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[機械竜は心得た様子で、部屋の片隅に止まっている]
あと、頼むよ。
[明滅する赤い光に笑いかけ。部屋を出た。向かう先は自室]
―― →私室 ――
[部屋に辿り着けば、死んだようにベッドに沈み込む**]
…、それは、ないしょって。約束したから。
――なまはんか、ってなぁに?
[投げられる問いに幼子は困ったように、口を掌で押さえながらふると首を振った。
して生半可と難しき言葉は幼子には少々理解するに早かったか純粋な問いを向け。
――しかし凡その意味合いは流れで掴んだか、小袋を握り締める力は僅かに強まった。尤も、強まるとは云え所詮は仔。些細な力に違いなかろうが。]
リーチェがさがしてる剣は、すごく、つよいの。
その剣なら、ととさまたちが閉じこめられちゃったのも、…こわせるよって。
[自分を抱きしめるように腕を抱く命竜には、くすりと笑みひとつ]
綺麗でしょう? それに、靴も濡れずに済みます。お得お得。
[微かにからかい混じりの声にも聞こえたかもしれない。
さくさくと霜柱を作っては踏みながら、結界の前まで歩いていく]
―西殿・結界前―
…………。
[見ただけで結界の様子がおかしいと分かったのは、
長い時間付きっ切りで調べていたブリジットだから、という理由だけではないだろう]
随分、結界が荒れていますね……。
[内緒と、そう告げられればそれ以上強く聞き出すことは出来ず。ふむ、と短く唸ったところで逆に言葉を訊ねられた]
生半可とは、元来の意味では「十分でなく中途半端であること。いいかげんであること」じゃが、この場合は…そうさな。
簡単に手に入れられるもの、ベアトリーチェ殿でも手に入れられるようなものでは壊せぬと言うことじゃ。
[出来るだけ噛み砕いた説明を入れたが、果たしてそれで通じるや否や]
…そう、教えてくれた者には言われたのじゃな?
[今一度訊ねかけて考え込む。
さて困った。剣はあれど、その力を使えねば如何に強大な力を秘めていてもただの剣に過ぎぬ。それを告げてしまえば己が剣について知っていることを知られてしまうことだろう。幼子が気付かぬとしても、側役や周囲の者が気付くだろうか。なればやることは一つ]
…残念じゃが、この通り儂は剣を帯びては居らぬ。
帯びて居るならばこの剣かと貸すことも出来ようがのぅ。
[己が身を見せ、剣を持っていないことの証明とす]
―東殿→西殿・結界前―
綺麗っちゃ綺麗だけどよ…うーっ、さむっ!
…何か楽しそうだな氷竜殿。
[流石というか当然というか。
困ったように笑い、全く平気で先へと進む氷竜をちょっとだけジト目で見ながらも、雪が激しくならないうちに足を進める。]
へーくしょい!
…ううううう。こりゃダーヴィッドあたりが来たら冬眠確定コースだな…。
[昨日冬眠しかけてた焔竜は来なくて良かったね!とは胸中だけで。
さぶさぶ言いながらも、結界前にはたどり着いた。]
―東殿→西殿・結界前―
[結界は見た目は変わりない、ように思えたが。
荒れているというのに、分からないながらも近づいて様子を伺う。状況が変わったらしいので、用心の為触れることはしない。]
具体的に、どう荒れてるか聞いてもいいへっくしょい!
[語尾が何か変に。]
―戻る前、結界内でのこと。殺戮現場―
うぇ…。
[光景に軽く眉を潜めながらも。
回りこんで近づいたエルザの左腕を取り、流れる血を拭うように触れた。
手は刻印のちょうど上で止まる。そこに数秒当てれば、流れ落ちる血はすぐさま止まり、おそらく刻印の効果は復活するだろうか。
服の中から白いハンカチを取り出し、腕に残った血を拭う。]
鍛錬が足りません。
[笑顔でそう呟く様は、やはりどこか楽しそうにも見えたかもしれない]
若焔が居れば、同じような感じで雨を蒸発させながら、
歩くことも出来たかもしれませんね。
その分、かなりの熱気になりそうですけれど。
[一度だけ、どっちがマシか尋ねるように、肩を竦めた]
―西殿・結界前―
[命竜からの問い掛けには]
先日、陽光帝の仔とユディが居なくなったときと似た感じね。
属性のバランスがさらに崩れてるのと――
……また、虚竜の王が不機嫌になってるのかもしれない。
[くしゃみをし始めた命竜を見ると、流石に少し気遣うように。
懐紙を取り出して、差し出した]
…、…えっと。
――かんたんな剣だと、こわせない?
[地竜殿の説明は幼子と云えども幾らか判り易かったかの様であった。
数寸の沈黙の後、仔の中で噛み砕かれ導き出された答えは、少々言葉の意味は湾曲したが然程離れぬ物に着地する。
短な問いには答えて良いものか微か困ったように眉を寄せしかし頷きを返す。
口に出さなければ良しとしたか、それとも幼心に黙っているに耐えられぬ事で有ったかは判らぬが。
地竜殿の言葉と共に確かに剣を持っていないと知れば薄らと落胆の色が見えようか。しかし持ち合わせて居ないので有れば仕方の無い事。
仔は判ったと小さく頷いて――
ただ最後に、一つ思い出したかの様に再び視線を地竜殿へと向けた。]
…えっと、
ノーラみたいなわっかは、ちがうの?
[おずと問うた言葉は余りにも控えめで、私にすら届いたか怪しい。
抽象的とも言えるその問いに、果たして答えは返るや*否や*]
まぁ、そう言うことじゃのぅ。
[意味としては微妙だが、強ち間違ってはいないために肯定の頷きで応じる。問いに対して頷きが返ってくるのを見止めると小さく唸り考え込んだ。今剣について知るは限られている。ましてや己が持つと気付いているだろう人物と言えば──]
[己が帯びるものを確認してやや落ち込む様子のベアトリーチェを見て、ひとまず誤魔化せたかと安堵する。その安堵も相まってか、続いた問いには直ぐには頭が回らず]
…ぬ?
ノーラ殿のような輪っか?
[問いは届いたがその物に直結せず。しばし考えた後に己が腕輪のことと理解する。これに目をつけるとは侮れん、と思ったかはさておき]
これは腕輪じゃからのぅ、剣ではないのじゃよ。
[この辺りはもはや言い包めに近かったか]
[幼子との問答も終わり、ようやく一息ついて。だいぶ冷めてしまったであろう茶を飲み切ると、食堂に居る者に対し辞す挨拶をする。部屋へ戻ろうと食堂の出入り口へと近付いた時だった]
───っ!
[何かが纏わりつく感覚に囚われ、その動きが止まる。しかしそれは直ぐにパチンと弾かれるように霧散した。同時に己から湧き出るように高まる、影輝と精神の気配]
[来たか、と言う思いと、拙い、と言う思いが交錯する。止まる動きを訝しんだ者は居ただろうか。高まる気配に不思議に思った者は居ただろうか。何かを言われる前に、足早に食堂を出る。向かうは宛がわれた個室。移動する間、右手は左手首を強く*握りしめていた*]
―東殿→西殿・結界前―
こいつぁ厳しいね!
[それでも楽しそうな氷竜には、仕方ないというかぶぅぶぅというか、そんな軽い感じでついていきながら。]
…蒸れない分こっちだな。
[何か内側からじっとり湿っていきそうな気がする。
その様を想像したあと、真顔で答えた。]
―西殿・結界前―
不機嫌か…もう発動したからこうなった、ってことでいいんだよな、一体誰へっくしょい!
[ずびーと垂れそうになった所でタイミングよく紙を貰えば、鼻声でサンキュと言いながおもいっきりかんだ。
近くにゴミ箱とか当然ないので、予備のハンカチでゴミ箱がわりに包んでしまう。]
ええと、ティルは居たんだよな?
んじゃそれ以外の誰かか…って。
そういやティル何処だ?
[すでに結界前からは離れたのか。近くに姿は見当たらない。]
―戻る前、結界内でのこと―
[傷の奥の疼きまでは分からない。知っていればともかく、基本癒しは傷にしかきかないからだ。]
おう。…ちうか。無茶すんな。
[エルザが戦う所は初めて見たが。
刻印を躊躇なく傷つけてから攻撃した様をみるかぎり、基本そうしなければならないようで。
だが刻印は傷をつけるものではない。
そもこの卵姫は刻印の力を借りなければ体を保つ事ができなかったような気が。
んなもん傷つけて大事にならないはずはなく。]
後でギュン爺さん説教コースだなこれは。
[とぼそり言いながら。
とりあえずユーディットがエルザを向いたところで一歩二歩と下がる。]
―戻る前、結界内でのこと―
[ユーディットが笑顔で倒れたのを見届けると。]
…じゃ、後任した。
[びしっと片手を上げ、エルザに後を丸投げしてから西殿から逃げた。]
―西殿・結界前―
私も、暑いのだけはちょっと。
文字通り溶けてしまいそうで怖いから。
[微かに苦笑した後に、首を振るって呟いた。
その後の、もう発動したから――という問い掛けには]
おそらく、その通りでしょうね……。
ティル、は。さっき、雨の中真っ直ぐに西殿へ向かっていったはずだけれど……。
もしかしたら、どこかで雨宿りしてるのか、それともすれ違いで戻ったか。
[辺りを見回すが、それらしい気配は無い]
辺りを少し探してみましょうか。
[そう命竜へと告げた跡、若干の間を置いて。
先程気になった事について、改めて尋ねる]
――さっき、部屋を出たあたりで、大分疲れていたように見えたけれど。
また、誰かを探査したの?
……何か、分かったことはあった?
―西殿・結界前―
まぁ炎は天敵…ちうとあれだが。そっちの対属性だからな。
[腕を擦りながら、でも今はちょっと火があった方がいいなとは少しだけ思うのは仕方ない事で。
問いかけには肯定。
知っているわけだが、神妙に頷き返す。]
行き違いか。だな、ちょっと探してみるか。
[同じように辺りを見るが、寒いので気配探知はだいぶ鈍っている模様。けふん。]
―西殿・結界前―
[さむさむ言いながら背を向けたところで、かけられる声に振り返る。
実際に疲れた原因は別な所にある。
…主に某時空竜のせいなのだが。
が、そんな事実は微塵も出さずに。
まぁなと大嘘つきながら、さくりと足音を立てて近づいて、見上げてくる目を見下ろしながら―奥深い場所に針のように刺さる痛みはおそらくささやかに残った良心が咎めるからだろう―いつものように耳元に口を近づけかけて。]
ナターリエはしろっくしゅ!!
[ごちん。
耳元でやらかした為、勢いで頭に鼻から下が当たった。]
あー…悪い。
[さすがにさっきかんだばかりなので、あれやらそれやらがべっとりという事事体は免れたが。
ハンカチで一応打ったあたりを撫でてふく。]
―西殿・結界前―
[最近恒例になってきた、耳元での会話。
素直に耳を貸すと――
ごちん。
鈍い痛みがブリジットを襲った。
あれやそれやらが付いていないのは幸いだったかもしれないが、
くしゃみはもろ被りなわけで]
―西殿・結界前―
ちょ、さむっ!!
ごめんなさいごめんなさい俺が悪かったですすいませんすいません。
[ぶつけられた冷気にぐるぐる回り逃げまわる。
機嫌なおしてーとか情けない悲鳴はあげているだろう。]
―西殿・結界前―
[深い息を零して、一先ず凍気をぶつけるのを止めて]
――とも、かく。
[当たったところをさすりながら、睨みつけるようにして]
……ティルを探して、何があったか聞きましょう。
それに、他の所で、別の方向での進展があるかもしれないし。
[そう、呟いた。ややあって、その足は庭園の方に向けられるだろうか。
疾風竜を見つけることが出来れば、「引き込み」などについて、*話を尋ねる事だろう*]
―西殿・結界前―
悪かった悪かった、おいちゃんが悪かった。
[氷竜が自分で擦ってるさっきぶつけた後あたりをこちらも手を出し撫でた。
睨むような視線にはとりあえず何でもするんで機嫌直してください、そんな事をうっかり言えば少しはおさまるだろうか。
お怒りが若干とければ、ふーと額の汗を拭い。
ティルを探すのは同意する。
風竜の力を確認しておきたかったのもあったために。
そうしてもう知っている知識と、新たに入れる知識とのすり合わせを*密かに始める。*]
――…覚悟の上。
たとえどのようになろうとも、私は力を欲します。
誰もそれを望まなくとも。
[古き影の言葉の余韻は、雨音に消える。
闇の言葉は、雨に落ちる。]
[決して答えぬ先の問いに気付き、先行く影に笑った。]
[背負った闇はひどく重く、進む足はわずか地に沈んだ**]
─竜皇殿・庭園─
[ピアは濡れないようにと懐に入れて、じ、と空を睨む。
天の竜を欠いたが故か。
天聖の領域を濡らす雨は嘆き雨のよにも見え。
懐に収められたピアは、丸い目でじい、と見上げていたが、ふと、短く鳴いて身を震わせた。
原因? そら勿論寒さです]
え?
[時ならぬ冷えと、自分を呼ぶ声に何事か、とそちらを見やり]
あ、氷破の……それに、おっちゃん。
[クレメンスに向けた目が険しかった事、それに長きを生きる竜たちは気づくやも知れず。
ともあれ、投げられた問いに、軽く、肩を竦めた]
結界、見てきたん?
うん、まあ……また、虚竜王らしいよ。
天竜の姉さん、引っ張り込まれたらしいね……中に、気配、感じるから。
[はあ、とため息一つ零し。
何故、それが覚れるのか、と問われたなら。
最初に見せるのは、しばしの逡巡。
『一応』命の恩人である命竜だが。
不可解さを感じているのもまた、事実だけに]
んー……なんでか、はオレも知らない。
母さん譲りの力って事しか、わかんねぇしさ。
[嘘は言ってない]
ただ、虚竜王が気ぃ悪くする時は、物凄く気持ち悪い揺れみたいなのが感じられんの。
あと……それと違う方法で、誰かか、結界に押し込められる時も。
[具体的に何がどう違うのか、と問われても、説明はできないのだが。
強いて言うなら前者は自然、後者は不自然、と言ったところか。
虚竜王の不機嫌を自然というのはなんかアレなので、その説明はしなかったが]
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