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─ →二階 ─
[照れると言ってはにかむオリガ>>29を見て、やはり僕の表情は緩んでしまった]
その笑い方、可愛い。
[ついつい口に出してしまいながら、エントランスへと足を踏み入れ、二階への階段へと差し掛かる。
一段一段ゆっくりと上っていく僕にオリガも歩調を合わせてくれて。
傍から見ればどっちが付き添われているのだか分からない様相になったりもした。
階段を昇り切れば後は部屋へと向かうだけ。
途中でメイドに会うことは無かったため、毛布は左手に抱えたままとなった]
えーっと、僕の部屋はここだけど…。
確か、プレートが掛かってなければ開いてる部屋だったはず。
[使用されている部屋と未使用の部屋の証明も兼ねて、さりげなく自分の部屋の位置を伝える。
扉には使用中を示すプレートが掛けられていて、一目で分かるようになっていた]
ゲームが始まったよ。
[やがて、誰かが異常に気付いてやって来たなら、目にするのは、手足を紅く濡らし、静かに告げる黒い瞳]
今度は、こちらのターンだ。ねえ?
[女主人の死にも無表情なままのメイドは、確かめるような問いかけに、是の返事を返したろう]
[ぺろりと、紅い舌が唇を舐める]
たのし、む、みんな……
[それもまた紅く濡れた凶器を手にしたまま、けれど今はまだ、プラーミヤは嗤うだけ。
メイドから、始まりの合図があるまでは**]
[正直さは、こういう時は利点だと現金な僕は思う。
オリガ>>36の頬に点る色も、その仕草も。
可愛いと思ってしまうのは本心。
けれど一応の自制心はあったから、繰り返し言葉を紡ぐのは押し留めた。
これ以上言えばオリガが居辛くなってしまうかとも思ったから。
だから、俯きがちになるのを緩んだ表情で見るだけにする]
うん、分かった。
どう致しまして。
それじゃあゆっくり休んでね。
…っと、これ、お水。
じゃあお休み。
[隣の部屋を選んだことに少しばかり胸を躍らせて。
感謝の言葉に笑みを向けて緩く首を傾いだ。
恥ずかしそうに笑うのも微笑ましく見詰めて、手に持ったままだった水の入ったグラスを差し出してからお休みの挨拶を口にする]
[柔らかな視線を感じるけれど
顔を上げて目を合わせてしまえばまた熱を覚えそうで
道中それは出来ずにいた、けれど]
サーシャさんもゆっくり休んで下さいね。
お水も、――…付き添いもありがとう。
傍に居てくれて心強かったです。
おやすみなさい。
[グラスを受け取れば指先が微か掠めるように触れ合う。
揺れる水面に映り込む己の顔ははにかむかたち。
視線をあわせ受けたサーシャの笑みに同じを返して
ふわり、スカートの裾を翻し隣の部屋に向かう。
プレートのまだ掛からぬ扉を開いて
サーシャの部屋の方を振り返り微かな笑みを浮かべてから
扉の向こうへと身体を滑り込ませる。
ぱたり、扉を閉める音が廊下に小さく響いていた]
─ 客室 ─
[畳んだ毛布を抱えたまま部屋へと入り、その状態でベッドに飛び込む]
うー、眠い。
明日には雨止んでるかなぁ。
[そう言えば大広間で雨がどうとかリディヤ達が言っていた気がするけれど、眠くて集中力を欠いていたため、どんなことを言っていたのか覚えていない。
屋敷を取り巻く不思議な現象。
部屋の窓から確認すれば見るも叶ったかもしれないけれど、今は睡魔が勝った]
あー……服。
乾いた …… っけ ……
[服のことを思い出したけれど、もはや起き上がる気力は無い。
畳んだ毛布は抱き枕状態にしてベッドの中へと潜り込み。
僕は休息を取るために直ぐに意識を*手放した*]
― 客室 ―
[寝台近くにあるテーブルにコップを置いた。
ポケットの忍ばせた薬包んだハンカチをその隣に。
そうして抱えた毛布を寝台に運び、広げる。
靴脱いで、皺にならぬよう服も脱いでからぽふっと寝台に身を委ねた]
……ふかふか。
[弾む寝台が優しく受け止めるのを感じ声を漏らす。
枕を引き寄せ抱きしめるようにして目を閉じると
深い眠りへと引き込まれていった**]
女主人の死。
通常であれば、浮き足立つなり騒ぎたてるなりしそうなその事態に際しても、メイドたちの無表情さは変わる事はなかった。
主が真紅の大輪花咲かす書斎を訪れたメイドは、問いかける男>>34に、首肯を返した後、地下へと向かう。
……程なく地下から響くのは、がしゃん、という金属音。
貯蔵庫の反対側、閉ざされた扉の鍵が開く音。
その音が響いた後、アナタの許をメイドが訪れて。
変わらぬ無表情のまま、彼女は淡々とこう告げる。
「主人が『鬼』に喰らわれました。
『取り決め』に従い、これより、『ゲーム』の開催とさせていただきます。
地下の武器庫を解放しましたので、牙なき方はご自分に見合うものをお選びください。
皆様のお世話は、これまで通りさせていただきます。
『ゲーム』に関わらぬ御用向きは、どうぞ遠慮なくお申し付けくださいませ」
澱みなき口上を述べた後、メイドはその場から一度姿を消す、けれど。
衣食の世話はこれまで同様、過不足なく行われるだろう。
ただ、それ以外──『ゲーム』に関わる事、そしてそれを逸脱する事を求められたとしても。
彼女たちがそれに応じる事は、ない。**
……何があったかは、今は無理には聞かない。
落ち着いて、気が向いたら教えてちょーだい?
[緩く首を傾いで、口にするのはこんな言葉。
口調は変わらず軽いが、瞳の青は僅か、氷の冷たさを帯びて。
口の端が僅か上がるは刹那、それが歪んで見える笑みを織り成すより先に、青年は踵を返して部屋を出る]
[ジラントの部屋を出た後、メイドを探して酒はもらえるかと問いかけて。
肯定を得ると、部屋まで運んでくれるように、と頼み込む]
……どこまで、至れり尽くせりしてくれんのかしらね。
[無表情なまま注文を受け入れた背を見送りながら、ぽつりと呟いて客室へと戻る。
部屋に落ち着いて間もなく届けられた酒は、年代ものの高級品で]
『ゲーム』のためなら、何にも惜しむものはない……って、とこかしら、ねぇ。
[瓶をつつきながら吐き捨てる、その表情に感情といういろはなかった。**]
[部屋に戻り、しばし取るのは休息。
『仲間』以外の者が寝静まるなり部屋に篭もるなりするまでは動く事はせず。
動く者の気配が感じられなくなった頃、そ、とコエを二人へ向けた]
……起きてるかーい。
そろそろ、『ご挨拶』しようと思うんで、上、行くよ。
[呼びかける口調は、やはり、軽い。
先に、行く時は、と呼びかけた時と変わらぬもの。
部屋を出て、上へと向かう前に立ち寄ったのは室内庭園。
程よく開いた真紅の一輪を手折り、左の手に携える]
あ、コレ?
やっぱ、手ぶらでご挨拶、ってのもなんだし。
[手にした一輪の意を問われたなら、返すのはこんな軽い一言]
ま、さっきも言ったけど。
俺、イロイロと荒事は慣れてるから。
……殺るのは、任せてくれてかまわねぇよ。
[雨音響く階段を上がりつつ、ごく軽い口調で二人に告げる。
この中で一番場慣れしているのが自分なのは察しがついていたから、そう口にするのも自然なこと。
反論があったとしても、だいじょーぶ、とへらりと笑って受け流しながら、先にも訪れた書斎へ。
ノックをすれば、再び開く、扉。
ただ、先ほどとは違い、招き入れる声はないが。
出迎える女主人の笑みは、先と変わらなかった]
……もしかしなくても、お待ちいただいてた?
[緩く首を傾いで、問う。
返されるのは、ただ、微笑だけ。
艶やかで楽しげなそれは、悦びに満ちているようにも、どこか哀しげにも見えた]
アンタが何考えてんのかは、知らんけどさ。
……俺は、ただ殺されるのはご免なのよね。
生きるために『始め』なきゃならないっていうなら、遠慮する理由はないのよ。
ま……そも、そんなモノいらないのかも知れないけど、ねぇ?
[く、と哂う様子は酷く愉しげに。
仲間が女主人に何か言葉向けるのであれば、その間は動く事はなく。
語る言葉が出尽くした、その後。
ほんの僅かな空白を経て、金糸の如き髪がさら、と揺れた。
──同時、天井へ向けて、紅の一輪が、舞う]
[投げ上げられた、真紅の一輪。
女主人の視線がそれをゆるりと、追う。
その瞬間、懐へと一気に飛び込み、懐に忍ばせていた短剣を引き抜いて一閃した。
返す刃で、もう一閃。
空駆けた二閃は、違わず女主人の喉を切り裂き、真紅を迸らせる。
とっさに後ろに跳んで真紅の洗礼をまともに被るのは避けるが、着ている物に真紅が跳ねるのは止められない]
…………と、いうか。
ホントに、どんだけ。
[紅を咲かせて倒れつつ、けれど笑みを失わぬ女主人の貌に、零れ落ちたのはこんな呟き]
……ってと。
んじゃ、『コレ』は、もらうよ?
『取り決め』のとおりに。
[倒れた女主人には、まだ域がったかどうか。
確かめもせずに言い放ちつつ、手にした刃をその胸元へと突き入れる。
通常であれば、身体を構築する様々なものに阻まれて、容易くそこまでは届かぬであろう刃は、尋常ならざる力を持ってその抵抗を退け、しろの奥に秘された紅を──鼓動の源を、抉り取った]
こうされるのが、アンタの……『宴の始まりに饗されるもの』の、『役回り』なんでしょ?
[紅を抉り出す刹那、びくん、と身を震わせた女主人に向ける囁き声は、甘やかとすら思える響きを帯びる。
常ならば、虚飾の睦言紡ぐ声は、今は『鬼』の囁きを織り成すもの]
[抉り取った紅は、手の中未だ、僅かな鼓動を響かせる。
それも遠くなく、途絶えるだろう。
その前にそれを『喰らう』のが──『人喰らい』が、『鬼』の『役回り』。
それを必然と割り切りをつけた青年に、そうする事を躊躇う理由はない、けれど]
……どーする?
[紅を手にして、視線を流すは仲間たちの方。
受け入れるを躊躇うようなら、己のみで喰らう、という意思。
それが、短い問いに込められていた。**]
― 二階/客室 ―
[深い眠りに落ちたオリガは寝台で小さな寝息を立てていた。
規則正しい呼吸は平穏そのもの。
けれど呼ぶ声が聞こえたような気がして意識が揺さぶられる]
――…ん、なに?
[ゲームの開始を告げた彼女の声を聞いた気がするけれど
目を擦りながら身体を起こして見渡せどその姿はない]
ゆめ……?
[首を傾げる。
夢を見た記憶はないけれどそのような事は間々ある事。
釈然としない思いを抱えながら身支度をしていると
扉を叩く音がしてメイドの声が聞こえた]
― 三階/書斎 ―
[用件を済ませたらしいメイドは澱みなく立ち去る。
オリガは呆けたように立ち尽くしていたけれど
はっと我に返って客室から駆け出した。
階段をあがり導かれるようにして書斎へと向かう]
……は、…。
[上がる息に上下する肩。
胸からはうるさいほどの鼓動を感じる。
書斎の前、扉の向こうに見えるのは――]
――――……っ。
[白い光を伴うアナスタシアのカタチ。
最期に居たその場所に大広間で会ったと同じ微笑湛えて
オリガはそれをみたと認識するけれど]
― →三階/展望室 ―
どぉして……?
[ぽつと呟いて口許を手で覆う。
よろ、とふらつく足取りで書斎から離れゆく。
廊下の壁を伝い、歩んだ先には行きには気付きもしなかった場所。
中に入ってそれが展望室であると知れる。
ほぼ全面硝子張りのその場所もまた雨音に包まれていた。
屋敷を避けて降る雨は硝子を叩かず遠くはあるが]
―― え 。
[泣くのを堪えようと空を仰げば見える紅き月。
煌々と輝くその月明かりの中、降り注ぐ紅い雨の景色。
オリガは呆然とその場で立ち尽くす**]
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