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…………あー、何だか戦う理由、なくなっちゃったネ。
はじめはヒサタカのために戦おうとして。でもキューちゃんの悪い部分がヒサタカを乗っ取っちゃって。
そのヒサタカも『天』の……ああ多分サキ先輩にだよね、に隔離されて。
あ、もちろんキューちゃんもサキ先輩も怨むつもりはないヨ。
だって、ああする、しか……
[そう言いつつも、語尾は小さくなっていき、キュッと唇を結ぶ。]
[何か言おうとしてぴくりと跳ねるQちゃんの身体。
ん? と見上げると同時にドアの向こうから聞こえる声。]
ん? その声ってユーゴ?
[何だろうと玄関に向かいガチャッとドアを開ける。]
こんな時間にこんなところに何の用?
[ここは男子禁制の女子寮。
ああ、そう言えば本来のヒサタカがここに入ってこれるわけがなかったのか、と今更。
主にヒサタカの度胸という点で。]
[と、言っても建物の方に戻るのはやっぱり気が引けて。
どうしたものか、と思いつつ、ふと、ある事に思い至る]
……気脈、正さんとまずいか。
[戦いの場になった境内の気脈は乱れているだろうし、と。
……一応、両親共に只者ではない(何せ、息子の状態を理解している)ので、その位は容易いだろうが。
自身の起こした事に関わる、とあっては、手出しはしないのもわかっていて]
まあ、それくらいやってから戻れば、五十嵐も目ぇ覚ますだろうし。
[我妻と──天魔と直接対峙した啓子の話は、聞いておくべきと思ってはいたのだが。
今は回復させるのが急務であるし、と割り切って。
その間に、自分のやるべき事をやろう、と、陣の外へ]
[ 扉の先には、ポケットに手を突っ込んだ気怠けそうな姿。
どうやって入り込んだかと言えば、
ケイコに教えて貰った場所をちゃっかり悪用して ]
ちょいとな、鵬谷の件で話があって。
アイツもこっちいるんだろ?
[ ひょい、と中を覗き込もうと。
当の少女はと言えば、怯えを含んだ色を見せている ]
[休んでいると告げられた部屋には既に久鷹の姿は無く。それにより目を覚ましたと言うことは理解出来たか。おそらくはうろうろ周囲を歩き回っているだろうと、当たりをつけて家屋の外へ]
…おい、怪我人。
あんまりうろついてると傷に響くぞ。
[目的の人物──久鷹を見つけて、声をかけた]
─屋上─
[ふわり、と舞い散る紅の光。
こうやって出てくる度に、出入り口を増やそう、と思いつつ忘れているのはなんなのか]
……っつーか、俺の場合は入るのはどこからでも出来るのに、出るのはここだけって、一体どういう事なんだよ。
[陣の内部を調整した者の影響、だとかは知らない。
ともあれ、意識を済ませて『音』を放つ。
空間を渡り、目指す先は瑞雲神社]
─瑞雲神社─
[ふわり、光を散らしつつ、現れるのは境内。
戦いの場となったそこには、微かに気の乱れが残っていて]
……木……と、金、か。
都合よく、相殺できるな。
[低く呟き、一本桜の下に膝をついて、目を閉じる。
短く放たれる『音』に応じて開くのは、五色の翼。
……完治していない傷が一瞬痛んだのは、置いといて]
……過剰なる木気、我が内に宿りて火気となり。
……過剰なる金気、我が火気の前に鎮まり給え。
[呟きの後、放たれる『音』。
力と力が巡り、正しき流れを取り戻してゆく]
[ユーゴがいることに首を傾げたりしていたが、その言葉にぴしり表情が固まる。]
…………ヒサタカの?
それにアイツ…………って。
[中を覗き込むユーゴにちらりと背後を見て、Qちゃんが怯えているのを見ると]
…………あの子をどうするつもり?
[キッと睨む様な視線でユーゴを見る。]
へー。
案外、可愛いモンなんだな。
[ 睨みつけられて体勢を戻す。
さして意に介した風もなく、受け流す碧眼は揺るぎない ]
なんもせんよ。今は。俺も“そっち側”なんで、ね。
[ さらり、己の所属する側を明かす ]
ただ、桂はどうすんのかなって。
さっきの口振りだと、もう、やる気ないみたいだけど。
鵬谷が天界に反発してたのとか、
向こうがソイツ放っておくわけないとか、考えねえ?
[ その場にいなかったはずなのに、
発される台詞は、あたかも全てを知っているかのよう ]
……っと。
[そこに立つ者──自身の母の姿を見た瞬間、自然、居住まいは正された。
大丈夫なの、と。投げられる短い問いに、一つ頷いて]
まあ、色々とややこしくなっちまってるけど。
でも、大丈夫だから……心配いらない。
[静かに答えて、笑って見せる。
向けられる表情がどこか不安げなのは、恐らく一見してわかる、動きの鈍さのせいだろう]
ああ、従姉殿も大丈夫だから。
九条院の方にも知らせといて。
[そこを追及される前に、と早口に言い置いて。
じゃ、やる事あるから、と言って、幾度目かの転移を行う。
後に残るのは紅の光と──呆れたような、*母のため息*]
[じ、と久鷹の様子を窺う。一応の警戒。相手の動きから普段の久鷹であると判じると、警戒を解いた]
その様子だと、アイツは抑えられてるようだな。
[何を示しているかは理解出来ることだろう]
…いくつか、聞きたいことがある。
[良いか?と訊ねたところで別方向からの声]
恭也か。
璃佳のお蔭で至って良好だよ。
[意外とダメージを食らっていた両腕も、送られた土気により鈍い痛みは消えていた]
しっかり現実だっつーの。
[びし、と久鷹の額に手刀突っ込み。もちろん加減はしている]
ここは『隔離の陣』の中だ。
……まぁ、現実離れした作りしてるけど。
─『隔離の陣』・草原─
はー……やれやれ。
[ふわり、光を散らしつつ。
舞い戻るのは、草原地帯。
戻ってくるなり、口をつくのがため息なのはさておいて]
で、と……。
[五十嵐は、と。
呟くのと、白いもふが啓子に姿を変えるのは、さて、どちらが早かったか]
[ぴき。久鷹の返答に青筋]
……ほぅ。
九尾のことについて聞くつもりだったんだが…。
貴様は答えんと言うのか。
そうかそうか。
[物凄く良い笑顔だったと思う]
……そう。
[じろじろと品定めするようなユーゴの視線からQちゃんを隠しつつ、『そっち側』という言葉に完全には解かないものの警戒を緩める。
だが、続いて問いかけられた言葉に、]
…………そ……れ、は。
[言葉に詰まる。
サキは見逃してくれていたが、他の四端や天までもが金毛九尾のQちゃんを見逃してくれる保証は何もない。
その動揺は、容易にユーゴに読み取られるか。]
まぁ確かに、相剋になっちまうからね。
だから怪我をしても自己治癒に頼むつもりだったんだが。
[治療役の麒麟も木の属。治療を施されても効果は他のものより低いことだろう]
璃佳が無理してしまったのが心苦しいが…今はそうも言ってられないしな。
……今の、白虎本体か?
[その通り。
とはいえ、なんでそんな事になってたのかなんて、こちらは知らない訳で。
というか、女二人こんなとこで何呑気に寝てんだよ、とか。
むしろそっちが気になったかも知れない]
……おーい、お前ら。
いくらここが環境整ってるからって、外で寝るな。
[直接つつくのはなんなので紅鴛に羽でてしてしさせつつ、呆れたように声をかけ]
ソイツ単体じゃ、戦えないだろうし。
[ 悪しき心が排された今となっては、尚更。
再度一瞥して、マリーを見やった ]
そも、鵬谷を浄化したとて、
確実に還してくれるとも限らないわな。
お上の意向とやらは知らんけど、仮にも、魔に憑かれた人間だし。
こんな無茶苦茶な事やらかす奴らが、そう簡単に赦すかね。
[ “相方”を心配するように眉を寄せ、首を傾げてみせる ]
まあ、やりにくい相手もいるだろうから、全員とは言わない。
頭さえ潰せば、十分だろ。
な ぐ ら れ た い か ?
[耳聡く聞き取り、ぐっと拳を握り、尚も良い笑顔。一応あれをされたのは不覚と思っているらしい。相手が九尾の話に興味を向けると]
ああ…。
お前に実際ついていたのは九尾の悪しき心だった。
それは今もお前に憑いているのか、そしてそいつ消してしまうとなれば、九尾にも影響が出てしまうのか…。
それによってアタシが成したい処遇が変わるんでね。
[上がった声に紅鴛、ちょっと驚いてぱさささ羽ばたいたり]
あー、起きたか。
大丈夫かー?
[多分、大丈夫じゃないのはわかってるが、一応、こんな声をかけ。
しかし、一番大丈夫じゃないのは間違いなく自分なのだが]
[ユーゴの言うことは、まさに彼女がヒサタカが天魔だと知ったときに懸念していたことで。
俯いて、反論も同意もなくその言葉を聞いていたが]
…………ちょっと……考えさせて。
[そう言って、ドアを閉めようとする。]
[詳細は言わんで良い、とばかりに再び久鷹の額に突っ込みチョップ]
唐突にされりゃ驚きもするわっ。
[頬を掠めただけ、と言う突っ込みを入れ忘れている辺り、動揺はしているのだろう]
つか、自覚なかったんかい。
[長い沈黙から今頃気付いたような台詞に今度は裏拳で突っ込んだ]
とにかく、そいつはお前の中に残ってるのかどうか、まずそれが聞きたい。
まあ、お前の場合はそうだろうな……。
[璃佳の言葉に、何となく呆れたように呟いて。
立っているのが辛くなって来たので、その場に座った。
ちなみに、五色翼はそのままです]
だから、生きてなかったら大問題だっての。
ここは、『隔離の陣』。
俺が行った時には、お前、境内で倒れる寸前でな。
治療のために、連れてきたんだよ。
……間に合わなくて、すまんかった。
[啓子に返す言葉の最後は、珍しく?済まなそうだったり]
……は?
予備眼鏡?
[あー、そういや、眼鏡してなかったなとか。
こいつの認識って、そんなもんです]
っても、どこにあるんだよ、それ?
女子寮とかだと、さすがに俺じゃ無理だぞ。
従姉殿に頼めば別だろうが。
――ちなみに。
[ ガツ、扉の閉まる前に、足を入り込ませ押し留める。
狭められた間から見える碧眼は、酷く冷えていた ]
今は、「お願い」に留めておくけど、
聞いて貰えんときには、こっちもそれなりの手段に出るんで。
ソイツには最初に会ったとき、“印”つけてる。
[ だから、此処にいるのがわかったんだけど。
そう、言い添えて ]
仮にも魔だし、相性の分、簡単に消えたりはしないだろうが、
痛い目くらいは見て貰うんで――宜しく?
[こいつ首絞めてやろうかと思ったが、一応怪我人なので抑えておいた。青筋はついたままだが。
狐はここに居る、と頭を指されるとそっちを見て]
…頭ん中?
居るってことは、まだ憑いたままってことか。
……じゃ。
夜分に失礼、おやすみさん。
[ ――佳い夢を。
瞳の温度とは対照的に、一瞬、笑った口許は見えたか。
足を引き抜いて、此方から扉を閉める。
* 音もなく、気配は遠ざかった *]
[目を逸らす様子に、ちょっとじと、としたかも知れないが。
まあ、人の事は言える立場ではないので、追及はせず]
いや、こっちが万全なら、ダメージ受けてるお前が無茶する必要もなかったわけだし。
なんにせよ、間に合って良かったよ……欠けられちゃ、困るしな。
[謝罪の言葉には軽くこう返し。
続いた声に、真紅の瞳がやや、険しさを帯びる]
自分から……ね。
理由はともかく、一番面倒なタイプ、か。
あー……あっちか。
なら、接点ない俺よりも、従姉殿の方が自然だな。
[鳳凰と応龍、としての接点はあっても、個人ではほとんど接点がないわけで。
璃佳との潜入共犯者という接点も、基本的には公でない事を思えば、自分が行くのは難しい、と判断したらしい。
羽をじーっと見つめる視線には気づいてはいたものの、真意までは気づいていないかも知れない]
[閉めようとするドアの隙間に足を滑り込ませて向けられる酷く冷たい碧眼と告げられるある意味の人質宣言に、こちらはキッと仇を見るようにユーゴを睨み付ける。
動じた風もなく、むしろ一瞬口許に哂いを浮かべたユーゴがドアを閉めて遠ざかっていっても、暫しドアを睨み続けていたが]
…………チクショウッ。
[ガンッとドアに拳を叩き付け、忌々しげに呟く。]
[呆気に取られた状態からハッと我に返り]
黒亀(こっき)、食え。
[にゅ、と顔を覗かせた亀が黒い九尾に狙いを定めた]
で、久鷹。
居ると居ると言う事はまだ憑かれているのだろう。
この九尾はあっちの九尾と陰陽で一対のはず。
アタシは出来ることなら向こうの九尾をお前らの傍に居させてやりたい。
だがそのためには最低限の力を抑える必要がある。
もちろん、そこの黒い奴の力も抑えるか、今後久鷹が乗っ取られないように滅する必要がある。
お前はどうしたいのか、それを聞きたい。
……闇、か。
[ぽつり、呟いて]
境内に残っていたのは金気と……木気。
木には風の理も含まれる。
……最初の一撃からしても、風使いなのは間違いない、か。
[話を聞きつつ分析を巡らせ。
投げられた問いには]
……そっちのは思いっきり、活動範囲が違うからなあ……。
何を持って何のために何と契約したか。
それによって、変わってくるだろうな。
……欠けさせねぇよ。
誰一人、欠けさせてまたるか。
[璃佳の呟きに、ごくごく小さな声で呟く。
刹那、過ぎった陰りに紅鴛が不安げにぱささ、と羽ばたいて]
俺も正直、この騒動がなかったら、接点もなんもなかったからな。
……あちらさんが何を考え、何を望んでるかなんて、わかりゃしない。
ただ……理屈はどうあれ、『天魔』は、抑えなきゃならん。
[告げるのは静かな宣。
甘いかなぁ、という呟きには、答える事無く]
再び力を蓄えないと言う保証はないだろう?
…お前らには聞こえが悪いかもしれないが、あらゆる予測を加味して対策を立てたいんだ。
そうだな、質問を変えよう。
その黒いのを仮に消したとして、残ったあっちの九尾に影響が出るかどうかは分かるか?
消してしまった時、九尾に影響が出てしまっては意味が無いからな。
[次々と質問を続けるのは、他の四瑞達に何か言われた時のため。九尾が残る上で害がないことを証明出来なければ、特に鳳凰は納得しないだろうから]
[じーっと黒い九尾を見つめていた黒亀は、徐にぴょいと飛んで(!?)黒九尾の傍に降り立とうと]
つるんでた?
[そういや、そんな雰囲気だったな、と。
いつか見た、二人の様子を思い返しつつ呟いて]
ん、まあ……従姉殿も従姉殿で、やる事あるし。
校舎ん中、移動するくらいなら、大丈夫だろうから、問題ないと思うけど。
[そうと言いはしないものの、安全な場所に、と思うのは、ある意味ではこちらの勝手な考えな訳で。
頼めばその位はなんとかなるのは、わかっていたが。
……やっぱり、少し歯切れ悪い感はあるかも]
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