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[そう言い放った女に向けられたのは、言葉ではなく武器だった。
咄嗟に身を翻したものの戦い慣れしているわけではない身では避けきれるものでもなく。
放たれた光線は肩を掠め、焼きつくような痛みに顔を顰めた。
それでも、痛みに堪え銃に手を伸ばすと己に対峙していた相手に銃を向けその胸を撃ち抜き。
出来た隙をついて自分も外へと駆け出した。]
─ →第一階層 廊下─
─ 第三階層 エレベーターホール前→通路 ─
[降りた後にすぐにまたエレベーターは動く。
辿り着いて目にしたのは、夥しい数の遺体。
一階層よりも多いかもしれない。
動くものは見えず、ただ研究室へと向かう。
遺体を人間だと認識するかどうか。その判断は難しく、結果、そのまま踏み越えて行く。]
─ 第一階層・通路(艦橋前)─
[扉が閉まる一瞬前に見えた船長の姿に、軽く、唇を噛んだのは二人から見えたかどうか。
一つ、息を吐くと改めて二人を振り返って]
……取りあえず、無事、みたいねぇ。
っていうか、なんで艦橋戻ってきたん?
さっきの流れ考えたら、危ないのは読めとるでしょに。
[どこか疲れたように問いかける。
黒い尻尾が、軽く、揺れた]
逢えば分かるよ。
[笑っていた気配が、スッと波の様に引く。
「ノブ」の危機を感じて状況把握のために意識の一部を向けたのだった。お陰で艦橋内の様子は人が見るよりも詳しく分かったけれど]
やれやれ。
バレないだけでは生き残れないかもしれないな。
[少しするとまた、笑うような気配を取り戻した]
─ 第三階層 研究責任者室 ─
[研究責任者の部屋の前にもいくつか遺体が転がっている。
そして部屋の自動扉が開け放たれたままとなっていた]
ちっ、強行突破しやがったな…!
[室内から音や生き物の気配がしない。
警戒は解かぬままに開け放たれた自動扉を潜り、室内へと入った]
[部屋の出入り口側に数名の遺体。
部屋の奥にある設備のしっかりとした端末の傍に幾人か倒れ、目的の人物は端末の奥の椅子に腰掛け俯いていた]
……キャップ。
[窺うようにして声をかけてみる。
反応は、無い。
右手に構えていた電子銃を下ろし、大きく息を吐いた]
手遅れだったか。
これでPMCを見つける手段はほぼ失われたな。
[動かぬ研究責任者の傍により、損害を確認する。
逃げ遅れたのか、逃げなかったのか。
少なくとも抵抗はしたらしいと言うのは部屋に散らばる複数の遺体が物語っている。
それでも数が多かったせいか、いくつも被弾し致命の傷を受け、椅子に座った状態で力尽きたようだった]
……他の確認の前にサンプルの始末をしておくか。
この騒ぎで逃げ出してなきゃ良いが。
[研究責任者が何か残していないか確認する前に、部屋続きになっている専用の実験室へ向かい、研究用のPMCを始末する。
憂いを絶つと再び端末のある部屋へと戻り、研究責任者のパスを使ってその中身を覗いた]
[向けられる銃口。大きく目を見開いた。
時間がとまったかと思った。レーザーの奇跡が見えるみたいに]
……………!!
[頬に熱さを感じた。背後の悲鳴が聞こえた。
一気に外界からの情報が押し寄せる。
瞬きを忘れたひきつった表情で、ゆっくりと床に広がる赤い血と、その先の人間を見た]
な、んで……?
[音がするような硬い動作で、何度か相手と死体を見比べた。
答えのかわりみたいに蹴り返された武器。
抜けかけた腰や膝を叱咤して、拾う]
……無理、だよ……
[自衛、という言葉に強張った自嘲。操作されていく端末。
行き先を聞く。背後の、落ち着きかけた喧騒を聞く。
すがるような視線を向けた]
いいの?
[確認するように問いはするが、返答が得られる前からよろよろ動き出す。それは、相手にとってはじれったいかもしれないスピードで。でも、必死にエレベータに乗り込んだ。
扉が閉まって、背後の心配がなくなれば目に見えて少しほっとした様子]
―第一階層→―
くぅ?
[外にいたジョエルが提示したのは、生体部品の少ない機械犬にはそれほど馴染みのない場所。
僅かに首を傾ぐ仕種を見せ、けれども少し後にはそれに倣う選択肢を取った。
後に残されたリディアが、先の行動により被害を受けたとは知らぬまま]
[廊下でも銃弾や光線は飛び交う。
それが傍らのジョエルを狙うものでも、己を狙う攻撃でも、それ以外でも、当たらないならば無視して駆け抜け、
しかし僅かにでも掠めたならば、振り向いて報復行動を行う。
精度は高くない為、当たることもあれば威嚇射撃に留まることもあった。
そうして無自覚に敵意をまき散らしながら、エレベータ内に飛び込んで]
─第一階層・通路(艦橋前)─
[ノブに急に押し出されて、操作していた端末を落とした。
慌てて拾いに行くも、ピロン♪という音がした。ぶつけたショックで文章が送られたらしい。
なお送られた文章を後で見てみると
「おれ今1階にいrーつぁん うん!」
激しく途中なうえに意味不明だった。
ともあれ押し出されたおかげでエリカとぶつかる事は無かったようで。
また倒れていたノブに近づいた。]
にーちゃん!頑張れ今起こすぞ!
[また最初にやったあれをやろうと手を伸ばしたが、流石に止められたかもしれない。
中で誰かが死んだのは、ちらっと見ただけで、それが誰なのかも知らないからあまりショックにはならなかった。
それより釘付けになっていたのは、エリカの服の合間から出てきた長ーい尾。
いつもなら、猫ー!と言って飛びつくのだが…。]
[じー、っと暫く見つめた後、ポケットの中からレーザー銃を取り出して、エリカに向けた。]
……ねーちゃん、偽者?
[そのままきょとりと、首をかしげて尋ねた。]
─第一階層 廊下─
[整備室を飛び出した女は、後ろを振り向くこともなく駆け出した。
ただ、後ろから聞こえる喧騒は、お互いをなじり合う声と銃声に変わっていて。
女を追ってくるようには思えなかった。
ただ走って向かった先は、エレベーターホールではなく船長のいる艦橋。
整備室はもう既に狂気の中にある。
それを伝えなければならないと判断した為と、現状この混乱がどこまで広がっているのか一番解りやすいだろうと推測した為だったが。
そこに向かうまでの間も何人もの骸が横たわっているのが見えれば、その顔は不安に染まった。]
[指導者というのは少し違う気がする。
指揮者というなら少し近くなるかもしれない。
ωは群の一部だから。
群像を統率するような意識は確かにあった]
[あえばわかると、もしかして宿主の息子にと考えたりもしていた]
ああ、この人はその点とってもたくましいよ。
[バレないだけではと、意味することはなんとなくわかる。
すでに目の前で殺し合いは見てきたし、難なく短い間に5人もすでに殺しているのだから。
どこかゲーム感覚で楽しんでいるのは最強装備で低LVの相手を苛めてるに等しい圧倒的優位もあってのこと。
なのに宿主からはどこか苛々としたものを感じるのは不思議だった。
そもそも人殺しになれているのはその記憶からも、今示した行動もわかっている。
しかも彼の職業のこともあり、不思議でいっぱいな思いは溢れていた]
─第一階層 通路(艦橋前)─
[そしてようやく目的地が見えたところで、固まって立っている男女と子供の姿に気付き。
銃は手にしたまま、血が滲んだ肩をもう一方の手で押さえながらその集団に近付いた。]
……お前達…中は、どうなっている?
[整備室でのこと、そして此処までの光景を考えれば容易に想像できる事実を脳裏に置きながらも、問いを投げた。]
─第一階層・通路(艦橋前)─
危ないのはどこも一緒だろう。
[エレベーターホールと、更に向こう側にあるのは整備室か]
それなら船長達はマトモだった艦橋を制圧したらどうかと思ったんだけどね。
ああ、俺が出たのはオーフェンがこっちまで…。
[最初の問題を作り出した言い訳をしようとして。
エリカに向けられたレーザー銃に言葉を途切れさせた。
違う、と言える根拠は、ない]
─ 第一階層・通路(艦橋前)─
……はい?
[向けられる問いと銃口>>87。
こてん、と首を傾げ返す仕種はどこか猫っぽい]
あのねぇ、この状況で自分が偽者、っていうヒトがふつーにいますか。
キミだって、そう聞かれたら、違う言うでしょ?
[軽く言いつつ、微かに硝煙の気配を残す黒銀は少年の方を向く事はない。
こんな状況で冷静さを欠くのが危険なのはわかっている。
ちなみに、視線がどこに向いているかは、気づいていなかった]
まぁ、それはそれとして、ねぇ。
……ヒトにそれを向ける時は、『覚悟決めてから』にした方がいいよぉ?
……それだけで、撃ち返すヒトも、今はいそうだしねぇ。
―→第三階層・通路―
[第一階層でも度々目にした人間の遺体は、機械犬にとっては無機物と同義。
故に殆ど目を向けることはなく、ただ踏みつけることもなく器用に避けながら、前行く者の後をついて行った]
[最初に受けた“攻撃”が、嗅覚センサーの機能を停止させたことも、不調を仕種で示すプログラムにも狂いが生じていることも、今はまだ機械犬自身しか知らぬこと]
─ → 第三階層 とある研究室 ─
[辿り着くも誰の姿も見えなかった。
いや、姿は見えたが人間という認識が出来る姿ではなかった。
この場所も、赤く染まっている。
黒幕だと噂された研究施設区画への襲撃は、一体どれほどのものだったのだろう。]
あーあ
[”予測と結果が合わなかった”パターンで、落胆の声をあげる。
着いてきていたパトラッシュに、]
この階層はもう、誰もいねーのかなァ
[話しかける。
ジョエルもまた、残されたリディアがどうなったのかは知らぬまま。]
[それから。
しばらく一人にはなりたくなくて。
許されるなら、少なくとも自分に危害を積極的に加えなかった彼の傍をうろちょろするつもりだった**]
―エレベーター内―
[フランが乗るのを待ちながら、じれったい思いはしながらもせかすことはしない。余計に遅くなる可能性のほうが高い為。
ようやく彼女が乗り込み、閉まり行く扉の向こう通路の奥から何かを叫ぶ姿が走ってきたがこっちに銃口を向けているのが確認できたので躊躇なく撃つ。
最後に扉が閉まる前に崩れ落ちる姿が見えたが、相手の正体についてはもはや興味はなかった]
ふぅ…
[ため息に近い深い息を吐いて、ポケットの中にある煙草の入った箱を手探りで一度確認した。吸うのは我慢する。
平時には吸う習慣はないのだが、仕事柄、人やそれに類する相手を殺す、もしくは破壊するようなことも多く、そういったときは決まって吸っていた]
あまりのんびりもしていられない。
[それはほっとした様子のフランにかけたのか自分に言い聞かせたのか]
上でも状況は同じな可能性は十分あるからな。
[自衛を無理だといった彼女にそれでも優しい言葉をかけるようなことはしなかった。
それでも第一階層について、やはり襲われることがあるなら結果として彼女を守るような形になるのかもしれないが]
─ 第三階層 研究責任者室 ─
[端末を操作していくと、研究責任者が何かを見つけたらしい痕跡が残っていた。
それらを読み進めて、小さく唸りを零す]
独特の電波、か…。
特殊な電波でPMC同士が交信していると言う説もあったな。
そこから探れば個体判別も出来そうだが…調べている余裕はない、か。
発される電波も微弱だしな……傍受するにしても、機械関係は専門外だ。
[バンダナの奥で眉根を寄せて、端末に残る研究結果を読み進めた。
そうしているうちに、研究責任者がこの端末からマザーコンピューターに接触した記録が残っていることに気付く。
それについてのレポートは残っていなかったため、何のためにアクセスしたのかまでは分からない。
頭の隅に疑問を残し、これ以上収穫がないと知ると端末から離れた。
短くなりすぎた煙草を床に捨て、靴の裏で磨り潰す。
そうしてから右手に電子銃を握り研究責任者の部屋を後にするのだった]
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