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ほんとに大丈夫?
[笑って休んで、と言う幼馴染に心配そうな視線を向ける。
頷かれればしょうがないとため息をもらし。
ぺち、と軽く額を叩く。]
怒られるから、じゃないでしょー。
ちゃんと休んでないとあたしもおこるからね?
[まったくもう、とわざとらしく肩をすくめて見せる。]
それじゃ、また明日。
[ひらりと手を振って部屋から出る。]
[そんなに長居したつもりもないけどそれでもそれなりの時間が経っていたようで。
アーベルはすでに雑貨屋のほうに向かった後のよう。
ヴィリーとフーゴーが話している所で声をかける。]
クロエは大人しく寝てると思う。
あたしはもう帰るつもり……おっちゃん、今日はありがとね。
[ヴィリーが送っていこうというのなら、大丈夫と答えるものの、それでも送ると曰われれば小さく笑んで。]
ん、じゃあお願い……
[こくりと頷き、ともに宿を後にして、女の自宅へと帰っていった。**]
─回想─
[適当につまみながら話をしているとゲルダが部屋から戻ってきて]
そうか、ちゃんと休んだならそれで良い。
いや、俺は部屋を貸しただけに過ぎん。
礼は動いた奴らに言ってやれ。
[礼を言うゲルダにはゆるりと首を振った。その後ゲルダはヴィリーに送られ宿を去り。
しばらく後にアーベルが戻って来て部屋へと引っ込むと、フーゴーはカウンターから出て来る]
さて、今日の業務も終わりだ。
リッキー、片付けるぞ。
[洗い物やら酒場の片付けをしてから自室に戻り、眠りについた]
─朝・宿屋─
[いつも通りに朝早く起き出し店の準備をする。と言っても厨房周りは全てリッキーに任せ、フーゴーはテーブルから椅子を下ろしたりの雑務のみを行っていた]
………ん?
[そんな中、宿泊部屋側の出入口から誰かが現れ、何事か呟きながらふらふらと店を出て行くのを見る]
…ありゃあ、クロエ、か?
大丈夫なんか、あれ。
[誰なのかを判別するのに少し時間がかかった。その間にもクロエはどこかへと向かってしまっている。フーゴーは厨房から顔を覗かせたリッキーと顔を見合わせ首を傾げた]
…ちぃと追いかけて来るか。
途中でまたぶっ倒れられても敵わん。
[後をリッキーに任せ、フーゴーは店の扉を開けた。それを狙ったかのようにツィンが飛び出し、クロエの後を追う。クロエの姿が既に見えなかったため、フーゴーはツィンの様子に気付くとその後を追うことにした]
─自衛団詰所近辺・路地─
[ツィンを追いかけ辿り着いたのは自衛団詰所近辺。眼の前には人だかり。何かを取り巻きざわめいていた]
おい、何かあったのか?
[一番後ろに居た島民に声をかけると、一瞬怯えの色を向けられ。その後に、「見た方が早いよ」と言われ道を開けられた。その先に広がるのは赤の溜まり、それに沈む旧知の友]
んなっ……!
[流石にフーゴーも絶句した。その傷跡に強く眉を顰める。そちらに気を取られていたのか、座り込むクロエに気付くのは遅れ、視線を落としたところでようやく気付いた]
おい、クロエ! 大丈夫か!
おめぇは一旦宿屋戻れ、良いな?
[放心状態のクロエの肩を揺らし、意識をこちらへと向かせる。応じる仕草を返されると、集まって来ていた者に頼み宿屋へと連れて行かせる。ツィンもまた、その後について宿屋へと向かって行った]
……くそっ!
もう少し考えるべきだったな……奴らが居るなら一番に誰を襲うかってのを……。
[やり場のない怒りを拳で傍の壁にぶつける。人狼が居るなら、否、居ることは分かっていたはずなのに。考えが及ばなかった自分を不甲斐なく思う]
審問から離れてたからって、勘を鈍らせてる暇はねぇってのに……!
[悔しげな呟きは他には気取られぬよう小さく。けれど動揺も相まって一部の者には聞こえたかも知れない。しばらくの間、フーゴーは変わり果てた団長の姿を目に焼き付けるかの如く惨状を*見つめていた*]
― 朝 自宅 ―
リディさん、おはようございます。
[本日は胡椒もあるということで、三度目の正直か、
コンソメスープとライ麦パンを用意してから、
譲歩するといった言葉通り、少女の居る客室へと向かう。]
私はこれから少しばかり海の方へと行って、
その後、森の方に行く予定です。
[相手が起きていようがいまいが、淡々とこれからの予定を述べる。
反応があればそれを受け、反応がなければ吐息を一つ吐いた後、
最初の日生けた野花(既に枯れていたので片されている)
を置いていた位置に、
今後の予定を書いたメモを置いて、家を出ることになる。]
― 自衛団詰所近辺 ―
おや…――。
[相変わらずのマイペースで海の方角へと向かっていれば、
自衛団の詰所近くに人だかりを見る。
丁度、フーゴ―が駆け付けた時だったようで、
彼の為に開かれた道から、ギュンターの遺体が見えることとなる。]
…―――。
[その惨状にも、無表情は常のまま動くことなく。
ただし、いつもと違ったと云えば]
嗚呼、では、クロエさんは私が運びましょうか。
[彼女も容疑者ということもあり、また第一発見者なら尚更か、
フーゴーの願いにまごついている
島民の空気を読んだわけでもないだろうが、
珍しく、自らクロエを運ぶことに立候補する。]
[クロエが一人歩ける状態なら、送るといった方が正しいが、
彼女が一人で歩けない状態なら、リディの時と違って、
横抱きに抱きかかえるも、
生物学者が抱えると、荷物を運ぶ様相になるのは何故か。]
では、いきましょう。
[そう声をかけたのは、クロエなのかツィンなのか。
聡いぶち猫がついてくるのを確かめて、
抱きかかえてるならば、女性の重みを感じない風に飄々と。
彼女が歩ける様子なら、肩を支えて歩きだす。]
…―――。
[けれど一瞬足を止めて、フーゴーの方を見やったのは。
彼が零した言葉を聴きとっていたからか、否か。
そこはいつもの学者と違わず、
深い追求をせずにそのまま踵を返して、
クロエを宿へと送り届けることに。]
― 宿へ ―
[途中、誰かにいつもと違う様子で
クロエを送っていることを問われたなら。]
ギュンターさんが亡くなったので。
[と、いつもの通り言葉足らず過ぎる説明をしただろうか。]
ということで、リッキーさん、後は頼みます。
[宿につけばリッキーに流石にもう少しまともな説明、
場所とクロエの状況を端的に伝えて、
部屋に運ぶならそこまでは手伝い、
けれど看病などには手を出すことをせず。]
…―――。
[心配そうにしているぶち猫の喉元を一撫で。
その後、誰かに事情を聞こうと引きとめられなければ、
何事もなかったかのように、フィールドワークに*向かうか*]
―昨夜・別荘―
[アーベルからはいそがずとも、と言われたが。
それでも別荘にもどり、最初に使用人にいいつけたのは借りていた服のこと]
返すときの、こころづけは、自分でえらぶわ?
[その服のはなしから発展し、彼女とのはなしは宿屋でおきたことに。
表情をくもらせる彼女の肩にそっと手をおき]
あたくしは、だいじょうぶよ。
メメントモリ……それがいままでも常だったのだし。
いいおんなになりたいもの。
[別荘の自室にはいったのなら、書きかけの羊皮紙が目にとまる。
インスピレーションをもとめて外にでて、そのまま]
つよすぎるインスピレーションよねぇ。
ものがたりとして書くには不謹慎といわれちゃうかしら?
[それでも、と、その日あったことのあらましをインクでつづる。
ある人物の回想を中心にすえたものがたり。
そう見せかけただけのノンフィクションを]
―翌朝・村中―
よふかしは、美容の大敵よねぇ…。
[あふ、とくちもとを手でかくしながらのあくび。
日持ちのする砂糖菓子をえらび、服へのおれいとする。
それでも天候がいまだ荒れており、服じたいが乾いていないので、もっていくのは後日となるが。
その代わりにもっていくのが、服にしのばせられるだけの小さい護り刀というのは、なんとも差がはげしい]
あらぁん…?
むこう、騒がしいわねぇ…。
[目が向いたのは、昨晩教わった自衛団の詰め所の方角。
ドレスのすそをゆらし、そちらへと近付いていく]
[ドレスで歩むおとこに気付いた島民が、みじかい悲鳴をあげた。
そのようすから、ひとつの想像――予想ともいえるもの――をくみたてながら、人だかりのむこうをみる]
…あぁ……。
[ちかづくほどに血臭もただよっていたから、なおのこと]
死者が見つかったのね。
[その事実はわかりやすいものとなっていた]
―路地―
……ふあぁ。
[朝になり、自衛団詰所へと向かう男は一つ欠伸を洩らした。
目的は昨夜話した通り、団長に会うことだったのだが]
んぁ。
なんだ、珍しい組み合わせだな?
[途中ライヒアルトとクロエ、ついでに猫を見掛けて声を掛ける。
クロエが抱き抱えられていたなら、揶揄いよりも「色気がねぇな」などと呆れたような言葉でも掛けたろうか]
は?
[が、その調子も短い説明の後には崩れ]
ちょ、おい。
そりゃどういう……
……いや。
アンタに聞くよか、直接見たが早いか。
[尋ねかけるもそう判断して、先程より急ぎ足で詰所へ向かった]
―詰め所近く路地―
[けわしい表情で、死者をみつめる。
凄惨としかいえぬようなそれをみつめるのは、ものがたりのためか。
傍からすれば、なにかにとりつかれているようでもあるか]
――……。
[痛ましそうに首をふり、十字を切るゆびさきの動きは貴族の優雅さ]
―詰所近く―
[目的地に近付くにつれ、見えてくる人だかりと血臭に眉を寄せた。
ヘルムートやフーゴーの姿を目の端に捉えつつ、現場を見た。
恐れの視線が向くのは気にした様も無い]
……酷ぇな。
[その反応に死体そのものへの恐れが薄いのは職業柄見慣れている所為か。
それでも近付かずとも分かる惨状に、知らず眉根が寄った]
―自衛団詰所近辺・路地―
[肩を揺さぶる感触と、声。虚空と化していた意識に響くそれは、途切れていた感覚の幾つかを繋ぐ]
……だん、な……?
うん……もどる。
[か細い声は、普段の勢いに慣れた者には異質と見えるか。
ふらつきながらも立ち上がった所に、ライヒアルトの申し出が聞こえ]
だいじょぶ。
あるける、から。
[かなり、ぎりぎりの状態ではあるのだが。
自分で歩く事を選び、肩を支えられつつ、宿へと戻る。
周囲から向けられる視線、それに込められた感情に気づく余裕は、なかった]
―宿屋―
[歩く気力が続いたのは、酒場まで。
椅子の一つに座り込み、小さく息を吐く]
ここで、いいよ。
も少し、落ち着いたら、部屋、戻るから。
……ありがと、ライ兄さん。
[ぶち猫を撫でるライヒアルトに、小さく言って。
彼が行ってしまうと、膝に上がってきたぶち猫を抱え込んで*目を閉じた*]
[十字を切る仕種と、しばしの瞑目の後]
おい、団員は何処行った。
いつまであのままにしとく気だ。
[周囲を見回す。
団員の1人でも捕まったなら、遺体をどうにかするよう告げて]
先日の死者もだが。
弔う気があんなら、教会に連れて来い。
[そう付け加え。
今暫くは*その場に*]
神父さま…えぇ。
[ひどいといわれたのなら、うなずくしかなく]
あの方、きのうの団長さん、ですわよね?
[あからさま、といえば、あからさまな事実だが。
数おおくの傷口や、おびただしいくれないの色彩が、その事実をみえにくくしていた]
やっぱり、ああいうはなしをしたから…。
[いちばんさいしょに狙われたのだろうかと、問うように。
胸元に手をひきよせ、ぐっとにぎった]
―深夜―
…ヴァイオラ、…ヒースクリフ。
[囁くコエは柔らかくも、女の甘さは無い]
[ただ、其れは何処か浮付いた熱を帯びていた]
獲物が来たよ。
[別荘へと帰る以前、団長を呼び出すための手紙を出していた]
[名ではなく、占い師であるとにおわした文面で]
[物語の紡ぎ手たる男にとっては、楽な仕事]
[深夜、狼であるかも知れぬ他者にバレないように]
[二人きりで逢いたいと]
[男は別荘から出る時には、男物の服を着ていた]
[質は良くとも飾り気の少ない其れ]
[貴族のものだとは、気付きにくいような]
[漆黒に近い格好は闇の中に溶ける]
[路地に立つ団長と正面から対峙したなら、誰何の声]
ティーク家のものだよ。
[陶磁器の滑らかさで声を出し、出自を示す]
[雰囲気の違いを疑われても、爪隠しとしか告げずに]
…まだ殺されたくは無いからね。
さて、本題に入ろう。
僕は人狼が誰か、知っているよ。
[つぶやきとともに差し出すのは一枚の紙片]
[まるで、そこに答えがあるとでもいうかの如くに]
[受け取ろうと近寄る其の姿に、暗闇の中、口端が上がる]
─自衛団詰所近辺・路地─
[クロエの反応に眉根を寄せる。状況が状況ではあるが、あまりにもぼぅとし過ぎではないか、と。立ち上がるのには肩を支え、ライヒアルトから申し出があるとクロエを彼に託した]
すまねぇな、頼む。
[肩を支えられながら宿屋へと向かうクロエと付き添うライヒアルトを見送る。視線を現場に戻すと、また無意識に左腕を右手で握り込んだ。しばらく見つめた後、フーゴーは踵を返す。ウェンデルとヘルムートには気付いて居ないのか、声をかけることなく急ぎ足で宿屋へと向かった。
クロエのことで、気になることがあったために]
─ →宿屋─
[丁度ライヒアルトとは入れ違う形になっただろうか。改めて礼を告げてからクロエへと近付く]
クロエ…どうして、あそこに行った?
髪も整えねぇままにふらふら出て行っただろ。
何で、あそこに行く必要があったんだ。
[周囲には誰か居ただろうか。それも気にしない、否、気を回せないくらいに焦ったようにクロエへと訊ねた。第一発見者は一番疑われやすい、けれどクロエに返り血のようなものは無い。一抹の不安ともしやと言う思い。綯い交ぜの状態でフーゴーは答えを*待った*]
―宿屋―
[差し込む光が揺れている]
母さん、違う…。
俺は……じゃない…っ!
[左手を大きく振り払う。
微かな痛みが走り、パチリと瞼を開いた]
……チッ。
[半身を起こした格好で重い頭を振る。
纏わり付く気だるさも振り払って起き出した]
クロエ…?
[もしまだ寝ていたらと、そっと開いた扉の中は無人だった。
眉間に皺が寄り、足早に酒場へと向かった]
[伸ばされた団長の手を、紙片を持たぬ手で勢い良く引く]
[その紙片を渡す代わりに、与えたのは牙]
[呼びかけた二人が来ているかは頓着しなかった]
[傷付けた喉は、声を上げるにも足りず]
[命を落とすにも足りず]
[痛みにもがいて、暴れる様を見下ろした]
……ふ、
[微かな哂い声が洩れる]
まだ、だよ。もう少し、愉しませてくれ…。
― 酒場 ―
……そうですか?お大事に。
[宿へとクロエを運ぶと、椅子までで良いと示され、頷いた。
やはり性分なのか、それ以上は云わずに、
何かやはりピントのずれた言葉をかけ、
ぶち猫から手をひくと、すくりと立ちあがる。]
いえ、大したことではないですし。
[酒場を出ようとしたところで、フーゴ―とすれ違う。
礼を云われれば少し首を傾ける。
何かを問う様な眼差しを向けるも、フーゴ―はそれに気がつかぬ様子で、クロエに近づき焦ったように彼女に問いかけの言葉を発した。]
…―――。
[学者が沈黙を保てば、空気のような存在となる。
そうでなくとも、フーゴーは周りを気にしている様子ではなかったけれど。
クロエが、フーゴ―の問いにその場で何か返すようであれば、
それを聴いて、けれど問いは重ねずにその場を離れるだろう。]
―宿屋・酒場―
親父さん、クロエを見なかったか?
部屋に居ない…っ!?
…クロエ?
[椅子に座り込んでいる姿を見て息を飲む。
下ろされたままの髪に別人と勘違いしかけたが、すぐにクロエだと気づいて名を呼んだ]
親父さんが追いかけて。
自衛団長が…?
ライヒアルトさんが連れてきてくれたんだ。
[リッキーが近寄ってきて、状況を耳打ちしてくれる。
沈黙しているライヒアルトがいれば感謝の視線を送った。
リッキーから水のグラスを渡されると、フーゴーの問いかけは同じく邪魔をしないようにしつつ、クロエの傍に近寄り置いた。
何度文句を言われてもやってしまう頭を撫でる手は、少し強張っていたかもしれない]
――……時は来たれり。
[囁く言の葉と共に、男の姿は白金の狼へと変じる]
[身体の全てを獣の其れへと成したのは]
[彼の狂気の狂喜が極まってのことだろう]
[散々に弄ったあと、最後の傷は腹部への爪]
[鼻面を傷の中に押し込め、肉を食んだ]
嗚呼。
[ぽつり、呟いて]
[口許を拭う頃には、また人の姿へと]
ご馳走様。
そう言えば、腕は落としておいた方が良かったのかな?
[強請るコエを今更のように思い返し、問いかける]
[おそらく自分でなんとかするだろうと思っていたから]
[気にしなくても良いだろうと内心では思いつつ]
やっぱり味は、さほど良くないね。
餓えは治まりはするけれど…。
口直しが欲しくなるよ。
[は、と、残念そうに浅い息を吐いた]
― 深夜のこと ―
[自室に戻るも寝ることはなく、
フィールドワークの内容を、薄明かりの下まとめていると、
女性のものとは違うが、柔らかな聲が脳裏に響く。]
今から行くよ。
少し遅くなるかもしれないけれど。
[同じ敷地内に少女がいればこそ。
抜け出すのは少し慎重になる。]
[抜け出しても大丈夫だろうと思った頃には、
初め呼びかけを貰った時より、随分時が経っていた。]
…―――。
[少し考えるように顎に手をあてて、
その手を顎から解放すると窓を開けた。
開け放たれた窓から地に降り立つのは、
闇夜に紛れるような漆黒の狼。
森と海の中間のような色の双眸だけが、
闇夜でも存在を示すように光り、翔けて行く。]
いえ?今から落とすのでお構いなく。
[セザーリオの問いかけがあった辺りで駆けつけた漆黒の狼は、
その鋭い爪でギュンターの胴体から右腕を分離した。
その様を、ヒースクリフは見ていただろうか。]
[牙だけは狼のまま、人の姿に戻ると、
刈り取ったギュンターの腕を齧りながら]
歳を取ってから絞めた鶏みたいな歯ごたえですね。
[硬いと云いたいらしく、口周りを紅に染めて、
文句らしいことをいいながらも、腕一本を喰らっていく。
最終的には骨もカリカリと狼の牙で食べつくして。]
……口直しのご希望はありますか?
[残念そうなセザーリオに、希望があるならどうぞ?
と、云いたそうな視線を送った。]
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