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─自室─
さて……いつまでも、こうしてらんない、な。
[小さく呟き、身支度を整える。
それでも、漆黒の翼は広げたままで。
その様は、死を告げる天使のそれとも見えようか]
そろそろ、動かにゃならん訳だが……。
御方に仕掛けるのは、どうしたもんか。
二対一になる可能性……やってやれん事は、ないだろうが。
[やはり、不利は否めないな、と。過ぎるは微かな苛立ちか。
だが、その苛立ちも、扉の向こうから聞こえる声に、かき消され]
っと……。
ああ、いるけど?
[御用ならどーぞ? と。返す声は、いつもと変わらぬ軽いもの]
[考えているアヤメを少し見つめた後で、...はそっと彼女の耳元に唇をよせた]
これから、俺はミュウのところに行く。
もしおっさんとミュウが共犯で、尚且つこっちを混乱させるために、わざと殺し方を変えていたとしたら、ミュウは抑えておかなくちゃいけねぇ。
……もし、俺が戻らなかったら、悪いけど姐さんとマイルズで動いてくれ
邪魔するよ。
[応えがあれば遠慮なく扉を開き、中へと入る。
後手に扉を閉じて、窓辺に立つ部屋の主に笑いかける]
どうした、空でも恋しくなったかい。
[入ってきたミュウに、やー、と言いつつひらっと手を振って]
ああ、ちょっとばかりね。
自由に飛びまわれないのは、イロイロと辛いんですよねぇ。
[冗談めかした口調で言いつつ、くすり、と笑い]
んで、何か御用かな?
[『……私がオーフェンの部屋にたどり着いた時、オーフェンの部屋から出て行った人物はその場にいたもう1人じゃない、って事かしらね。幻術の類でも使っていない限りは。
そもそも、なぜエドガーはシャロンを裏切り者と断定したのかしらね?
まー、限りなくエドガーが胡散臭い、って事には変わりないか。そっちから攻めてみましょうかね?』
そんなことを考えていた時、聞こえたレッグの言葉に顔を上げ]
マイルズ、ね。彼は……信用しても大丈夫?
というかね、戻ってきなさい。これ以上こちらの駒が減っちゃ辛いわ。
オーフェンも…違ったしね。
ああ、ちと確かめたいと思ったのさね。
アンタの言ってた「簡単に割れる方法」という奴の結果だよ。
それは白羊のが裏切っている、と示したのかい。
[軽く漂う香気。
目を細めて問い掛ける]
勿論、アンタの真実は即ちアタシの真実となる訳じゃない。
だが現状で手がかりの無い身としては、手持ちのカードを増やしておくべきだろうかと思ってネェ。
ああ、その話かぁ。
[軽く言いつつ。
微かに感じる香気を払うように、軽く、翼を動かして]
ま、誤魔化しても仕方ないから、はっきりお答えしましょ?
トキノカミの過去視……Chronosの力がオレに見せたのは、白羊宮の御方が裏切っている、というコト。
そこに至る過程までは知らない。
ただ、その過去から続く螺旋が、現在(イマ)を作った。
オレに言えるのは、それだけ。
信じる信じないは、キミ次第、だね。
成程ネェ。
それならあれだけ敵視してても不思議じゃない。
[手の中のリボンの質が変化する
固い感触に変わったそれを手元に引き寄せて]
マイルズは気が付いているようだったかネェ。
他の誰かにそれを言ったかい。
まあ、そゆコトかな。
[不思議じゃない、という言葉に、ひょい、と軽く肩をすくめて。
続いた問いには、僅か、碧に陰りが走ったか]
ああ、マイルズくんは、聡いしね。
誰かに……か。一人、話した。
キミと同じように、聞きにきたんでね……まさか、直球で突っ込んでくとは思わなかったけど、な。
[零れ落ちる、ため息。
片手がコートのポケットの中へと滑り、中の物を軽く、握った]
マイルズにかんしちゃー、なんつーか、俺の希望かな? 何だかんだで一番付き合い古いしな。
だから、何かあっても、あいつならって思えるね。
[そして、戻っておいでという言葉には答えず、そのままマイルズの部屋へと向かって歩き去っていった]
……聞くまでもない気がしますが。
[ひょい、と。肩をすくめて]
シャロンだよ。
彼女と御方は、味方ないし、味方意識があるように思えなかったんでね……。
結果的に、裏目にでちまったが。
[最後の言葉は、吐き捨てるように。
そこにあるのは、自身への苛立ちか]
ああ、そういうことだったのかい。
思った以上に直情な性質だったんだネェ。
[苦笑のようなものを浮かべて肩を竦める。
暫し考えを纏めるように沈黙したが]
……ありがとうよ。
こちらも誠意として対価を示しておこうかネェ。
白羊のに、アタシの幻術はそうそう効かないのさね。
あの毒に通じた御仁にはネェ。
[ディーノは他の者達より多少詳しくこちらの手段を知っているはずだった。
体内物質を変化させるという性質上、毒に強ければ効果を望むにはそれだけ強い術が必要となる訳であり]
まあそういうことさね、邪魔したよ。
[それだけ言うと、自室に戻ろうと扉を開けた]
[飼い主とマイルズの会話を待つのには飽きたとばかりに猫はひょいと飛び降りて。
それに気がついた主人が少しだけ扉を開けて猫を外に出し、そして悪さだけはしないように言い含める言葉を他所に猫は廊下へとかけだす。
後ろで扉の閉まる音がすればきょろりとあたりを見回したあと、ちいさく、なぅ、と鳴いて廊下を歩き出す]
−(猫だけ)→廊下−
ん、了解よ。
[去りゆく背中に、小さく落とした溜息は届いたのだろうか?]
ま、お互いいつまで生きてるかわかんないからなぁ。
どうせならせめて粋に逝きたいものだけども。それでもやはり生き抜きたい。
さて、と。動く前に……。
―→円卓会議場―
[思ったより、という言葉には、肩を竦めるに止めて、何も言わず]
……御方には、そうは効かない……?
[ミュウの示した『対価』に、表情を険しくする。
彼女の力の事は、それなりに抑えている──それは、逆も真理なのだが、それはともかく。
そこから導き出されるいくつかの可能性に、碧は僅か、険しさを帯びるか]
……ありがたくいただいときましょ、その対価。
[ふ、と笑って呟いて。戻ろうとする背に]
……ま……どうなるにしろ、無駄死にはご注意を?
[冗談めかした口調で、こんな言葉を投げかける]
[一歩部屋の外へ踏み出したところで振り返る。
艶然とした、どこか熱を孕んだ笑みを浮かべて]
無駄死には御免だネェ。
だが降りかかる火の粉を払う手は持っているさね。
その結果はがどうなるかは……
アンタの言う「トキノカミ」なら知っているのかネェ。
[クツクツと笑って歩き出す。
こちらに来る白猫を認めれば僅かに目を眇めて、扉を完全には閉めずに去った]
…レッグ?
[扉の向こうから投げられた声に、ふと顔を上げる。
瞬間緊張の糸を張り詰めるも、聞覚えの有る声に緩く瞬き。]
――ええ、開いておりますよ。どうぞ。
[小さく息を零し、室内へと促す答えを]
[熱を帯びたような笑み。
それに返すのは、『死の宮の御子』の艶なる笑みか]
さて……未来は螺旋で変わるもの、どうかはわからない、ね。
[笑って歩き出すミュウに届くか届かないかはわからないが、こんな呟きをもらし。
僅かに空いたままの扉に、きょとん、と瞬きつつ、そちらに近づいて]
……おんや?
あれは、ジョエルくんの白猫さん。
[白い姿に、小さく呟く]
[白い猫は時々立ち止まり、すん、と鼻を小さく鳴らしては歩く。
やがて、ひらひらした服を来た女が道を開けてくれて、その扉に飛び込むとみあう、と猫が鳴いた。
シャロンを抱いていったのは彼だったと猫は記憶していた]
[マイルズと話していたところで猫が鳴けば、気まぐれさの相変わらずな様子に肩を竦めて扉をあけてやり、そして一応扉を閉めた──のだけれど。
扉をノックする音、少しだけ驚き、そして声に自分がいていいものかわからずちらりとマイルズを見やる]
[マイルズの促す返答に、まるで友人の家に遊びに来たような気軽さで手を上げながら入室し、そのまま念のため室内をぐるりと見回した]
(誰もいない、か)
[それを確認すると、それまであった馴れ馴れしさが消え、すっと真面目な顔で、口を開いた]
昨日、俺が言った仮説あるだろ?
それについて、ちと耳に入れておきたいものがあってね。
[そういうと、アヤメに語ったのと同じ考えを口にした]
……マイルズ、この考えって、お前的にはどれくらい的を得てると思う?
……おやま。
[飛び込んできた猫の様子に、苦笑して。
開いた翼を閉じて、小さな来客の側に膝を突く]
何か、お探しですか、白の姫君?
[冗談めかした口調で問う。
なんとなく、猫が何を探しているのかは、感じているのだが]
[...はそこまで話して、己が室内の奥まで完全に警戒していなかった事に内心、舌打した。
だが、その相手の気配がジョエルのものだとわかると、大きな溜息をついて、後頭部を掻いた]
(あっちゃ〜、しまったな……。だが、今回の中に予測の中にジョエルははいってねーし、まぁなんとかなるだろ。訂正もメンドイし)
[真面目であっても、彼は彼であった]
[にゃーとか、みゃーとか、とりあえず激しく猫は鳴く。
ディーノの膝に前足を乗せて、てちてちと激しく何かを訴える。
まるで、『シャロンは何処?何処にいるの?』と子供のように何度も何度も]
[ジョエルの視線に気付きながらも、そのまま扉向こうの彼を促す。
少なくとも彼自身は、退室を指示させる心算は無いようで。
入室早々、予測を語り出すレッグに
――…ジョエルに気付かないのかと少々面食らいながらも
告げる内容に、僅か目を細め考え込む]
……あくまで、僕の考えですから…
確立ですら正確である保障は有りませんが。
充分に、有り得ると思いますよ。
少なくとも、シャロンが裏切者だと言うエドガー殿の言葉よりは
何百倍と信憑性に富んでいます。
[と、漸く室内のもう一人に気付いた様子の彼に、
口許に手を当てくすくすと小さく苦笑を零し]
…心配要りません。
少なくとも、僕にとって彼は唯一信用に値する人物です。
―客室―
[治療も一段落つき主人が眠りについた事を確認するとディスは外の様子を確認するため部屋を出た]
―客室→廊下―
[シンと静まり返った廊下を銀の髪の少女が歩く。
その赤き双眸は何物をも見逃さぬ様に、足取りも何時でも回避・逃走に移れる様に、気配は極力殺しつつもピンと細いワイヤーの様に張り巡らせて―銀の髪の少女が歩く]
[訴えかける様子に、その言わんとする所を察して。
掠めるのは、苦笑]
……さて、困りましたねぇ。
この姫様に、言葉で説明しても、通じないだろうし……。
[言いつつ、とりあえず、なだめようと手を伸ばして。
ふと、思い出す。
亡骸を部屋に安置した際、念のために、と持ってきた物の事を]
……重要なのは、カードの方。
こっちは……姫様にあげても、問題ない、かな?
[呟きつつ、ポケットに手を入れて。
取り出したのは、銀のメダル。
その裏に隠されていたカードは、既に外してあった]
―円卓会議場―
[己の席に付き、メイドに軽い食事と紅茶を頼み。ぼんやりとオーフェンとシャロンが座っていた席を見]
……堕ちた星が3つ。そして未だ裏切り者は健在、か……。
[やがて、メイドの持ってきた紅茶を一口飲み、ジョエルの淹れた其れが少し恋しくなったりして。]
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