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[去り際に、ノーラには返事もせずに片手を振る。気にするな、とでもいうように。]
―西殿・結界前―
結界が…?ってことは、また何か加わった、とかか?
[結界には詳しくない。そう再び問いながら、逆に問われた事には。]
ああ、聞いたというか…見た。
綺麗にチビだけ攫って、抱いてたノーラ殿には影響なかったらしい。影響少ないのは幸い…かね。
[ブリジットとザムエルにそう答える。]
─西殿・結界前─
加わったと言うよりは……虚竜王様の不機嫌が増したのではないかの。
ほぼ推測じゃが。
[ブリジットの話を聞く限り、複雑にしている原因が虚竜王の不機嫌だと感じ取っていたり。クレメンスにそう返しつつ、返ってくる言葉には]
ぬぅ、ノーラ殿が共に居たのにハリョン殿だけを、か。
その精度を流石と言うべきなのかは良く分らんが。
―― 西殿・結界前 ――
[手を離して、年長者達の所へと近付く]
クレメンスさんも見てらしたんですか?
俺、思うんですけど、結界そのものより、虚竜王のご機嫌を治す方法を考えた方がいいんじゃないでしょうか?
―西殿・結界前―
クレメンス様。
[やってきた生命の竜に顔を向けた。
変わりは無いか、という言葉には、悩みながらも頷いて]
そうですね。
中には養父もいるようですし。万一のようなことは起きないと、そう思いますが…。
[エーリッヒに対するのが煮え切らない言い方になるのは、格別の結界などはないとはいえ、東殿の中にまで迷い込んで来ている混沌のカケラの存在が頭の中を過ぎるからで]
そう、ユーディット様は何かご存知でしょうか。
虚竜王様を一番良くご存知なのは、あのか…。
[そこまで言って、今度こそ不自然に言葉が途切れた。
目を何度も瞬き、周囲を見渡す]
―西殿/結界前―
[既に集まっている者達の話から大体の事情は察せられた。青年の眉が寄り、手が動いてさっきまで抱いていた小猫の毛を払う]
さらに不安定に、不規則に……ですか。
また、取り込みが起こる可能性も?
[詳しそうな大地と氷破の竜に問いかける]
―西殿・結界前―
[クレメンスの問いには、ふるりと首を振るって]
加わったか何かは、軽く見ただけでは分からなかった。
ザムエルの言うとおり、虚竜の王の不機嫌成分かもしれないし、
単に、各属性のバランスが崩れているからとか……そういう、理由かもしれないわ。
[翠樹の仔の背を撫でながら、少しだけ困ったように答えた。
そこで聞こえたのは、不自然なところで途切れた、天竜の言葉で]
……エルザ?
―西殿・結界前―
[アーベルの問いには、一度だけ頷いて]
スパンが短くなるかもしれないし、複数取り込まれるかも、しれない。
それこそ、機嫌しだいかも。
[眉根を寄せて、呟くように答えた]
―― 西殿・結界前 ――
[天竜の口から出た時空竜の名にこくこく頷く]
ああ、それ!ユーディットさんなら、虚竜王を宥める手だても知ってるかも。…て、どうしました?
[言葉を途切れさせた天竜に首を傾げる]
そんな、いつの間に。
でも時空は居るだけで、分かる、もの…。
[胸元をギュッと握り締める。チャリリという鎖の音が鳴る]
どう、して。
結界の傍にいたのに。分からない、なんて。
─西殿・結界前─
…ふーん。流石に俺じゃそこまでは分からんのが。
流石年の功?
[ザムエルの推測に、ちらと顔を見て言い、へらり。
実際はおそらくクレメンスの方が年上ですが。]
うはは、確かになぁ。
…流石ついでに、その辺の石とか草とかで我慢してくりゃ良かったのによ。よりによってチビからとは。
─西殿・結界前─
虚竜王様のご機嫌直しを思いついたとて、どうやって実行するんじゃい。
[エーリッヒの提案に浮かんだ疑問を口にする。アーベルの姿を見つけると、その言葉にも頷いて]
虚竜王様の機嫌が直らぬうちは引き寄せられる可能性は高かろうて。
それこそ封から解放されるまで続くやもしれん。
[そう返したところでエルザの言葉を聞く]
そうじゃな、ユーディットに聞けば何かしら……エルザ?
如何した?
─西殿・結界前─
[エーリッヒにもちらり。
…とりあえず左手をぐいと無理やり掴んだ。
強制的に癒しを注いでみるが、効果があったかはわからない。]
方法、あると思うか?
原因の虚竜王はあっちに居るってのに。
[手の届かない竜の機嫌の直し方とか流石に思いつかないといわんばかりに。
ちなみに手は掴んだまま。]
[ビクリ、と全身を強張らせた。
詰めていた息を吐き、ブリジットやエーリッヒがこちらを向いているのを見れば、何度か頭を左右に振って]
…すみません。
ユーディット様が今まで何処にいらっしゃったか、ご存知の方はおられませんか?
[感情を押さえ込むような、作られたような平板な声で尋ねる]
私は……丁度、ザムエルの雷から逃げた辺りしか、分からないけれど。
[エルザの問いに、ふるりと首を振る。
抱きかかえた翠樹の幼子も、起きていれば首を横に振るっただろうか]
[小猫を下ろした場所と寸分なく戻り、外していた封を身に付けていく。そうして小猫を抱き上げてから、ようやく息を吐いた]
……残念だが、時空竜殿は剣をお持ちではなかったよ。
決して揺らがない強い心の持ち主だったけど。
[月闇と生命の竜の、陽光の仔竜の結界取り込みについての反応は心を集中させていた為に気付かず、報告を送る]
―西殿・結界前―
んー…結局不明なのか。
なんなんだかなぁ。
[ブリジットが首を振り補足してくれたのには軽く頷いて返す。
アーベルの問いと回答を頭に入れながら。
氷竜が天竜の名を呼んだのを聞き取り、同じようにエルザの方を見た。]
どうした?…ん、ユーディット?
さっきまで裏庭にいたはずだが。
[ほの少し前まで一緒だった、ティルを見る。同じように頷いただろうか。]
─西殿・結界前─
……お主の方が長生きしとるじゃろうて。
[年の功と言いながらへらりと笑うクレメンスにじと目]
それで満足するようなお方でもあるまいて。
無差別であるらしい以上、誰が取り込まれてもおかしくはない。
[ユーディットに関してはブリジットと同じために、そちらの言葉に同意するように頷く]
―― 西殿・結界前 ――
[ザムエルの、どうやって、という言葉に、ぱちぱちと瞬き]
えーと、ほら、ここで虚竜王様の気に入りそうな歌とか踊りとか演じてみるとか。駄目でしょうか?
[そんな事を言ってる端から生命竜に腕を引っ張られる]
わわ…!
[癒しの力が注がれたのは判った。だが…]
あ、すみませんクレメンスさん。こっちの腕はその…生命の力は及ばないんです。
[申し訳なさそうに笑うと、手袋をずらしてメタルの腕の一部を見せる。有機の生命は無機の生命とは近しくも遠い物。それが対の一つである意味だったから]
でも、ありがとうございます。
[ぺこりと一礼した]
[それからオティーリエの心配そうな心に微かに笑みを浮かべて]
あぁ、大丈夫だよ。
[変わりのように小猫を撫で、東殿へと連れて行った。
そして現在、西殿の結界前で青年が意図せぬ取り込みについて*話を聞いている*]
[表の会話で彼女の話題が出る前に、アーベルからの心話。]
ああ、時空のだったのか。
へぇ、決して揺るがない…ね。
なら外してたとしても、さっさと送ってて正解かね。
[そういいきり、怪我はなさそうなのでならばと、それ以上の心配はしない。]
ええ、そこまでは、私もご一緒しておりました。
[ブリジットの言葉には小さく頷き]
裏庭に、ですか。
[クレメンスやティルの反応に東殿の方を向く]
確かに、時空の方なれば。場所を動くもあり得ましょうが。
それでも、ここまでは…ありえない。
[視線を転じるのは、傍にある結界]
―西殿/結界前―
[ブリジットの答えに目を伏せて考え込む]
スパンが短くなるのも複数も、困りますね。
そもそも十五竜王を封じている結界に更に力強き者を取り込めば、いつかは限界が来る。
[禁断の知識から引き出した智すら、限界を超えた結界がどうなるのかを教えてはくれず眉間の皺が深くなる]
─食堂─
…んぁ、ちょっと待って俺も、、
[様子を見てくると出て行くエリィを追おうとして、ふと思い立つ。]
あー、やべ。触媒取ってこなきゃ。
[自室へ寄り道した後、結界の方へ。]
─西殿・結界前─
結界の中からこちらを見聞き出来るかも分らんと言うに。
そもあのお方が好む歌やら踊りが思い浮かばぬ。
[しかしそのような発想の出来る機竜の仔にこんな時だが面白げに笑みが零れる。
ありえないと言いながら結界に視線を転じるエルザを見て、つられ結界へと視線を向ける]
…まさかとは思うが。
気配が感じられぬと言うことか?
―― 西殿・結界前 ――
あの、まさかとは思いますけど、ユーディットさんも虚竜王の不機嫌に巻き込まれてたり?
[最早、その発想しか出て来ないようです]
─西殿・結界前─
うはははは!まぁな。
おいさんハイカラ品なんか見に付けられないくらいおいさんだしな!
[ザムエルにじと目されてもへらりへらり。
暗に何を言ったかは、おそらく当人には分かるだろう。
エーリッヒの手袋の下をみて、ようやく手は離される。]
ああ、やっぱりか。
念のためって、一応試してみたんだが…ちょっとしか入れなくて良かったわ。
[一応節約はしていたようだ。礼には、必要ないと首を振る。]
…んでも、何でそんな折れたみたいになってんだ?
[それは少し怪訝そうに。]
―西殿/結界前―
[そうしてザムエルから返る言葉に視線を上げる]
不機嫌が直るには…他に方法は無いでしょうね。
[大地の竜の言葉に頷き、彼の視線を追って天聖の竜を見た。もちろん視線を合わさぬよう左の手の甲をだが]
…ご機嫌直しったら…天岩戸作戦くらいしか思いつかないや。
[わらわら集まってるみんなに合流しつつ、ぽつり。]
で、どうしたんさ!?
なんか取り込まれたっぽいってのは判ったけど!
―― 西殿・結界前 ――
[ザムエルの言葉には軽く首を傾げる]
だって、内側から強化されて中が見えなくなったんでしょう?竜王様方も、外の様子が全く気にならないわけないし、中からは見られる手だてを残すのが普通じゃないでしょうか?
確かに、虚竜王様の好みは判りませんから、それをユーディットさんに聞けばって思ったんですけど。
[一応理屈はあるみたいです、はい、機鋼の仔ですから]
[殆ど塞がりかけ、力を取り戻してきていた左手甲に、僅かに爪を立てる。完全に傷をつけるほどではないが、強まる天聖の気配]
無限なる虚は閉じている。
だからこの竜卿の中に在れば、その気配は特に目立つはず。
なのに。
[キリ、と奥歯を噛み締める]
――時空竜の気配が、何処にも、無い。
この結界以外に。
―西殿・結界前―
……あまり想像したくないですね、それは。
[限界、というアーベルの言葉に、思わず眉根を寄せる。
ふと気付くと、翠樹の仔竜は、寝息を立て始めてしまっていた。
疲れが出たのか、難しい話についていけなくなったのは分からないが。
黄蛇――ナギが、ブリジットへと申し訳なさそうにして来たが、
ゆるりと首を振って、気にしないようにと伝えた]
―西殿/結界前―
[そこで耳に届いた微笑ましい機鋼の仔竜の言葉に、眉間の皺がゆるんだ。口元の微笑も僅かに戻る]
そもそも、どうやって見せるかの問題もあるけれどね。
[結界内から外が見えるのかはわからないと呟く]
……難儀なことは、重なりますか。
[エルザの言葉に、ゆるりと首を振るった]
時空の竜である彼女が取り込まれるとなると……
本当に無差別なのか、あるいは、側近として呼ぶように、取り込んだか。
─西殿・結界前─
虚竜王様の不機嫌による取り込みは一人だけを綺麗に絡め取ったらしいぞぃ。
ハリョン殿を抱えていたノーラ殿には全く影響がなかったそうな。
じゃから巻き込まれたと言うのは考えにくいのでは無いかの。
[エーリッヒの疑問には推測を交えて答え]
じゃからあれはせがまれて仕方なくじゃよ。
お主も貰えるような相手でも作ればよかろうに。
[クレメンスには若干の反撃]
[傷を押さえ、深呼吸を一つ]
「取り込み」…どうでしょう。
確かにユーディット様であれ、王のお力には抗しきれないものかもしれません。
ですがそうであれば。ティル様やダーヴィッド様がもっと確りと感じ取っても良いとは思われませんか?
……とても嫌な予感がします。
[結界を見つめているため、アーベルの視線には気付けずに。
左手を押さえる右手からは、天聖と微かに混じる流水の気配。それは何かを補助しているようにも感じ取れるか]
[氷破に諭されて、声を落とす。
腕の中で寝息をたてている小さな姫には、思わず目を細めた。]
…こんなときだってのに、無邪気なもんさなぁ。
[寝顔に頬も緩み、そっと金糸の髪を撫でてみたり。]
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