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いやいや。
その分だと、大丈夫そうかな。
[予想通りというべきか、返したのは答えではなく、勝手な納得。
途中で切られた言葉には、考え込む素振りすらなく]
いるんじゃないかねえ。
[断言ではないものの、それに近い調子で言い切った。
此方に寄るという彼女を少しばかり待たせ、店に入ろうとして、途中で足を止め振り返る]
――あ、そうそう。
不用意に男に顔近づけたりしないほうがいい。
何されても、知らないよ。
[そんな忠告を告げてから、雑貨をニ、三点買い求め、帰途に着く。
その先に待っている出来事に対して見せるのは、好奇の色か、*それとも*]
…えぇ、なにかの間違いよ…ね。
人狼、だなんて。
[店内を見回す。
容疑者として上げられているのは、常連さんやご近所さんばかり。]
…信じられない。この中に居るだなんて。
[口元へと無意識に行く指は、いつの間にか震えていた。]
[はっきりと返って来る言葉。
それも聞き覚えのある声。
視線がそちらに向きそうになるのを抑え、更に言葉を伝える]
…まさか、アンタが同胞だったとは。
近くに居るのに気付かなかったよ。
俺も鼻が鈍ったかな?
[若干の驚きを含む声。
最後の言葉には自嘲も含まれていたか]
[告げられた名前を反芻する。
ミリィの名もあった。他にも、ここにいる人、いない人、みんな知った人の名前ばかりで。]
…誰かが、人狼、っ。
[ユリアンの肩に手を乗せられると、びくりと不安げに見上げる。
そういえば、先ほど告げられた名前の中に、彼のものも入っていた。]
ユリアンも、なんて。
[まるで違うと言わんばかりに首を緩く振るが、ギュンターの態度が変わるはずもなかった。]
原因排除などと。
つまりは最初から手を汚すつもりでいらっしゃる?
[少しずつ、最初の動揺が収まってくる。
静かに、だがハッキリと頷く自衛団長に、こめかみを押さえる]
どうして誰も疑わないんですか。
そんな、噂に踊らされるような真似を。
「村を守るのは私の役目だ」
…禍は芽の内に、ですか。
上の方々の考えることはいつも、単純明快ですね。
[それはギュンターに向けたようで、微妙に違う。
苦虫を噛み潰したような顔になる]
……冗談にしといてくれよ、人狼なんて……。
[はあ、と。
零れ落ちるのは小さなため息]
そんなもの……御伽噺の中だけで、たくさんだ……。
[掠れた呟きと共に、崩れるように椅子に腰掛ける。
緑の瞳の憂いの陰り、それに気づく者は*果たしてあるか*]
[思ったとおり、答えらしき答えを返そうとしないアーベルの様子には気を留めることもなく。
むしろ、いるんじゃないか、という次の言葉の方に気が行った。]
アーベルが言うなら、そうなんでしょうね。
[さっきまで一緒に居たし、アーベルだし、と、理由は心中で呟くに留めて、彼が雑貨店で用を済ますのを待つことにする。と。]
……ご忠告ありがとう。
[唐突に投げかけられた台詞に、呆気にとられながらそれだけ返した。けれど。]
……私、そんなに世間知らずに見えるのかな?
[残され、苦笑して独りごちる。
世間知らず、というより、生娘? うーん、と考え込んでいる間にアーベルが戻ってきて。
思考は宙に散って、酒場へと向かった。
そこで繰り広げられていたのは、馴染みの顔と、馴染まないざわつき。]
一つお伺いしましょう。
貴方があの時の「彼」ですか。
[脳裏に届く聲が誰のものであるのか、漸く理解する。
口調は表の彼のそれに戻り。
驚きと戸惑いと。そして怒りのような何かを宿して問う]
少なくとも私は。
それまで自分は普通の人間だと信じていたのですけれどね。
[アーベルがカウンターへと引っ込んでいくのを見送りながら、動揺している面々の中に、エーリッヒが居るのを見てとり、そちらに行こうとする。
しかしその前に、動揺の「種」が耳に入り。]
……人狼?
[その単語を聞いた瞬間、目が、すい、と細まった。]
居るんですか。ここに。
[呟いた声は、とても冷たい。]
[震える手を押さえて必死でメモを取り続ける。その手が震えているのは自分が容疑者になっている事でも、人狼に対する恐怖でもなく]
こりゃ…ひょっとしたら、すげえネタなんじゃねえのか。この話を記事にできたら…。
[そこに居るのは詩人では無く、かつての新聞記者としての姿*]
…おっさん、原因の排除っつーけど。
容疑者に挙げられた連中の中に何人その人狼ってのが居るのか。
その判断がつかなかった場合はどうすんのか。
その辺はどうなってんだよ。
[見つけた場合はまず間違いなくその人物を手にかけることになるのだろう、と予測はし。
しかしそれ以外の場合はどうするのかとギュンターに問う。
おそらく返って来るのは、ギュンターにとっても本意ではない方法だろうか。
しかし彼の信念からそれは実行されることになるのだろう]
[不安げに見上げてくるイレーネに、流石に無表情は崩れ、眉根が寄せられる。
否定するように緩く首を振る様子に、イレーネの肩に手を回し、抱き寄せるように手に力を込めた]
[さり気なく、気づかれないようにポケットに手を入れ、中に入っていた小袋から左手で器用に中身をとりだした。
左手に、気づかれないように握られたのは黒を基調としたオパール。
それを握った瞬間、頭の中に自分のもので無い、誰かの声がするりと入り込んできた。]
え…。な、に。誰…?
[思わず漏れた声は表には出ず、赤い世界に零れ落ちた。]
[すぐにはっと、声の意味と、その持ち主が何であるかを悟り。]
あ、っ。すみません。
人狼様、ですよね…?
私は、人狼様の手助けをする僕です。
どうぞ、お好きに使ってください。
[そう震える声を抑えながら告げた。
まだ、主が一体誰であるか、までは気づいていない。]
[その場に立っているだけで、周りの人間の囁き、呟きから詳しい話は自然と知れる。]
ああ、私も容疑者なんですね。
まあそれは……当然でしょうけど。
[反芻するのは、1年と少し前までの自分。]
でも、エーリッヒ様も、アーベルも、ノーラも……みんな?
[自分以外の10人が容疑の中にいる理由が判らない。
しかもそれは自分と親しい人たちばかり。
少しだけ、悲しそうな表情が浮かぶ。]
でも、この中にいるんですね……。
[ギュンターに確認するように問う。
返ってくる言葉は勿論イエス。]
あの時?
[示唆される事象に疑問符が浮かぶ。
しばらく考えるが直ぐには心当たりが浮かばず]
……いつのことを、何のことを言ってるのかが分からないな。
[実際張本人ではあるのだが、記憶に留めていない様子]
凶兆は予言されし。
変容は予言されずも!
想起せしがすなわち祈りとならん!
――腐れ行く死屍!
[荷物を抱いた腕を胸元に、空いた掌を天に掲げるようにして叫ぶ。深刻げな表情で、興奮したように。傍から見ればその内容は支離滅裂な物だったろうが]
果たせるかな!
賽は投げられた、賽は――重き物なるか否か!
[不意に増えた震える声。
この声だけは聞き違えることは無い]
っ──……イレー、ネ……?
[伝う声に驚愕と動揺が乗る。
人狼を手助けする僕。
噂には聞いていたが、それが彼女なのか、と思考が巡る。
信じられぬ、と言う雰囲気も零れ落ちたことだろう]
[一人、また一人。
名前を挙げられなかった村人達が出てゆく。
何か恐ろしいものを見るかのように。あるいは忌々しそうに]
……これも狙いの一つですか。
名前の挙げられた者とそうでない者をできるだけ引き離そうと。
[そう尋ねても自衛団長の意思は揺らがない。
覆らないその意志に、最後には諦めがやってくる]
[ユリアンやオトフリートがギュンターに反論するのを横目で眺める。]
何かしら、人狼が居る証拠が手に入ったのでしょう。
噂だけじゃさすがにここまで動かないと思います。
……ああ、何匹人狼がいるのかというのは重要ですね。
それが判らないと、誰を信用していいのかも判らない。
11人中10人が人狼、なんてことになってたら、信用も何もないですしね。
けど、よくわかりません。
闇雲にこの11人を殺すおつもりなんでしょうか。
[さらりと物騒な言葉を口にする。]
それとも、この中の人狼を見つける手立てがある、とか?
おやめなさい!
[常に無い強い口調でブリジットの声を遮る。
だがすぐに首を振って]
今は軽く聞き逃すとかできそうにないんですよ。
[口元に手を当てて。まだ届いていなかった食事の代金を、ティルの分と二人分その場に置いた]
…すみません、ティル。
君は大丈夫そうなら食事をしてから戻ると良いでしょう。
私は、気分がすぐれないので失礼します。
[立ち上がり、診療所に戻ろうと扉に手を掛けた]
[ユリアンに肩を抱かれながらも、周囲の様々な会話をなるべく耳に入れる。
ユーディットの声、オトフリートの諦めたような声。ハインリヒのどこか陶酔したような声。ブリジットの高らかな声は何時も以上に不安を煽り立てる。
ああそういえばミリィが居ない。彼女が聞いたら何て言うだろうかと、そんな事も思いながら。]
排除…。
[それはつまり。]
[こちらを睨むようにしながら去り行く村人達。
疑いをかけられた身であれば、仕方ないことではあるのだが]
………。
[半ば睨み返すような表情になりながら、その様子を眺めた。
オトフリートの言う狙いが正しいとすれば、己は工房へは戻れないかもしれない。
容疑者の中に師匠である技師の名は無かった]
……俺の夢さえも、奪うつもりか……!
[工房へ戻れないと言うことは、修行も出来なくなると言う事。
何より己が疑いが晴れず、手にかけられると言う事になれば──。
そう思考が巡ってしまい、空いている手で、ぎり、と拳を握った]
[ブリジットの叫びには僅かに首を傾げる。]
あの人は、こんな時でも、いつも通りですね。
それは……人間らしい、ってことなんでしょうか。
[呟きながら、考える様子。]
え、っ。
ユリ、アン…?
[名を、呼ばれたそれは知った声で。
今肩を抱いてくれているその人のもので。]
ユリアンが、人狼様…?
[二人で居たときには微塵も感じられなかったその事実に、思いもよらなかったという様子できょとんと尋ね返した。]
まだ半年前のことです。
違うのでしたら構いません。
[胸にそっと手を当てた。そこにまだ残っている深い傷痕]
それに選んだのは私自身。
繰言をするのもやめましょう。
[それでも収まらない何か。
相手と同じ空間に居るのが耐えられず、思わず席を立つ]
…僕、とは?
それにイレーネ…?
[そして聞こえてきたもう一つのコエに眉を寄せた]
――凶兆!
[繰り返すよう一際大きく叫んだ直後、聞こえるオトフリートの制止の声にそちらを見]
星が……調和。
訪れし……嗚呼、世は祈りで満ちている。
そうだろう? ああ、そうだ。
[ぶつぶつと呟きながら出入り口に向かう姿を眺め]
/*
そちらの設定は綺麗に入りますね。
何だかややこしくさせてしまってすみません(苦笑
ああ、ちなみにCNはどうします?
[ユーディットの言葉に、顔をあげる。
見分ける事の出来る方法、そこに反応して。
だが今はそのまま静かに顔を伏せた。
顔色は、酷く悪い。]
[どちらかと言えば知られたくなかった。
この村で暮らし続けていくためにひたすら隠していたかった。
今回のことが無ければ、知られることも無かっただろうに。
このように正体を知られようとは、思いも寄らなかった]
……バレちゃったな。
ずっと隠すつもりだったのに。
[イレーネに返したのは苦笑を含んだ言葉。
反面、隠さなくても良くなったことに僅かに安堵の色も乗るだろうか]
[名前を呼ばれた人々を尻目に去っていく村人たちに、その村人たちが向ける視線に、気に留めることはない。注意が向くのは常に、名前を呼ばれた者たちの様子。]
大事なのは人狼を見つけることです。
それ以外には、構っていられない。
[それは己に言い聞かせるように。
そしてまた、店の中で怯え震える面々にも投げかけられた。]
怖がっていても、何も始まりませんよ。
竦み棒立ちになっていたら、ただ人狼に喰われるだけです。
できることをやらないと。
[ユーディットにしては珍しい大きな声でそう言った。]
あ…えっと、お医者先生…?
[もう一人、名を呼ぶ声にもきょとりと。
容疑者の中に、本当にいたんだと少しだけ感心した。]
僕は、僕です。
人狼様が生き残る為に、盾になり人を欺き、…時には殺めよと。
[最後のそれは掠れるようなものだったが。]
それが父の、私だけに向けられた遺言でした。
人狼様の声を聞く方法を残してくれて。
だから、二人の為に何でも、やります。
[そう言いながら、鮮やかに黒く輝く宝石をぎゅっと握り締めた。]
診療所に居ますよ。
何かあるのでしたらまた呼んで下さい。
[入り口で振り返り、ギュンターに告げて。
ブリジットの視線には首を振る]
祈りで全てが解決するのなら。
幾らでも祈りますけれどね、私も。
[そして扉を開けて外へと出る。
既に空には星が輝き始めていた。
それを振り仰いで、大きな溜息を*ついた*]
半年前……。
[オトフリートの返答に再び考え込む。
ふと、一つ思い出し]
……ああ、そう言えば。
もしかして、俺を追い掛け回してたのは、アンタだったのか?
あの時死んだものとばかり思ってたけど。
そうか、生きてたんだ。
腹が満たされていたから喰らわずにおいたんだけど、まさか同胞となるとは。
[紡ぐ言葉は軽い。
人が同胞へと成ったことには意外そうな雰囲気が乗った]
…出来ること。
俺らの中から、人狼を探す、か?
[ユーディットの言葉に短く返し。
顔色悪く俯くイレーネに気付くと]
……イレーネ、今日は休んだ方が……。
[様子を窺うように声をかける]
盾となり、欺き…殺める。
[さらりと告げられるイレーネの言葉。
思い出すのは古文の一節。人でありながら人ならぬ者を助ける者]
そう、ですか。
このままではそれこそ、伝承の通りに揃いそうですね。
[何でも、という言葉には睫を伏せる。
ザワリとしたものを表に出さないように]
ええ、そういうことになります。
[ユリアンに、小さく頷く。]
けれど、今は……そうですね。
しっかりと鍵をかけて安全なところで寝るのが、とりあえず、「今できる一番のこと」でしょうか。
[帰ろうとする面々の背中を見遣り――椅子に座り込んだ主人の姿を見ながら――付け加えた。]
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