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[舞い上がるものをとらえる間合いとしては悪くなかった。
こちらも上からの攻撃のほうが遠心力というものを考えれば武器の重みを合わせても上策に思えた。
だから、構えて、朱の炎を大朱雀に纏わせて]
─── Rudje fayra::o
[紡ぐはずだった言葉を邪魔したのは背の傷。
浅かったと思っていたものは予想よりも深かったらしい。
結果として防御の姿勢はとれたものの、翼の数足りぬ身にでは衝撃を留めること叶わず]
────ッ……!!
[そのまま、視界を灼く下からの銀の衝撃に跳ね上げられるように高く高くへと放り出され、白炎の翼は熱量を失い失速。
どうにか地面ヘ叩きつけられることは回避し、中空で姿勢を維持することはできたものの、刃によって生み出された傷は確実に脇腹を抉り、抑える指先を赤が濡らし、白いシャツに滲み、下方のコンクリートの上に椿花のように大きく零れおちる。
火傷がないのは、属性ゆえの幸運といえようか]
[確りと伝わる、手応え。
一度上へ、そして、下へと落ちる姿を視線で追って]
……は。
[短く息を吐き、それから]
……焼き鳥、嫌いじゃ、ないっすけど、ね……。
生憎、俺は……堕ちられ、ませんので。
[それが、『あいつ』との約束だから、と。
掠れた呟きは、恐らく届きはしなかったろうが]
……て、わけ、で。
従姉殿への手出しは、断念して、いただけましたでしょーか?
[未だその手に武具を握る様子に。
こちらも天凰刀を構えたまま、低く、問う]
……っ。
[ぎり、と確かに奥歯が鳴る。
それは、純粋な悔しさ。
痛みをこらえるとかそんなことはどうでもよく]
……勝手にしろ。
[するり、と。右の手から朱雀はか細い炎になって消える。
明らかに苛立ちを含んだ声は、相手のほうを欠片も見ることなく。
もう馬に蹴られるのはたとえそれが麒麟の足であろうともうごめんだとばかりに、大きく息を吐き出すとその姿はふい、と屋上を遠く*離れて*]
……勝手に、してますよ、昔から。
[自慢にならない一言を返し。
それから、消える姿にあ、と短く声を上げる]
……傷、大丈夫……じゃ、ねぇよな……。
[今更のよに呟いたところに感じる、眩暈。
翼のまとう銀焔が消え失せ、翼の力が抜ける。
下へと向かう力に逆らわず、ふわり、降り立って]
……あー……こりゃ、また小言くらうな……。
[ふと零れたのは、*そんな呟き*]
……さて、と。
[呟きつつ、空を見上げる。
先ほど自分から喰らった焔撃連打は、属的にだいぶ抑えられてはいたものの、内に通った衝撃はかなり大きく。
直前に全快していなかったら、どうなっていたかは想像に難くなかったりしたのだが]
……取りあえず、陣を律して、それから……。
[『天帝』に直訴したりなんだり、色々と問題があるなあ、と思いつつ、しかし、むしろ今は]
……ここから、をどう乗り切るか、だなぁ……。
[その場に座り込みつつ、ちらり、と陣の出入り口を振り返る。
ふわり、と舞い散る翠の光。
それが意味するものと、これから来るであろう出来事と。
それを思って、*ため息一つ*]
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