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―食堂―
[皆より遅れて食堂に入った女は
エーリッヒの異相の眸に気付いて小さく目を瞠るが、言葉にはせず。
カウンター席で頬杖を付くカルメンに近付き]
どうして、ゲルダさんを殺したのかな。
彼女が人狼だって証拠、あったの?
それとも――
君が人狼か、そうでなければ
あいつらに与する裏切り者なのかな。
[視線を据えて、問う]
[無意識に右手の薬指に触れる左手。
指先に求めたものが触れる事はない。
微苦笑を漏らして女は手をはなす。
ポケットの中を探り取り出すのはキャンディ一つ。
包みを丁寧に解き、キャンディを指でつまむと
それにそっとくちびるを寄せた。
舌で転がせば、甘さが口腔へと広がる。
疲れた女に、そのキャンディが
少しだけ力を分け与えてくれるようだった]
ま、それは確かにあるな。
[奇異の目>>124という言葉に、こちらも浮かべるのは微苦笑。
異国からの旅人だった父は、ここに馴染む以前は大分奇異の目を向けられていて。
それは、その子である自分にも等しく向けられていた。
それもあって、自分がそれを他者に向けることはできる限りすまい、と戒めていた]
後でまた沢山動くなら、まるくなりすぎたりしないはずだものね。
[冗談のように囁きながら賛成して]
赤いのって、エミリーさんのことかしら?
そうね……。
[親しくしてきた商人仲間を挙げられて一瞬躊躇う。
けれど昨日カルメンの覚悟も見たから]
本人がそういうのなら、それもありかしら。
今朝の悲鳴を聞いた時はいっそ同じ場所へ、なんて思いもしたのだけれど。
彼はやめましょうって言っていたのだったものね。
運が悪かった、では。
……済ませたくはないけどな。
[ウェンデルの言葉>>125に小さく呟いて、翠を伏せる。
それだけで、この状況を片付けたくない、とは。
今の、偽らざる、心情]
大丈夫。
集団生活にちょっと疲れただけ。
[ウェンデルが心配しているのが
聲の響きから伝わり
くす、と悪戯な響きをのせて紡ぐ]
[ミリィに声を掛けられ女ははたと瞬いた。
ゆっくりと声のした方を向き]
私は、ゲルダが人狼だと思ったから。
与する裏切り者――…
ああ、昨日言ってたあれがそうなのかしら。
[ことと首を傾げる。
疑問だった一つが解けたよう]
――子供ばかり狙うならいっそ。
と、言ってた。
エミリーだ。
[シンの様子に狼は首を傾げた]
エーリッヒ、は。
俺も一瞬思ったけどな。
人狼だと、思ったって
そんな理由で、納得するとでも?
[ゆるり此方に振り向き、首を傾げるカルメンに
女は薄く笑んでみせる]
ロミ嬢もブリジット嬢も、人間だった。
ゲルダさんは本当のことしか言ってないのにね。
ゲルダさんの時とは違うのだもの。
守護する者が別に残っていたとしても、彼を護る理由はそうないと思うから。
ヨハナさんのようになってしまうくらいなら、ねえ。
[同じことを考えはしたらしいウェンに答える]
エミリーさん……カルメンを疑っているのね。
どうにか止められないかしら。
[いっそここで処刑されるようには持っていけないか。
先ほどの躊躇は沈めて、冷たく考えようとする]
―回想―
…ま、それはそうだ。
[ウェンデルの語った事に対して、
想像できる最悪の事態>>12、というのを想像しておいて。]
やっぱ、街の方が便利だからなぁ。
[ぽり、と頭を掻いて。
答えははぐらかされてしまった>>51が。
その後で起きた出来事には、小さく苛立ち。
朝の出来事にも眉根を寄せた。]
――…見定める者と公言したのに
彼女が襲われなかったのは如何して?
本当ならロミやブリジットよりも――…
彼女が先に襲われるはずでしょう?
襲われない彼女は、きっと、人狼よ。
[ミリィの薄い笑みをじっと蒼が見据えた]
こんなに大勢じゃ、普通居ねぇな。確かに。
寮生だったから、慣れちまってた。
[カルメンの言葉に納得する。
そしてシンの言葉に、違いないと同意するように狼は頷いた]
――ん
もう少し考えようか。
[襲う相手は保留する。
彼女らの疑う先については、
何も言うことはなかった。
危なくなったら、手出しはしようと、
狼は一人、そう決めていた]
……そこは、誰もかわらん、か。
[そう言うしかない>>132、というのは、わかる。
こんな愚痴を零すのも、繰言でしかない。
それとわかっているから、やや大げさなため息をついて、それから。
カウンターで交わされるやり取りに、翠を向けた]
[とりあえず一段落つくまで作業をこなすと、ライヒに声を掛けられ。]
んー、いいけど。
理由くらい教えて欲しいかな?
[と、理由を聞けば返ってきた答え>>82に。]
ならいいよ。
俺、料理以外で役に立ってないからね。
[と、言って教えた。*]
―回想 了―
ああ、それね。
多分、ゲルダさんを見逃すことで
皆に信用されないように仕向けたんだろうね。
ノーラさんだって、そのことでゲルダさんを疑っていただろう?
そして、そろそろ尻尾を掴まれそうだと危惧したのか
彼女を殺す頃合と思ったのかは知らないけど
内通者を使って――
[親指を立て、喉を掻き切るゼスチュア]
ま、憶測に過ぎないと言われれば、
それまでだけど。
[見据える蒼を見返す黒い瞳は、女の感情を受けて赤い色みを帯びる]
[エーリッヒと微笑み交わした後、エミリーとカルメンの問答が聞こえてカウンター席の方へと向き直る]
そこなのですわよね。
ゲルダさんを信じ切れなかったのは。
[カルメンの言葉はそのまま自分の意見でもあった。
カウンターまでは届くかどうかの小さな声で呟く]
[ゲルダにより人と判じられたミリィと、もう一人の探す者であるカルメンとのやり取り。
ミリィがカルメンを疑うのは道理と言えば道理だ。
彼女はカルメンが人狼を探せると言うのを知らないのだから]
……………。
[彼女達のやり取りを固唾を呑んで見守る。
未だ探す者の真贋は見出せていない。
どちらかが人狼、もしくはそれに与する者であるならば、もう一方も手にかければ少なくとも屠るべき対象を一人は削ることが出来る。
理論的には思考が巡れど、感情はそれを是としない。
冷静な思考を心がけるが、それがどこまで維持出来るかはエーリッヒにも分からなかった]
――…そう。
あなたの考えは分かったわ。
私が内通者だと思っているなら
それは間違いだけど。
あなたはゲルダを信じきっているのね。
それなら、何を言っても、無駄かしら。
[ミリィの眸の色の変化に、女の肩がピクと震えた]
ヨハナさんのような死は悲しすぎる。
同じことだけは避けたいの。
[エミリーを積極的に狙えない気分も残っているから、思考はそちらに傾いたまま残っていた。
カルメンからの制止もされないから。
もう少し考えようというウェンデルに頷く気配を送る]
エミリーさん……。
[むしろ今この場で手をだすべきか。
心決めている金色狼とは違い、迷うように名を囁く]
[見守るような眼差しを感じ揺れる蒼。
エーリッヒと視線交われば少しだけ表情が緩む。
エーリッヒになら、殺されてもいいと思っていた。
其れを言って彼がどう感じるかを考えれば
言えぬままが正解だろう、とも思うけれど]
……あー……あれは、相当、キテるな。
[ミリィの様子に、は、と小さく息を吐く。
ゲルダに信を寄せていたミリィからすれば、カルメンの行動は許し難いのは理解できる。
理解できるのだが]
…………。
[とん、と音を立てて立ち上がる。
ここで感情に任せて動けば、ミリィ自身が危うい気がした]
そうだな。
お前は、仲間だ。カルメン。
[彼女に告げる言葉に、嘘は紛れていない。
そしてシンが言うのには、声が少し悩むように、遅れた]
あいつは、多分、死なない。
自分からは、
そんな気がする。
まだ、カルメンが居るからな。
[エーリッヒについて言うのは、少し悩むような言葉。
己はやはりまだ静観の姿勢]
ええ、そうよ。
カルメンは大切な仲間。
[爪牙は持たずとも、共に並んで血を口にした。
だから同胞と同じく思っている。
表では援護する切欠を掴めていない分、囁くことで応援する]
…死者を判ずる者がいない状況だと推測、憶測飛び放題だな。
[ぽつ、とカウンターで交わされる言葉に青年は半眼となる。
傍にはウェンデルから借りた本が置いてある。]
[ゲルダを信じ切っていると言われて、小さく息を吐く]
……私たち商人が最も尊ぶものが何か知ってる?。
それはね、真実の言葉だよ。
商いは全て信用の上に成り立っているからね。
それは、どんなに悪辣な商人でも理解しているはずさ。
[一度言葉を切り、此方を注目する視線に振り返ってから]
ゲルダさんは嘘を言わなかった。
それが、全てさ。
本当になぁ…
[自分から言い合いに手出しする心算は無いようで、
アーベルの言葉に同意する]
ん、それ読み終わった?
[貸していた本を見て、問いかけ]
ああ。
昨日もカルメンのことを何より気遣ってくれていたのだったわ。
[悩むようなウェンの言葉に、ハタリと一度瞬いた]
そうね、ならやはりエミリーさんを。
いいえ、もしもならば今ここで。
[カルメンに手をかけようというのなら。ヒヤリと囁く]
……どうしたものかしら。
[どちらにしてもエミリーは切り捨てなければいけないと。
意識は振れてエミリーに向いた視線は一瞬、狩る者のそれとなった]
[商人の話を静かに聞いてはいるが
それに関して甘さの残るその口から言葉は紡がれない。
ミリィの視線がはずれゲルダの事を言うを聞き]
それが、あなたにとっての全てというだけ。
[敵意を向けられた相手に
女はエーリッヒやライヒアルトに告げた其れを
言おうとはしなかった]
[カウンターに近づく途中、聞こえたアーベルの呟き>>147には同意した。心底同意した]
……事象が多用で、どれが真実と明言できんのは。
厄介な状況だよな。
[そんな呟きを漏らしつつ、ミリィの傍に行って、一言]
……一応、聞いとく。
頭、冷えてるか?
[交わされている言葉については一切触れず。
ただ、投げたのは、そんな問いだけ]
ゲルダさんがうそつきなら、相当な役者だと思うけどね。
[状況などを除き人柄さえ見てしまえば、
青年はゲルダがそんな事をするような人物だとは思って無かった。]
ん、あぁ。
ためになったよ、ありがとう。
[礼を口にして、そちらに手渡そうと。]
……そうだね。
でもさ、ゲルダさんを殺した責任は、どう取る心算?
あの人が人狼だなんて、
それこそ其方の思い込み以外に証拠はないだろう。
[返答如何では、手を汚すことも辞さないと言外に込める]
こんな状況で冷静なやつがいたら、驚きだね。
[歩み寄り、問いを向ける友人には
顔を向けぬまま答える]
[ゲルダについてどう思うか、男は何も言わなかった。
何にせよ、死人に口無し]
おー。
つっても普通の事しか書いてなかったろ。
他にもあるっちゃあるけど
あっちは人に読ませる為のモンじゃねえしなぁ。
[手を伸ばして本を受け取りつつ、そんな言葉を言って]
ゲルダが人狼でないという証拠もないわ。
――…嗚呼、あなたも人狼なのかしら。
こんなことなら、あなたを視ればよかった。
[溜息まじりに赤毛の商人を見据えながら零す]
牙でどうこうしようというのではなくてよ?
[人として手にかけようかと思ったのだと囁き返すが。
確かにそれでも疑う者からは怪しいと思われるかもしれない。
武器となるようなものを特に持ち歩いてるわけではないのだから]
困ったわね。
[かといって他の矛先も見つけ難い。苛立ちの気配が混じる]
……ま、冷静だったらどうか、という所だが。
……感情だけ先走らせて、足元すくわれるような真似はするなよ。
[返された言葉>>154に、軽く、肩を竦め]
道を選ぶのは、お前自身で、それをとやかくは言えんが。
……『約束』果たす前に死なれるのは、主に俺が困る。
[ある意味一方的な宣言は、ミリィにだけ、ぎりぎり届くか、という小さな声で紡がれる]
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