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うん!
良かった。名前が可愛くて。
ライヒアルト、よりも私のリディのほうが可愛い。勝った。
[何故か、ガッツポーズを取りつつも、差し出された金の鍵を物珍しげに眺めたが、すぐに]
わ、わ。
[とか、慌てたように受け取った]
こんなに簡単に受け取っちゃっていいの?あ。そういえばお母さんとかお父さんはいないの?
[どうやら、ライヒアルト以外に人の気配が無かったのには気づかなかったようで、改めて聞きながら、その後を追うように広場へと向かった]
─広場─
やーれやれ、なにしてんだか。
[ドック入り、という答えに、やや眉を寄せるものの。
続く言葉に、ん、と頷いて]
んじゃ、行くから、って旦那にも言っといてな。
また、後でっ。
おいで、ツィン。
[こちらもひら、と手を振り、足早に店へと戻る。
ぶち猫は一鳴きしてから、とてとて、とその後に続いた]
……あ?
[やる気なさげな声と共に振り返った。
初対面にも態度は相変わらずだが、その身分は服装から知れようか]
ん、あぁ。そりゃ気づかんかった。
すまんね、ねーちゃ、 ……ん?
[言葉を聞いて、頭に手を遣りかけ。
動きと言葉を同時に止めて、近づいてくる人物を訝しげに、――むしろ無遠慮な程に、まじまじと見た]
─宿屋─
[返されるゲルダの声には了承の意を伝え。グラスに甘く味付けしたヨーグルトを入れ、炭酸水を注ぎ入れる]
アイランドークだ、さっぱりするぞ。
[出来あがったドリンクを手にゲルダの座る席へと運んだ]
そういや最近どうだ、仕事の方は。
順調か?
―広場→宿屋―
ありゃ見習いの神父さんか。
もう一人は知らんな。格好からして別荘組のお嬢さんか?
[横目で金髪の二人を見ながら先へ進む。
声は遠いから誤解をしたままだ]
邪魔するよ親父さん。
今回は少し長く……。
[宿の扉を開けて、見えたフーゴーに声をかけ。
一人の客に気づくと言葉が途切れた]
ちがう、ちがう。
そこじゃぁなくて、こっちよぉ。
[のばした手のつくりこそ華奢なものの、向かい合う背のたかさは、ほとんどかわらない。
長い服のすそが、風にながれる。
一枚みどりの葉をとったなら、視線に気付き、はたとまたたく]
いやぁん、そんなみつめられたら照れちゃうわぁ。
[ほほに手をあててはじらう仕草。
首をぷるぷるふっている]
― 広場付近へ ―
[名前が可愛い云々は、世間の感覚からずれた男には、
少しばかり反応に難しいものだったようで。
あえてガッツポーズを素知らぬ振りをして歩む。]
……両親は、亡くなった。
[けれど、親の話題には相変わらず簡潔すぎる言葉を返す。
少女を伴っているという感覚が薄いのか、
歩むペースは少女にとってはもしかすれば早いのかもしれないが、
その足取りが、はたっと、と在る店の前あたりで止まる。]
クロエさん、こんばんは。
[ぶち猫を伴った女性が雑貨屋へ入る間際、
挨拶を一つ贈った。]
─宿屋─
そうかい、調子が戻ったなら何よりだ。
そのうちここのテーブルクロスに刺繍入れてくれんかね?
おめぇの細工は評判が良いしな。
[頑張ったと言うゲルダに笑みを深めて。ちゃっかりと刺繍を頼みこんだり。
そんな中、扉の開く音に視線をそちらへと向けると久々に見る姿があった]
おー、アーベルじゃねぇか。
久しぶりだな。
今回はどうすん…………あ?
[訊ねかけて、途切れた声にこちらも疑問の声を上げる。視線は目の前のテーブルに向かっているだろうか]
[葉を取られる間も、特に抵抗するなどということは無かった。
が、礼を言うこともなく、相手が恥らいだした頃、ふと目を横に逸らして]
……あぁ、野郎か。
[小声だったが、多分相手にも聞こえる]
え。
[ライヒアルトの簡潔な答えに絶句したように短くそれだけを言ったが、すぐに]
え。なんでなんで!?
だって、ライヒアルト見てると、そんな年でもないでしょ?それなのに、なんで!?
[少女にとっては、疑問に思うことは理由を問うのが当然のことだった。
そこに相手のことを気遣う、なんて感情は微塵も入ってはいない]
あ。ちょっと待ってよ。はーやーい!
[少女の歩みでは間に合わない速度で歩くライヒアルトに必死についていく。
途中で、ライヒアルトがクロエに挨拶を送ったのが見えたが、あまり関心は無かった]
―宿屋―
部屋、一週間分頼むよ。
それと夕飯、クロエも後からくるから一緒によろしく。
[フーゴーに答えてからテーブル席を見下ろす]
頑張らないと作品は出来ないのか。
大変だな。
[口を開けばついこうなる]
─雑貨屋─
[店に入る間際に聞こえた挨拶。
ぱたぱたと、急ぎ足で進んでいた歩みが止まる]
……お?
ああ、ライ兄さんか、こんばんは。
こんな時間に、お散歩かい?
[のんびりと挨拶を返しつつ。
彼を追うようにやってくる少女の姿に、きょとり、と瞬いた]
[ぴしっと音をたてて、からだが固まった。
沈黙。…沈黙。……沈黙]
ばかぁっ!
心は乙女なのよっ!
[からだのひねりとともに繰りだされる平手は相手の胸へむけて。
かなりの勢いがあった]
もーぅ、傷つくじゃないのっ!
[腰に手をあて、仁王立ち]
― 雑貨屋前 ―
[両親の死を「何故?」と、問う声はいつの間にか後ろ。
故に今は、答えを返すことはない。
顔を合わせて云えば良いかと思っているが、
しかしながら、直ぐにでも忘れてしまいそうな風情を漂わせる。
後日にでも、誰かに聴けば両親共、大陸に行商に出た際、
物取りにあって死んだことが聴けるかもしれないが。]
いえ。散歩ではなく。フーゴーさんのところに食事に。
今日は、買い物をする間がなかったものですから。
[意識は前――つまりはクロエに。
立ち止まったことで、リディを待つ形となる。
相変わらず、何故買い物をする間がなかったのか
――後ろの少女に対する説明はない。]
─宿屋─
[アーベルとゲルダの顔を交互に見やる。そう言えばこいつらは顔を合わせる度に喧嘩してたか、とも思い出した。短い嘆息が漏れる]
ん、一週間分だな、分かった。
飯は希望あるか?
無いなら適当に作るが。
[アーベルの言葉に承諾の意を示し]
やってくれるか、ありがたい。
目途がついたら教えてくれや。
[ゲルダの返答には嬉しげな声色で返した]
[やっとのことでライヒアルトに追いつくと、その後ろに隠れるようにして、クロエを見つめた]
……みゅう。
[漏れるのはいつもの口癖。
ある程度まで慣れてくると、これが主に困ったときや、焦ったときに出てくる言葉だと知れるだろう]
……。
[特に挨拶をすることもなく、なんとなく辺りをきょろきょろ見渡してみて]
あ。
[店の中に、おもちゃのような腕に巻くようなゴムに鈴がついているのを見つけて、目を輝かせた。
ちょい、とつついてみると、チリンという小気味の良い音がして、少女は顔をほころばせる]
ぅおっ!?
[繰り出された平手は、半ば本能で回避した。
かなりギリギリで]
……つっても、事実じゃねぇか。
[しかし乙女心なんて理解できない男が1人。
腕組みしつつ、ヘルムートを上から下まで見て]
別に悪いたぁ言ってねーよ?
似合ってない訳でもねぇし、傍目からは女そのものだし。
まぁ、ちっとガッカリしたけどな?
[フォローなんだか何なんだかなことを言ったが、多分最後は余計だ]
─雑貨屋・前─
ああ、ライ兄さんも旦那のとこに行くのか。
今日は、賑やかになりそうだね。
[説明がないのはいつもの事、とさして気にした風もなく]
ところで、そっちの子は?
見かけない子だけど、兄さんの知り合いなん?
[店先から聞こえた鈴の音に、見覚えのない少女の方を見やりつつ、問いかける。
ぶち猫は、少女の様子に不思議そうにそちらへと。
動きにあわせ、ちりん、と首の鈴が小さく鳴った]
―宿屋―
その上で期日も守るのが玄人だろうよ。
ま、それでもって言ってくれる程の腕があるならなぁ。
[皮肉な調子でゲルダに返す]
よ、リッキー。
そっちも変わらないみたいだな。
親父さんに絞られてるか?
[一転、けらりと笑って手伝いの青年と左手を打ち合わせた。
ほんの僅か眉を寄せたのは気づかれたかどうか]
俺は特にないけど。
へぇ、今日はアラビアンな日?
[まかせようかな、とヒューゴーに答えて。
ゲルダの前にある皿を覗くと軽く笑った]
―宿屋―
[喧嘩友達にちらりと胡乱な視線を向けていたが、フーゴーの嬉しそうな声が聞こえれば視線を戻してこくり、と頷いた。]
うん、おっちゃんには世話になってるし。がんばる。
[どんなのがいいかなあと早速考えながらちみちみと甘いヨーグルトを飲んでいる。]
期日はそれなりに守ってるよ!
ていうか腕はあるに決まってるでしょー
ほんっと、久しぶりにあったってのに、相変わらずヤナ奴。
[皮肉なアーベルに思いっきり顔をしかめてみせる。]
[勢いよく宿のドアを開け放ち、その音に負けないくらいの大声が店の中に響く]
おっなかすいた!おっちゃんご飯!ライスとスープとフライね!なんかオマケしてくれてもいいよ!
[そう告げると適当な席は無いかと辺りをぐるり。見知った顔を見かけ、そちらの方へと]
ゲルダねーが居るー。なんかの話し中かな?
― 雑貨屋前 ―
おや、そんなに今日は人が多いのですか。
[クロエの応えに、返していれば、後ろに温もり。
それで少女が追いついたことを知る。]
知り合い……なのでしょうかね。
どうやら彼女――リディ・ルゥリィという名ですが、
私には覚えがないけれど、恨みがあるらしいのです。
記憶喪失で、内容は忘れているみたいですけれど。
[端的に説明をしていれば、二つの鈴の音が響く。
微かに首を傾げ]
気に入ったなら、買っても良いが……。
[珍しく、おそらくはピントのずれていない問いを零した。]
事実でも、言っていいこととわるいことがあるのよぉう!
でもまぁ…、
[頬に手をあて、乙女のような所作のまま、しずかにほほえむ]
すなおなのも、それはそれできらいじゃないわぁ。
おにいさんはここの村の…教会のかた?
なかなかいい男よねぇ…。
[べにを引いた口許が艶やかに笑みを形作る。
焦げ茶の瞳は獲物を見定めるようでもあり]
─宿屋─
[リッキーと手を打ち合わせるアーベルの言葉に浮かぶのはにやりとした笑み。リッキーの腕を見込んでいるが故に厳しくしているのは周りにも周知の話]
ああそうか、おめぇならこの料理も知ってるか。
今回の定期便で良いスパイスが手に入ったんでな。
量が少ねぇんでスープにしか使えんが。
希望ねぇんだったらゲルダと同じもんでも良いかね。
[言いながら厨房へと向かい始める。
途中扉が開き視線を向けるとお客がもう一人、腹の虫と共に現れた]
声も腹も元気だな、カヤ。
注文了解だ、おまけはまぁ考えておこう。
[いつものやり取りなのかそう返して、フーゴーは厨房へと入って行く]
[しばらく鈴をつついて遊んでいたが、ライヒアルトの声を聞くと嬉しそうに振り返り]
え?いいの?
わ。やった!嬉しい!
[まさしく純粋そのものの顔で少女は笑った。
そこだけを見ていると、少女が男に対して恨みを持っているなどは誰にも到底思えないことだろう]
─雑貨屋・前─
うん、アーベルが来てるんよ。
だから、ウチもかあさんのご飯用意したら行くつもり。
[頷きながら答える。いつになく楽しげなのは、声音と表情の双方に表れて]
リディちゃん……ね。
一方的にウラミ買うとか、ライ兄さん、穏やかじゃないなぁ。
[からかうような口調。
記憶喪失と聞けば、微かに眉は寄せられるものの]
……んでも、とてもそうは見えないねぇ。
[買っても良い、という言葉に対する少女の反応に、思わずこんな呟きが落ちる]
[賑やかに入ってきた人に気づけばきょとりと瞬き。]
あれ、カヤ。
あんたもご飯かー、まあそんな時間だしねえ。
[おいでおいでと手招いた。
近くに居るアーベルを同じテーブルに招くことはしないが幼馴染は招く。]
ん、おっちゃんに頼まれたから、テーブルクロスにどんな刺繍を刺すか考えてたとこ。
そいつぁどうも。
[腕組みをしたまま、何気なく相手の顔を見]
あぁ、一応神父の見習いやってる。
……つまり、色恋沙汰はご法度っつーわけだ。
[何となく危機を感じ取ったのか。
こんなときだけ都合よく肩書きを利用して、予防線を張った]
─宿屋・厨房─
[リッキーにも声をかけて三人分の飯の準備。マチブースとダールとアイランドークを二人分、ライスとスープとフライを一人分準備し、更におまけとしてヨーグルトの水分を切り蜂蜜を和えたデザートを用意する。量が量だけにしばしの時間を取られるか]
島の人間でもこうして食いに来てくれるのは嬉しいもんだな。
そう思わねぇか、リッキー?
[問いにリッキーも同意を示す。彼もやりがいのある仕事だと思っているようだ。本格的な料理はフーゴーが、デザートなどの簡単なものをリッキーが用意している様子をカウンターから垣間見ることが出来るだろうか]
―宿屋―
それなり、ね。
そりゃ失礼いたしましたっと。
[顰められる顔に唇の端だけで笑い、慇懃に頭を下げた。
最初に島に来た時喧嘩してからずっとこの調子。
他の子らとは平気だったのに、同い年の相手だけこうなってしまったのはどうしてか。もう本人にも分からない。
良く響く扉の音と声に振り向いて]
ああ、カヤちゃんか。
元気そうだね。
へえ、流石は親父さん。いいものは見逃さないね。
それでいいよ。楽しみだ。
[ゲルダに招かれないのは気にもせず。
そこから付かず離れずの席を確保して座った]
― 雑貨屋前 ―
アーベルさんが……。それは賑やかなことですね。
[クロエが愉しそうなのは、あからさまに見てとれて。
表情のあまり動かない、言葉足らずな男は、
クロエとアーベルが血縁であったことを覚えている旨や、
ゲルダとの毎度の喧嘩等を、その一言に全て注ぎこむ。]
人とは、知らぬところで、恨み辛みを買う動物ですから。
[そして揶揄う口調には、真面目に返す。
その言葉裏には、両親の死因が絡むが、
それもこの言葉だけでは窺いしれないだろうか。]
それで、あれは幾らだろうか……。
[嬉しそうな少女の応えを受けて、
母親の食事の支度をするクロエをあまり引きとめても……と、
学者は財布を取り出し、その口を開いた。]
[ゲルダに招かれて嬉しそうに席につく]
えへー。私、今日はがんばったからご褒美ってやつなの。
ねーの刺繍、綺麗だもんなぁ。できたら見せてね?約束!
[強引に小指をとって指切りをする、厨房から流れてくる匂いに鼻をぴくぴくさせながら、「それにしてもおなかすいた!」とテーブルに突っ伏した**]
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