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[隻眼と唇の形作る笑みに後押しされるように
こくんと頷き暖炉傍に置かれたソファーにそっと腰を下ろした。
暖炉の炎は森の中で見た夕暮れの空を思い出させる。
一瞬見入り、ちいさな息を零して]
あたたまります。
……ありがとう、サーシャさん。
[サーシャへと顔を向けて表情を綻ばせた。]
─ 室内庭園 ─
[ぐるりと周囲を見回す。
踏み込んだ空間は、壁の一部が硝子張りになっており、叩きつける雨が流れ落ちる様が見えた。
二階部分は吹き抜けになっていて、天井は、高い]
……こんな場所じゃ、この位の気晴らしは必要なのかも知れんけど。
……怪しい草とか、植わってんじゃねぇだろなぁ。
[冗談とも本気ともつかない口調で呟きながら、柔らかな緑の空間を見て回る。
中央には小さな池と噴水。植えられている花は色々とあるが、目を引くのは紅と白の花咲く薔薇の茂み]
趣味は、悪くないっぽい?
[目利きできるほどではないが、『何でも屋』として庭の手入れを請け負う事もある身。
庭園の花木、一つひとつに手入れが行き届いているのは見て取れた]
─ 大広間 ─
もっちろん。
そのために動かしたんだから。
[良いのかと問うオリガ>>144に頷いて、僕はもう一度笑った。
オリガがソファーに座るのを見れば、その傍らに立つようにして。
僕もまた暖炉の恩恵に与る]
どう致しまして。
…さっき手を繋いだ時、冷えてたみたいだったからさ。
早く温めてあげたくて。
そうだ、温かい飲み物が無いか聞いてこようか?
中からも温まった方が体温も戻るだろうし。
[綻ぶ表情>>145と感謝の声。
それを見、聞けて嬉しいと言う表情は隠すことなく表して、僕はもう一つ提案を口にした。
僕自身、何かお腹に入れておきたくなってきたからだ]
― 大広間 ―
[そのためにとサーシャが言えば>>147
笑みは少しだけ照れたようなはにかむものが滲む。
気さくで優しい人だという印象を受けるその人の言葉に
釣られるようにその手を見詰め、己を軽く握る]
冷たいの、サーシャさんに移してしまいましたよね。
少し心細かったから、手を引いてくれたの、嬉しかった。
[時折言葉遣いが緩むのは心を許し始めた証拠か。
心遣いに感謝しながら、訊ねにこくんと頷いた]
お願いできますか?
――…此方のメイドさん、少し話しかけ難くて。
[雨宿りを了承してくれたのだから親切とは思うけど
あの無表情さが気に掛かり話し掛けるのに勇気がいるのだとも漏らす]
― 大広間 ―
あら。
貴方も、だったんですね。失礼しました。
[その青年>>134から挨拶と共に返ってきた訂正の言葉に、メーフィエは瞬き。
自分もまた「雨宿り客」であると認める言葉を返した。
それからロングテーブルの席に着いたところで、少し離れた暖炉の方から先程の青年からの声が掛かり、振り向いた。]
あぁ、あたしは、メーフィエ。
サーシャさん、ね。それに、其方の方も――、
その、宜しくお願いします。
[暖炉の方に顔を向けると、サーシャが立つ傍にあるソファに、もうひとり若い女>>145の姿が見えた。
この名乗りは、そのふたりに向けたもの。]
─ 客室 ─
[「こちらをお使い下さい」と案内されたのは品良く整えられた部屋。
メイドは「不自由があれば申出を」とだけ言い置き、音もなく去っていって。
一人になり扉に鍵をかけてから部屋を見まわせば、着替えも入浴の準備も既に済まされていた]
…本当に至れり尽くせり、だな。
こんな森の中じゃ維持するのも大変だろうに。
[口に出す言葉は感嘆だが、表情は険しいもの。
此処に来る前から腑に落ちない事はあった、が]
…朝になって雨がやんでいなくても、出ていくべきか。
[下手に首を突っ込むと厄介そうな気がして。
長居しなければ大丈夫だろうと、深く考えることは一旦止め]
─ 客室 ─
しかし。
部屋に風呂がついているのは有り難いな。
[代わり、考えるのは現状のこと。
着替えだけで済ませるのは辛いと思っていたから人目を気にせず入られることは正直助かる。
水が滴る程に濡れた外套を脱ぎ、絞った後ハンガーにかけ。
着ていた服も同じようにしてから、胸に巻いた幅広の包帯を外して湯に浸かる。
雨に冷やされていた体がゆるゆると解けるように湯の温度に馴染んでいくのが解って。
存分に疲れを癒すと、包帯を胸に巻き直して用意されていた着替えを手に取る。
シンプルなパンツとドレスシャツで、別段不思議に思うことなど無いはず、なのだが]
─ 客室 ─
…なんだか、気持ち悪いな。
[若干余裕のあるシャツと、対してパンツはぴったりとしたスキニータイプ。
まるで元から自分の為に誂えられたように体型と好みに合っているのが不自然に思えて、無意識を声に落とした後]
……ちょっと、ここの中を見てこよう。
[いくばくかの思案の後、荷物から短剣を出すとシャツに隠れるようにパンツのベルトに括りつけて。
一人で部屋の中に居たくないと、理由を作って部屋の外へ出た。]
─ →廊下 ─
─ 大広間 ─
ああ、大丈夫大丈夫。
僕はお風呂で温まっても来たし。
このくらい何てこと無いよ。
[冷えを移してしまったと言うオリガ>>148に返すのは首を横に振る仕草。
冷えているオリガに比べたらかなりマシな状態なのだから、そこを気にすることは無かった。
手を引いたのが嬉しかったと言われると、口端を持ち上げて笑った僕の頬に僅かに朱が走る。
力になれたのが嬉しかったし、そう言えば手を繋いだんだ、と今更意識してしまったのが理由]
分かった、じゃあちょっと行って来るよ。
オリガはゆっくり温まってて。
[提案には是が返り、僕はオリガに頷いて一旦傍を離れた]
─ 廊下 ─
さて。
まずは何処に行こうかな。
[部屋を出たはいいが、あても無く屋敷内をうろつくのも悪趣味に思えて気がひける。
かといって立ち止まったままでも不審だろうし、とゆったりとした足取りで歩き始めて]
そういえば、ここのご主人の部屋はどこなのかな。
[この屋敷に着いた時の事を思い返し、メイドに聞いてもきっと答えてはくれないだろう疑問を口にした]
― 二階廊下→ ―
あっ、大した怪我じゃないですよぉ。
ちょっと、擦り剥いちゃっただけで。
[さっきの間>>116の所為で違和感を与えていたなんて知らず。
誤魔化すように、両手を顔の前でぱたぱたと振った。
今度のスカートの丈は膝と同じくらいで、動けば手当のあとがちらちらと覗く]
メーフィエさん。うん、覚えた。
じゃ、行きましょうか。
……って言ってもアタシ、どこ行ったらいいか知らないんですけど。
[エントランスから案内されるまま客室に来て、それ以外の屋敷の中の配置はまるで分からない。
えへへ、なんて笑いながら、一緒に下に降りる事にする。メーフィエさんが辺りを見渡しているのには気づいたけれど、メイドか誰かを探しているのだとばかり思っていた]
二階廊下→大広間 ―
あ、えっと。……
[途中でメイドとすれ違う>>131。
メーフィエさんが大広間について聞くのを待ってから、彼女に借りた救急箱を渡そうとしたけれど、ちょっと悩む。さっき救急箱と着替えを持って来てくれたのってこの人だったっけ、と。
さっきと同じ無表情で、だけど良く見たら顔立ちが違う気もする。
けれどそうしている間に、中途半端に差し出したままだった救急箱は受け取られた]
……あっ、ありがとう、ございましたっ。
[戻しておきます、と相変わらず無表情のままに告げられて、慌てて御礼を言う。
多分この人で合っていたんだろうと、メイドが全員無表情だなんて知らなかったその時はそう思った]
─ 室内庭園 ─
[庭園の中を見て回る。
どこかのんびりと花木を眺める態だが、実際にはその場の観察が主な目的]
観賞用の花だけじゃなくて、ハーブ類も結構あるみたい、と。
……ご主人さんの趣味なんかねぇ。
[庭園には見目好い花木以外に複数のハーブも植えられていた。
食材になるもの、香草として使うものが主体だが、薬としての用途があるものも幾つか見受けられた]
ここは、覚えといて損なし、と。
……しかし、ここの上って、どうなってんだ?
[場の観察が終われば、好奇心が頭を擡げる]
……見に行ってみるのも、あり?
[間取りの把握、という目的もあるけれど。
この庭の上に何があるのか、はそれとは別に気になった]
― 大広間 ―
[案内を頼まなかったから、ちょっとだけ時間をかけて大広間に辿りついた。
扉の近くに立っていたのはメイドではない。>>134
メーフィエさんが挨拶をしている間、その人の長い前髪が何となく気になって、ついちょっと見つめてしまう]
あ、すみません。
[道を空けられて、我に返って頭を下げる。
部屋の中に入るともう一人女の人>>145がいたから、そっちにもこんばんは、と挨拶した]
アタシは、キリルです。
よろしくお願いします。
[サーシャさんと、オリガさん。
新たな名前を反芻しながら、ボクはまた“彼女”の名前を名乗った。
2人も含めて雨宿り客は多いようだし、本人の知り合いがいたらマズイんだろうけど、まさかそんな偶然はないだろう。きっと]
─ 廊下 ─
[気付いた疑問を口に出してしまえば、堪えるのは難しい。
元より不審が強いのだから当然と言えば当然で]
…探してみるか。
[屋敷内を歩く建前だけでなく、純粋にこの屋敷の主人に会っておきたい。
メイドに見咎められても、主人への礼を言いたくてと言えばうろついていた理由には出来るだろう。
そう考えて歩く速度を少し速めれば、窓の外から強い雷鳴が響いた]
─ →屋敷内・廊下 ─
[そうと決めれば行動は早く。
庭を出て、廊下を足早に歩く]
……しかし、根性座った雨だよな。
[一向に弱まる気配を見せぬ雨脚にぽつり、呟く]
降りだしのタイミングといい、勢いといい。
なんかこう……嫌な感じもするけど。
[低い声は雨音に紛れさせるように、落として。
湧き上がるものを振り払うように、軽く首を振る。
金糸の如き髪がさら、と揺れた]
─ →厨房 ─
[ひょこ、と左足を少し庇いながら僕は歩き行く。
この大広間は食堂を兼ねているようだったから、近くに厨房はあるはずだ。
食堂であるこの部屋と部屋続きになっている可能性もある。
ロングテーブルの奥の方を見てみると、別方向に扉が二つあるのが見えた。
確認してみると片方は廊下に出る扉だった。
廊下に出て厨房を探しても良かったけれど、もう一つの扉が気になる。
入ってはいけない場所だったら鍵がかかってるだろうし、と考えて、僕はあまり躊躇うことなくその扉を開いた]
……お、当たり?
[開いた扉の先には調理場があった。
一般的なキッチンとは訳が違う、とても立派な厨房。
扉を開いた状態で、僕は少しの間呆気に取られながら中を見回していた]
……と、こうしてる場合じゃない。
あのー、誰か居ますかー?
[扉の傍で声をかけると、厨房の奥から無機質な声が返ってくる。
見ればメイドが一人、何か調理をしているようだった]
ちょっとお願いがあるのですが…。
身体を冷やしてる人が居るので、暖かい飲み物を頂けませんか?
あ、忙しいようならその用意をさせてもらえると嬉しいんですが。
[一人で作業していることから忙しかろうと思ってそう申し出たが、飲み物は用意されていたようで、紅茶の入ったティーポットとティーセットが何客か、カートに載せられ運ばれて来た]
あ、これくらいなら僕が運びますよ。
……え、ああ、そう、ですか。
[後は自分でやると言ってみたけれど、仕事ですからと言われてメイドに頼むことになった。
表情が無いもんだから、どうもとっつきにくさを感じる。
かくして僕はメイドと共に大広間へと戻ることになった。
僕の足を心配されたのは……あるのかどうか。
ここのメイドの考えていることは一向に分からない]
― 大広間 ―
[キリルの名乗りにゆるく礼をする]
キリルさん。
――…こちらこそ宜しくお願いします。
[メーフィエにもしたようにキリルに向かい頭を下げる。
容姿にアタシという一人称から女性なのだと自然と認識して]
[エントランスまで戻ると、いつの間にやら濡れた跡は綺麗に掃除されていた。
あの後、新たな来訪者はなかったらしい。
何気なく、玄関の扉に手を触れてみたが、施錠されているのか扉はびくとも動かなかった]
…………。
[天候を考えれば、施錠して当たり前、ではあるのだが、細かいところが気にかかっているせいか、そんな事も引っかかりとなってしまうものの。
今は意識におかず、二階へと向かう階段を上る。
三階へと続く階段は、そのすぐ傍にあったはずだった]
パターンから行くと、三階はプライベート空間……だよ、な。
さて、入れてもらえるかなー?
─ 廊下 ─
[雷鳴が落ち着くと、何処からか微かに人の声が聞こえるのに気付く。
恐らく雨宿り客の内の誰かの声だろうと思うのは、どうも此処のメイド達が私語を交わすと思えないから。
職務に忠実といえばそうなのだろうけれど]
…無機質過ぎるんだよな。
[無表情で必要な事しか言わない彼女達が、人間らしさが欠けているように思えてならなくて。
それが余計に不気味さを感じる要因なのだと気付き、無意識に足を止めた]
― 大広間 ―
[挨拶終わればソファーに座り暖炉の火へと手をのばす。
指をやや開き掌をあたたかな炎へ向けた。
じわとそのぬくもりが身にしみる]
――…そういえば。
ベルナルトさんは探検と言ってましたけど
探検したくなるほどの広さがあるんでしょうか。
[雨の中では外観をちらとみただけ。
エントランスの広さからは大きな屋敷とは凡そ知れるが
冒険心の薄いオリガにはピンとこなかったらしい。
独り言ちるように呟いて炎の揺らぎを見つめながら小首を傾げた]
― 大広間 ―
[少なくともこの場に、自分が逃れるべき人は居ない。
そう思っていたから、大広間に辿り着く前よりも幾らか心は和らいでいた。
廊下でちらと周囲を見回していたのは、確かにメイドを探していたからでもあった。
けれどそれとは別に抱いていた不安は、同行していたキリルに悟られないよう、顔に出していなかった。
けれどそれとはまた別に、キリルの顔色を少し案じる心もあった。
怪我のことに触れた時の「彼女」>>158の仕草は、その言葉と同じように、大丈夫だと告げるようにも見えたが――。
そんな気持ちも顔には出さず]
そういえば、食事も頂けるってさっき会ったメイドさんから言われたんだけど。
温かい飲み物も、食事と一緒に頂けたらいいですね。
ね、キリルさん。
[ただこの場で、出て行ったサーシャのことを思いながら零した言葉の中に、少しだけ滲み出た。]
─ 大広間 ─
[カートを引くメイドと共に大広間へと戻ると、まだ他の人達は来ていないようで。
居たのは暖炉前のオリガと、ロングテーブルに居るメーフィエと、先程名乗り合ったキリルだけだった。
最初キリルの視線が長く伸ばした前髪に向けられていた>>161のを思い出して、ほんの少しだけ顎を引く。
この下を気にされているのではないのなら構わないのだが、どうしても警戒してしまう]
紅茶用意してもらったよ。
メーフィエさんとキリルさんも、どう?
[オリガに声をかけながら、メーフィエとキリルにも飲み物を勧める。
メイドは歓談スペースとロングテーブルの間辺りにカートを止め、人数分のカップに紅茶を注ぎ始めた]
─ 廊下 ─
…今はこんなこと気にしても仕方ない、か。
それよりも、まずはご主人の部屋だ。
[気味悪さを追及しても打開策は浮かばないと、当初の目的を果たそうと気を取り直して。
顔を前に向けると、視線の先に階段が見えた]
…普通なら、上の階にあるはずだけど。
此処はどうなのかな。
[無意識、この屋敷が普通じゃないと感じている呟きを零しながら階段に近付く。
金髪の青年も同じように階段を上がっているとはまだこちらは解らぬことだが、鉢合わせはしたかどうか]
─ 廊下 ─
[階段に近付いていくと、一階から誰かが上がってくるのが見えた。
金髪の青年の姿に、軽く目を瞠るも足は止めず]
えぇ。
そちらも、ということはベルナルトさんもですか。
[問われる声に返すのは、こちらも軽いもの。
柔らかく人当たりの良い笑みと共に問いを返した後]
目指す宝も私と同じなら、ご一緒しませんか?
[向ける視線に、この屋敷への不審を含んでみせた]
― 大広間 ―
[カートを引く音とサーシャ>>173の呼びかけに気付き振り向いた時、紅茶の温かな香りが鼻を擽り、口許が緩んだ。]
ええ、あたしも是非頂きます。
ありがとうございます、貴女も、サーシャさんも。
それと……すみません。
お粥とか野菜のスープとか、簡単にでも良いので、頂けないでしょうか。
あたしも、何かお手伝いできることがあれば、お手伝いしたいです。
[サーシャとメイドに礼を述べて、メイドから紅茶のカップを受け取ってから。
そのメイドに対して注文を付け加えた。
あの時キリル>>178の返事の中にもあった間に、メーフィエは気付いていた。
その訳をはっきりと察した訳では無かったが――。
紅茶だけでは、という気持ちが、自身の空腹の所為もあって胸の内にあった。]
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