2階客室/夜 ―
[適当に空いた部屋を選んで、ぼふっとベッドに倒れ込む。
ごろっと寝返りを打って仰向けになり]
あー……
ありゃ?何これ?
[ふとサイドテーブルに目をやると、本が一冊。
むくりと起き上がって部屋を見渡すも、他に荷物のようなものは見当たらない]
空き部屋……だよねぇ。
前に泊まった誰かの忘れ物?
それか、図書室の本かなぁ。
[間違って既に人がいる部屋に入った、というわけではなさそうだった。
安堵したように小さく息を吐いて]
どーしよ。
おばさんに預けた方がいいよねぇ。
[真っ黒な装丁に手を伸ばし、触れた――]
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