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えっ。
[老人の発した言葉にぎょっとしたのです。]
ベリエス、村の人を疑うって、何をいって、、、
[『ヒトニ、バケル、ケモノ』という言葉が頭の中に過ったのです。
そういうことだったのです。]
[羊飼いはとぼとぼと教会への道を歩いています。子羊が二匹、とことことその後をついていきます]
ああ、なんてこった。
[空に広がる黒雲のように、羊飼いの顔も暗いのでした]
む……そうじゃのう。これは一雨来そうかの?
ほれ、良かったら使いなさい。
[おじいさんは、自分の首に巻いていたマフラーをゼルマへ渡します]
まだ教会に来ていない者らが心配じゃ。雨に濡れなければ良いが……。
[沈んだ心に、雨の冷たさは響くことでしょう]
そばに……いた?
[木こりは今朝、ホラントの無残な姿を見つけたのです。
いったいいついたというのか、アナの言葉がわかりません。
後ろをのっしのしとついて行きながら顔を顰めます。]
オイラが見つけたのは地面の染みと、服の欠片と"壊された"ランタンだった。
……からだはもう、なかったさ。
[どこへ消えたのかは触れず、振り返る少女に答えます。]
人狼の恐ろしい所は、昼間は人間の振りをしている所じゃよ。
そしてもっと恐ろしい所は、ごく普通の真っ当な人間までもが、人狼ではないかと疑われることなのじゃ。
[おじいさんは言いましたが、ゼルマが驚いているのを見て、それ以上話すのをやめました]
脅かしてすまんかったのう。
わしはこの村の皆を信じとるよ。
[教会に着くと、羊飼いは帽子を取って、聖句を唱えました]
ああ、牧師さん、ベリエスさんにゼルマさんも、おいらホラントがって…聞いて……
ああ、なんてこったホラント。
なんだってこんなことになっちまったんだ?
[おいおいと羊飼いは泣きました。羊飼いの足下で、二匹の子羊もめえめえと悲し気に泣きました]
ホラント殿だって。
[旅人はびっくりしたように言いました。]
少し前に見た時は、元気に見えたというのに。
一体・・・
[旅人は言いかけたことばを途中で止めて、うつむいたドロテアを見つめます。
ドロテアのことばが、なんだか妙に説得力があるように聞こえたからです。]
人狼が、本当にいるというのか。
アルベリヒ……。
[声を詰まらせるアルベリヒを、おじいさんは気の毒そうな目で見詰めます]
まさか本当にこんな事が起きるとは……。
昨日の夜、きちんとホラントを見付けてやらなかったのが悪いんかのう……。
[そうして木こりは教会までは少女についていきました。
葬列には並ばず、離れた場所の影に立っています。
雨に濡れようとも、木こりは気にしません。
人狼の噂を聞いた人々をじっと見つめているのです。
ベリエスの想いと裏腹に木こりは人狼の影を探すのでした。**]
[ルイの疑問の声に、小さく、ちいさく頷きました。]
……亡くなったお母さまに、そう、聞かされていました。
わたくしのおばあさまは、『力』を人狼に知られて、たべられてしまったの、と。
[小さな声は、ぎりぎり、ルイに届くか届かないか、というくらいです。]
[しばらく涙を棺に注いでから、羊飼いは腫れた目を隠すように帽子を被って、ベリエスに向き直りました]
ホラントはいつも、あちこち一人でふらふらしていたからね。探そうったって見つからなかっただろうと思うよ。
それに、一緒に居たら一緒に…
[言葉を切って、羊飼いはぶるると身体を震わせました]
なあ、本当に人狼ってのがいるんだろうか?
[問いかけた声は、とっても小さく聞こえました]
[ベリエスが差し出してくれたマフラーを巻いても寒さは治まりません。]
ベリエス。ありがとう。そうね、信じることは大切よね。えぇ。
ルイさん、長いこと留守にしてごめんなさい。
アルベリヒ、あなたはいつも一人だから、無事で良かった。
『力』。
[小さな声を聞き取って、旅人は繰り返します。]
それは。
ホラント殿が言っていた、占い師とか、霊能者とか、いうものかな。
[たずね返す旅人の声も、自然と小さくなるのでした。]
なかったんだ。
壊されてしまったの?
それとも、
食べられてしまったの?
〔きょとんとした顔で、アナはドミニクに問いかけた。でも、その声は、ごろごろと鳴る雷に消されてしまったのか、答えが返ってくることはなかった。
ドミニクに連れられて、アナは教会へと辿りつく。
黒い列に並んだちいさな姿を見て、人々のあいだにさざなみが立つ。
前へ、前へと場所を譲られて、棺の前に来るまではすぐだった。〕
ああゼルマさん。おいらは一人だけど一人じゃないから大丈夫。
[ようやく足下の子羊達に気付いて、二匹を代わる代わる撫でながら、羊飼いは言いました]
それよりアナはどうしてるんだろう?
ホラントがいなくて心細いんじゃないだろうか?
誰か見かけた人がいるかい?
そうじゃのう。わしみたいな力の弱い老いぼれじゃあ、せいぜいホラントの付け合わせにされるが関の山かのう……。
[羊飼いの言葉に、おじいさんはこっくり、頷きます]
人狼……さあのう。わしがこの目で見たことは一度もないんじゃ。
でも、人狼がいるという噂が立って……やがて滅びた村なら知っておる。
[近くのおばあさんを気遣ってか、アルベリヒに答えるのは小さな声です]
[繰り返された言葉にあ、と小さな声を上げますけれど。
言った言葉は戻りませんし、何より。
誰かに聞いて欲しかったのも、本当の気持ちなのでした。]
……ええ、そう、ですわ。
占い師……というと、少し、違うような気もするのですけれど。
この子たちが、教えてくれるのです。
[小さな声にこたえるように、白の花がほわ、ほわりと光ります。]
アナ…
[探していた少女の姿が見えても、いざとなると羊飼いにはかける言葉が見つかりません。代わりに二匹の子羊が、とことこと少女に駆け寄ると、足下に擦り寄って、めえ、と鳴きました]
[もしもゼルマが少しでも冷静さを残していたら、
少し離れたところからじっとホラントの入った棺を見つめるアナの様子に疑問を抱いたことでしょう。
しかし、一杯一杯のゼルマにはその余裕は残っていなかったのです。]
ああ、アナ。あなたの兄さんだよ。最後のお別れをちゃんと言いなさい。
[アナのそばに寄ったのでアルとベリエスの話は聞こえなかったようです。]
ええ、ええ。
きっと熊とか虎とかの仕業でしょう。
[牧師は口ではそう言いながらも、
老女から聞いた話と、ホラントさんの噂話と
タイミングの良さに、薄々と気付いてはいるのです。
ゼルマを宥め、ベリエルが教会を訪れれば、
牧師は埋葬の準備を始めます。
教会を訪れた羊飼いが聖句を唱えると
牧師は神妙な顔つきで、ホラントさんの冥福を祈るのです]
〔そばまで来たのに、アナはしばらく立ち止まっていた。
二匹の羊が近づいてくる。
ゼルマもやってきたけれど、アナはまたたきもせずに、じいっと、棺を見つめていた。
返事をするまでには、ちょっぴり長い間を置いてから、アナは口を開く。〕
お兄ちゃんのからだ、誰が、なくしちゃったの?
人狼が村を滅ぼすんなら、やっぱり人狼を探さないといけないんだろうか?
探してどうにかしないといけないんだろうか?
[小さな小さな声で羊飼いは呟きました]
ああ、でもおいらには出来そうにないよ。
[黒雲はすっかり空を覆っていました]
アナ……。
[おじいさんは、兄に先立たれた妹の姿を見付けました]
どうか、気を強く持っておくれ。
嬢ちゃんは強い子じゃから、きっと大丈夫だと思うがのう……。
[ひとり取り残された女の子に、おじいさんが何を言ってやれるでしょう。
棺の前のアナを、おじいさんは静かに見詰めています]
〔質問が聞こえたのは、誰までだろう。
アナはそう言ったあと、羊たちやゼルマを見もしないで、棺のそばに近づいた。すかすかの、その棺の中身を、大人たちは見せてくれなかったし、アナも見ようとはしなかった。
ほんの少し開いた入り口に、アナはとりどりの花を添えていく。粉々になってしまったランタンも、いっしょに入れてくれるようにお願いしていた。〕
だいじょうぶ。
黒い森の灯りは、アナが、ともすから。
〔帽子の陰になった表情は、他の人に見えはしない。
ただ、ここにいないホラントに約束するように、アナは言ったのだった。
手を組んでお祈りをして、アナはそっと、立ち上がる。〕
[ドロテアの声に合わせるように白い花が光るのを、旅人は少し驚いたような顔で見ていました。]
なるほど。
[やっぱり小さな声で、旅人はうなずきます。]
だれが人狼か、分かるというわけか。
たしかに、人狼は恐れるだろうな。
[それから、確かめるかのようにもう一度つぶやいたのでした。]
ということは、本当にいるのか。
[少しずつ動いていく、黒い列。
牧師はこの先もこうして、誰かを見送るのでしょう。
棺の中身は服の切れ端に、壊れたランタン。
せめて彼の身体の一部でもあれば
ホラントさんについて、わかるかもしれないのに。
雨の降り始めた空を見あげて、
牧師は小さく神への文句をつぶやくのでした]
[ぐしぐしと帽子の影で鼻をすすっていた羊飼いはアナの言葉に顔を上げました]
アナ、森に行くのは危ないよ。
[言ってから、危ないのは森だけではないかもしれないと気付きましたが、羊飼いはその考えを頭の奥に押し込めました]
もっとも、一度に知れるのは、ひとりだけ。
だから、慎重に、隠れていなさい、と言われてきたのです。
[でも、動き出してしまったから。
もう、隠れるだけではいられないのです。]
……ええ。
ホラントさんが、誰にあのお話を聞いたのかはわかりませんけれど。
本当の事、なのですわ。
アナさん、
危ない真似はしてはいけませんよ。
アナさんに何かあったら。
ホラントさんが悲しみます。
[少女の決意のような言葉が耳に届くと、
牧師は彼女を嗜めるように言いました]
探してどうするつもりなのじゃ?
[アルベリヒに問い掛けるおじいさんの目は、少し鋭くなっていました]
それでいいのじゃよ、出来なくて当たり前じゃ。
普通の心を持つ人間なら、そう簡単に誰かを疑うことなど出来ないはずじゃ。
そうでない者は――
……その村が滅びてしまったのはのう、村人たちが、誰の事も信じられなくなったからなのじゃよ。
〔空っぽの籠はそこに置いて、火のついていないランタンを手にしたアナは、まるで、今、ほかのみんなに気づいたみたいな顔をした。〕
エリーにフリー、ゼルマお婆ちゃん。
こんにちは!
〔他の人の姿も見つけたら、同じように、ご挨拶。
にっこり笑って、いつもと同じようにするのだった。〕
アルベリヒさんに、牧師さま。
どうして?
危ないのは、黒い森じゃないもの。
だいじょうぶ。
それに、黒い森には、きっとお兄ちゃんだっているもの。
〔アナは不思議そうな顔をして首をかしげてみせる。
泣いている羊飼いとは違って、涙のあとだって見えなかった。〕
[アナの様子が意外にしっかりして見えたことでゼルマは自分がこんなではいけないと思いました。
そうして、取って付けたように亡くなった兄を見送る列に混じります。]
やはり、探すしかないわね。もしもそれが本当ならば。
[誰にも聞こえないだろう小さな呟きでした。
空が啜り泣くような雨粒を落とし始めており、人々の足音があり、そばに戻ってきたヴァイス以外には聞こえなかったことでしょう。]
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