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[見上げる銀月。
花冠から落ちる香りの優しさ。
少女の亜麻色が色を受けて、
控えめに色を弾く。]
……なぁに?
[不意にルイからの視線を感じ、
緩やかに其方を見遣った。]
…いいや?
[薄らの笑みを其の儘に。
僅か意味有り気に空けた言葉の間]
[きら、り]
[少女の花冠を飾るかに、
月光の粒子がひとつふたつと留まって]
――何も。
[怒りに燃えるアナをなだめようと]
まあまあ、アナちゃん。
マリオン君も痛い目を見ていますし。
ほどほどで赦してあげたらどうでしょうか。
[少年はしょっちゅう怪我をしては、親に連れられて病院を訪ねてくる。
……男の勲章などと言っていたような気もするが、そのことについては黙っておくことにした。]
[花冠を彩る月光の粒子。
じ、とルイを見つめては]
……ん
[そっと人差し指を自身の唇に添えて、
同じく、意味有り気に微笑んだ。
だが周囲に人が居る手前、
誤魔化すように唇をなぞって視線を外す]
[ヴェルナーからの諌める声には]
……先生って何時もそう。
マリオンに対して甘すぎるのよ
[大人ぶって、ふん、と鼻を鳴らす]
ああいうのは、ね?
徹底的に叱りつけなきゃ駄目なの
そんなだから先生、子供に舐められるのよ?
[眉をへにゃりと寄せた。
舐められる、というよりは優しいだけだろうが。
少女にとっては、そう映っている様子。]
[そして兄からの"大目に見て"という声]
……
[これみよがしな、むっすり顔を向けた]
まぁ、
お兄ちゃんが、
……其処まで言うなら
[少女自身もようやく、我に返るか。
単に感情を抑えるタイミングが計り切れなかった、
というだけかもしれないが、
両手を挙げて首を竦める兄へ、頷いた]
しかし……一体何を話しているんでしょう。
[詮索は好まぬ性質だけれど。
ホラントのこともあって、いささか不安を覚えてしまう。]
まあ、ルイさんもイゾルデ君も、無茶はしないと思いますが……
でも騎士様でさえ、だったしなぁ。
[ちらとギールギースに目をやると、旅人のお供と戯れていた。]
力、か。
[視線はイゾルテから逃れ、月光を仰ぐ]
…何か、宴の用意でもしているのか。
俺たちを案内する準備でも、しているのか。
[不思議そうに瞬くのには緩く傾げた首で返して]
……興味深くは、ないか?
今から、何が起きるのかと。
[アナの唇に添えられた指先。
くすりと音は零すが動作を返すような事はしない]
[なぞり離れて行く指先を視線が追い、其の儘離れ]
[感謝の意を示すかに、
少女の指先に粒子がひとつ、弾けた]
宴に招待するためにあれこれやってるけど、上手く行って無いんじゃないかな。
[月光を仰ぐルイに小さな笑いと共に言葉を向ける]
何が起きるって、もう起きてるさ。
ドロテアとヒルダ、マリオンが空間を隔てた向こうへと消えた。
妖精の住む世界にね。
僕も行きたいんだけどなー。
久々に友達にも逢いたいし。
[右手にランタンを持ったまま、両手を頭の後ろに組む。
夜空を見上げると、目の前の人物に似た銀の月が静かに佇んで居た]
おやおや、これは手厳しいですね。
[アナの指摘に、大袈裟に驚いて見せた。]
さぁて。
そういうアナちゃんも、私を舐めていたりするんでしょうか?
[何を考えているのか、単刀直入に問い掛ける。]
ギールギースの目的は、確かに宴の招待だろう。
[銀月を見上げ瞳は細めた儘に、
イゾルテへ向けて言の葉を紡ぐ]
…君が聞いた声の目的は、わからない。
容易く此方に声を零す程度なら、
警戒心が然程無いとも見えるから恐らく
――悪いものではなさそうだが。
[しれりと適当なことを言い放ち。
『友達』との言葉に視線はイゾルテへと戻る]
…皮肉屋の、だったか?
ありがとー。
アナはやさしいね。
[怒り納めてくれた少女に、嬉しそうに、にっこり笑う。
ヴェルナーへのあれこれには、笑わぬように口を押さえた]
[指先に弾ける粒子には、
くすりと嬉しそうに微笑んで。
医師からの思わぬ問い掛けに、
ぱちぱちと不思議そうに瞬いて]
……舐めてなんて、無いけど。
[ぽつりと零した。"けど"と止めて、緩く首を振る。]
[ちち、ち、ちちっ]
[青が『声』を零す度、重ねて零れる鳥の声]
『月は満ち、欠けるもの。常に変わり往くもの。
だから留まることはできないのよ』
[ひとつひとつ、小さな妖精の問いに答える。
他者から向く視線には気付いているけれど]
『此処に来たのは、月の方に乞われて。
宴を開くから招待の手伝いをして欲しいって。
…ね、本当にそんな、畏まらなくていいから』
[傾げた首は少し困ったように]
[嬉しそうに、にこり笑うマリオンの兄。
其れを見れば、]
優しくなんか、ないんだってば…
[照れ臭そうに返すも、]
お兄ちゃんも!
……クルトおにいちゃんも、
そうやってるから、マリオンがつけあがって、
………ぅー……
[ぶつぶつぶつぶつと、複雑な心中を表す
なんとも言えないアンニュイな顔]
…君は、宴とは関わりの無いものが関与したと考えるんだ?
僕はただ、ギールギースの仲間がちょっかいをかけたか忠告しに来たかと思ってたけど。
[言葉の内容からそう考え、何か知ってるのか?と言うよな視線をルイに向ける。
それでも続く言葉には同意の頷きを見せた]
そうだね、悪意あってやるならもっと慎重にやるだろうし。
おろついてた印象もあったし、意図しない何かが起きたのかもね。
そそ、お喋りで皮肉屋の妖精。
テュメルキスタって言うんだ。
そんなことないよー。
[笑ったままそう返し。なんとも言えない顔のアナに、どうしたのかなと首を傾げた]
えー、そんなに甘やかしてないよ?
見つかれば親父からもしっかり鉄拳制裁来るしね。
俺がするまでもないというか。
[自分も覚えがあることばかりで強く出れないというか]
マリオンもそのうちには分かるだろうからさ。
ふふふ、別にいいんですけどね。
やっぱりアナちゃんはいい子だ。
[口籠るアナに、緩い笑みで返す。]
心配してくれてありがとう。
[礼と共に、少女の頭をぽふと撫でた。]
その可能性もある、と。
…俺は声を聞いて居ないから、ニュアンスまではわからないし。
[ことり、傾いだ首。
伺う視線をはぐらかすが、刷いた薄い笑みは其の儘で]
……意図しない何か、か。
そうなると、招待の何かが失敗したと見るのが、
矢張り一番良いのかもしれないな。
[ひとつ、ゆっくりと頷いて]
…その妖精と出会ったのは、ここで?
旅人ならではの発想、なのかな。
僕はこの森に現れる妖精しか知らないから、他の何かとまでは考えが回らなかったよ。
[はぐらかされたとまでは気付かないが、納得するよな言葉を向けて。
続く言葉には頷き返す。
友の妖精のことになれば、また一つ頷いて見せて]
そ、まぁ場所としてはもうちょっと手前、村側の方だけどね。
子供の時だったから、そんなに奥までは行けなかったし。
『いいえ、主催は貴方の王様。
月の方は楽しいことが好きだから、盛り上がって欲しいって
勝手にお手伝いをしちゃおうとするのよ』
[くすくす、零して]
『月の方は、いつも皆のことを見ているから』
[続けられた言葉には、んー、と少しの間]
『招待したのは貴方たちの力よ。
私たちは二人を力で繋いで、一緒に飛んじゃうようにしただけ』
[はたはた、翼がはためく。
時折伺う視線が銀糸へ向かうが、しれっと無視をされている]
[兄をじっと見つめ]
そのうち…ね
[ふ、と溜息をつくも。
納得したかの様な言葉]
まぁ…アナよりも、
お兄ちゃんの方が、マリオンと一緒に居るし
きっと、解るのかもしれない、けど
[こくり、と頷いて]
[ルイへと返しながら、離れた場所に居るギールギースへ]
なぁ、そろそろ移動しないか?
妖精の宴も魅力的だけど、君の言うとっておきの場所も行ってみたいよ。
[膨らませたまま、ヴェルナーから逃げる様に
そそくさと距離を取り、ツィンカの傍へ]
…別に謝って欲しいんじゃ、なくて!
[傍に寄ると、小声だけれど
確りした口調で主張した。
きゅ、とツィンカの服の腰辺りを掴み
ツィンカに隠れるようにして。]
…妖精は、何処にでも居るから。
[こくり、頷きをひとつ。
浮かんでいた薄い笑みは、たちまちに掻き消えて]
村側の方で…?
……どうやって出会ったのか、興味が、あるのだが。
[話して貰えるだろうか、と伺う視線]
[ツィンカが首を傾げるのには]
いやあ、こればっかりは相手があってのことですから。
[さっきは多少威圧的だったかもと、反省もしてみたり。]
どうやら、鳥さんとも仲良しみたいですね。
[エリーゼとギールギースの様子を気にして言う。]
ふぅん、そうなんだ。
[妖精はどこにでもいる。
忘れていた時は首を傾げたかも知れないけれど。
思い出した今なら納得出来る答えだった]
どうやってって。
森に入ったら居たと言うか。
当時は今よりも力が強かったからなぁ。
隠れてた妖精も見つけることが出来たんだ。
姿消して悠々と散歩してたのを、見つけた。
[薄い笑みの消えるルイに視線を向けつつ、瞳を瞬かせる。
何かおかしなことでも言っただろうか、と言うよな表情]
[ゲルハルトの身体に戻るギールギースに
視線を向ける]
ゲルハルトさんも、
たいへんなのかしら
それともギースがタイヘンなのかしら
[寝てるだけなら大丈夫よね、と
妖精に対して妙な信頼を置きつつ]
夜の間だけなの?
それはたのしみなのでます!
ヨウセイの先導もあるから、
手はつながなくてもいーのですかしら
[とは言いつつ、アナに、つなぐ?と差し伸べてみる]
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