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[肩が震えて、息が上手く出来ない。しゃくる喉。
何かの間違いだと思いたかった。別の人なら、と思う自分が嫌だった。
まだカプセルの中で夢を見ているのだったら良かったのに――]
い、や。
やだ。やだ。
エー、リッヒさんは、しんじゃ駄目なの。駄目、なの。
[どくん、どくんと動悸が激しくなる。病気ではなく。
その、冷たい体は、何より死を実感させて、少女から冷静さを失わせた]
[肩を手を置いた事が不味かったか、と離しかけ、]
エーリッヒ?
──彼に何かが。
[唐突にゲルダの口から零れた名前に驚いて、ゲルダの顔を覗き込んだ。]
……貴方は、優しすぎるの。
いつも、いつも…笑ってばかり。
…ばかよ。
騎士の誓いだって…っ、…
[手の甲に触れてくれたあの唇はもう硬くて冷たい。
揺れる視界でもう一度見上げて、そして――]
[そっと触れるか触れないか、彼に唇を寄せた。]
[生まれて初めての口付けは
――冷たく硬い石のようだった。]
[しばらくは様子を見守っていたが……]
すまない。みんなの様子をみてくる。
あと、なるべく一人にはならないように…。
リーチェ、ノーラから離れるな……。
[そして、二階に向かって歩き出す。
途中、ハインリヒとブリジットに会えば、しばし沈黙したあと、エーリッヒのことを告げるだろう。]
貴方も悲しいのね。ベアトリーチェ。
エーリッヒのこと…好きだった?
そう、私 …彼の事、好きよ。
それなのに酷いわね。
…ほんと、こんな突然の別れだなんて。
酷すぎるわ…
なんとか、言いなさいよ…――エーリッヒ…!
[ぺたりと足に触れても、もうそこに彼の温もりは―――ない。]
[周りの声は何も聞こえなかった。音も。
泣いては駄目だと言い聞かせて、しゃくる喉を落ち着かせて、流れるままの涙を止めようと、手で拭う]
泣かない。から。
だから。
[嘘ならいいのに。夢ならいいのに。
耳に流れる音波のような音が、次第に大きくなる。
それ以外は無音で、心音すら良く聞こえなかった。
ようやく止まった涙が、又出てこないようにぎゅっと目を閉じる]
―二階・6の部屋―
[暗い顔で戻ってくると、そこにいたのはアーベルだけだったろうか?
エーリッヒの死を告げ、カルメンの居場所を訊く。
が、たぶん、返事は知らない、というものだっただろう。]
どこにいった?
[そう、いなくなって会うたびに、いつも混乱している彼女…それでも放っておけなくて……。
一部屋ずつ、呼びかけながら探す……。]
[声がした。ようやく、届いたのは、ノーラのエーリッヒを呼ぶ声]
ノーラさん……。
[きっと自分よりも辛いのだろうと、ノーラのほうへ手を伸ばす。座り込んだノーラの肩に触れると、そろそろとその髪を撫でた]
ううん、あのね。
エー……。
[名前を呼ぼうとすると、涙腺から涙が滲む。又拭って]
ノーラさん、元気、出して、ね。
[ぽんぽんと、母親が泣く自分をあやしてくれたときのように、優しく叩く]
──まさか。
[イレーネの名前を呼びかけ、口端が震える。ゲルダの肩に置いた両手を一度だけ温めるように彼女の腕まで滑らせた。抱擁にならない程度に背を抱き、それから離れて。首を振った。鮮やかなサファイアブルーの瞳は、虚空を睨む。]
否、行こう。
殺人者が居るなら尚更。
辛い か?
[彼がフロアへ向かう途中蛇が出るのか──{6}-{6}。]
―衣装部屋―
[そして、みつけたのは衣装部屋……。
色あせてはいてもいろいろな衣装の中に、丸くなって……。]
………カルメン……どうした?
[その手を取って、話しかける。
でも、やっぱり今までと同じく……きっと、多くを彼女は語らない。
うっすら目を開けて、暴れはしなかったけど、悲しくこっちを見ている。]
カルメン……?
[その顔はでも、泣いているだけじゃなくて、笑っていたりにも見えただろう。]
…だいじょう、ぶ。
[包まれた腕の中から返す声は、掠れて弱いけれど。]
止めなきゃ、いけないもの。
行くよ。
…行って、なんとかしなきゃ。
[毅然とした背中を、見失わぬよう追った。]
カルメン………
君は大丈夫?
[浮かぶ、メモのパソコンの情報。
ピューリトゥーイは、情緒の変化、攻撃性の増加をもたらすという……。]
カルメン、君は、…大丈夫?
カルメン、君は大丈夫?
じゃあ行こう、ゲルダ。
[一旦、図書室の方へ入りかけ、ライヒアルトに出会う。手短にヘリで発見した事とエーリッヒの事を伝え、知らないと分かると休憩室を抜け──、最後はノーラとベアトリーチェの場所へ辿り着く。]
……………。
──エーリッヒ。
[そこにあるのは、生きたエーリッヒでは無く石像。小さな少女の手がノーラのほっそりとした背中を母親のようにぽんぽんと撫でている光景。]
[知っていたのに。感じていたのに。
姿を見て実感する。失ったものの大きさと、失われた無念。]
…エーリィ。
[潤む視界を、袖口で拭う]
[ノーラの傍を離れないように、手を伸ばす。触れるのは石になったエーリッヒの体]
……。
出来るか判らないけど、エーリッヒさんの代わりに、私がノーラさんを護るね。
[もう一度、最後に触れた腕を取る。
きゅ、と硬くなってしまった掌を*握り締めた*]
red
ピューリトゥーイ ×3
続けて経過観察中。
とくにピューリトゥーイに関しては、成果が期待できるが、副作用として、情緒に変化、衝動的に攻撃性が高まる危険在り。
[すでに記憶している文章を思わず、反復する。]
エーリッヒ。
[金の髪の青年。柔らかな物腰と人を安心させるエーリッヒの笑み。
彼がヘルムートに、否、目の前のノーラやベアトリーチェに見せていた表情。
石像になってしまっても、それらが浮かんで離れない。沈黙。]
──エーリッヒ。
我々に、ヘリに乗るしか選択肢が無いなら、
ピューリトゥーイを置いて行く。
[それを見付けられるか、分からないが。
回復薬を運んだのがノーラだと知るのは、失われた医師の卵の青年に瞑目して、再び両眼を見開き──後なのかもしれない。]
――…こら、そこはおじさんじゃないと
フォローをいれるところだろうが。
[冗談めかして笑ってから
切れ切れに聴こえる謝罪の声には目を瞬かせて]
…気にすることじゃあない。こちらこそ…
[続けようとして、首を傾ぐ。
言おうとした言葉は何だったのか…靄がかかって。
―――…思い出せない、まただ。一つ咳が出た。]
…行こう。治るかもしれない…。
お前も…アーベルも、…皆。
[今度はブリジットに手を差し伸べる。
撫ぜる――…それ以外に幾度か伸ばされようとしていた手。
その衝動の正体は、まだ自分でも判別つかぬまま。
その先に、悲しい知らせが待っていることもまだ知らぬままに。**]
[ノーラとベアトリーチェを邪魔しないように、ゲルダの腕をそっと引いた。
>>81エーリッヒに向けた言葉は、ヘルムートの何時ものよく通る声ではなく、低く静かだったが。ゲルダの眼を見詰めながら言った声は、更に低く、抑えられた分熱の籠る、囁きに近い声だった。]
私は、誰も「見」殺しにしない。
[ゲルダの手を取り、サーベルの鞘に触れさせる手「ピューリトゥーイを置いて行く」と言う言葉に重ねる暗喩。]
だから、ゲルダ。
誰かを見殺しにする想像は、君はしなくていい。
[目の見えないベアトリーチェが自分達に気付くなら、ゲルダと自分だと伝える為に、腰を落とす。ノーラはまだ涙を流しているだろうか。小さな盲目の少女を眼差す以外に、もう目蓋は落とさない。]
―― 回想 2階6の部屋 ――
[ゲルダと一緒にここにやってきてから。
壁に寄りかかるようにして、石になりかかった青年の周りの出来事を見ていた]
(………うるさ、い)
[彼がまだ無事でいる。それを確認してから、気が抜けて。
顔の見えない人たちが、誰で、何を話しているのか。
集中しているのがしんどい]
[いらいらと、指でもたれている壁を叩いている自分に気がついた。
病人の側に、誰かが残っている。
それだけを見ると、カルメンを探しにふらりと扉を出た]
………かるめ、さ
か ルメン、さん
[名前を呼ぶ。彼女を探す。今度は、忘れない。
一つ、一つ、扉を開けて。
でも、左側に並ぶ扉しか、見えない。
とうとう二階は探し終わってしまって、一階に、下りた]
[カルメンが好きだと言った、詩の内容を、思う]
……い、え ……
[家を、出る。家。
比ゆ表現だ。何を表す? カプセルを見る。いない。
ぐるぐる、行ったり、来たり。
一階の捜索をあきらめて、カルメンの居場所を見つけるのはもう大分経ってから]
―― 衣裳部屋 ――
[奥の扉を開けたとき、視界の端で何かが動くのを見た。
一人の女性……ああ、カルメンだ。
それと、その側にいるのは、誰だろう]
………かる、めん
ごぶ ごぶじ、です、か?
[そっと、声をかけた**]
―図書室―
[>>24 ライヒアルトの困惑に苦笑を浮かべる。]
今はダメでも、メデューサが治ったら。あなたは健康なおとこのひとでしょ。
[険しくなる天鵞絨に目を伏せる、けど。]
うん。先を。目指す為に来た。生き残る為に。
[>>30気が利く方ではないと言われ瞬き。]
あたしには充分すぎる。勿体無いくらい。
[続く言葉に、頷いて涙が溢れる。]
ありがとう。忘れないから。
[奥の方へ行ったライヒアルトが戻ってくるまで少しの間泣いた。嬉し泣きだから苦しくはなかった。]
[>>52ライヒアルトが戻って来て、穏やかな言葉をかけてくれた。]
もう少しだけ。
[ぽつぽつと昔を語る、冷凍睡眠の三年前に流産した事、それが理由で付き合ってた恋人と別れた事、
救われたくて修道院へ入った事。]
あの後メデューサが流行って、子供が産まれててもメデューサにかかった可能性もあるって慰めてくれた人もいたけど。慰めにならなかった。
[メデューサを発症してここへ来る事に決まった時に別れた恋人が会いに来た事。]
あたしが生き残っても子供が産めないから意味がないからここへ来る権利をくれって迫られたけど、結局、病状が進んでて、あたしの目の前で石に。
だからあたし、亡くした子の分も彼の分も生きようと思ったけど。今は、あなたの傍にいたいから、
生きたい。
[話してる途中にヘルムートが来たか>>72その間は黙り込んでヘルムートの話を聞いて。]
―衣装部屋―
>>88
[話をしていると、誰かの気配……
振り向くと、そこにはオトフリートの姿。]
カルメンはここです。
[彼もまた捜していたのだろう。
呼びかけた。
カルメンは彼の前でどんな顔をしただろう。]
[彼が来る前に、そのベルトを引きちぎることは、容易かったけど]
[それを戸惑ったのは]
やっぱり、君と別れるのは
さみしいのかもしれない
[そう思ってしまった]
それが君にとっての一番なのにね
石になって飛び立ちたいよね……
カルメン……
[そして、オトフリートに振り返る。]
君を苦しめるものから
君を解放して
そして
[僕だけのものになればいい]
君は幸せに笑うといい。
[僕だけを覚えていればいい]
そう思っているのに…。
[手が戸惑いを…どうしてだろう]
[メモの事を聞けば、一瞬浮かんだ希望。でも、ゼルギウスの差し金とわかれば表情をくもらせ。ヘルムート達が去った後だろうか、口を開く。]
あたしは生きたい。生き残りたい。ライヒと。でも、今のあたし達の状況はそのゼルギウスって人のせいかもしれないんでしょう。
[冷えた下腹。石になりかけてるか、なってしまったのは……子宮だとわかる。弱っている所から侵されるのか。
このまま病状が進めば、命に関わる。今は目だけに見えるライヒアルトだって。]
怖いよ。ライヒに死んで欲しくない。死にたくない。でも、信じられるかわからない人に命を預けるのも、怖い。
どうしよう。
[彼の答えを待って、彼の決断に付き合おうと考えている。決断を促そうと*ライヒアルトを見つめた*]
/*
自分だけだったら、すぐに、だったけど、
オトフリートが絡んできたんで、流れにのせます。
墓下で困ってたらすまない。>カルメン
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