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[カルメンに伝えた時には、どこか険しい表情を見て。
ゼルギウスの挨拶には、溜息交じりのツッコミの後、その親しさを思ってか、やや婉曲にローザのことを告げ。
ハインリヒには、言葉少なく通じたから、すぐに背を向けて。
伝えていないのは、これで、あとひとり]
――…れ?
ロミちゃん、居ないのか。
[各個室をまわり終え、見えない姿に首を傾げた。
階下だろうかと、階段の方角を見る]
おは、よ。
ローテュ、カーラ、と、いっしょ。
ユーラ、どっか、いった。
[一緒に居る理由を口にし、また首を傾げた]
ローミュ、なにか、あった?
[おぼつかぬ声に何かがあるのだろうと訊ねる。
後ろでハインリヒがロミルダの名を口にしたことで、彼が居ることには気付いたけれど]
[ハインリヒに問われて、ロミルダはゆっくりとそちらを見る。
広間で“見つけた”時と同じような、なんだか困ったような表情で]
…ハインおじさん。
話があるです。
[少し経ってから、口を開いた]
[ロミルダにどこか困ったような表情をして「話がある」と言われて]
[どこかいやな予感がした、けれど、それに気付かれないように]
話?オレにか?
[軽く、笑みさえ浮かべて]
[血で比較的汚れていない一房の髪を手にとり、刃を通すようにそっと切りとる]
もらってくぞ。
[髪を結い。ばらばらにならないように纏めて。懐に納め、立ち上がる。体を覆う布もない。昨日干した布は乾いただろうか
そこまで考えながら、ローザの部屋を後にして、階段へと向かった]
─1階・廊下─
……なに?
[布束を抱えて戻ってきたなら、そこには妙に張り詰めたような、何とも言えない空気があり。
足を止め、一つ、瞬く。
状況は気になったものの、上もあのままにしはしておけないから、と。
軽く、挨拶だけをして、階段を駆け上がる。
鸚鵡には、このままここに、と短く告げて]
─ →2階─
そう、ですか。
[カルメンにうなずいてから、ハインリヒのほうを向く。
途中で通り過ぎたユリアンは見ずに、ハインリヒとの距離は詰めようとしない]
さっき、みたですよ。
[軽くすら見える笑みを、ロミルダはじっと見上げた。
ずっと握っていたせいでよれよれになってきた黒い鳥を、両手できゅっと握る]
…ハインおじさんが、人狼ですか。
[尋ねるようでいて、疑問系ではない言葉を、ハインリヒに向けた]
[階下へ向かうゼルギウスの背中を廊下の奥から見送って。
入れ違いに、ローザの部屋へと入る]
「双花聖痕」は、導き手にして。
…甘美なる餌、か。
[徐々に黒ずみだした赤の中、微かに覗くのは、蒼の色彩。
なるほど、と柔らかく呟く]
─2階・廊下─
[通り過ぎた後のロミルダの声は、聞こえず。
聞こえていたら、引っ返していただろうけれど。
ともあれ、当初の目的通りローザの部屋へ向かおうとして]
…………。
[そちらから来る人影に気づいたなら、自然、歩みは止まる]
[通り過ぎたユリアンも、目の前のカルメンさえも今は視界に捉えず。
見つめるのは小さな少女。
その手にある黒い物と、口にした言葉に、ほんの一瞬言葉を失くして目を伏せて]
……そうか
[少し間をおいて口を開く。
どこか笑ってえいるかのような声]
……お前が「捜す者」か……
[問いには答えず言葉を落とす。
それはそのまま「肯定」に繋がるのだけれど]
――回想――
[明確に問うことはない。
けれど、海鳥を象った折り紙を見て、]
それ――
昨日は、青かったですよね。
そういうこと、ですか?
[どんな答えが返ってきたとしても、勝手に納得の色を見せた。
少しの間、沈黙を置いて]
……ロミルダちゃん。
「一段落」ついた後で、構いません。
ちょっとだけ、お話する時間、頂けますか?
なぁに。
とって食いやしません。
――私達は『共犯者』ですからね。
[場違いに、悪戯っぽい笑みを作ってみせる]
聞いて欲しい、お願いがあるんです。
[探しに行くというロミルダを止めはせず、]
ロミルダちゃん。
人狼は、ただでは死なない――そうです。
気をつけて。
[投げるのは警告。
ロミルダとは別方向から目的の人物を探すといった素振りで、広間を後にした**]
[ロートスに短く告げる声。
ユリアンが戻って来たことに僅かな安堵。
また傍を離れる気配はそのままにし。
そうして聞くロミルダの言葉]
……ハーリ、が。
[みた、と言うロミルダ。
それが事実なのかを知る方法はカルメンは持ち合わせていない。
けれど]
…ハーリ、なんだ。
[ハインリヒ本人の言葉でそれは確証へと変わる。
同時に、ロミルダが本当に「視る」者であることも確信した。
ゆっくりと、ハインリヒの声がする方へと振り返る]
ハ…
[沈黙が降りて、更に問おうと名を呼びかけ。
落ちた言葉が耳に届いて、ロミルダは息を呑んだ。
手に力がこもって、黒い鳥がくしゃりと潰れる]
…そう、ですか。
[一歩後退る]
――…うん。
美味しかったよ。
まあ、当たりだとは思わなかったけれど。
[今にして思えば、エーリッヒが倒れていた時――妙な素振りをしていた。
けれど、そんなのは後付けだ。
深い意味なんて、あの時は、特になかった。
誰だって同じ。
そう、思っていたから]
へぇ…
[空気を吐き出すような小さい声
短刀と極細の針に静かに荷袋から出した薬液を塗りつける]
…ぁあ…だから
[探すものという言葉。ロミルダは自分を人狼でないと尋ねていたことを思いかえす」
[止まったところで、何か言えるわけでもなく。
ふる、と頭を振った後、向かう先は当初の目的地──ではなく、自分の個室。
抱えていたものは、適当な場所に置いて。
荷物袋の奥に押し込んできた小箱を引っ張り出した]
―回想―
お話、ですか?
わかったです。
[ゲルダの言葉にはあっさりとうなずいて見せた。
悪戯っぽい笑みにきょとんとして、釣られるように見せた笑顔は、やっぱり困ったようなものになっていた]
お願い、ですか?
[首を傾げたけれど、その場では問うことはしなかった]
そういえば、預かったまま返せなくなったな。
この子。
双花のローザちゃんなら、ブリジットさんも安心だっただろうにね。
[腕の中には、奇跡の結晶。
その名前を未だに呼ばぬのは、男自身の気後れか]
ま、後でユーリが布持ってくるから、それまでは待って手よ。
…にしても、遅いな。
[ちょいと脅かしすぎたかと一人ごちて、部屋を出て。
今度こそ、階段へと]
[振り向いたカルメンにはその表情は見えない。
笑う…哂うその顔は]
そう…オレ、だ。
まさか本当に「見つける」とは、ね。
[隠すことなどする気はないのか、あっさりとそれを認める]
で…どうする?
オレを殺すか?それとも…
[言葉を切って哂う]
[今は、その力を完全に使うことは出来ない。
だけどここにいるのは子供と目の見えぬ女が一人]
[ゆらり、と]
[下がろうとするロミルダに一歩、近寄って]
[小さな筒状のものをとりだして、口につけ、息を吹き。空気の通りを確認する]
(どうすっかなぁ…今か…後か…身体能力わからないしなぁ)
[いっそ誰かに犠牲になってもらうか…なんて平然とした思考が浮かぶ自分に少々呆れて、軽く髪をかきあげる]
…じんろー、なら。
ころす。
[はきとした言葉。
それがカルメンのやるべきこと]
[けれど、その手段が今はあるとは思えない。
それでも、引くことは出来なかった]
ころされて、なんか、やらない。
[言いつつも、男の動きは見えない]
[持ち込んできた箱を開ける。
中に入っているのは、装飾の施された、短刀が一振り。
母曰く、父が『自分に』と置いていったものだという。
父への反発もあり、ずっと、棚の中に置き去りにしていたそれ。
それを持ってきたのは、予兆だったのか、それとも]
……別に、頼るつもりじゃないけど。
必要になるかも知んないから……持ってく。
[言い訳めいた呟きが零れる。
鸚鵡が聞いていたなら、呆れたように羽ばたいたところだろう]
[当の鸚鵡は、場で交わされる言葉に、落ち着きなくくるる、と小さく鳴いているのだが]
…っ、
[階上にいるゼルギウスに、ロミルダは気がつかない。
いつもと違う風に聞こえる声に、身を竦めて]
人狼、なら、…やっつけない、と。
[呟いてはみたけれど、手にあるのは萎びた烏だけ。
辺りに視線を彷徨わせながら、更に一歩、下がって]
(んー…でもさっくり殺りにいっちまうか。どうせ死ぬか生きるかの二択なら生きるに賭けるしかないっしょ)
[そこまで思って、身を潜めるのをやめようとしたところで、子連れの男と目が合う]
…よぅ。まだ二階にいたんだな
ところで、ダーヴィッドさん。
自分より明らかに強いやつに挑もうとするとき。
人…女性が犠牲になることでできる隙を狙うのと。背後から襲うのと。どちらがいいと思うかな?
[唐突にそんな言葉を紡ぎながら、細い筒状物体に、針を装填する]
やっつける?
どうやって?
お前に何が出来る?
[くっ、と、喉の奥で嘲笑うように]
ここでお前とカルメンをやれば、オレが何かを知ってるやつはいなくなる…
あぁ、そこの鸚鵡も、か。
そいつは賢いからな。
[ロミルダに向けた顔は、いつものそれとは既に違うもの]
[変化こそしてはいないが、どこか獣じみた]
[弱いものを弄るのを愉しむような]
[向かった部屋には、人の姿はなく。
ほっとしたような、違うような、不可解な気分に囚われる。
ともあれ、亡骸に毛布をかけ、周囲の真紅を布で取れるだけ取り。
川の神への祈りの言葉を紡いでから、部屋を出る]
……そいや、なんかさっき妙な感じだったけど。
何か、あった……の、かな。
[掠れた声で呟き、階段の方へと足を向ける。
痛みは、多少薄れて。
代わりに、何か、急かされるような。
そんな心地がしていた]
そりゃ、全室まわってたからね。
後はロミちゃん見つけて伝えるだけなんだけど。
って、わけでロミちゃん見なかった?
[階下の様子には未だ気付かず、問いかける声は軽い。
足は止まることなく、階段へとかかって。
けれど、唐突な問いかけに、階下の様子を先に眺めようと]
…おまえね。
今、さらっと酷い選択肢上げたよな。
[呆れに似た声は、けれど、すぐに答えを選ぶことはしない]
ああ、ロミちゃん?下にいるよ
今から人狼ことハインリヒさんに食われそうになるんじゃね?
[軽い口調とあわせるように軽い口調でいって]
ひどいかぁ…やっぱそう思うのが普通だよなぁ…
ま、ちなみに俺の答えは………殺れればどっちでもいいかな
[回答を出さないダーヴィッドにあっさりそんなことをいって、筒状のものを口にして、階段より姿を出し、息を鋭く吐き。毒を塗った針を階下に見えるハインリヒの背中に向けて放つ]
…でも、
[見たことの無い表情を見せるハインリヒを、ロミルダは困ったような、怯えたような、感情の入り混じる顔で見上げて]
でも、人狼だから、
…やらなきゃ、だめです。
[カルメンの言葉に後押しされるように、くるりと背を向けて、駆け出した。
逃げ出したようにも見えるかも知れないその足は、台所へ向かおうと]
……なに、してんの?
[階段付近の、二人の様子に、首を傾げる。
ゼルギウスの選択肢は、ぎりぎりで聞こえなかったが、多分、幸い。色んな意味で]
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