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(銃を撃ってしまったからな、既にこちらは気付かれているだろう。
……捨て身覚悟は性に合わないんだがな)
[かと言ってエリカがどうなって居るかも分からないため、あまり考えている猶予は無い。
自分の銃はホルスターに戻し、拾った銃を構えて台所の入口へと近付き。
一呼吸置いてから台所の中へと乗り込んだ。
動くな、なんてお決まりのセリフを言うことも無く、見知らぬ姿を見れば牽制の一発を放つ]
―住宅街―
ちがうって……ちがうって、いってるだろ!
人のはなしもきかないで!
[声を荒げる。
知る者が見たなら、常と異なる様子に驚いただろう]
そっちが、『サイキッカー』なんじゃないか!?
[口にすれば、それが本当のような気持ちになった]
だったら……
[慣れぬ反動に手間取る相手の手から銃が離れる。
そこへ向かって躊躇なく引き金を引いた。
赤い色をした熱線が宙を走る。
何かの焦げるような音がして、鼻につく臭いと、少し遅れて倒れる音]
―住宅街―
[ぼやいても視線は遺体へと向けられない]
俺はグレッグ。
お察しの通り、ノブ先輩の後輩。
[改めて、何度も見かけたことはある女性に名乗ってみた。
大きく息を吸って、吐く]
―― 住宅街 ――
あ、……うん。
ノブから、聴いてる。
[改めた自己紹介を受け、相槌。]
私は、アヤメ。
きちんとお話するのは、初めて、かな。
……宜しくね。
[大きく呼吸するさまに、
僅か、心配そうな眸を向けた。]
―集会場前―
[こちらをいたぶって楽しんでるのだろう、男は笑ったままにすぐに止めをさすつもりはないらしいが、逃がしてくれそうにもなかった。
腰のホルスターからリボルバーを抜き構える]
「先輩っ!今助けるっすっ!!!」
[その声は聞き覚えのある声で、集会場の横の路地から飛び出す姿がひとつ。
最新モデルのアサルトライフルを手に掃射をしながら男に突っ込んでいく]
ドイっ!無茶をするんじゃないっ!
[さすがに何発も打ち込まれる弾は防げないのだろうか。
いくつかの弾は途中不可視の壁に阻まれて地面に落ちたが、残りの弾が男の体にいくつもの風穴をあけていく。
男の顔からはにやにやした笑いは消えて、後輩の方をにらみ手を振り下ろす動作をする。
それを最後に男の体は、自らの血溜りの中にそのまま崩れ落ちて。
大き目のガレキが後輩にぶつかり、その体は通りの向こう側へと転がっていった]
ドイっ!
―アコルデ家・台所―
[離れて行く感覚に、自分以外の誰かが狙われているのはすぐ分った。
様子を見に来た主だろうか。それとも。
(ジョエルさん戻ってきたのかしら。)
どちらにせよ、相手はサイキッカーだ。きっと分が悪い。
何とかしないとと、動かない身体を無理やり動かそうと試みるが、四肢はガタガタと壊れた機械のように震えるばかりだった。]
[牽制が運良く当たる事はなく、打たれた方は倒れたメイドの傍から離れ、すぐさま2発発砲する。
それが避けられるのは想定しているのか、3発目の代わりに閃光を放った。]
―住宅街―
カルロスくんが…!?そんな………、あ…まさ、か…
[レッグから、其処に倒れている彼がサイキッカーだった、と告げられれば驚きに目を見開いて。
次いで、彼が友人を撃ってしまったという事実に気付き、悲痛に目を閉じて肩を抱く力を込めた]
…―良いの、それ以上言わなくても。
早く逃げましょう、此処から。
何処か、何処か安全な…
[言葉の先が出てこなくて言いよどむ。
シャッターで囲まれた此処の中に安全な場所など何処にあるというのか。
答えが出てこなくて途方に暮れ、*空を仰いだ*]
―住宅街―
だね。俺も名前は知ってた。
あの放送の前にもクレープ持って歩いてたよね。
[実は見ていたなんてことを告白しつつ]
あー。呆けてる場合じゃないよな。
早く家に戻って…。
[その家だって安全なのだろうか。語尾が萎む]
…ふらふらしてるよりはマシ、だよね。
遭わなくていいものに会わないで済む。
……
[掌へ視線を遣った。
小刻みに続く、震え。
顔を顰めて、呼吸を繰り返す。]
(だいじょうぶ、だいじょうぶ、だいじょうぶ)
[眸を閉じて、こくりと喉を鳴らした。]
―集会場前―
[そちらの方に駆け寄っていくと、まだ微かに息はあり、
それでも地面に転がるようにして倒れたその体はいまだ生きてることの方が不思議な状態ではあった]
「せん…ぱい…ぶじ……で……」
[口から血をこぼしながら微かに漏らす声に首を振り]
しゃべるな、ドイ。ありがとうな助かった、早く手当てをするぞ。
[無駄だと理性は告げても、見捨てることは自分の感情が許さなかった]
「いいっす、せんぱい………、たすからないのは……、…でも……これで、にかいきゅう…とくしんっすね……」
[最後に軽口を残して、数回の呼吸と吐血の後動かなくなったその体を前足でかかえるようにして]
ああ、ドイ……お前の死は無駄にしないよ……。
[奥歯をぎりっと噛み締めて、その肩からアサルトライフルをとると自分の肩にかけた。小型化されたそれは、肩にかけたままでも四足歩行できた。
一度、集会場前の端末を操作すると弾の補充を行った]
―住宅街―
……、はー……
[肩で息をしながら、銃口を下ろす。
立ち上がって膝をはたく。
先程の衝撃の所為で、眼鏡の右のレンズには罅が入っていた]
……これが『ギム』なんだよね。
[確かめるような口調からは、罪悪感等といった感情は伺えない。
地面に転がる元人間は2つに増えていた。
その何れにもその目は向かず、近くの建物へと向いていて]
あ。
ここって、エリカさんの……
[目の前の事態にばかり気を取られていて、他の喧騒にまでは意識が回っておらず。
奏者の家の近くまで来ていたことに、今漸く*気がついた*]
(あら――)
[先に気づくのは、こちら側に居続けた『私』]
(共鳴、共振?)
[何処からか聞こえてくる、声とはちがう音に、楽しげに。]
(―生まれようとしている貴方は誰?)
[囁き返す]
―集会場前―
[その場を去る前に、後輩の亡骸のに向けて敬礼をして]
今は、事態の収束を…。
これ以上無駄な犠牲を増やさないためにも…。
[混乱の渦中にある区画内のどこかへと*かけだした*]
……安全。
何処、かな。
[ナターシャの言葉を続けるように呟いた。
応えはシャッターの向こうに飲まれてしまった気がした。]
あ、見られてた?
[クレープの姿を見られてた事には
あえて、ふざけた調子で言って笑うも
少し引き攣ってしまったかもしれず]
だいじょうぶ。
……私の家に、行こう?
[二人を誘う、声。]
―住宅街―
ん…ありがと。
[それでも動きだしきれずにいたら、司書の肩を抱く力が増した。
人のぬくもりに一度ギュッと目を閉じる]
どっちにしても移動しないと。
先輩、置いてきちゃったし。
家の方で落ち着けそうならラッシュに連絡取れないか試してみる。きっと忙しくしてるだろうけど。
[大丈夫、と司書に囁き。肩を抱く手から開放してもらう]
アヤメさんの家、お隣なんだっけか。
うん。行こう。
[少し引き攣ったように笑って言う作家に、同じくどこかぎこちない笑みを返し。
誘う声に*頷いた*]
─アコルデ家・台所─
[相手が離れる足元に同僚の姿を確認する。
震えたようにしか動かぬのを見て、何かをされたことを察知した。
しかしそれを分析する暇も無く、二発の銃弾がこちらへと向かって来る。
室内であるために大きく動くことは出来ず、掠めるようにしながら致命を避けた。
左の頬と左肩にその痕が残る。
反撃に銃を向けた時、追撃の閃光が正面から襲いかかって来た]
なにっ……くっ!
[バチリと弾けたそれは主に構えていた銃へと集まり、そこから伝うようにして身体へと放たれる]
……サイ、キッカー……!
[今までは運良く人間相手だったが、ここへ来て面倒な相手に遭遇してしまった。
衝撃の走った腕は痺れ、構えていた銃を取り落とす]
……なるほど、それでエリカが動けないのか。
[追いこまれた状態では口調を保つことも忘れ、相手に対し舌打ちをする。
痺れた腕で落とした銃を拾おうとするが、それを阻害するように銃の近くに一発撃たれた。
手を引っ込め、痺れを取るように右手をぶらぶらと動かす]
やれやれ、こんなところで死ぬ気は無いんだがな。
本当に、面倒なことになった。
[時間を稼ぐように言葉を紡ぐ。
手の痺れが緩和し、相手の隙を突くことが出来れば、自分の銃で仕留める自信はある。
相手の動向を窺うように翠を細めた]
―― 住宅街 ――
うん、だから。
ノブにも、来るように謂われてたし、ね。
集まれるなら其処で集まった方が。
[緩く、こめかみを押しながら]
……安全、でしょ?
[どれほどかは、定かでは無かったけれど。
縋るよに、言葉に代えた「安堵」。]
歩け、る?
[グレッグを見遣りながら、首を傾いだ。]
?
[共鳴に乗る、言の葉。
其れは今までの頭蓋から響く音とは確かに違う、音。]
(何、これ……)
[動揺を周りに伝える事なんて出来やしない。
伴う痛みを和らげようと、こめかみを押しながら]
(………貴方こそ、誰?)
[何故、そんな問い掛けを浮かべたのか、解らない。
されど、其れはまるで必然のように。]
─アコルデ家・台所─
[姿を見る事は出来ないが、主ではないような気がした。主に動き的に。
だがそれに安堵する事はなく。何とかしないと―そればかり考えていた。
見えないところで何が起こったのかは知れないが、ジョエルが相手に気づいたような節は見えた。
負傷したのだろうか。ならなおの事。
閃光を当てた侵入者の方は、相手が銃を落としたのを見ると安心したのか、外さないようにジョエルの方へと近づいてゆく。
その通り道に震えながら、指はカリと懸命に床を掻き指を伸ばし、ズボンの裾をほんの僅か―――ひっかけた。
転ぶほどではないが、ほんの僅か動きが止まる。]
[――ほんとうは、ほんの少し距離は足りなかった。]
(だめ、お願いだから―動いて!)
[そう願うとほんの少しだけ、裾の方が指へと”動いた。”]
[『いいこの私』は他の事に夢中で、まだこちらに気づこうとしない。
だから代わりに、『私』が応える。]
(私?私は……アリシア。)
[少し思案したのは、元の名前と今の名前と、どちらを名乗るか考えあぐねた為。
結局、前と同じように古い名を名乗った。]
(貴方も不運ね、それとも幸運かしら。
こんな時に目覚めるなんて。
…いえ、こんな時だからこそかしら。)
[『わたしたち』も、こんな状況でなければ一つになれなかった。未だ完全ではないが、それももうすぐの事。
新しく生まれた、PSIを持つ者に、だからほんの少し親近感があった。]
─アコルデ家・台所─
[相手を注視していた翠は僅かな動きを見逃さなかった。
即座に右手を上着へと滑り込ませ、銃を引き抜き。
相手の眉間目掛け抜き撃った。
距離が狭まっていたのもあって、狙いは違わず相手を撃ち抜く。
相手は悲鳴も上げぬまま、大きな音を立てて後ろへと倒れて行った]
……4発目。
補充確定だな。
[ふぅ、と息を吐きながら、死に面していたとは思えない様子で残弾数を確認する。
銃をホルスターに戻すと、落とした銃を拾い上げ、同僚の傍へと寄った]
エリカ、意識はありますか?
[傍らにしゃがみ込み、声をかける。
どこまでがサイボーグ化しているかは分からなかったため、軽く頬も叩いておいた]
……
[グレッグ、ナターシャ。
其々を心配そうに見遣りながら
時折、こめかみを押して]
ノブは、家が綺麗、って言ってたけど。
多分、料理なんかは全然だと思うの。
何か作るから、さ。
ちょっと、一息、つこう?
[あえてそんな、場の空気を読まないような事を、言う。
ぎこちない笑み、で。
此処までの緊張のせいか、
時折、眉が痙攣しているが、それも*押し殺すように*]
[眉が、頬が、指先が。
ひく、ひくり、と時折、痙攣する。
自覚すれば、それは共に恐怖心を孕んだ。]
ごめん、貴方が何を言ってるか――。
目覚める?
そもそも、アリシアって……
[解らないことだらけ、だった。
PSIに関しての知識は、ニュース程度ならあるが。
それが詳細かと云えば、矢張りノーであるから。]
私は、『 』。
………?
あ 。
『 』
[頭痛が、酷い。]
『 』。
[名が、響かない。
何か、違うものに遮られてしまう。]
『 』!!
[精一杯載せる、菖蒲の響き。
けれど矢張り伝わない。]
……どうして。
[続く頭痛に、眸を閉じた。]
─アコルデ家・台所─
[頬を叩かれると、ぎゅっと目が閉じ眉が寄る。痛みはあまり無かったが。]
起きて、ます。
………ジョエルさ…ごめんなさ…
[ほぼ完全に機械化された四肢の痺れはまだ残っていたが、生身に近い中心部分はいくらか回復しつつあった。
意識の確認の次に、口から零れるのは謝罪。]
……ごめんなさい。私、動けるまではもう少し、時間が…
先に、ぼっちゃまと公園に…炎が、あれもきっと、サイキッカーの…
[ぽつりぽつりと、避難先に適当だと思う箇所と、炎の事を伝えておいた。]
─アコルデ家・台所─
[反応があることには短く息を吐き]
炎は、私も目にしてきました。
他でも異変が起きているので公園が最適とは言えませんが……火に巻かれるよりは良いでしょう。
それと、炎が迫っているのが分かっているのに貴女を置いて行くわけにはいきません。
マイルズ様に叱られてしまいます。
[言い切ると同僚を抱え上げようと力を込める。
抱き上げることは出来ずとも、肩を貸す位なら支えることは出来るはずだ]
(あら、自分のお名前が分らないの?
どこに置き忘れてきたのかしら。
それとも、知ろうとしないから?
もう一度名乗ってあげるわ。
私はアリシア。
テレパスとサイコキネシスを使うサイキッカー。
―――さぁ、生まれたばかりのサイキッカー。
貴方は誰?)
[アヤメの認識も事情も、『私』には到底知らぬ事。
掠れ届かぬ菖蒲を、踏みつけるように突きつけた。]
(……
……莫迦な事、謂わないで。
私がサイキッカーな訳、無い。)
[現にこうして妙な音が届いても。
それを信じれる筈なんて無くて。
酷くなる一方の痛みに抵抗する、強い声。]
(伝わないのなら、きっと無いんでしょ。
……私は、貴方とは違う。)
[踏みつけられてもなお、凛然と咲く、花。]
─アコルデ家・台所─
[ジョエルの言葉に、何度か目を瞬かせる。]
ほか、も?
どうして…どうして………そんな、こと、に
[それは他の誰もが思っている事だろう。正しく答えられる者などいるのやら。
主に叱られると、抱き起こされれば少し身を強張らせながらも申し訳なさそうに。]
ごめんなさい…本当に。ごめんなさい…。
[口から零れるのは、また謝罪だった。]
[流石に金属の塊ともいえる身体を抱えてもらうわけにはいかないので、肩だけ借りてゆっくりと歩く。]
もし、またあの手の輩がきたら捨てて下さいね…
私のせいで、お二人を危険な目に会わせるなんて
旦那様に、申し訳が立ちませんから…
[そう道すがら頼みながら、ようやく主らの元へとたどり着いた頃には、周囲の火の手はどれくらい侵食していたか。
悲鳴も発砲音も、時折どこかから聞こえて、まだ止む様子は*見られない。*]
(あら素敵。抗うのね、貴方は。
でも貴方がサイキッカーだって事実だけは変わらない。
信じようと、そうでなくとも。)
[自分を菖蒲だと思い咲き誇る、花に向かってそう微笑んだ。]
(…名前は気が向いたら教えて頂戴、名無しさん。
そろそろこっちも、構ってあげられなくなるし。)
[ゆらと、『私』の意識はもう一人の自分へと向けられる。
『いい子の私』は、震えているようだった。]
(おはよう…『私』)
[その声に、『いいこの私』は身を*硬くした。*]
─アコルデ家・台所─
……分かりません。
ただ、サイキッカーが居たことは確かのようですし、彼らが暴れているのが一番の原因でしょう。
後は、サイキッカーを恐れた市民が無差別に暴れても居るようです。
[答えと言うよりは見て来た状況を口にし、同僚に肩を貸した。
ずしりとした重みが肩にかかり、掠り傷を僅かに刺激する。
それでも表情は変えぬようにして、ゆっくりと玄関へと歩き始めた]
[紡がれる謝罪とまた襲われた時の頼みには無言を貫き。
主の待つ玄関まで辿りつく。
その時既に主は彼の青年と顔を合わせて居ただろうか。
同僚の無事と公園へ向かう旨を伝えたなら、屋敷から離れることに*なるだろう*]
(……うる、さい。
サイキッカーじゃ、 )
[紡ぐ音は、甲高いオトに一度、遮られた。
ぅ、と高く、微かに声が漏れてしまう。]
(……構って貰う必要なんて、無い。
私は、『 』……
私は、 …っ)
[矢張り、幾度繰り返しても。
確かな華の名は、幻影の海へと飲まれていく。]
(御願い……)
[其れは本当に。
現状と、環境に因った重圧が紡がせた音。]
(誰か、私の、
……私の、名前を、呼んで……)
[アリシアに呼べる筈なんて、無いのに。
自分の存在が不確かになりそうで、
震えてしまう、身体。]
(――――ごめんなさい。)
[唇から零れる謝罪には、迷惑をかけてしまった事へ以外に、別な物に対するものも含まれていた。]
(――――ごめんなさい、ごめんなさい)
(私も――サイキッカだー……)
[主にも同僚にも、伝える事の出来ない、思い出してしまった事。
あのとき、無意識に裾を動かした時に、消されたはずの昔は、氷解するようにゆっくり戻ってきた。サイキッカーと退治した事も原因だったろうか。]
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