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―― リビング ――
[とれたての卵と牛乳。
それから貯蔵庫に保存していたチーズと豆、たまねぎにじゃがいも。
男は厨房でレンズ豆のスープと、パンケーキを人数分用意した。
作りなれたものではあるがカチューシャには及ばぬ素朴な味のもの。
パンケーキの横には切り分けたチーズが添えられてある。
起こすのは悪いと思ったのか声は掛けなかった。
自分の分を平らげると、
空になった食器だけ片して家を出る**]
俺の事、可哀相だって言って。
駄目な奴だ、って言って。
しっかりしろよ、って、
がんばれ、って、無理するな、って、
[黒銀に顔を埋める。
獣狼は何を感じるのか、ペロとロランの手を舐めた]
愛してる、って。
父さんと母さんの代わりにさ……
[ぎゅ、と。
力いっぱい、抱きしめた]
寂しいよ。
誰か……いて、欲しいよ……
[それでもいてくれた人の事を、餌と見る時が来る。
喰らって満たされる自分を知っている。
だから、叶わぬ夢を零した。
獣にしか言えない言葉。
可哀相ぶった所で、人を喰らう欲は消えないし、
人を喰らった罪が消えるわけではない。
それでも暫くの間、闇の中で獣を抱き締めた*]
[陽光が村を薄く照らし始める頃、
ロランの姿はキリルとレイスの家の裏にあった。
傍らには黒銀の毛並みを持つ狼が控え、
イヴァンの畑に置いたままの車椅子の代わり。
見下ろしているのは、白い花。
可憐に花開いた、その夢のような香り纏う花]
…本当に、いい香りだね。
[呟くと、ひとつの花を土から掘り返す。
あの時、あの山で、そうしたように。
根ごと革で出来た袋に入れると、鞄に入れた。
そして狼の背にしがみつくと、獣は力強く地を蹴り。
いくらかの獣の毛と土踏む足跡を残して、
黒い大きな影は森の中、川の方へと消えた**]
― ユーリーの家 ―
[夜が白々と明けるまで、幼馴染との思い出を思い返してる。
日の光が窓から差し込んできた頃、家の中で動く物音がする。
けれど、起きて行く事はしなかった。
一睡も出来なかった顔は酷い事になっている]
――……キリル……
[目を閉じて居れば、兄やイヴァン、キリルの姿が脳裏に浮かび。
嘆くロランと、妹をなくしたレイスの姿も浮かんだ。
思考はまとまる事もなくちぢに乱れて。
ミハイルが泊まっていたのなら、その物音も聞こえなくなった頃、ようやく起き上がった]
――会いに、行かなくちゃ。
[レイスか、ロランか。
どちらかが息断えた姿で見つけられるだろうことは解っている。
それでも、どちらにも生きた姿で会えれば良いと願っていた]
[ユーリーが用意した食事は、食欲がなかったから、レンズ豆のスープだけいただいた。
日常を思い起こさせる素朴な味に、ほんのすこし目元を和ませ。
食卓の上を綺麗に片付けてから家を出た]
[キリルの家に泊まったときに使う予定だったものは、ユーリーの家での着替えになった。
黒ではないけれど、深い茶色のワンピースを選んだのは、兄の死を悼むためであったのに、今ではイヴァンやキリル、イライダを悼むためのものだ。
イライダの死は、昨日、ユーリーの家に落ち着いてから、ユーリーからか、またはミハイルから聞いていた]
― ロランの家 ―
[先に家を出たユーリーやミハイルの姿はあっただろうか。
レイスの死を彼らが先に発見していたらきっと中に入るのは止められるだろう。
けれど、制止を振り切って飛び込んだ。
――その、凄惨な光景に、足が止まった]
…… れ、いす さん……?
[酷い遺体をみたのはイヴァンが殺されるのを目撃したときぐらい。
人狼に襲われた後がどうなるのか、初めて目にして。
そのあまりの酷さに顔から血の気が引いて、その場に座り込んだ]
[家を出てまっすぐロランの家に向かった。
次第に濃度を増す鉄錆の匂いに柳眉を寄せ窓から作業場を覗いた。
作業机の上に寝かされた男が誰であるかは直ぐに知れる。
夥しい血と獣の足跡――]
レイス、……
[人狼に襲われたレイスは人間と知れる。
犠牲者であるが彼は幼馴染であるイヴァンの命を奪った相手]
キミには生きて、償って欲しかった。
イヴァンがキミに奪われた時間を、生きて――…
[会ってそれを伝える心算であった。
けれどそれは間に合わず獣に襲われた仲間の亡骸があるだけ。
ゆる、と首を振り、男はロランの姿がない事を確かめてから
其処を後にした。
ややしてカチューシャが其処を訪れるが男は知らぬままロランを捜す]
――川辺――
[川辺の小屋。
マクシームの棺の横に並ぶイヴァンの屍体を見下ろす。
脇に屈んで、その手を取った。
冷たく、硬くなった土気色。
持ちあげるのに少し力がいったから、身を屈めて口に含む。
ガリ、と音。
先を千切り、口に入れて飲み込んだ]
…あとは、――キリル。
[小さく呟くと、黒銀の毛並み持つ狼の首へと腕を回す。
狼の力強い跳躍を持って、またその姿は森へと消えた]
[血の匂いのすさまじいこと。
口元を抑えて視線をそらした先。
小さな机の上に置かれたものが視界に入る]
――あれ、は……
[よろりと、壁にすがって立ち上がり、近づく。
置かれていたのは、リボンがかかった鹿革の水筒と、しっかりした作りのベルト。
――ロランが、作ってくれると言っていた、ものだった]
……どう、して……どうして、ロランとキリルが……
[幼馴染の二人。
その二人が行ったことを思い。
けれど、変わらぬ優しさを感じた事も思い出して、ぼろぼろと涙がこぼれた]
―― 川辺 ――
[方々を探し回り草臥れ始めた頃
辿りついたのは川辺だった。
川に落ちたロランと
それを心配そうにみていたカチューシャ。
その時の光景が脳裏に過ぎる]
村にいないなら、森、か……?
[川辺から木々生い茂る其方を見据えた]
ロラーン!
[声を張り上げ名を呼んでみる。
入れ違ったことには気付かず声は虚しく響くのみ]
[どれだけ泣いていたのかもわからない。
血の匂いが体にまとわりつくのも気にならなくなった頃、涙を拭って、水筒を手に取った。
ミハイルへのベルトはその場に彼が居ればもって行くだろうし、いないなら、置いていくことにした。
眠れていない上に泣いた顔はさらに酷い事になっているが、それを気にする余裕もなく、ロランを探しに村の中へと戻った]
逃げなきゃ。
…でも、――キリルの事は、ちゃんと、
――約束、だから。
[呟き、ガサガサと森を進む。
どこにあるのだろう。
鼻をくんと嗅いでみても、夜の遠い今、その位置は判らず]
―朝―
[きちんと眠れたのか、自分でもわからなかった。
瞼は閉じていたけれど、ここ数日、まともに寝ていないのにも関わらず頭では考えるのを止められなかった。
レイスか、ロランが人狼。まだ、終わらない。また誰かが殺されるのか。
どちらかが人狼なら、どちらか既に…もう生きてはいないかもしれない。]
二人とも人狼なら、生きているかもしれねぇ…かな。
…なにを、馬鹿なこと―――。
[ベッドに身体を横たえたまま、ぽつりと。
生きているのが当たり前だったのに。
それを打ち消さなくてはならない現実が痛い。
幼い頃からずっと見てきたのに――。
どちらが人狼だったにせよ、キリルを含めた記憶の中の三人は自分と変わらない人間で。
可愛い弟であり、妹で。
ベッドの上で頭を抱え、大きな身体を丸めた。]
[森の入り口あたり、うろうろしていると
木々の隙間から、ふわふわと柔らかそうな髪が見えた。
大きな木の影から、そっと覗く。
烏色の髪は影にいいが、青白い肌は少し、目立つ]
…――
[カチューシャだ、と、木々の隙間から見て。
他に人がいなさそうだったから、少しだけ、姿を見せる]
[イヴァンの元へと思ったが。
もしかしたら、また血腥い出来事が起こる可能性も考えてしまって。
イヴァンとマクシームの静かな眠りを邪魔する気にもなれなくて。
結局、どこに向かってよいかわからぬまま――
脚は自然と自宅へと向いていた。]
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