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……止めて止まるヤツじゃ……。
ああ。
リディが暴れたら、そっち止めてくれ。
そっちは殴れねーからな。
『確かにねー……』
[ため息まじりの言葉に、ネズミがぽつりと]
[苺一年分とは、どれだけなのだろうか。そもそも、一年保つのか。
というか、そんなものを貰って、一体誰が喜ぶのだろうか。
そんな、既に先人の通った道――もとい、思考をしながら]
……ベアトリーチェ……、に、ノーラか。
[かけられた声に、其方を向く]
[会釈をしようとして、聞こえた、単語に。]
銀色の、に? ……また、出たのか?
[なんだか目立たない屋台だった。
茶色くて、黒っぽくて。
よくみてみれば白い文字で、
ショコラ
と書いてあった。
それがチョコレートのプレートだと子供が気づくのは、
まだだいぶ先の話になるのだけれど。]
そうみたいです
[ミハエルの言葉にうなずいて、
子供は苺に視線を戻す。
あれ、あたるひとはいるんだろうか。]
銀色の光でした。
誰かいなくなったみたいです。
[リディの名を聞き、少し離れた屋台に立つ姿を見付ける。
女性相手に手は出せないのは当然かと息を吐いて]
…わかった。
適当なところで切り上げてくれ。
…
[歩いていけば、見覚えのある集団が目に入る。
…その中に、騎士の姿も…]
…ダメ、だったのかな…?
[頭の中で、妖精が凄く困っていたが、気にする様子もなく、その集団に近づいていく]
……ああ、情けねぇけどな。
[怒りに震える姿には、気づいていたけれど。
それを受け止める様子は、あくまで静かで]
……巻き込みたくて巻き込んでるんじゃない、なんて、言い訳はしねぇ。
誰かが悪いとか丸投げする気もねぇ。
悪いのは俺と俺のバカ親父だ。
[わかっているから、タチが悪いとも言う]
[適当な、という言葉に肩をすくめて]
ま、気が済むまで殴らせてもいーか、とは思ってるけどな。
手さえ潰されなきゃ、それで。
……恨みは全部、親父に返すから。
[口調は軽いものの、しかし、目はややすわり気味]
[尚、淡々としている少女。興味などないとでも言いたげに]
[…少し、怖くなって]
…え、ええ。
あの赤い髪の子……ミリィちゃん、だったかしら…
[ミハエルの問いには、小さな声が答えた]
……そうか。
[ベアトリーチェの言葉に、静かに頷く。
部屋で見せていた狼狽した様子は既に無く、冷静に。
次いで、ノーラの紡いだ名前には、僅かに眉を寄せた]
ミリィが? ……どういう、基準なんだ。
[ユーディットは兎も角――理解が出来ない、と首を振る]
[ミハエルが気づいていないのには何も言うことなく、
それからノーラの言葉に、
子供はようやくそれがミリィだったと知った。]
じゃあ、ランプ返さないといけませんね。
[ぐっと…机上の手が拳を作る。]
…………………
[ユリアンの淡々としたモノ言いに…むしろ殴られたがっている気がして
そこで思惑通り殴るのも癪ではあったのだが]
…それを黙って見ていなければならない此方の身にもなってくれ。
何処かで確実に止めると言い切れるぞ、私は。
[はー、と疲れ気味の息を吐き出す]
……それと。
先程から聞いていれば全部自分が悪いと思っているようだが。
私にも責の一端くらいは負わせてくれ。
[近づいてみれば、ユリアンはアーベルと対峙していて…その様子は、少し…険悪な雰囲気を漂わせていた。
…何があったのだろう…少なからず、不安な表情は隠せず…
近づいてみる。さりげなく、近くの出店に入り…ガナッシュを一つ買った]
……アーベルが腕折りに来たら、そんときゃ、頼むっ!
最後の細工、まだ仕上げてねぇんでねっ!
[仕掛けてきたアーベル様子に、に、と笑いつつ。
後半の言葉には、ただ、笑うだけ]
[同じ様に、分からないと首を振って]
今日は銀色しか、見ていないけれど…
[昨日エーリッヒを連れて行った金色の光を思い起こして、ぽつりと]
……っ!
[放たれた回し蹴りを、両腕をクロスさせてガードする。
ここで吹っ飛べば、屋台の破壊に繋がるから……なんて無意識が働く辺り、案外冷静なのかも知れない]
……取りあえず、腕だけは、無事をたもたねーとなっ……。
最後の細工、仕上げられねぇっ……。
[問題はそこなのかと]
[2人の数歩手前で、ゆっくりと進めていた歩みを止めて。
聞こえてくる話の内容に、いぶかしむ様に眉を寄せる。
"妖精同士のいざこざ"?"巻き込む"? ―――それでは、まるで]
アーベルにぃ、ユリアンに―――…
[問い詰めようと声をかけた瞬間。
華麗に繰り出される回し蹴りに、言葉が思わず停止]
[爪先が顔を掠めかけるのを僅かに体をずらして避け。
もう一度溜息を空中へ]
…私は癒すことはできないのだから。
程々にしてくれよ。
[ミリィが見ていたら哀しむのではとも思ったが。
口にするのはやめた。
彼女が銀に包まれたのは感じていたから]
はい、はいっ、と!
『軽い癒しなら、かけれるから、平気ー』
[ため息まじりの言葉に、かけられた当人は軽く答え。
いつの間にか避難していたその相棒が、呆れたようにこう付け加えた]
[ガードで弾かれた足を戻し…]
大切な女一人守れず利用する腕なんざ…いらねーだろっ!
[その戻る反動を利用し、
蹴りつけた足とは逆の腕をユリアンの胴体に叩き込もうとする。]
[それから、ふと、子供は視線を回す。
なんだか、キックが見えた。
……やっぱり脳裏に浮かんだ言葉は、
あの花冠の騒動と一緒の言葉で。]
[顔を掠めかけた蹴りを避けつつ息を吐く。
一般人に注目させてどうする、とか思わなくもなかった]
[ふ、とリディの姿が近付いていたのに気付いて歩み寄り]
リディ、少し離れていた方が良い。
[少し彼らから遠ざけようとするように]
[ガナッシュを囓り…その様子を見ていたが…]
…!
[回し蹴りを入れるアーベル。
ソレを腕で受け止めたユリアン…]
な…!?
[思わず絶句する。
…周りで見ていた人も、何が起きたのか分からなかったのではないだろうか?]
……僕は、金の光を見た。
[それだけを告げ――
ベアトリーチェの視線の先を見て、きょとり]
何をやっているんだ……
[少女の呟きは聞こえていたか否か。
兎も角、それが見知った者だと気付けば、其方に歩んで]
[その「馬鹿」な光景の向こう側、
目当ての人を発見する。
ノーラの手を離して、
そちらに向かう。]
イレーナさん、こんばんは。
[子供は完璧にスルーしている。
おきている事柄なんてどうでもいいらしい。]
…返事だけはしっかりしてるんだな…
[やれやれ、なんて呟きも加わって。
ヴィントの声に肩を竦める]
そういう問題でもなかろうに。
………そー、ですね。
[ダーヴィッドが近づいてきたのに気付けば其方へと視線を遣して。
距離を忠告されれば、素直に頷いて。
促されるままに、更に数歩距離を置く。]
よく、判んないけど。後でも出来そーですし。
……事を整理するのも、問い詰めるのも。
うるっせぇ!
惚れた弱みで押し切られちまったんでいっ!
[無意識なのかなんなのか。さらっと飛んでもない事を叫びつつ。
胴に叩き込まれた腕を、押さえ込み]
…
[…どういう経緯でそうなったのか分からないため、止めようもなく…
呆然と見ていたが、ふと、声をかけられるとそちらの方を向き…]
ぁ…こんばんは…ベアトリーチェちゃん…
[何も気にせず接す少女に少し戸惑いながらも、挨拶を返した]
『まあ、フェーンだし、ね。
……恐らく、今。
ああやってないと、壊れちゃうんだと思う』
[だから、ぎりぎりまでほっといてあげて、と。
ネズミ、呆れたようにこう言った]
……見た?
[ミハエルの言葉に、動きが止まる]
[その間に、少女は繋いでいた手を離れ]
[ミハエルも其方へと向かうのを見て、追う様に後へと続く]
惚れてたんならなおさらだろっ!!
それこそ…どんな手段つかってでも
お前にとっちゃ守らなきゃいけねー奴だろうがっ!!
[腕を押さえられたままの青年が…立て続けに吠える。]
[ベアトリーチェも同じく歩む――髪が短くなっている事に、今更気付いた。
とは言っても、少女の目的は異なるようで。声をかけた先は、ランプ屋の女性]
[彼はユリアンとアーベルに、巻き込まれない程度の位置まで近付いて]
[溜息。]
[額のかかった髪を、くしゃりと、掻き上げる]
[リディが素直に距離を置いてくれたことに安堵して。
疲れたような息を吐きかけて、止まる]
…そうだな。
[ぽつり、呟いたが。
飛んで来たユリアンの叫びに振り返って]
……当人の前で言え。
[思わずそんな言葉が零れたり]
これ、お返しします。
僕はお金を払っていないので、ミリィさんにあげてください。
銀色の光につれていかれたみたいですけど。
[子供はさらりといって、
ランプをそのまま手渡した。
受け取らないならその場に置くだろう。]
それじゃあ、おやすみなさい。
[ちらりとも男たちのおばかな戦いを見ることはなかった。
この間から男=馬鹿の認識が、
子供の中には広がっている。
おそらく、覆すのは相当な困難だろう。
そして子供は、ノーラに一言、コエを投げて、
おやすみなさいと、一人、
*施設に帰っていった*。]
[ヴィントの呆れたような言葉に、呆れたような、困ったような苦笑が零れる]
まぁ、気を失ったりしたら運ぶくらいはしよう。
その時は道案内頼む。
[真っ直ぐ辿り着ける自信は相変わらず無い]
ぇ…ミリィ、さん…が?
[嘘…小さく呟いて…思わず、ランプを受けとってしまい…]
…おやすみ、なさい…
[呆然と少女の背中を見送り…二人…いや、ユリアンを見つめる…
彼女が好意を寄せていたのは…
そして、彼が…好意を寄せていたのは…?]
…なんで…?
[小さな呟きが漏れた]
ああ、そうだよなっ!
そのくらいわかってらぁなっ!
[だけど、という言葉はややかすれて。
意識の上で交わした言葉。
約束。
それらに、迷いは、ないから]
……それでもっ……ただ、自分のためだけにやった訳じゃねぇし、ちゃんと……迎えに行くって、約束してんだよっ!
[怒鳴るように言いつつ、抱えた腕を突き放すようにして態勢を崩し。
そこに、肘討ちの一撃を叩き込み]
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