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[ジッと視線は亜佐美を捉えたまま。その怯える様子を黙って見ていたが、]
…………。
[何も言うことなく踵を返すと、部屋を出て行こうとする。
だが、扉に手をかけ押し開きながら肩越しに振り返ると、]
…………ボクが人狼であるかどうかは置いておいて
……それをみんなに言うんだったら、覚悟を決めることだね。
[漆黒を向け忠告とも警告とも取れる言葉を言い残すと、扉を開けて部屋を出て行く。]
[倒れ伏す二人、まずは裕樹を見る。
損傷の一番酷い場所は、首。
先に見た綾野と同じような傷跡。
それが致命傷だったのだろうと判じ、一度目を逸らした]
[次いで聖を見やる。
顔にも傷があったが、目についたのは切り取られている右耳。
溜まりとなっている紅の源はその傷のようだった]
……ああもう、そんなこと分析してる場合じゃないのに。
[なまじ学んでいた分野のせいか、致死原因を考えてしまう。
そんなことをしている暇はないと、自分に言い聞かせ右手を額に当てた]
…ryou、汚れちゃうわ。
こっちに来て座ろう?
[自分自身を落ち着かせようと何度か呼吸してから、泣き叫ぶ涼に声をかける。
そっと涼の肩に手をかけ、言葉に応じるようなら部屋の奥にあるソファーへと誘った]
[部屋を出て行こうとする奏を、ただじっと見つめる。
そして、最後に聞こえた言葉には、わずかに顔をあげた]
[奏がその場を立ち去って、一人部屋に残される。
まだ、瞳には怯えの色が残ってはいたけれど]
かく…ご…かくご…
[聞こえた言葉を、壊れた機械のように繰り返して。手に持ったままの携帯をぎゅっと*握り締めた*]
[はじめかかった声にびくりと反応をしてとびのこうとするが体はきっとうまく動かず、肩に手をかけられると目から大粒の涙をいくつもこぼしながらそちらに向いた]
し………死ん……で…………
[それだけなんとか声にだすと再び泣き始めた。
そのまま七重に促されるままにソファーの方へ移されるとそこに崩れ落ちるように座り込み顔を伏せて泣いている。]
うん、………うん。
[死に直面して泣きじゃくる涼を、宥めるように軽く背を叩きながらソファーへと移動させる。
そんなに聖と親しかったのだろうか、と疑問も持てど、それを口にする気にはなれず。
顔を伏せて泣き続ける涼の頭を軽く撫でて、一度そこから離れる]
(…アートは裁ち鋏を持ってた。
じゃあ、Wen.は?)
[再び視線は倒れ伏す二人へと向く。
紅い惨状は最初の綾野の姿と、自分が引き起こしたあの場面を思い起こさせたが、取り乱すのだけは必死に抑えた]
どうしよう、けーちゃん。
あそこに運ぶには、アタシ達じゃちょっと大変、だよね…?
[浮かんだ疑問を探る前に、少し気を取り直そうと別の話題を晴美に振る。
そのうち、二人には申し訳ないが、このままにしようと言う結論に達するだろうか]
…ねぇ、ryou。
思い出したくなければ言わなくても良いけど……二人が争ってるのは、見た?
[聞くのは酷だろうかと思いつつ、疑問を涼に投げかける。
状況からいって二人が争った可能性が高いのだが、例外もある。
その場に第三者がいた場合だ]
[七重の質問には何も考えずにただ首をふって、
目をごしごしとこすって涙をぬぐってから]
私がきたら……うぅっ…こうだった……
[それでも後から涙はやはりこぼれおちていき]
Wenさん……家庭教師にって……お話……したのに……もう………
[涙をこぼしながらぽつりぽつりと呟くように七重に話して]
現実なんて…大嫌い………
[しゃくりをあげながら何度も目元をこする、
あふれ出た感情はとまらないままに涙はとまらない。]
HALは…悪くないから……。
[HALの慰めの言葉に少しだけ泣き止みこちらでもなんとかコエを返して]
私も…おなじだから…HAL……ごめんね……ごめんね……
HALは……HALだけは………
[その後のコエは続かなかった]
……そっか。
[止まらない涙を拭いながら答えてくれる涼に近付き、慰めるようにまた頭を撫でてやった]
(……この子は人間、アートの判定ではそう出てる。
でもアートが本当に占い師なのだとしたら。
この子が持ってきた情報は嘘になる……)
[けれど、人狼であれ人であれ、慕っていた人が死んだなら悲しむだろう。
自分が綾野が死んだ時に取り乱したように。
そう考えて、一旦思考は止めた。
あとでまた考える時間を取ろうと思案する]
現実は……うん、アタシも、今の現実は、嫌いだ。
[現実は全て楽しいことばかりではない。
そう解っていても、巻き込まれたこの現状を好きになれるはずが無かった]
…けーちゃん、ryouを着替えさせてくるね。
このままじゃ、流石に。
[血で汚れてしまった涼の傍らに立ちながら、晴美にそう告げた。
心配げな目で見つめられたなら、大丈夫だからとどうにか笑みかけて]
着いて来ても良いけど、部屋の中には入らないでね。
さ、ryou、行こう?
[そう言って、涼に手を差し伸べた]
─休憩所─
[いくつかの部屋を経由して、休憩所にたどり着く。
そこは濃密な血の香りに包まれており、思わず口元に手を当てる。
そこに転がる遺体はふたつ。ひとつはついさっき顔を見たばかり。]
…………昨日も、だったけど。
本当に悲しい時って涙も出ないんだね。
[そう呟く心の中はぐちゃぐちゃと色んな感情が絡み合う。
胸が締め付けられるようで、凄く、苦しい。]
…………赤猫、さん。
[彼女の言葉にそれ以上何も言うことが出来ず。
ただ、これだけは言える。]
赤猫さん……ボクも赤猫さんには生きていて欲しい。
それだけは……覚えていて、ね。
[頭をなでられながら俯く、涙がひざに零れ落ちてワンピースのスカートをぬらしていく]
ナタリーさんも……嫌い……?
[その言葉には尋ねながらもきっと意味することは違うだろうことはなんとなくわかった。
着替えさせると連れていこうとすれば]
いいの……?
私と…二人で……
[差し出された手にはまだなみだ目のままに七重の方を見た]
HALは…私に……生きていてほしい……?
[尋ねかけるコエ、まだ悲しみの色は消えないが]
うん…、私は………。
HALのためにがんばる…。
[涼に訊ね返される言葉には、ただ頷くだけにし。
二人で、と遠慮気味に言われると、困ったように眉を寄せた]
…一緒が嫌なら、一人で行ってもらうことになる、けど。
もしくは、けーちゃんも一緒。
[意図することは理解している。
けれど既に”人間”として見ているせいか、他よりも危機感は薄かった。
勿論、もしもの時の覚悟はしている]
着替え、ベッドのある部屋に置きっぱなしなんだ。
あそこは……安置してる場所だから。
一人で行くならそれでも良いし、心許ないならついて行くよ。
[少し言葉を濁らせながら、どうするかの判断は涼に任せると告げて。
ふと巡らせた視線は、休憩所の出入り口に来ていた奏にも向く*だろう*]
それじゃあ……三人……
[晴美のほうにも同意を求めるように視線を向けてから]
一緒がいい………。
[そう答えて一緒に行くことにした。
奏が入り口にきたのを確認すると視線を向けるだけに、何も言葉はでなかった。
そのまま七重につれられるようにして着替えをとりに言った後シャワー室へ向かう]
[シャワー室に向かう途中、壁に書かれた文字があり]
これ…、さっき私が見つけたって言ってた文字……。
[その場所には七重の他のもいたであろうか?]
これは…本当なの…嘘なの……?
[その場にいたものがそれぞれ意見を交わした後はシャワー室へ*向かっただろう*]
HAL…私は誰を殺せばいい……?
まずは誰から殺せばいい……?
[尋ねかけるコエは楽しみも悲しみの色も*混じっていなかった*]
[ジッと見下ろすのは、ふたつの遺体。
その殺傷痕から相討ちであったことは容易に想像が付く。]
……回避することは、できなかったのかな。
[ポツリそう呟く。
ズキンと鈍く頭に痛みが走った。]
[部屋にいた面々にはちらり視線を向けるものの、すぐに目を背ける。
そうして、泣く事も叫ぶこともせず、ジッとふたつの遺体を見下ろしていた。]
[そうしている間にも、頭痛はますます激しく頭の中で*響く*。]
……ごめん、赤猫さん。
…………あとでも、いい、かな?
[ますます激しくなる頭痛に頭を押さえつつ、そう返す。
その答えに、優しさという余裕は込められることは*なかった*。]
─休憩所→ ─
うん、じゃあ、行こう。
[一緒が良いと言う涼に頷きを返し、晴美も一緒に休憩所を出た。
休憩所に現れた奏は倒れ伏す二人を見つめたまま、その場を動こうとはしない。
遺体を目の当たりにして茫然としているだけなのか、それとも……]
[奏には一言だけ、「ryouを着替えさせて来るね」とだけ告げて、その場を後にした]
─ベッドのある部屋─
[シャワー室に向かう前に遺体の安置している部屋へと向かい、散乱させていた荷物の中から涼が着れそうな服を選ぶ。
デニムのホットパンツと赤と黄のボーダーの長袖を拾い上げると、結局片付けもせずに部屋を後にした]
─廊下─
[シャワー室に向かう途中、涼が何かを見つけて足を止める]
これ、が?
[涼が見つけた文字、即ち姿無き占い師の判定。
文字を見て誰の文字だと判別することは出来ない。
並んだIDと人狼の文字に軽く眉根を寄せた]
……最初の書き込みを見てないから何とも言えない、かな。
[見たところで細かな差異などは判らないだろう。
けれどその場で結論も出せないために、そう曖昧に答えた。
人狼の可能性は、誰にでも付き纏っているのだから]
[シャワー室につくと、タオルを持ってくるからと涼を先に個室へと向かわせる。
着替えは更衣室の隅へと置いた]
……けーちゃん、Wen.って何か武器になるもの、持ってた?
[自分が見た限りには何も持っていなかったはずだ。
晴美は何か見ているか、と訊ねかける。
返答を聞いた後は、先程涼にも言った通りにタオルを取りに最初の部屋へと向かおうとした。
晴美に同行もしくは自分が行くと言われたなら、それには緩く首を横に振って断った]
ryouを一人にする方が不安だから。
アタシは、大丈夫。
直ぐに戻って来るから、ね?
[僅か震えたぎこちない笑みを向けて、シャワー室を後にする。
一人で行動するのは不安が付き纏う。
それでも自分を奮い立たせ、足を最初の部屋へと向けた]
─PCのある部屋─
[部屋に人の気配は無かった。
玲は自分が手に掛け、聖と裕樹は相討ちらしき様相で果てた。
晴美と涼、奏の姿は確認している。
亜佐美と瑠衣はどうなったのだろうか。
シャワー室から離れてから、様々なことを必死に考え始めた。
リアル人狼が行われているならば、人狼がまだいるなら、この後また犠牲者が出るだろうこと。
誰を信じ、誰を疑い、どう生き延びるかを]
…ゲームなら自分が死んでも勢力が勝てば勝ちになる。
でもこれは、ゲームなんかじゃない。
死んだら、お終い。
[晴美を着いて来させなかったのは一人で考える時間が欲しかったため。
段ボールからタオルを引っ張り出しながら、頭の中で考えを纏める]
(最初の占い判定は誰が書いたのかが判らない。
二回目のryouが見つけたのも同様。
けれどもう一つ、アートが遺した判定結果もある。
最初に占われたのはとき。
アートが占い師なのだとしたら、占ってもおかしくは無い)
[そこまで考えて、何か決め手に欠けているような気がして、思考が止まった。
ふと、電子光に気付いて視線をモニターに向ける。
画面は更新され、死んだ二人の名前が表記されていた。
眉根を寄せながら文章を読み、一つ前の文章を目にして、「あ」と小さく声を漏らす]
……とき、襲われてたん、だ。
そうなると最初の占い判定って、襲うためにわざと書かれた可能性もある、のかな。
[ゲームならその手段を取る時はある。
けれどこの状態ではどうだろうか、考えにくくもある。
守護者となり得る者は居らず、狂人は人狼と通じることが出来るのだ。
隠れ潜んで他を欺いた方が、早い]
残ってる人数は、5人。
もう、決め打たなきゃいけない状態まで来てる、よね。
[何を信じて、何を疑うか。
誰を信じて、誰を疑うか。
迷うだけではチャンスの前髪を掴み損ねてしまうだろう。
モニターを睨んでいた瞳がふと閉じられ、視線を外すと別の段ボールからペットボトルを3つ手に取った。
それを抱えて最初の部屋を出る]
……信じる人はもう決まってる。
その人が人狼だとしても……アタシも、怨まない。
[良く知る相手だからこそ、信じたい相手だからこそ、裏切られても責めはしない。
自分が憎みたいのは、自分達をこんな状態に追い込んだ、*現状だから*]
―シャワー室の隣の部屋―
[暫く、床に座り込んでいた。冷たい、むき出しのコンクリートの床。その冷たさが、段々興奮を冷ましていった。
逆に、冷たさが震えを強めていく。
怖い。怖い。もう裏切られるのは、怖い。誰も信じたくない。信じられない。
けれど、このままでは…
ゆっくりと身体を起こし、立ち上がる。ゆらり、と、一歩足を進めようとすれば、どこからか、声が聞こえる。息を潜め、声を聞いた]
―給湯室―
[給湯室にたどり着く。以前探していた引き出しをさがしてみる。あせるあまり、引き出しや薬缶が、がたがたと音を立てていただろう。
目標のものは発見した。
そっと懐に仕舞いこんで、その場を離れる。
誰かいないだろうか。その思いで、足は自然と*最初の部屋へと――*]
ごめん……
[HALの様子にそう答えるとそれっきりコエはかけなくなった。
やがてシャワー室につき一人で中に入っていくと、
シャワーを浴びながらずっと俯いていた。
いろいろなものが頭の中をめぐってよくわからなくなっていた。]
『それでも、私は…
HALの力になりたいから、そのために……』
[頭の中ででる結論は結局そうなった]
―シャワー室―
[七重に促されると晴美を見て少し迷った後に、服を着たまま個室のある方に向かった。
瑠衣が使っていた個室からできるだけ遠くの個室を選ぶ。今はそこに近寄りたくなかった。
シャワーを流してから少し迷った末に一緒に来ていた二人が見ていないのを確認してから奥の個室に向かいマジックを捨てた。]
あと少しだったのに……。
[呟く言葉はシャワーの音に消され、服を脱いで対面の個室においてから個室へと*入っていった*]
―― 回想 廊下→休憩室 ――
[短く尋ねられた言葉に、僕は肯定の意を示すように
短く頷いた。
「悪いけど、預かっといてくれ」。
そう、短く告げて手渡された携帯。
それを僕は強く握り締める。]
預かってって…言ってたじゃないかっ、
――アートさんっ…
[急ぐ気持ちが、言葉を洩らす。
僕は反射的にくちびるを強く噛んだ。
疑惑は、まだ疑惑のまま。それは彼の生死も、素性も。]
―― 回想 休憩室 ――
[扉を開くと、この前よりも強い、血の匂い。
だけど感覚が麻痺していたのかな。こみ上げる吐き気もなく、
僕は目に飛び込んできた光景に駆け出していた。]
っ!! アートさん!!
[そこには確かにryouや聖の姿もあったんだけど。
僕は真っ先に彼の安否を確認するために駆け出していた。]
しっかりして! 何倒れているの!!
[血に染まった彼の頬を二度、叩く。反応は、ない。
少し遅れて傍にやってきた七重姉を、思わず見上げる。
判ってる。結果なんて変わらないことは。
でも医者の卵の七重姉ならっ!! 何か…]
―― 回想 休憩室 ――
相、打ち…?
[ポツリと紡がれた言葉に、僕は一瞬だけ時を感じない。
縋るように見た七重姉の視線は逸れて、
聖を見ては同じような反応をする。]
う…そ、だってセンセー約束…、したよ?
僕と、やくそく…、生きて、かえろう…って
[血の気が、引けた。
自分の体が思うように動かないって、
こういうことを言うのか、な?
アートさんの携帯を握り締めたまま、僕は聖を見る。
同じように頬を二度、叩く。機械のような動作。
でも熱は感じる。まだ、温かい。]
――回想 休憩室――
――なん、で…?
何が、どうなの?
[二人を見下ろしても。僕は不思議と涙は出なかった。
多分ryouが僕の代わりに泣いてくれている。そう思った。
こんな時、僕はおんなのこが少し羨ましい。
嘆くことも、憎むことも、叫ぶことも、悲しむことも。
全部全部曝け出すことができるから。]
―― 回想 休憩室 ――
[泣きじゃくるryouを七重姉に任せて、
僕は二人を改めて見下ろす。
わざわざ結果の記された携帯を預けていった、
アートさんの思惑を、探ろうと。
そして記憶を辿る。
たしか聖を休憩室に誘ったのはアートさんだった。
でも占い結果の示された携帯を、わざわざ戻って来てまで。
僕に預けていった。どうして?]
――…三択?
[もし彼が本物の占い師だとして。
次に占おうとしていたのは誰だったのだろう?
そして前も誘い合って部屋から出て行っていた聖へは、
自分の力を端から使おうとは、思っていなかっ、た?]
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