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[戻る、と促す言葉にん、と頷いて。
それから、火炎竜の視線の先に自分も目を向けて]
あー、オレも買ってくー!
『風鎮め』やってたら、腹減ったー!
[風からの力の供給なんて、まだまだ出来ません。
ここにもいます、食欲旺盛]
[頬赤らめる様にくすくす笑い、]
疲れてはないか?
こういう立場は初めてだろ?エルザ。
[されど、か弱く不安定なこの姫は、揺らせばたやすく流され揺らぎそうにも思えた。
違えばよいとの言葉は、唇には乗らず。]
[ザムエルに背中を叩かれれば、若干肩を落として。
共に居た他の者たちへも頭を下げ直す]
もう少し落ち着けば、戻られても大丈夫になるかと思います。今はまだ本殿の方でも状況の把握に手一杯のようでしたから。
[ティルの話の最後だけは聞き取れたらしく、自分の知り得た状況を語り]
足りぬを書の知に頼ろうかと思ったのですが、それよりは皆様の智慧にお縋りした方が良さそうですね。
戻られるのなら、ご一緒致します。
[クレメンスとの距離を僅かに離しながら、ザムエルに向けて頷いた]
気持ち悪い、とな?
『安定』を欠くような、不安を掻き立てるような感覚なら儂も感じて居るが…。
それとはまた別の物を感じておるのじゃろうか。
[ティルを撫でながらもその言葉に首を傾げ。撫でていた手を下ろすと、皆と戻りがてら飴玉を調達する。
クレメンスの指紋だらけになった腕輪はきゅっきゅとローブの袖で拭いてたり]
…ダーヴィッドは相変わらず食い意地が張っとるのぅ。
[林檎を買っておきながら尚コロッケを買いに行く様子に何だか溜息が漏れた。仕方ないこととは理解していても、どうにも嘆息は禁じえない]
―西殿・結界前―
[内側からも結界を張られ、今や西殿の中の様子を窺う事は出来なくなっていて]
……むう。
[結界へと微かに干渉しては、手を痺れさせて。
毎回の術式を手帳に纏めては、再度結界に干渉を行っている]
本当に、こういう時。氷破の出不精には頭が痛いものね。
[都から出れないものだから、都の中に居る氷破の者を尋ねてみようとするものの。
夏季が過ぎ去ったばかりで暑さの残る都には、
氷竜の姿はまったく見かけることが出来なかった]
まぁ、うちん所が特殊なんだと思ってくれ。
命竜は、扱うモノがモノだし、数も少ないしな。
なんだよな。いつまでここに奉じられんのか…。
[ティルの言葉に溜息、ひとつ。]
おーお、皆食欲旺盛だぁな。
[露天に駆け込んでいく風と焔をへらへら笑って見送った。
こちらは食べ物に、全く興味示さない様子。]
―竜皇殿:東殿―
[彼らと別れ、東殿に戻る。
何か匂いの名残があり、それからすっと離れた。]
[悩みながら、部屋へ向かう。
途中水の音が聞こえた。
のぞくつもりなど、ない。]
見えぬのは見ないからだよ。
この目には貴女の姿が映り、淡い闇にも似た影と螢火の如き光が見えた。
[眼鏡を外せば青年の瞳は真実の色を取り戻し心の奥まで覗けるけれど、今それは必要ではない。再び瞼を上げて影輝の竜の姿をレンズ越しの瞳に映す]
貴女は影と言うけれど、影が全て貴女ではないでしょう?
知りたいと思い私に問うたのはエレオノーレ殿、貴女だよ。
[青年の口元に笑みが戻り、彼女の心に『声』を滑り込ませる]
『貴女は何を思い、そして……何を願うのかな』
[優しい問いはエレオノーレの心を揺らすだろうか]
例えば――― 一時的とは言え、海や、風などが荒れることを願っていた。
例えば―――竜王様の誰かに束縛されている者が、逃げようとしていた。
例えば―――他の干渉を受けないように追い込み、随行者を狙っていた。
例えば―――竜王様の動きが取れないうちに、なんらかの道具を奪おうとしていた。
いえ、疲れてはおりません。
ただ、私はまだ己の中に眠る知識を引き出すにも時間が掛かりますがゆえに。お話の最中にするようなことでは無かったのですが。
[顔を赤くしたまま目を伏せる]
確かに初めてのことではありますが。
私も天聖が属、律を担うものであればこそ、そう容易に揺らされは致しません。…そのために、養父に預けられ、我君よりの刻印を受けているのですから。
[それでもそう続けたときには、視線を上げて恩人の顔を確りと見ることが出来た]
ん、そっか、戻れるようにはなるんだ。
[エルザの言葉に、ほっとしたよに息を吐く]
こんな状況じゃ、ねーさん一人にしたくねぇからなぁ……。
オレがしっかり支えてやんねーと。
[呟くのは、ささやかな決意]
んー、結界の束縛で『自由』が奪われてるから、それもあるかもだけど。
それとはなんか……違う感じがするんだよね。
[ザムエルにはこくん、と頷いて、言葉に出来ない感覚を伝えようと試みる]
何もしらないのなら、わたしはわたしでした。
[それ以上、踏み込みはしない。
逆に、踏み込まれないようにと。
それだけを呟いて。]
[探っている様子が、伝わる。
声をかけることはなかった。]
色々、大変なんだなぁ。
[クレメンスの言葉に、妙にしみじみと返して]
だって、食べなきゃいざって時に動けねーし。
オレはまだまだ成長期だから、直接の熱量摂取は重要なんだよっ!
[袋いっぱいコロッケ買い込んで、きっぱり言い切った。
肩のピアは、やや、呆れ顔ではあったけど]
お、本当か?ならよかった。
許可が貰えれば、俺は一旦生命の海の様子見に帰るわ。
と、一応不在時の行き先確認をしとくぜ。
[エルザの言葉に浮かべた笑みは、軽薄なものではなく、安堵。
さり気無く取られた距離には気づいたが、特に気にならない。]
あぁ、そういえば…
確かに、君の刻印は特別製だったっけ。
[揚げたてコロッケの包みを手にして、エルザの言葉に頷く。]
それがきちんと働いてるなら、君は大丈夫か。
[ふむ…と暫く考えながら、宮殿へと足を向ける。]
[今、この中はたいして人がいるようではなかった。
台所を借りる旨を伝え、紅茶を入れる。
ふわりと香りが立ち上った。]
[ミルクを取り出し、注ぎ、蜂蜜を混ぜ。
作られたミルクティーは、自分の分だけだったけれど。]
―→広間―
……考えうる限りの可能性はこの程度かしらねぃ。
はてさて。
どれが当てはまるのやら。
[ざぷりと、頭の上まで湯水の中へと潜り込み、そして、顔を出す]
―――あー……。
でも、気持ち良すぎてどうでも良いような気がしてきますわぁ……。
[とろんとした目つきで、ナターリエが思う存分たゆたった]
影と、光。
かの地のようですね。
[ 呟きが零れる。
心竜の語る、ノーラの姿。
それは影輝が竜郷――螢火の丘の光景を思わす。
眼を閉じて目蓋の奥に浮かべるは懐かしきその地であろう。]
影として在り、影として潰えん事を。
[ 笑みを絶やさず、影たる者は答えた。
揺れしことも、真意ならぬことも、は明らかにも関わらず。]
……このような時に、私事を申して、すみません。
―西殿・結界周辺―
[既に薄曇に覆われてか、中を窺い知る事は適わぬ。
此処に来た時には、まさか無茶をしまいかと私の心中を脅かしもした
(万が一仔に大事が在ったと王の知る所になれば、私が只事では済まぬ)が、
その様な心配は杞憂に終わった。仔はただその封じられた境の周囲を幾度も辿るのみ。
肩から頭の上へと巻きついた勢のまま、幼子の辿る跡へと視線をやれば
…嗚呼案の定、小さな足跡を残すように芝が一寸伸びては枯れゆく。
何周もしておるものだから、それが既には所彼処と残っていた。
幾度と無く云えど、幼子はだいじょうぶと一点張りで私の声を聞こうとせぬ――…何が大事無いのか私に今一度ご鞭撻願いたい。]
[暫し離れた場所へと人影が視界に入り、ゆるりと頭をもたぐ。
昨夜お見かけした姿なれば、あれは氷竜殿か――時折弾かれるような音が微かに混じる。場を解く探査中であるだろうと容易に知れた。
邪魔をするのは拙かろうと、この場を離れるよう仔竜に促すも
…仔は何に夢中なのか、私の声に気付く様子も無い。]
ご不便をお掛け致しまして。
各領域もこのままでは安定を失うばかりとなりましょうから、そちらの対策も必要となるでしょう。
ただその場合も不測の事態に備えるため、可能であれば竜都との連絡手段は確保していただけると有難く存じますが。
[堅苦しく話すものの、焔竜と二人、山盛りコロッケを買い求めたりしているのを見れば、どこか張り詰めたものも溶かされてゆく]
司りしものの妨害ではなく、それとはまた違ったもの、か。
[返されるティルの言葉にしばし考え込む。『ざわつくような気持ち悪さ』と表現されたそれを噛み砕くには未だ至らないか]
ううむ、結界から感じるのか、それとも別の場所から感じるのか。
結界から感じているとするならば、干渉せし力に反応しているのやも知れんのぅ。
[思い当たることを口に出しつつ。ややあってその足は竜皇殿へと辿り着くことだろうか]
─竜都・商店街→竜皇殿敷地内─
[また結界へと干渉を行い、その反応を手帳に記す。
何回か繰り返した後、思い切って両手で干渉し――
――ばちん、と弾かれる。
裂傷こそ負っていないものの、両の手の平は赤くなり、ひりひりしている事だろう]
姐さんいる限りは安定してんだけどな。
[ふと、自身の王と影竜王がくっつかないのは、この辺の問題もあるのかねとはちらり、ひとつ。
まぁ今はどうでもいいことだからポイなげ。]
うはははは。こーどーもー。
[ティルにワザと揶揄するように言いながら。]
俺には分からん感覚だぁな。
産まれてこの方、物食った事ねぇし。
[さらりと言いつつ、足は竜皇殿へと向けて歩きだす。]
揺らすもの。
結界。
[幾つか知ったことを、続けて口に出してゆく。
甘い、紅茶の香りが広間の端に流れる。]
何か、知っているのでしょうか。
[影の様子を思い出し、目を伏せた。]
……この式でも駄目ね。
[唸るように、口元に手を当てて。
ややあって、手帳に今の術式を書き込んで、薄く息を零した]
焦り過ぎやら、根詰め過ぎやら……と?
[集中力が途絶えたところで、漸く回りに気を回せるようになった様で。
少し離れたところに、小さな人影が見えたのに気付いた]
あの子は……翠樹の?
随行の仕事はまだ終わってねーし、連絡とか、そこんとこはだいじょーぶ。
[揚げたてのコロッケかじりつつ、エルザに軽く返し]
んー、風が落ち着いてないんだよなぁ。
もしかしたら、例の、干渉されたヤツ、とかに反応してんかもしれねぇけど……。
[ザムエルの言葉に返すのは、曖昧な予測]
有難う御座います。
そうしていただけると助かります。
[クレメンスに軽く頭を下げ]
幼き仔。確かにその可能性は…。
[以前の自分のことを考える。あれほど酷いことはそう無いと知ってはいても、一抹の不安が過ぎった]
そーなんだ。
ウチの兄貴とか、行方不明になってもいつもの事で流されるからなぁ……。
[それは気質を承知されているからです]
……るっせぇなあ……しっかたねぇだろ、そーゆーモンなんだからっ!
[揶揄の口調にはむくれて返し。
続いた言葉に、きょとん]
……ナニソレ?
んじゃ、どやって生きてんの?
[呟きはなく、そのまま台所に戻り、それを下げる。
俯いた口唇が幾つか音を作り出したけれど、それは洗う音に掻き消えた。]
ふうん。
[おそらくは、知らなかった事を一つ知ってしまった為か。
言葉にはそれだけ返す。
感情はそこにはない。
いや、あるが、隠した。
それ以上は、今は語らず。
探った内容、その結果も。今は、黙す。]
[螢火の丘のようと言うエレオノーレの言葉には頷いたけれど、続いた言葉に青年の眼差しにどこか哀しそうな色が過ぎった。謝意に力なく首を振り、小さく溜息を零す]
いえ、お気になさらずに。
けれど私は…貴女が自由であればよいのにと、そう思います。
[哀れみではなく、ただ哀しそうな色で変わらぬ笑みを見る。
そうして眼差しを伏せた会釈を向け、踵を返した]
[それから台所で湯を沸かし、紅茶を作る。
温かいようにしておいて。]
―東殿:台所→廊下―
さっき音を聞いたのはこのへんでしたっけ。
[水温が聞こえるかと、耳を澄ませた。]
[一等大きな弾く音。仔はようやく気付いたか驚愕にか小さく眼を瞬いた。
きょろりと音の出所を探るように周囲を見渡して、内に一点へと視点が定まる。
嗚呼、この時漸くにして氷竜殿の存在に気付いたようであった。
さて氷竜殿はといえば、仔へと笑み掛ける様子を見るに
此方に気付いたのは一目瞭然であった。やはり作業の妨害をしたに違いなかろう――申し訳ない事をした。後に確りと言い含めておかねばならぬ。]
…。
[一度、慣れぬ者への躊躇いにか左へと首を傾いだが、
昨夜影と話す姿を思い出してか無言のままはたと駆け寄った。
点々と仔竜の踏みしめた跡には、芝が一寸に伸び枯れる。]
…? いたそう?
だいじょうぶ?
[赤い掌へと眼を留めたか、短な問い。]
むしろお前んとこの兄さん王がずっと城にいたら大問題な気もするんだが。
[さくっと言いつつ、むくれるティルにはおおいに笑う。]
うははは。むなやけすんなよ。
さてどうやってだろうな?
『気がついたら生きている』…終始そんな感じだわ。
[己の意図とは関係なしに癒える体。
死ぬことのない体は、飢えすら勝手に満たしてゆく。
ともすれば不死に近いこの体を、クレメンスは少し持て余していたのだが。
そんな思いはおくびにも出さずに、片目をつぶって、軽く返すのだが。]
―― 竜皇殿・西殿近く ――
[ちょっと煤けた顔のまま、とっとこと、と駆けてくる]
うーわー、強化されちゃってるよ。
[それが内側から、あれやこれやの事情で為された事とはまだ知らず、あんぐりと口を開けて眺める]
ありがとうございます、……アーベル殿。
[ 黒の瞳は感情の色を映して、応じるように笑みも少しばかり形を変えたようだ。口真似の、此度は感謝を告げ、座った侭なれど会釈を返してその後ろ姿を見送る。
彼が去って間もなく、複数の力ある気配が竜皇殿の敷地内に至るのを感じ取り、漸く腰を上げた。]
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