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―自宅―
[懇願する声に、根負けしたように溜息をついて]
…わかったよ。
これ以上…あの力を使わせちゃいけないんでしょ。
[ゆっくりと、立ち上がる]
じゃあ、どうするの。
それに…その、『祈り子』はともかくさあ、自分はどうするんだよ。
[アレッキオに気を取られている間にエリィゼはどこかへ行ってしまったのか、姿はない。
気兼ねしていないからか、独り言と思うには不審なくらいの会話]
― 森の中 ―
[ポラリスの声にこもる憤りは>>57覚えのあるもの]
(ソーヤ...)
[ともだちを、眠らせる前に交わした会話を思い出せば、ひどく苦しくて、胸元をぎゅう、と両手で握りしめる]
だって...本当に、僕は、何も出来ない...
[判っている、彼らの想いが同情と片付けられるようなものではないことは。でも、そうだとしても、それだからこそ]
ねえ、どうせ、僕は長くは生きられないんだよ?
だから、探す時間なんて、きっと無い...
[彼らが羨ましかった、大好きだったけれど妬ましかった...傍にいたかったけれど、傍にいると苦しかった、ああ、なんて我が侭で醜い...]
―自宅―
[寝ているアレッキオの傍に飼い葉と、水を入れた桶を置く。
いつ起きてもいいように、と]
さあ、行こう。
さっきから、森の方からざわざわしたのが伝わってくるんだ。
これって…ボクにもちょっとはわかるようになったってこと?
[首をかしげながら、森の方へとゆっくり歩いていく]
ところで、どうしてそんなに『祈り子』?が心配なの?
同時に封印されたわけでもないのに…?
[ぶつぶつ、独り言を言いながら]
エリィゼ...?
[伝えるつもりのなかった言葉が無意識に零れたのだと気付いて]
ごめん、ね...
[悲しげに、コエは響いた]
―森へ―
……………なにそれ。わかんない。
しかも、ずっっっっっと、今の今まで、
なんにもなってなかったってことじゃないか。
[よくわかんないけど、『魔』っていう奴は、人間も呆れる程のお人よしだと思った。
いや、人ではないから…なんというのか]
ねえ、ボク…思うんだけどさ
[続けようと思った言葉は、少しきついかと思ってためらったが、
結局、胸の内でだけで言葉にした]
クレム君が長く生きられないなんて誰が決めたの。
ここには、ヒュー君だって居る。
時間が無いなんて諦めないで。
[言葉を連ねる間に雫が頬を伝い、それに気付いて袖や手の甲で雫の痕や目元を拭った。
届いて欲しい、その一念で紡がれる言葉。
他に気を回す余裕は無く、エリィゼも来ているとは気づかぬまま]
― 森の中 ―
[聞こえる話し声、クレムの声は少しは慣れているせいか、全てを聞き取るのは難しかったけれど
「逃げないで」と言うポラリスの声に、同調するかのように彼の方を見た
「止まるつもりがないなら……」
だけど、少女には止める権利も、止める力もなく]
……だめ、だよ…
[小さな声を零すだけ]
クレムお兄ちゃん……?
[謝る理由がわからなくて、疑問の色がコエに乗る
だけど、聞こえたそのコエは悲しそうで、泣きそうだったから]
………泣かないで?
[側に寄れたなら、きっと、抱き締めていただろうと思うのに
今は、コエしか返せなくて]
─ 回想 ─
[ポラリスが森へと向かう前。
封に関わった家系ならば、現状に対しての責任を感じてもいるだろう。
彼女に向けた問いの答え>>34には、ただ問うだけしか出来ていない自分に謝る必要はないと頭を振って返した。
男と同じように駆けつけたエリィゼ>>53が謝罪を紡ぐのには、最初意味がわからなかったが、続いた問い>>54に彼女が何らかを知っていると伝わって。
それに対してのポラリスの答え>>60も聞いた後、口を開く]
封じないといけない、じゃない。
最善の方法を選ぶ。
それが、大事なことだ。
[封から解かれたものが望んでかどうかも解らない。
必要なことをするべきだと答えて、自宅へと入っていった]
―森―
[小さなため息とともに、目を閉じた]
――。
あの子をこれ以上―…。
[呟きの後、再び歩き出す。
声のする方へ、『祈り子』の力を感じる方へ]
― 森の中 ―
テレーズ姉さんもソーヤも悲しませたくなかったから...だから...
[だから眠らせたのだ、と、そう告げながら、ポラリスも同じように眠らせればいいのか、と思案する]
[もうそんな力は残っていないかもしれないけれど、それで...終わりになるなら、最後の望みは、叶う...かも]
─ →森中 ─
やるだけやっても、良くならないことは確かにある。
お前の身体は人に比べて弱いのも確かだ。
だがな。
端から諦めていたら良くなるものも良くはならん。
お前は、何も出来んと口にするほど何かをしてきたか。
[エリィゼの横を通り、クレム達の元に向かう。
引きとめようとするならそこで足を止めるが、そうでないならクレムとポラリスの中間まで歩いていって、正面からクレムに向き直り]
医者は患者の手を取るのが仕事だ。
患者が手を差し出してくれるから、医者は仕事が出来るんだ。
手を差し出すこともせず、正面から向き合おうともしないで、どうせなんて言葉口にするな。
[気配を追ってゆけば、泣いているポラリスへ近づこうとしているクレムが見えた。
困ったような表情で黙ったまま、首を振った]
どうしたら、その嘆きを癒せるのでしょうね。
[ぽつり、と呟いた口調は、普段とは全く違う気配のもの]
― 森の中 ―
[不意に、枝の折れる音がしてそちらを見ると、やはり追いかけてきたらしいヒューゴがそこにいた
怒っているように見えるのは、クレムが自分の時間が短いと嘆いたせいだろうか?
だけど、子供には難しいことまではわからなくて、そのまま視線を二人へと戻す
ゆっくりと、クレムがポラリスへと歩み寄るのを見て、不意に不安を感じて]
……クレムお兄ちゃん、だめ!!
[少しだけ近付いて、制止の言葉を投げた。
止められるなんて思わない、けれど、止めなければ封じられてしまうから]
― 森の中 ―
ねえ、クレムお兄ちゃん
本当に、今まで辛いことだけしかなかった、かな?
[コエ、ではなく、声に出して]
リィは、お兄ちゃんとお話できるの、楽しかった、よ?
それに、お兄ちゃんが、もしいなくなっちゃったら、リィ、悲しいもん
リィに言った「忘れないで」って、そういう意味だったの?
[人間ではない己が出るよりも、人間どうしで解決できるならその方がいいのかもしれない。
はるか昔の思い出が胸をよぎって、ふ、と口を閉じた。
胸の内からは、宿主が己に激しく呆れている気配が伝わってきて、
それはそれで辛いのだけど]
[クレムが他に気付いたことでポラリスも集まって居た人達に気付く。
ヒューゴの言葉、クレムを止めようとするエリィゼの声、聞き覚えのある声なのに他者を思わせる口調。
伸ばした手が宙を彷徨う]
みんな……
[それぞれを見た後、視線はクレムへと戻る]
[憤りのまま、言葉を続けて。
初めて村の逸話を聞いた時のことを思い出す。
内容は覚えなくても良いではなく、覚えていたくないと思った理由は]
一人で考えて、これで良いと決め付ける。
確かに、当事者はそれで良いだろう。
だが、本当にそれが良いかどうかは、他人に聞いてみて初めて解ることだ。
[『魔』も、『祈り子』も。
目の前にいる、青年も]
傷つけたくない者がいるのなら、何故頼らん。
手前勝手に一人で抱え込むこと自体傷つけることだとも解らんくせに、傷つけたくないなど言うべきではない。
[正論過ぎるといわれても、知ったことかと、言い切った]
ひとりになったら、寂しさに負けて、人を傷付ける力を揮ってしまうかもしれない。
それが怖くて......
[最後の願いは...誰かを傷付ける前に、消えること]
でも、それは...間違っていた、の、かな?
[怯えて、揺れて、逃げ出して、けれど、寂しくて]
[矛盾する魂が、その矛盾に気付いた故か]
[それとも、重なっていた願いが変質したためか]
[祈り子の力が、溢れようとしているようで]
お兄ちゃん…っ!
[咳き込み、体が揺らぐ>>89のに声を上げて、制止する人がいなければ側へと駆け寄ろうと
何か、力を振るわれる可能性があったとしても、それを厭わずに]
...助けて。
[初めて、声に出した]
力が、押さえられなくなる...祈り子の魂が消えちゃう...
[目の前の人々に手を差し伸べる、助けを求めて]
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