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[首に掛かる十字架を無意識に握る。
恙なく、静かに、穏やかに過ごせるように
そう願う事情を詳しく知る者は少ない。
母は十五で村を出てどこぞの侍女になったらしい。
形見の品は母の生家であるヴァレンシュタインの家紋が入った指輪と
それとはまた別の家紋が彫られたペンダント。
それらは革袋に入れ懐に忍ばせている。
見覚えはあれど家名を知らぬ紋が刻まれた書簡を
初めて手にしたのはこの村に来て暫くしてからだった。
父を名乗る者からの手紙に断りの返事を一度したが
それからも手紙や人を寄こしてくるのは止まない。]
[一度、力尽くで連れてゆこうとした使者が居た。
それを制して助けてくれたのがギュンターその人で
彼の事を恩人と思い、こうして時折挨拶に館を訪れる。]
――……。
[エーファから聞いた焼きたてのアップルパイにも
心惹かれ広間の方に行きたい気持ちがわくものの、
そちらは挨拶を済ませてからの方が良いだろうと
ぐっと堪えて、館の主のいる部屋に向かった。]
俺の分、残ってるといいが……
[ぽつと小さく独り言ちてから、ノックをして
扉が開けば挨拶をして近況を伝え
日頃の感謝と彼の健勝を祈り部屋を出る。
当初の目的を果たすと一息ついて広間のある一階へと。**]
数日前から滞在していた旅の歌い手が、月夜に演奏会を開きたい、と。
屋敷の主人に正式に申し出た。
前から口にしていたそれは主人に受け入れられ、主人は屋敷を訪れていた者たちも共に、と誘い引き止める。
──その夜、月下に紡がれるのは『幻燈歌』と呼ばれるもの。
──ひとと、ひとならざるものたちの歌。
──冴え冴えとした空気の中、月下に響くその歌に。
──重なるように、どこかで氷の割れる音が響いて、消えた。
[その後やってきた大工のイヴァン>>118や、戻ってきたエーファ>>120とは、
何か言葉を交わしただろうか。
抱え上げ>>121られた1匹とふたりが厨房へ行く>>123、>>124のを見送ると、
ユリアンはソファに深く背を預けた。
イヴァンの豪快な笑い声>>126はいつものことだ。
自分が困ったような笑顔でいるのも、また。
しかし、妙な胸騒ぎがするのはなぜだろうか。
何か大切なものが欠けているような、あるいは不自然に加わっているような気がして、どうにも落ち着かない。
ユリアンは不安な面持ちで周囲を見渡した。
演奏家らしき男>>70と目が合えば、控えめな挨拶を返しただろう。
馬具職人だった父の話を持ち出されれば、思い出話に短く相槌を打ったかもしれない。]**
─ 厨房 ─
……っ……なに、それ。
[得意げな言葉>>139に笑っていたら、黒猫が飛び出した。
飛んでくる文句に黒猫は素知らぬ顔で毛繕い。
それにまた、笑い声をあげながら、戸棚から出したビスケットを器に入れたり、おかわりに備えてのお湯を準備したりと一通り支度を整えて。
運ぶのを手伝ってもらいつつ、広間へと戻った]
─ 広間 ─
たっだいまー。
おかわり欲しい人います?
[広間に戻り、明るい口調で問いかける。
要望があればそれに応じて動き、祖父への挨拶を終えたライヒアルトが顔を出したなら、「ちゃんととってありますよー」なんて、軽い調子で言いながらお茶とパイとを出して。
それでも、もう一人の来客が顔を見せたなら、それまでとは一転、緊張が態度に滲む。
志すものがものなので接する機会も多いのだが、どうにも女性、それも年上相手には緊張してしまう事が多かった]
[そんなお茶の時間は祖父の訪れによって一段落する]
夜に演奏会って……。
[月が綺麗な夜に、というのは聞いていたから、今夜辺りか、という話はしていたが]
ん、ま、いいけどさぁ。
[この人数なら、自分だけでも食事作りはなんとかなるだろう、と。
抱えていた別の心配は、そう割りきった。**]
[冬は苦手だ。
指がかじかんで、針仕事が捗らないから。
暖の取れる場所が限られているため、否応なしに集まらなければならないから。]
[追い剥ぎに頭を強く殴られたせいか、
はたまたその後の酷い高熱のせいか。
ユリアンは仕立て屋として生き、そして死んだ……無念にも殺された……とある女性の記憶を、
はっきりと、疑いようもなく思い出してしまった。]
[湖畔に拓けた小さな村だ。
湖と森に挟まれ、漁業と林業で細々と生計を立てるひとがほとんどの。
冬場は雪と氷に包まれ、他所との行き来も簡単ではない。
住人は最低でも顔見知り。
数世代をさかのぼれば、隣人は当然のように血縁者で。
若い世代は少ないから、何をしても年寄りの間で話題になるのだ。
秘密にしておくことは難しかった――
――けれども、]
[ユリアンは誰にも言わなかった。
否、言えなかったのかもしれない。
自分の中でゆるがぬ事実として認識されている記憶が大切だから、
悩むことも迷うこともなく、ただ黙っていた。
曖昧に、困ったような微笑を浮かべながら。]
[ベッドから起きられるようになると、彼女の知識と技術を思い浮かべながら針を持ち、布を断った。
記憶が甦っても、指は思うように動かない。
きれいな運針ができるようになるまでは雑巾と付近を大量に生産し、母にずいぶん小言を言われた。
息子が以前とは決定的に変わってしまったことを、彼女は薄々察していたのかもしれない。]
村の設定が変更されました。
そーだ、オトフリート。
演奏、いつなら時間空いてる?
カルメンも聞きたいってさ。
[一息ついた後、戻って来る前に話したことをオトフリートへと告げる。
カルメンについて思い出すのに時間がかかっているようであれば、家名も伝えた。
流石に彼女に何があったかまでは言わない]
[そうして広間に来る人を出迎えたりいくつか話をしていると、ギュンターが演奏会を行うので一緒に聞いていくと良いと告げてきた]
演奏会?
へぇ、旅人さん来てたんだ。
んー、暗くなる前に帰る心算だったんだけど……ま、ここに来てることは伝えてあるしなー。
[冬の湖には十分気をつけろ。
幼い頃から聞かされてきたことは今でも身に染み付いている。
故に夜に湖に近付くことは避けるようにして来た]
そんじゃあ部屋一つ借りて良い?
[居場所は知れているし、と一泊して行くことを選択。
ギュンターに願うと、構わない旨を返してくれた]
─ 演奏会 ─
[大きな拍手>>160に振り向けば、音の主は大工 イヴァンだった。
ユリアンは不安な面持ちで彼と旅の歌い手の顔を見比べる。
数時間前の広間で、「おばあちゃんになっちゃったなぁ」>>159と、
しみじみした声でビルケに語りかけた彼は、
『幻燈歌』にも、数ある歌の中からこれを選んだ歌い手にも、違和感を感じていないらしく。
ビルケを撫でて良いかと問われた>>159こと、自分が笑顔で頷いたことを思い出すと、
ユリアンはしばし思案した。
この胸騒ぎを彼に伝えてみようか、と。
けれども、素直に楽しんでいるイヴァンを暗い気持ちにさせてしまうだけかもしれないと考え直し、
結局、いつものように口を閉ざす。
その場に他の者がいるならば、ユリアンの落ち着かない様子に気づいただろうか?]**
―少し前/ギュンターの屋敷・広間―
楽しんでやれているならそれが一番じゃないかな。
一人前の薬師になるの、期待してる。
[彼はいい師匠にめぐり合えたんだな、と、会ったことのないその人を思い浮かべる。
そうして、ユリアンについて口にした事には、やはりどこか曖昧な返事が返った>>75]
なるほど……ここに来ているなら顔を見たら思い出すかな……
[無理には詮索せずにそう考えて、石頭の、と言う言葉にくすくすと笑う]
ギュンターさんも変わってないな。
そのギュンターさん相手に頑張るから気にいられてるのかもね。
[と推測を交えて、様子を見てくると言う言葉>>76に]
ん、ちょっとくらいなら大丈夫だろ。な、モリオン?
[と返して広間を出て行くのを見送って、落ち着かない様子の黒猫をそっと撫でた]
― 広間 ―
[広間に入ると暖かな空気が肌に触れる。
暖炉の火がはぜる音も冬らしさを感じさせる。
誰かが暖炉の薪を調節したばかりか>>140
形よく赤が揺らめくのが見える。
先にその場にいた仕立屋のユリアンや演奏家の男に
軽く会釈し、挨拶をして
エーファの声>>143にゆると目を細めた。]
良かった。
もう残ってないかもしれないと心配してたんだ。
ありがとう、頂くよ。
[あたたかなお茶とアップルパイを受け取り
感謝を口にしてからお茶に呼ばれる。
パイの優しい甘さにほろと表情が緩んだ。]
[イヴァンからの声>>156に軽く頭を下げて]
こんにちは、イヴァンさん。
人が集まるのは、ギュンターさんの人徳ゆえでしょうか。
[和やかな空気の中、話をしていれば
当のギュンターが現れ演奏会の話>>#5>>144がなされる。]
それは興味深い、――ですが、
長居してはご迷惑では……
[館の者――エーファの負担にならぬだろうかと
遠慮がちにギュンターとエーファを交互に見遣る。
結局、厚意に甘えてその夜は館に滞在することとなり、
月夜の演奏会に観客として参加することとなった。]
[暫くして、一人の青年が犬を連れて広間に現れた。>>97
という事は、彼が仕立て屋のユリアンなのだろう。
無言で会釈をして暖炉の前で仕度を始めるのに、やはり覚えていないかと内心で思う。
男が村を出たとき、ユリアンはまだ怪我をしていなかったし、その後一度だけ親に宛てた手紙に返事がくる事は無かったから、彼の事情を男は知らないままだ]
えっと……さっきエーファから聞いたけど、君がユリアンでいいのかな?
覚えてないかもしれないけど、雑貨屋の息子のオトフリートだよ。
[名を知っていることに驚かれないようにエーファの名を出してから一応の自己紹介をする。
もちろん忘れていたからといって気分を悪くする事は無いけれど。
大人しい犬とは対照的に落ち着かない様子の黒猫は、玄関で来客を迎えていたらしいエーファが広間に戻ってくる>>120とそちらに駆け寄っていく
それから少し遅れて、戻ってきたイヴァンが仕事道具を取りに顔をだし、すぐに仕事に向かうのを見送る>>116]
なかなか落ち着かないな、みんな。
[なんて他人事のように言いながら、それでもどこか懐かしい空気にほっと息を吐く。
イヴァンが帰ったと言う事はおじさんに話は伝わっただろう。そうなると、実家に伝わるのもすぐで、それを思うとほっとした息が溜め息に変わりそうだったけれど。
少しして、イヴァンが作業を終えたと顔を出し、確認を求めた>>118なら]
え、もう終わったのか?仕事早いな。
[と驚きと関心の声を落とし、エーファと共に厨房へ向かうのを見送った。
エーファの腕に納まった黒猫に小さく手を振って、見ればどこか不安げな面持ちのユリアン>>141と目があって首を傾げた]
何か気になることでもあるのかい?
そういえば、仕立て屋になったって聞いたけど、ご家族は元気なのかな?
[問いはするけれど深く問い埋めるつもりは無く。気を紛らわせるために彼の家族へと話題を移す。
どんな返事が返ったとしても、深く入り込むことはしないけれど]
[厨房からエーファたちが戻ってきたなら>>143、お茶のおかわりを頼んで、新たに客が増えたなら自己紹介をしただろう。
イヴァンから演奏について訊かれ、カルメンと言う名を聞いてはたりと瞬く]
カルメンって……あの?
[十年ぶりに村に帰った男には、その名は「資産家のお嬢様」と言う印象しかないが、その彼女が覚えていたと言う事にまず驚いて]
こっちに居る間ならいつでも大丈夫だよ。
村の皆に挨拶して回るくらいしか予定ないし。
[他に聴きたい人がいれば、いっそみんなの前で演奏するのもいい、なんて提案もしてみる。
カルメンの今の話は、当人が聞かせてくれるまでは男から問う事はないだろう]
[やがて、広間にギュンターが現れ、一つの話を持ち出す]
へぇ、旅の歌い手さんが?
それはぜひ聴いてみたいけど、この寒いのに外で?
[旅の歌い手が演奏会をする>>#5と聞けば、音楽を仕事とするものとして興味を惹かれないわけが無く。
いずれにせよこの屋敷に泊まるのだから問題ないと決めて]
俺も?
いや、俺は外での演奏は遠慮する。
バイオリンは元々室内楽用だし、この寒い中じゃ指が上手く動かないからね。
[暖かい部屋でならいくらでも、と、最後に付け加えて]
―演奏会―
[そうして、月夜の演奏会が始まる。
冴え冴えとした月明かりの下、朗々と歌われるは『幻燈歌』
その内容を、男自身もよく知っていた。
古くから伝わるお伽。子供の頃、祖父が聞かせてくれた昔語りの一つだった]
(こうして聴くと、なんだか不思議な感じがするな)
[胸騒ぎにも似たそれがどういうものかは今はまだ知らず、同じ音楽家としての興味が赴くままに耳を傾ける。
時折聞こえる何かが軋む音>>#6も、演出であるかのように感じながら]
………そういえば、満月ですね、今夜は
[ぽつり、呟く声は誰かに聞こえただろうか。
それが、何かに符合すると、気付くものはまだいない。*]
─ 演奏会 ─
[お茶の時間の片付けと、予想外に増えた夕飯の支度やら何やらが一段落ついた頃、月を背にした演奏会が始まる]
…………。
[この歌い手がちゃんと音色を紡ぐのを聞くのは初めての事だ。
普段の語り口から、声がいいのは察していたけれど]
……すご。
[零れ落ちるのは、小さな呟き。
『幻燈歌』と呼ばれるその歌は、詩として読んだ事はあるけれど、こうして聞くのは多分初めてで]
……こんな歌だったんだなぁ……。
[感慨深く呟く意識は、目の前の音に向けられている。
遠くから聞こえる自然の音、そちらには意識を向けたくはなかったから。
そのためにいつもより強く集中していたから、ユリアンの落ち着きのなさ>>161に気付く事はできなかった。]
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