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[しばらくしてアーベルお兄ちゃんと一緒に戻ってきたユーディットお姉ちゃんからユリアンお兄ちゃんのことを聞き、
さっきのアーベルお兄ちゃんの言葉はいろいろ気にもなっていたけど、
それがユリアンを殺したことに関係したかもしれないし。
でも話を聞けそうな雰囲気ではなく感じて、聞けずにいた]
なんで皆で殺し合いとか、しなきゃいけないんだろう……
そっちの方がよっぽど……
[ひどいと、までは言い切れなかった]
─ 黒珊瑚亭 ─
そうですね…元通りは、難しそうです。
はい、無理はしません。
[注意を向けられ>>4、素直にそれに従って。
同じ箇所を何度も擦って少しずつ色を薄めていく。
何度かそれを繰り返すうち、床に残る色がタオルに移っていって。
一度タオルを洗おうとした時、外に出たはずのアーベルが戻って来た。
ユーディットとのやり取りに、瞳を何度か瞬かせる]
なに が……?
[会話は聞こえているのに理解が及んでくれなくて。
ふる、と一度身体が震えた**]
[ロミがユリアンを呼ぶ>>*0。
けれど聲は返らない]
…あ、 あぁあ あああ
[アーベルが告げた言葉、ユリアンの死。
それはナターリエのとって最悪の結果でしかなく。
辛うじて保ってきた正気の糸が一本、ぷつりと音を立てて切れた。
零れる聲は混乱の色を含み、小刻みに震える]
どうして ユリアンさん 護れ な
[聲は次第に涙声に。
人ならざる聲は嗚咽によって染められた**]
― →路地 ―
[ユーディットは詳しく場所を話したか、
ひょっとしたらそんな余裕も無かったかもしれないが。
とにかく子供は駆け出して、あたりをきょろきょろ見て回った。
あとからロミがついてくるのは気づいていたが、
子供は来るなとも来いとも言わなかった。
おそらくそんなには走らずに、
塀だか家だかの合間にある細い路地の奥から、
黒珊瑚亭で嗅ぎまくった匂いに気づいて、ぴたりと足が止まった。]
…………。
[日は昇っているのに薄暗くみえるのは、
安定しない天候のせいだろうかと子供は思った。]
[じりっと一歩踏み出すと、砂利踏んだ音がやけに響く。
一歩、また一歩、奥へと進むと赤い色がじんわり路地に染みていた。]
ユリにー…。
[その染みの元にいた青年に、呼びかけたが返事は無い。
もはや只の屍と成り果てていた。
立ち尽くす、足はそれ以上動かない。
怖いと思うほど無残な姿でなかったせいか、
子供の頭の中には、ぐらんぐらん同じ事が繰り返し回っていた。]
アベにー、なんで。
[何故どうして。
アーベルとユリアンが仲が良かったのは知っていた。
だから、何でこうなったんだと、そんな疑問しか浮かばない。]
ナターリエお姉ちゃん……?
[カヤの後に続きながら、聞こえるそれは激しく哀しみとも動揺とも判断のつけにくい感情の色を大きく感じる聲で]
私…、その……
[駆けつければ護れていたかもしれない、そう思ってしまうと罪悪感のようなものも感じてしまって、しばらくはかける言葉が見つからずにいた]
― 黒珊瑚亭 ―
おい、アーベル?
[シスターと一緒に>>11手を止めた。
呼びかけにも殆ど反応せずに中に入って行く態度は尋常でなく、その手が赤いのにも気がついたけれど。ユーディットがすぐ追いかけたようなので>>6少し待った]
おいこら!
[ユリアンは外にと聞くと、子供達が>>14真っ先に飛び出してゆく。
二人一度に引き止められそうにはなく、カヤとは>>12どうも上手くやれていない。血に染まった雑巾を放り出していくのも、習いとしてできかねて出遅れた]
子供達を落ち着かせられるようなもの、用意できますか?
俺も行ってきます。
[頼むより先にシスターは動き出していたかもしれないし、人の死に何かを感じるらしいカルメンも先に動いていたかもしれないが。
雑巾と桶を端に寄せ、言い残してから後を追って]
―→路地―
[カヤ君の後に続きたどり路地に入ると、立ち止まったそこにようやくおいつき隣に並ぶようにし、息を整える。
最近特に嗅ぎなれてしまったような匂いに気づき、ゆっくり薄暗い路地に足を進めるのに、少し遅れてついていく]
ユリアン、お兄ちゃん…?
[路地に似つかわしくない赤の色には一緒に気づき、カヤ君に遅れて呼びかける。
返事は返ってこない、ユーディットお姉ちゃんの言葉のとおりに、死んでいることを示すものしかそこには見られない]
カヤ…君……
[なんでというカヤ君の服のすそを思わずつかむ。
二人は確か仲良しだったはず、そんな二人の間なのに……]
わからない、ナターリエお姉ちゃんだって、アーベルお兄ちゃんだって、
なんでしたくもないのに、しなくてもよかったかもしれないのに、こんなこと……
正しいことだなんて、私、思えないよ……
人狼が悪いって……、そういうことなの……?
なんで…、どうしてなの……?
ユリアンお兄ちゃん……死ぬつもり……だったの……?
[答えてくれる聲もない]
ナターリエお姉ちゃんが、とっても、つらそうなんだよ……
お願い………、こたえ…、て……
[自分もしばらくは、それ以上の聲はだせずにいた]
やっつけないと、人狼を、
早くやっつけないと…。
[眉根をきつく寄せて、さっきまで生きていた人を見るが、
きゅうにしなりと眉が落ちた。]
ユリにーの細工、
見せてもらう約束だったのに…。
[ぎゅうっと拳を握り締めると、じんわり目の端に涙が滲んだ。
ただただひたすら、悲しかった。]
―深夜―
それじゃあ、いってくるね
[ナターリエに告げるように聲を送ってから、部屋に篭るアーベルのもとを訪れる]
アーベルお兄ちゃん、ユリアンお兄ちゃんと人狼のことで大事なお話があるの。
[ユリアンと人狼のことを出せば、ドアを開けてもらうことはできるだろうか。
部屋へと通してもらい、少しの間俯いていいにくそうに]
あのね…、ユリアンお兄ちゃんのこと人狼だと思って殺したんだよね?
[突然の言葉は幾分か驚かせたか、あるいは自分のこともすでに気づいた時だったか、詳細はさだかではない。
そのまま飛び掛る時には人と獣の混じる姿で、のどを狙いするどい爪で裂く。
まずは声を奪う、父親から教わった狩りのやり方]
ひどいよね…、私たちのこと、悪者だって皆して……。
[ユリアンがどんなつもりで、アーベルに殺されたかはわからない。
でも、ユリアンは確かに人を襲う自分と同じ人狼だったけども、
人を思いやる気持ちももっていたしたしかに人でもあった]
皆だって生きる為に、食べるじゃない。
生きようとすることが、そんなに悪いことなの?
ユリアンお兄ちゃんだって、死ぬつもりはないはずだったのに……、
[本気ならば、少なくともアーベルが無事で済むはずがないとおもっていたから。
かける言葉はどれも感情に任せたままのもので、再度飛びかかると、力任せに床に押し倒し、
反撃は受けたかもしれないけど、気にせずに爪の生えた、獣の腕を振り上げ]
だから…今度はアーベルお兄ちゃんが死ぬ番だよ…。
[ユリアンがアーベルを殺さなかったのは、たぶん生きてほしいと思ったからなのかもしれない。
あるいは、最後に人の心が、アーベルを手にかけることを迷わせたのかもしれない。
いずれにせよ彼は人狼を見つける力をもっているらしく、そしてユリアンを殺すという行動を示した。
だからこれ以上、生かしてはおけない]
大丈夫だよ、ちゃんと…美味しく食べるから。
[それが命を奪う側としての礼儀だと、父親の教えのとおり。
振り下ろした腕がその胸を裂いて貫き、心臓をえぐりだして止めをさす]
いただき…ます……
[行儀よく?感謝の祈りをささげるように呟いてから、事切れたその身に内臓を中心に食らいつく。
飢えと渇きの果てに起こした行動ではなかったから、血に酔い過ぎることもなかったけども…、
仲間を奪われたことによる、衝動的な部分もあった。
だから、食べ終えた後のアーベルの体をベッドに寝かすときに、つい放るようにしてしまってから]
あ……
[うつぶせに倒れるアーベルにせめてというように毛布をかぶせる]
ごめんね、アーベルお兄ちゃん。
おやすみなさい……、私は……生きるから……
人間がそのつもりなら……
[呟く言葉は聲にもなって、ナターリエにも届いただろうか。
窓を開けてそのまま、その部屋を*後にした*]
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