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―朝/Kirschbaum2F―
[昨夜、聖なる少女と話した後、部屋に戻り眠っていた。
力の供給を絶った体は、すこしすこし、普段より重い。
起き上がってしばらくの間は、ぼう、としていた]
―現在/Kirschbaum2F―
下に、おりていようかな。
[つぶやきながら苗床は上を見る。無茶をしたかれの様子を思い出す。]
影の王に食事用意しておいてもらおうか
一応栄養にはなるだろね
―→Kirschbaum1F―
こんにちは。
食事もらえる?
[首をかしげて王に願う。
きっとでて来れば、器用に食事をとって、
そのまま*寝てしまうだろう*
その前に3Fに食事をとたのめるかどうか……]
―Kirschbaum・3階東/朝―
[ふと目を覚まし、傍らを見る。
白梟は歌うのを止め、その顔をじっと見つめた]
ヴィンター……?
お前……ずっと?
[歌っていたのか、と苦笑して。
そっと、その真白を撫でる]
思えば、お前もおかしなヤツだよな……。
俺と盟約を交せば、輪転の輪から弾きだされる。
……滅びすら、得られんと言うのに……。
[なのに何故、と。
問いはしない。
問うた所で、答えは返らないから]
……ありがとな。
[だから、代わりにこう呟くだけ]
……さて……。
これから、一体どうしたものか……。
[壁に寄りかかるようにして、呟く。
*その意識が途切れたなら白梟は再び歌をつむぐだろう*]
―町に近い森・昨夜―
[ゆっくりと二人で歩いてゆく。
ナターリエの歩調に至っては時折止まりがちで]
本当に大丈夫?
[彼女が覗き込もうとすれば、小さな苦笑と共に手を振って否定はしてくれるのだが。
心配を掛けまいとしてか、それとも「もう一人」の意図なのか。
ナターリエはもう一つの気配をしっかりと隠していた]
でも少しおやすみしよう?
[けれどやはり平気そうには見えなくて。
そう提案すると二人はとある木の根元に腰掛けた]
私ね、どうやって説明すればいいのかわからないの。
[困ったような顔で彼女は話し出した]
「何をですか?」
オトフリートさんとクレメンスさんのこと。
どちらを信じるかと言われたら、オトフリートさんを私は信じるの。
「何故です?」
そう感じるから。
でも、説明がむずかしいの……
あのね。
今はみんなの気配が揺れているの。
対の者が封じられたりで、力の均衡がとても取りにくいし。
[それは目の前の女性もだったけれど]
でもね、一人だけ揺れてないの。
それがクレメンスさん。
揺れないままの、大きな気配。
それなのに、揺れていないのにハッキリしないの。
[けれどそれは彼の人が上手に他の気配すら纏ってみせるからでもあって]
混沌の力を感じるわけじゃない。
でも、あの人からは安定した不安定を感じるの。
[矛盾する言葉。それをどう表せばいいのかが彼女には分からない]
このままじゃ、鍵の書が開放されちゃう。
そんなことになったら困るのに。
[混沌の力は本来作為的に操れるものではなく]
鍵の書もまた世界に必要とされてるもの。
均衡を保つためには必要なものなのよ?
でも、みだりに触れていいものなんかじゃないのに。
[困ったようにナターリエを見る]
どうしたら、止められるのかな?
[鍵の書が使われれば、あるいはそれを壊されてしまえば
世界の均衡そのものが崩れる可能性が高い。
それは幼いとはいえ影輝の精霊である彼女にとって、絶対に許されないことの一つだった]
[ナターリエは言葉少なく考え込んでいる。
二人の間に沈黙が降りた]
……本当に、むずかしいの。
「そうですね」
[ポツリと呟く。ポツリと言葉が返る]
うん。
……でも今日はもうおやすみにしないと。
無理はしたら、いけないの。
[散々皆から釘を刺されて。
そして無理をした実例を目の前で見てしまったので]
そろそろいこう?
[肯いたナターリエと共に町へと戻った]
―中央広場・昨夜―
「私は、ここで」
あ、うん。
[そこで思い出した。
彼女が戻るはずの場所はもしかして教会だったのではなかろうか]
えーと。きをつけて?
[それでも自分に伝えられることは伝えたから]
おやすみなさい。
[そう言ってKirschbaumへと戻っていった]
―現在/西の桜・枝の上―
『だからやめろって!本当に何もないから!』
[いろいろ動揺しすぎて、コエが空気を震わせ、
声になっていることに我に返る]
[桜の花びらがひらひらひらり。
三つ花はからかうように彼の周りを飛び回る]
−北部・自衛団詰め所−
うん、大丈夫だよ。
[自衛団員の大人たちの言葉に、ベアトリーチェは微笑って応えます。ぺこりとお辞儀をすると、大きく手を振ってあゆみ始めます。揺らぎはだいぶん収まり、髪も元の金いろを取り戻しておりました。]
[きいっと睨む...に三つ花は。
ひらりと逃げるように...の元から遠ざかる。
とその動きに波長をあわせるかのように突風が吹き、花が風に煽られる。]
[慌てて蝶が彼の側に戻ると突風が嘘のように収まり、
先程と同じそよ風が再び吹き始めた]
―現在/Kirschbaum1F―
眠っていたんだね、僕は。
ごめん
[笑いながら影の王にそう言う。
影の王はといえば苗床のわらうのに怪訝そう]
気にしないで。
とても子どもみたいでもう…
おもしろくてかわいらしいよ
どうみてもコントロール出来てないな……。
今ははなが側にいるからなんとかなっているけど。
どうも「相思相愛」にはきちんとなれてないようだ。
[意味不明なことを口走る]
今思い返すと、僕が感情的になると、
風が吹き荒れたりしていたなあ。
前はアマンダさんを不愉快にさせるぐらいだったけど。
ここ最近は特に不安定だ。
「鍵の書」が奪われてから、特に。
[と...はいきなり渋い顔をした]
[広場のそばを通りかかると、花壇から昨日の花はもう消えてしまっておりました。そこを過ぎて、いつものように「Kirschbaum」へと向うのです。西の通りでは、春の匂を運ぶ風がそよと吹いて、花がちらちら舞っていました。]
[...の顔が半泣きから一気に笑顔になった。
その百面相を見るものはいないのは幸いか]
いくらなんでも自分の引き起こした風で、
枝から落ちるとか「風の申し子」として有り得ないだろう。
それにこの二三日の異様なほどの食欲と眠気。
せめて足を引っ張らないようにしないと。
……でも、どうしたら風をうまくコントロールできるんだろう?
[...が首を傾げると、また風が一段と強くなった]
[ブリジットとの帰路。未だ彼女の頭には煩わしい残響が響く
だがそれをブリジットに悟られないように気を張り、覗き込む彼女に苦しげにも笑みを返す
彼女からの休憩の提案には体の方が求めるか]
[ぱさぱさと髪と服とが靡きました。少し考え込むように首をかたむけてから外れに向って通りをあるいてゆくと、町のシンボルでもある巨きな桜の木に行き当たります。お花見をしている人は、今日はほとんど居ないようでした。]
―西の桜―
[突然、桜の木の上の方がわさわさざわめき出す。
風が突然桜の木から生まれ、枝を揺らす]
[三つ花の蝶が避難するようにひらり。
そのままベアトリーチェの目の前までやってくる]
[すこしやさしくみえる微笑みはどうやら意地悪もまざってはいるらしい]
桜、みにゆこうか
[Kirschbaumの庭の桜はだいぶ散って、新緑が鮮やかだ。
あの樹は今はまだ綺麗だろう]
−現在/Kirschbaumの桜の樹の根元−
[Kirschbaumでブランチを取り、ユリアンから昨夜の出来事を聞いた後、アマンダは桜の木の根元に寝転んで、瞼を閉じていた。
安定を欠いている西の桜の大樹に枯渇したまま近づいては、余計に均衡を崩しかねないとの判断だった。
アマンダは目を閉じて均衡整った大地から力を分けてもらいつつ、先程の話を思い浮かべる。誰かがその表情を見たなら、哀しそうに見えただろう。
大地の育む樹の命が無駄に奪われた事も、友人であるイレーネを同じく友人と思っているティルが傷付けたというのも、どちらもアマンダにとっては辛い事]
…どうして、こう…なったのかな……?
鍵があったのは、もうずっと前からなのに…どうして…?
[呟いても答えは返らない]
[ひらり、降りて来る蝶に、緑の眼を大きく開いて、閉じて、またたきをします。てのひらで小さな器を作って、それを受け入れるように手を延ばしました。]
……翠樹の力?
[ぽつん、確認するように云ったのでした。]
はな!こら!逃げるな!
[蝶が飛んでいった方向、下の方を見ると
ベアトリーチェがいるのが目に入り]
ベアトリーチェ、こんにちは。今日はお花見?
大分桜散ったけど、まだ綺麗だろ?
[桜を散らした原因の三分の一ぐらい責任があるくせに、知らない振りして笑った]
[アマンダは、枝を揺らす風に茶色の目を向ける]
ユリアン…?
[不思議そうに呟くも、動こうとはしない。
もう少し、力を満たしておくつもりなのかもしれない]
[上から降ってきた声に顔を挙げると、そらよりもあおい髪が眼に入りました。]
こんにちわ、ユリアン。
風が吹くのに、誘われて来たんだ。
[それはつまり疾風の力を感じ取ったということでした。そばに近寄ったのなら、魔法を使っている訳でもないのに、ベアトリーチェのからだを天聖の力が薄く纏うように包んでいたのがわかるでしょうか。]
─桜の木の下─
[風に舞う花びらは、静かに地面へと舞い落ちて。
手に残る冷たい感触は、まだそれが残る限り、冷静で居られるように思えた。]
…アマンダ?
[いつもと同じ姿のはずの彼女から、感じる雰囲気が違うのは何故だろう?]
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