情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
…僕の不在の時に…姉は、
[言いかけて、言い澱む声。]
あの薔薇の茂みで…喰らったそうです。
一夜の宿を借りに来たと見せかけて、姉を押し倒そうとした旅人を。
「見られてしまった。」
そう、姉は僕に囁きました。
姉の声が聞こえたのは、それが最後。
[クスクスと笑うコーネリアスに、無意識に片足を引いたのは本能のなせる業か。]
『…なんか、怖いよぅ……』
[”優しい”と言ってたメイに内心クレームつけつつ、こくこくと頷く。首の痛みより心と言うか空気が痛い。何でみんなバタバタといなくなるのーとかいう心の叫びは誰かに聞こえてるはずだ、きっと。]
夜だったし…ガラス越しだったし…牧師様と一緒にいてたし…。
今、明るい所で見たら…違うってわかるけど……。
[消え入りそうな声で言って、しょぼん。]
嗚呼、
[ ――だからか。続きは聲にも成らず彼のうちに秘められた。]
貴方の姉は、薔薇の下で肉を喰らって。
其れで、彼の男――アーヴァインに殺された。
実の妻であるにも関わらず。
[ 繰り返す。]
ま、別にかまいませんけどね。
[からころと、グラスの中に溶け残る氷を弄びつつ。]
…ですが…それ、本当に僕ですか?
[意味深に、ぽつり。]
…えぇ。
[静かに返す声。]
姉は暴漢に襲われた…と、義兄から来た知らせには。
…嘘だというのは解っていましたけどね。
[別に構わない、という言葉に心の底から安堵して。
ぎこちないながらも笑みを浮かべ、よかった…と呟こうとして、]
…………………………え゛?
[硬直]
……丸きりの嘘でも無いだろう。
襲われたのは本当でも、殺ったのは――というだけで。
[ 嘘も方便。そんな言い回しが思い起こされて、小さく哂う。]
ならば、此処へは……恨みを晴らしに?
[ ふと疑問に思い問い掛けた其の言葉は、興味故というよりは自分がそんな事に巻き込まれたくがない為。]
…そういうことになりますね。
[淡々と、ぽつり。]
手伝えとは、言いませんよ。僕ひとりで十分です。
…むしろ、邪魔して欲しくないくらいで。
[ 左の手を右肘のうちに乗せて腕を組み、当然だと云わんばかりに息を吐けば、矢張り大気は白に染まる。煙草の長さは既に三分の二程になっていた。]
邪魔等するか。……俺は、感知しない。
[ 其れは逆に云えば、アーヴァインの殺害を見過ごすという事にも成る訳だが。]
[ 届いた聲に薄く瞼の間から覗けば、月は黙して自らの従属者たる青年を見下ろす。長く見詰めていれば、其れ丈で魅入られてしまいそうな程に冷艶な光。緩やかに一度首を振って其れを払い、]
……それに。
[代わりに呟く様な思念を零す。]
其の事が本当ならば、アーヴァインは……俺にとっても害をなす存在だからな。
居なくなって貰った方が、都合が好い。
[ 母の遺した言葉が指すところが彼の推測通りで在れば、の話だが。]
[ 聲が聴こえなくなった後も、青年は暫く其の場に佇んでいた。耳に届くのは風の唸り、木々のざわめき。其れに混じり獣の遠吠えが聞えた気がしたのは幻聴に違いない。寒さに依るものではない悪寒が背筋に走り、微かに躰を震わせた。
軈て吸い終えれば崖の方へと歩み、短くなった煙草を軽く放り投げれば風に攫われる事も無く、小さな焔の揺らめきが綺麗な弧を描いて奈落の底へと堕ちていく。其の光景は黄昏時のものとよく似ている筈なのに、全く異なった様相を見せていた。]
……。
[ 其れを瞬きもせずに見送る黒曜石の眸は、*酷く無感情なものだった。*]
[傷めつけられた身体が冷えないようにと、暖炉の火は一晩中燃やされ]
[一時期は落ち着いたものの、夜半過ぎより発熱し、]
[明け方まで苦しげな呻きを断続的に発し続けた。]
[唇を湿らせる様に水を与えられれば、]
[乾きに反応してか、傷ついた唇が開き、受け入れ。]
[噎せない様に少しずつ流し込まれるそれを]
[咽喉へと。]
[熱い息を吐き]
[切れ切れに言葉を吐き出す。]
……………ィン。
なぜ、な
い や
いっ に
……したく、ない。
…………………………………………
や め
ひ と
なり……い。
[涙が目蓋の下から溢れて流れる。]
[その後は人の名前にも聞こえる音節を唇に浮かべるのだが]
[声にならずに聞き取れぬまま呼吸音に紛れ消えていく。]
あー……、そこを、なんとか。
[ 帰る前にと本を数冊貸借して行こうとすれば、届けをアーヴァインに確認して貰わねばならないと侍女に釘を刺される。男の使用人は既に麓へと向かったらしく、ネリーが来たとは云え普段より多い客の対応に大童の彼女は、もう一度ハーヴェイに駄目です、と強く云い残し足早に其の場を去っていく。]
……今回は諦めるかな……。
[ 本中毒に近い彼にとって其れは苦渋の選択なのだが、主の確認を待っていては何時まで経っても館から出られないよう気がする。トビーの手紙を受け取らないのだって、態とに思えて仕方無いのだから。普段ならば兎も角、やけに人の多い此の館に滞在するのは少々厭気が指した。]
『それに』
[ 緋色の絨毯を踏み締めながら、昨夜の事を思い返し小さく息を零す。]
『……彼奴が其の気なら、さっさと立ち去るのが利巧だしな』
[ 彼の義弟も、此れ程に人が居る時に……等という愚挙は犯さないとは思うが。
今回は、とは云ったものの――少なくともアーヴァインに逢う機会に関しては、次はもう無いのだろうと思う。本の貸借については別の話となるが、其れも容易では無くなるだろうか。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新