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─前日/イレーネの部屋─
[イレーネが目を覚ましていたのなら、赤を乗せた上着を着る身では部屋に入るのは少し躊躇いもしただろう。
瞠られた瞳には真実への動揺が齎したものと思い込んで、違和感としても捉えられないまま]
[色が移ってしまうから、と立つままだから。
上げられた顔>>28は見下ろす態となる]
……うん。
カルメンははっきりとは言わなかったけれど、シスターとエーリッヒはカルメンじゃないみたいな言い方だった。
誰か聞きたかったんだけど、さすがに教えてくれなかったよ。
[誰を殺せばいいかを教えろと言っているようなものだと。
自覚をしていた蒼花は小さく苦笑を零した]
─ 翌朝 ─
[如何に娘を護ろうと思っても、夜通し起きていることは出来ず。
そのことに少し悔しさを覚えながらも最初に確認するのは娘の安否。
無事を確認したなら安堵の息を漏らし、その頭を右手でゆるりと撫でる]
まだ終わっていない可能性が高い。
全員無事かどうか、確認しなければ。
……動けるか?
[身体の具合はどうかを問い、ついて来るか部屋で待つかは娘に任せ、マテウスは廊下へと出た]
──…ッ!
[直後、左手を襲うのは昨日目覚めを促したのと同じ痛み。
右手で左手首を掴み、握り拳を作って痛みが引くのを待つ。
しばらくして痛みは引いていったが、左手には疼くような熱が残った]
昨日と、同じ…。
やはりどこかで…。
[呼吸を整えながら呟き、廊下で一度視線を巡らせる。
この付近に新たに漂う匂いは無い。
ならば周辺ではないのだろうと当たりを付ける]
………今までと、違う。
人狼に襲われたのではないのか?
それにこの傷口は───
[男には見覚えがあった。
二日前にも見た傷跡。
思い浮かぶ姿はただ一つ]
─ 前日/談話室 ─
……『まだ終わらない』。
[アーベルが伝える、カルメンの言葉>>23を小さく繰り返す。
一時伏せた天鵞絨が向かう先にゆれるのは、藍玉抱いた銀十字架]
……なら。探さないと。
[そ、と音に変えた言葉に答えるように、藍玉が微かに煌いたのは、誰かの目に留まったか]
見出して……止めないと。
[それが自分の『役目』である事。
無意識、拒んでいた認識が、内側に落ちる。
けれど、その場ではそれ以上の言葉は紡ぐ事はせず]
……誰か、教えてくれるなら。俺もそれ、聞いてみたい。
[エルザが漏らした呟き>>20には、小さくそう、呟いていた。*]
─ 深夜 ─
そうか……お前がレアンか。
[安置されているカルメンの頬を指でなぞる。
当に冷え切っているはずなのに不思議と温かさを感じる。
それが例え暖炉の火のせいであってもレナーテには違う"なにか"にしか思えなかった]
お前も……私とは違ったのだな。
[幾度も同じような場を生き残り、その度に骸を積み重ねてきた。
そしてその数だけ同属達を失った。
ある者は力に溺れて人間に打ち果たされた。
そして多数の者たちが獣として目覚めるのを拒み、人間としての死を選んだ。
今、目の前で眠るレアンのように。]
なあ、レアン……私は何を間違えたんだ?
─ 深夜 ─
[胸の前で手を組み、祈りの真似事をする。
レアンの魂が二度と獣に囚われない様にと。
姿だけはあのシスターの様に、神に届けと祈りの真似事を。]
……レアン。
すまないがお前の望みは聞いてあげられない。
それこそが…私がこの世に在る意味だから。
[こんなのはいつものこと。手にいれようとして零しただけ。
だから、もうここには何の用も無くなった。
あとはいつものように終わりを迎えるだけ。]
───始めよう。
[それから1時間もしない内に、女を一人手に掛けた。]
― 客室 ―
じゃあ、なんで……?
[何故苦しいのかと、父>>13に訴える。
酷く冷静に、苦しいのなら苦しくないように考えて動けばよいと言う声が聞こえる。自分だけに聞こえる自分の声に、だって、と抗えば先ほどの冷たさとは別の、嫌な熱さが身体を駆け巡る。
それでも優しい思い出は色褪せず、それを手放すことは出来なかったから、父の手を力なく握り続けた]
……うん。みんな、おなじ。
[イヴァンが死んだ時のことが頭を過った。
せめても安らかに。エーリッヒも、カルメンも。
死に繋がる道を選んだカルメンの思いは、その場近くにすらいなかったから知る由もなく。その覚悟も知らないまま、ただ自分が思うままに娘は祈りながら、逃げて。
閉じられた瞼の下は、僅かに濡れていた]
─ 翌朝/自室 ─
[目覚めが訪れたのは、夜明けの直後。
まだ淡い光の中起き出して、首から外した銀十字架と向き合う]
……命の滴の盟約によりて、請う。
彼の者に祝福授けし光の源、示す事を。
[紡ぐべき言葉は、ごく自然に口をついていた。
これまでは無自覚に力が発動して、信じたいと願うところへ力が無作為に飛んでいたけれど。
今は、自分の意思で、力を向ける先を定める。
とはいえ、これという宛があるわけではなく。
考えた末に向けたのは、皆に危険とみなされ、自身も危ういものを感じていた旅人で]
……っ!
[浮かび上がるイメージは、今までとは違うもの。
温かい陽射しではなく──冴え冴えとした、月光。
旅人の姿は、その光に護るように包まれて見えて]
…………『みつけた』。
[落ちた認識を、小さく口にすると同時に、イメージは消え失せて。
後に残ったのは、言葉に表せない、高揚感と]
……ってっ……。
[それに飲み込まれるのを厭うかのような、頭痛。
思わず上げた声に、小鳥が案ずるような鳴き声を上げた]
……ん、大丈夫だ。
それより……。
[ここで一度、言葉を切って。
天鵞絨は、思案するように伏せられる]
止めに、行かないと。
[皆に知らせるのではなく、直接止めに行く、と。
選んだのは、それ]
……『役割』に流されるのは。
もう、嫌だから。
[断片的に浮かんでいる記憶。
見出した後の事を人任せにした結果、酷く後悔した事だけは、辛うじて思い出していたから。
身支度整え銀十字架を身に着けると、部屋を出ようとする。
小鳥は悩む素振りも見せず、肩へと飛び移ってきた]
─ 翌日・雪原 ─
[人として人を殺す。
いつもその場は疑心に満ちた闇のような世界だった。
閉ざされ逃げることも許されない中で人間たちは自ら殺し合いを望んだ。
私は毎夜血を啜りながら少しだけ人間の背中を押してやるだけ。
彼らはいつも泣きながら、または怒りを燃やしながら結局は人間を手に掛けた。
自分たちが生き残るために。
私とどこが違う?
彼らも結局は獣と変わらない。
商人を殺した場所に一人立つ。
すでに赤い色はなく真っ白な雪の上で手のひらを見つめる。
この手で二人殺した。
獣の爪や牙ではなく、この手で、人として。]
……なんだ。
もう何も無くなったのか。
─ 雪原 ─
[雪を踏みして近づく男に顔を向ける]
お前も私を殺したいのか?
あの娘のように。
[昨晩手に掛けた娘。司書の男はそれを知ってここに来ているのだろう。ならば言いたいこともやりたこともよくわかる。
人間というものは時に理不尽さを想いの強さでで正当化する。そんなときはただそれは間違っていると教えてやればよい]
あれは、正当防衛というものだぞ。
[もう何も残っていないというのに、いまだにニンゲンの振りを続ける自分の滑稽さに笑いが漏れそうになる]
─ 前日 ─
[司書の呼びかけに頷き、この場を離れるエルザを先に聖堂から離し。
ミリィはどうしたろう、見届けると言うなら司書にミリィを任せてエルザとともに離れ。
彼女もこの場を離れると言うなら、エルザとミリィ二人をこの場から離した後、自分は司書と共に見届けるを選んだ。
見届けないにしろ、アーベルがカルメンの願いを聞き届けたことが解り次第聖堂に戻り、彼女とエーリッヒを部屋へと運ぶのを手伝って。
マテウス達の姿が見えれば、説明はアーベルたちに任せて安堵と苦さの混ざった息を落とし、その場を離れた。
そして向かったのは、血の臭いが残る聖堂]
─ 前日 ─
……何度だって弾いてあげるって、言ったものね。
[昨夜は弾けず仕舞いだったピアノに触れて、呟く。
こんな事になるなら、もっと時間の許す限り弾けば良かった。
>>3:134最期の願いを残した彼女は、人狼だった、けれど]
…アタシもね。
嬉しそうに踊る、アンタを見るのが、とても好きだったのよ。
[幸せに微笑む老尼僧と同じ様な気持ちでいると、そう思えたあの時間が何より好きだった。
老尼僧も、少女も。もう戻らない。けれど、少しでも届いたら良いと。
もしかして、一人で此処にいれば狙われるんじゃないか。───狙ってくれるんじゃないか。
そんな考えで、たった一人、眠りに落ちるまで懐かしい歌を南曲でも弾きつづけた*]
― 翌日/客室→談話室 ―
[目が覚めた時、『おまじない』に手応えがなかったことにほっとして。
ずっと置きっぱなしだった短剣を持って、部屋を出て。]
─ 雪原 ─
月の……なんだって?
[青年の聞きなれない言葉についつい聞き返すも大事なのはそこではない。
娘の死を知らない?
ならなぜここに来る。
この男には確信がある。
私を殺すだけの理由がある。]
お前……何者だ。
[目つき鋭く見据えると、腰のレイピアを抜く]
─ 翌朝 ─
[目が覚めたのは、凍える寒さによって。
前夜は遅くまでピアノの元に居たけれど結局自分が無事である事に落胆を感じながら部屋に戻った。
目が覚めても、生きていることにまた悔いを感じ、代わりに誰かが殺されているのだろうか。
もしくは誰かが殺されるのだろうか。
そんな思いが過ぎり、立ち上がろうと思うのに身体が動かなかった。
今居る彼ら、彼女らは誰も死んでほしくないと願う者ばかりだったから。
─── いや、一人だけは違う。
その顔を思い浮かべて、男はようやく重りの様な腰をあげて部屋を出ていった]
─ →談話室 ─
[談話室に向かったのは、アーベルの声が聞こえたから、ではなく。
頭に思い描いた相手の部屋を知らぬから、誰かに聞こうと思って、だった。
クラッチバッグを片手に入った部屋、重い空気に一つ、息を飲んで。
ミリィとアーベルの姿が目に入れば、あぁ…と声を落とし]
…、
ちゃんと、寝かせてあげましょう。
…いいわよね?アーベル。
[青年に問うように声をかけた後、マテウスに近付き彼だけに届くように小さく声を落とし]
…レナーテさん。
今、何処に居るか知らないかしら。
―談話室―
[ああ、俺もいい大人なのに。
大人の人を困らせてしまうなんて、まだまだ子供だ]
[謝る必要がないなんて言われて>>55しまえば、言葉はもう呑み込むことしかできない。
何か言われるのなら聞くつもりだったけれど、溜息のような大きな呼吸に掻き消えてしまった]
ん、助かる。
俺だけじゃあ運べる気がしなくて、さ。
[左腕を使わないようにすれば、動く事自体が減っていく。
だから右腕も一般的な人より劣っているだろう。
その両腕で、力をなくした人はきっと運べないから]
……うん。ありがとう。
[気遣うように掛かる彼の言葉>>58に、礼と共に頷く。
そうして、そっと赤に触れていたから。
彼がマテウスに問う言葉は気付けなくて]
― 回廊→談話室 ―
あ、エルザさん。
[談話室に入る背を見かけて追いかけると、心臓がドキリと跳ねた。昨日のそれと同じようで、少し違うような焦り。
早く確認しなければ]
アーベルさん……ミリィお姉ちゃん。
[談話室の入口で立ち止まる。
父とアーベルの影になってか、ミリィの顔は見えなかったけれど。やはり見覚えのある足元と、オクタヴィア>>58がアーベルに掛けた声で、何が起きてしまったのかは悟れた]
……やすらか、に。
[いや、きっと安らげない。人狼を正しく探そうとしていたのはミリィだった気がする。それならきっと無念があるだろうと思うと、祈る声も揺れた]
[また、違う一節を諳んじる。
歌う声は澄んだ空気の中に広がって、消えて]
……生ける者を見定める力のある者、と言えば、理解してもらえるか。
神の使徒、などと、名乗る気はない、けれど。
[最後の部分を口にすると同時に感じた息苦しさは強引に押さえつける]
……力によりて、あなたが何かを見定めた、から。
終わりにするために、ここに来た。
― 談話室 ―
……え?
[まだ終わっていない、という感覚はあったけれど。
談話室の扉を開けて、鼻に届いた鉄錆の臭いにフリーズした。]
……、だれ?
[その場にいる人たちに問うたものの。
アーベルなどの様子を見て、問いの答えを察して口を噤んだ。]
─ 雪原 ─
そう……終わりなの。
そんなに
──死に急ぎたいのか。
[白い大地を踏みしめてライヒアルトへと疾駆する。
右手にはレイピア。
人の常を超えていないとはいえ、商人を追い詰めたときよりも数段その速度は上で。
それは人として人を殺すことにもはや迷いの欠片も無いから]
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