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[ヴィリーが起きたことに気づけば、ほっとしたように笑みを向ける。]
よかった……自警団の攻撃がつよすぎて起きないかと思った。
[ダーヴィッドのことを悔やむ様子に、僅かに瞳を伏せる。
ヘルムートの声に軽く瞬き。]
強い? あたしが?
まさか……ただ逃げてるだけだよ。
[ふるり、と首をふる。
現実を認識することから、死と向き合うことから逃げて、ただ親しい人の無事だけを喜ぶことのどこが強いと言うのか。
ヘルムートの言葉にただ否定だけを返した。]
―宿屋・酒場―
こっちに居たか。
[ヘルムートとクロエの会話を耳にして、僅かに笑う。
こちらを見たクロエと一瞬だけ視線が合い、そらされた。
笑みは消え、少し離れたテーブルの椅子を引いた]
誰も止められなかったよ。
[ヴィリーの言葉に答えるともなく言った]
─回想
[皆のやりとりを聞きながらも『処刑』の事が頭を巡り落ち着かず。誰に何を告げるでも無く静かに部屋に戻って頭から毛布を被る。実際はそれは逃げでしかないのだけれど。そのまま気が付けば眠りについて。目が覚めて聞かされたのは一人が連行され処刑された事。そして次に聞かされたのは、あの少女が襲撃された事。]
…夢とか、御伽噺じゃないんだね。
実感沸いてなかったけど…。
[その瞳にほんのりと暗い光が灯る。それは生きる覚悟かそれとも、違う覚悟なのか]
[ルーミィから声をかけられれば、あぁ、と頷き。
ゲルダへの言葉には、自分の見てきたルーミィらしくないな、と眉を顰めた。
ゲルダから、よかったと言われればその顔を少し和らげて頭に軽く手を置き]
…心配を、かけたな。
― 宿屋・自室→酒場 ―
[眠った、というよりは何度か意識を落とした程度のまま朝を迎え。
身支度を整え部屋を出れば、いつかの路地と同じ匂いに眉を寄せた]
[その匂いが一番強く混じる部屋の前、一度立ち止まれども。
そちらの方は見ず、酒場へと足を向けた]
[酒場での話題は容易に想像出来たものであったが。
いつものように、リッキーに水を求める以外は無言で目を伏せたまま]
……ひでえことしやがる。
[暫くの後、零した]
人狼になることを力を得るとするならば、
人としての何かを捨てても構わないと、
ヒースクリフさんは思っていらっしゃるのだろうか。
[森の風を受けながら、胸に湧いた微かな感情。
次の風に吹かれて、かき消えたように見えた感情の残骸は、
今までのヒースクリフとの会話を思い出させ、
返答を期待しない問いのような呟きとして囁きに乗った。]
……ち。
まぁだいるってコトかい。
[遅れて届く血の香。
舌打ちをし、だが2階の様子を見に行くことはしない。
やや乱暴な動作で、カウンター席に座った]
─宿屋・酒場─
[少し首を傾げ、じい、と見上げるぶち猫。
物言いたげな目に、困ったようにわらった。
昨夜、扉越しに聞いた言葉が浮かんで消える。
聞きたいのに聞けずにいる事が多すぎて、でも、どう聞けばいいのかわからなかった]
[アーベルから、誰も止められなかった、という言葉を聞けば表情を翳らせて]
…そう、か。
この、臭いは、なんだ?
[先程から鼻をつく、鉄錆の臭いを聞いた。]
─宿屋─
[宿屋へ戻るとだいぶ人が集まっていて。「戻った」の言葉を発するも、いつもの定位置であるカウンターへとは入らずに]
…ライヒアルトぁ居ねぇのか。
嬢ちゃんはこっちで弔うって話をつけて来たってのに。
[顔触れを眺め、目的の人物が居ないことに軽く眉根を寄せた]
[ヴィリーの手の感触に、軽く瞳を伏せる。
ゆるゆると首を振って。]
ほんと、よかった……
ヴィリー兄、なんかのむ?
[安堵の吐息を零しながら、軽く訊ねる。
ヴィリーが目覚める少し前に起きたばかりで、なにも口にしていないことを思い出した。]
きっと、とめたいのなら。
ほんとうにとめるつもりでいるのなら。
みつけるしかないのよ。
[それが決まりというが如くに、ヴィリーにつげる]
……ダーヴィッドさんが狼だったのなら。
ある意味ではとめた、といえなくもないけれど……。
[今もなお、血のかおりはただよって。
それでもいくぶんは、窓をひらいたことで軽減されているが]
― 森→宿へ ―
…――帰りましょうか。
[海も見て行こうと思ってはいたのだが、
戻らねばならないとは感情でない部分で理解しているから。]
…―――っ。
[不意に襲った頭痛に、少し眉を顰める。
ゆるりとした――それは足が重いようにみえるか、
足取りで宿の方へと学者は歩を進めている。]
―宿屋―
[帰ってきたフーゴーにいつも通り片手を挙げる]
……あぁ、そいやいねぇな。
先生のコトだ、また観察でもしてんじゃねぇの。
[今朝の顛末を知らぬ男は、気の無い口調で言った]
[新たにやって来た者たちの気配に、顔を上げる。
ユリアンの方は、一瞬見ただけで、やっぱり目を逸らして。
ウェンデルには小さく手を振った]
……ん、ライ兄さんなら、まだ戻ってない、よ。
いつもみたく、森、行ったのかな?
[眉根を寄せるフーゴーの言葉に、小さく呟いて。
ヘルムートがヴィリーに向けた言葉に、緩く瞬いて]
……ひと、だった、よ。
あの、騎士さん。
……狼……減って、ない。
[小さな声で、ぽつり、と告げた]
あんたは、人に何を期待してるの?
[人として持ち合わせたものなんて何がある、とでもいいたげな]
人は寂しいから支えあう。求め合う。
人は弱いから。
欲求でしかないだろ。
[支えあうことは弱さを認めてるのと同じだと]
…あんたは、人間であれば良かったと思ってるとでも?
クーちゃんがあいされてるからかしら?
ざんねんながら、あたくしの本命ではないけれど。
[そういいながらも、やはりあたまをなでつづけ]
そう思っただけ。
ごめんなさい、ふかくは気にしないでちょうだい?
[ゲルダから返る否定のことば。
おおくはつげずに、謝罪を述べた。
ヴィリーがまゆをひそめるのに気付き、むけるちいさな笑み。
それはどのようにもとらえられる類のもの]
……だろうな。
[ウェンデルの言葉には嫌悪に近い表情で声を漏らした]
さて、勝手ながら現状について纏めさせてもらう。
聞きたくねぇ奴は耳塞いどけ。
昨日連行されたダーヴィッドは人間だったそうだ。
そして今朝嬢ちゃん──リディが人狼に襲われた。
人狼はまだ居る。
だから、また誰かを処刑せにゃならん。
……だが自衛団に適当にしょっ引かれるのは勘弁だ。
それを決める前に『占い師』の二人にゃ誰かを調べて欲しいんだが…?
それか、もう調べたならその結果を教えて欲しい。
[言い終えると視線は『占い師』を名乗った二人へと向く]
…――何も期待してませんよ。
[返ってくるとは思わなかった応えに、
少し間の空いた後、囁きを返す。]
嗚呼、ヒースクリフさんはご存じなかったのでしょうか。
私は、元人間です。
――時折、人は、私を哀れだと云うものですから。
今、人である貴方が、
そんな存在になる覚悟があるのかと思いまして。
[そして淡々と]
後天的な人狼は、大概そう長くは生きれないそうですよ。
そして、それはおそらく間違ってません。
[頭痛に少し眉を寄せながら告げた。]
[ゲルダから何か飲むか、と問われると、そうだな…と頷き。]
水を、くれるか。
[そう言った所で、ルーミィから言われた言葉に目を伏せて]
…俺は、それでも、止めたかった。
言っていたんだ。国へ帰ると。
[ダーヴィッドと交わした会話が、彼の願いが果たされなかったことが、悔やまれて。
だが、アーベルの言葉に、目を見開いて]
リディ、が…?
ライ、は。
[言葉が、続かない。幼馴染の安否はどうなったのか。]
ベルちゃんに、リアちゃん。
[かるく片手をかかげることであいさつの代わりに。
二人の「占い師候補」を、今はまだ対等にあつかって]
……それに、神父さまに。
おじさまも。
[あっというまに増えるひとの数。
それぞれの顔を一度ずつみくらべていく]
[クロエの、ダーヴィッドが人間だったという言葉。
ルーミィの、自分へ向けた笑み。
フーゴーの、占い師二人への結果を問う様子に、言葉を出せず。
ただ、フーゴーの幼馴染に関する言葉への嫌悪に疑問を抱いた。]
― 酒場 ―
…――遅くなりました。
[扉をあける前、ひとつ息を吐くと、
頭痛に寄せた眉を戻した無表情となる。
その表情のまま、酒場に集まった人々を一瞥すると、
スタスタといつもの場所に向かい、腰を下ろす。
鳥籠の小鳥が小首をかしげて、
そんな学者を見てひとつ鳴いた。]
……あいされてる、ってなんですかぁ。
ホントに、なんでこう、みんなして子供扱い……。
[ヘルムートの言葉にぶつぶつと呟く。
それから、耳に届いたアーベルの宣と、フーゴーの言葉に。
黒の瞳で、二人の『占い師』を見比べる。
瞳は、最終的にはややためらいがちに、従兄の方へと。
黒に宿る、不安と、揺らぎと。
何か、願うよな、いろ。
微かなそれらは、見て取れるか]
[クロエには軽く手を挙げて返した]
……んぁ。
なんだい、何かあったのか?
[いつもと違う声の調子に気がついて、顔を上げてフーゴーを見る。
すぐに男の視線も占い師たちへと流れる為、答えが無くとも然程気には止めないのだが]
[ヴィリーの言葉にうん、と頷き。
リッキーのところへと向かい水をもらう。
その際、ちょっとでもいいから食べるようにと無理やり押し付けられたスープ皿を困ったように見やり。]
……まあいいか。
誰かたべるだろうし。
[小さく呟き。
トレイをもってヴィリーの近くへと戻る。
つぎつぎ宿にやってくる人たちには、軽く挨拶の声を掛けながら。
占い師へと指示を出すフーゴーの声には、なにも言うことはなかった。]
[戻ってきたライヒアルトの声と、鳥の鳴き声に、ぶち猫がにぃあ、と一鳴き。
近づかないのは、鳥籠の小鳥に遠慮しての事か、他に理由があるのか、それは定かではないのだが]
……クーちゃん、そういうの、分かるの?
[そういえば、だれかがそんなことを言っていたような]
それで、よけいに辛いのね。
ごめんなさい。
[やわらかく、クロエに謝罪のことばをむけて。
みつける、と、宣言するアーベルにはうなずきをかえす。
フーゴーのまとめには、かるく眉根を寄せ。
二人の「占い師候補」のようすをうかがう]
あぁ、噂をすれば。
[現れたライヒアルトに視線を投げる。
ヘルムートの視線に気がついて、そちらにもちらと目を寄越すか]
……おぅ、ライヒアルト。
嬢ちゃんの弔いはこっちで請け負うことになった。
てめぇがやるなら後ででもやってこい。
[戻って来たライヒアルトには事務的に結果を告げるだけで。ウェンデルからの問いは「……ちょっとな」とここでは言わずにおいた]
ライヒアルトさんが、第一発見者だと。
…出かけて、戻ってきたみたいだね。
[ヴィリーの途切れた声に答える。
答えている間にライヒアルトの挨拶が聞こえてきた]
……まだ視てない。
そっちは?
[フーゴーに答え、ユリアンを見つめたまま問いかける。
カードケースを取り出してテーブルの上に乗せた]
[いつもなら真っ先に人の輪に飛び込むところだが、今日はどこに居れば正解なのかを見極めきれず。酒場の隅の壁際の席に壁にもたれるように一人でポツリと座っていた。ダーヴィッドの事、リディの事。それらがポツポツと耳に入っては流れていく]
…誰を信じたらいいんだろ。私は。
それとも…皆を疑えばいいのかな。
[幼い頃に止めたはずの爪を噛む癖が再び顔を出していることにも気づかない]
[ふと遠のいた意識を戻すと、フーゴーの声が聞こえ]
俺はまだ占ってねえけど。
それは好きな奴を占っていい、って解釈していいのか。
[場を取り仕切る姿勢を見せた男に問いかけながら、体を部屋の中央の方へと向けた。
その視線はちらりとアーベルへも向けられ]
…ライ…。
[普段と変わらぬ様子で戻ってきた幼馴染の姿を、無事な姿を見られた安堵と、リディの事を知っているのか問うて良いかどうかの苦悩の混ざった感情で見つめ。
ゲルダが水とスープを持ってきてくれたなら、礼を言って水に口をつけ。]
……あんまり、嬉しくない、力、だけど。
[ヘルムートに、小さく、呟くよに返す]
謝らなくて、いいです……。
大丈夫、だから。
[大丈夫、と言いながら。
声の揺らぎは、押し隠せてはいなかった]
嗚呼、そうですか…――。
でしたら、きっと、あの場所が良いと思います。
[森の中の、一際大きな切り株がある、あの場所。
フーゴーを見つめる碧は、ハタリと一度瞬き。]
でも、随分と乱暴な物言いですね。
死者はもっと悼むべきものなのではないのですか?
[彼らしくないな……と、思い。
次に、嗚呼、そうか自分が嫌われているからかと、
一人納得して、無言で頷いた。]
はい、ヴィリー兄。
なんかスープも渡されたから、食べたい人は食べると良いよ。
[適当なテーブルにスープを置いておいて、自分も椅子に座って水を飲む。
巡りの話しをただじっと聞きながら。]
……各々好きに決めて良い。
それもまた、『情報』だ。
[アーベルとユリアンにはそう告げる。対象を決めたのなら始めてくれ、と視線を向けた]
嬢ちゃんを蔑ろにしてるわけじゃねぇ。
今朝てめぇが申し出たんだろうが、弔うのを。
[ライヒアルトへと向けたのはそんな言葉だった]
[視線は幼馴染に向けて移り、視線で云いたいことをくみ取る。]
…――私が第一発見者で間違いないです。
第一発見者は、疑われるものと相場は決まってますから。
それに…――
[私は『こう』ですから。と声にださなかった語尾は、
幼馴染には通じただろう。
両親の死の時すら涙を流せずに、奇異の眸で見られたと、
語ったことのある彼ならば。]
……やさしいのね。
[ヴィリーにむける感想はやわらかい。
また、そのまなざしも。
けれど直ぐにまなざしがむくのは、酒場のとびら。
なまえを呼ぶことは、しなかった]
クーちゃん。
こどもはこどもでも、おんなのこあつかいよ?
そういうの、されたくてもされない人間もいるんだからっ。
[ちょっとばかり拗ねるしぐさを見せてみたり]
……あなたも来たのね。
ええと、カヤちゃんだっけ?
[あまり声をかけたことのない相手にもおくせず声をかけてみる]
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